JPC関西講演会 「医療におけるフォトニクス技術」 2014年12月16日(火) 医療におけるフォトニクス技術の展開 ー光コヒーレンストモグラフィを中心としてー 大阪大学産学連携本部 特任教授・春名正光 [email protected] 1.医療を取り巻く現状 ー医工融合による新たな医療技術開発の推進ー 2.臨床医学における医工融合の象徴 ー画像診断(生体イメージング:X線CT、MRIなど)- 3.医療における光技術 4.光による生体イメージング ー光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の進展ー 5.医療フォトニクスの展望 医工融合/医工連携の考え方 ヒトから学ぶ 新たな科学技術 機械 工学 エレクト ロニクス 物理学 工学 理学 材料 工学 光学 先端医療 新たな医療技術の創成 ヒトを 物理的に 分析する. 化学 (超早期診断・ 低侵襲治療) ヒトを 医学的に 分析する. 薬学 医 学 医 療 看護 介護 共同研究 生命科学 (技術協力) (医師主導) 医療機器の開発 電磁波と生体イメージング (超音波) 光イメージング X線CT [波長] 0.01nm 1μm 10nm 0.1nm 1nm テラヘルツ 1m 10mm 100μm 1mm 10μm 100nm MRI 100mm 100m 10m 10km 1km [周波数] 100keV 10eV 1keV [フォトンE] 10keV 100eV γ線 紫外光 X線 (硬X線) (軟X線) フォトンエネルギー E = 1.24 波長λ 100THz 10GHz 100MHz 1MHz 1THz 10THz 1GHz 100GHz 10MHz 100kHz 1eV 近・中・遠赤外光 可視光 0.4~0.7μm ×10-6 [eV] ミリ波 サブミリ波 TV, FM マイクロ波 短・中・長波 電磁波・超音波を使って 体内の情報を検出する 先進医療で光はどこまで貢献できるか? 医療項目 主要技術・機器 使用できる光技術 癌の超早期診断 (分子イメージング) PET、放射性薬品の開発、 ナノ創薬技術 蛍光診断、 PDT(光線力学的治療) レーザマンモグラフィ アルツハイマー/認知症 (脳機能の診断・解明) f-MRI、SQUID/MEG(脳磁図) 光トポグラフィ 生活習慣病:動脈硬化症 心筋梗塞 糖尿病 眼科: 網膜疾患・緑内障 近視・遠視治療 視力回復 大阪大学 BiMOL 春名研究室 超音波診断、血管内視鏡 血液採取による血糖値測定 無痛針の開発 光コヒーレンストモグラフィ (血管OCT) 光による無侵襲血糖値センサ OCT 眼底カメラ LASIK、眼内レンズ 人工視覚デバイス OCTの基本的なイメージング光学系と空間分解能 z SLDのコヒーレンス長:Δlc 干渉光強度 1.0 Δlc=18μm 500μm OCTの空間分解能 x 深さ方向Δz = Δlc 横方向Δx~φ ~Δlc 0.5 -40 サンプル ステージ 20 40 0 -20 光遅延走査距離(μm) x z 光ファイバ カップラ SLD λc=0.8 /1.3μm 42nm 集光レンズ スポット径: φ フォトダイオード λc=1.3μm PC SLDの発光スペクトル 大阪大学 BiMOL 春名研究室 z タイムドメインOCTの 基本構成 参照光ミラー(光遅延走査) OCTによる医療診断 (a)網膜の断層イメージ、(b)冠動脈プラークの診断(血管OCT)、(c)胃壁のOCT 粘膜筋板 脈絡膜 強膜 瞳孔 粘膜 粘膜下層 網膜 角膜 黄斑部 OCT光ビーム 1mm 硝子体 虹彩 視神経 リンパ濾胞 黄斑浮腫のOCTイメージ 水晶体 眼の構造 (a) 11 mm 繊維脂肪性 プラーク 薄い皮膜 高脂質層 冠動脈切片の顕微鏡写真 (b) 冠動脈のOCTイメージ (c) 1.3μm帯 光周波数掃引レーザ サーキュレータ 参照光ミラー 光ファイバ 10 カプラー 光周波数掃引OCT(SS-OCT) バランス 光検出器 光ビーム走査 (x・y方向) 90 (10/90) PC + 参照光ミラー y - LR LR = LS 反射面 d2 d3 イメージ 信号 12bit x PC (50/50) 偏光制御 フレーム トリガー 生体試料 z 鋸歯状波 発生器 DAQ 光周波数掃引レーザー ガルバノミラー ドライバー 20Hz ラスター トリガー 20kHz FFT 処理 400 lines/frame LS t (b)ファイバ SS-OCTの構成 生体組織 z 光検出器 汗滴 フーリエ 変換 f2 f3 信号強度 干渉信号 汗孔 皮膚表面 d2 d3 z 真皮層 生体の深さ t (a)SS-OCT基本光学系 汗腺ダクト Fig.3 100μm (c)ヒト指エクリン汗腺の3次元OCTイメージ 「光医療/医療フォトニクス」の展望 ○光イメージング →細胞レベルの高速・高分解能OCT →深さ>5mmの断層イメージング ○光の特長(非(低)侵襲性、小型・低価格な光学系) を活かしたヒトに優しい医療技術・機器の開発 →ユビキタス光医療 →低侵襲光診断・治療の展開 ○他分野の技術との融合による新たな医療技術の模索 →生理学、光化学、超音波と光の融合など 参考文献: 春名正光、近江雅人:「医療における光エレクトロニクス技術ー光コヒーレンストモグラフィを 中心としてー」、電子情報通信学会誌、Vol. 96, No. 6, pp. 411-416 (2013). http://ci.nii.ac.jp/naid/110009612420
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