ロボ ッ トビジ ョンのための 統 合 的 な 3 次 元構 造復 元 ・認 識 シ ス テ ム に 関す る研 究 法政大学 工学部情報電気電子 工学科 岩月 正 見 1 は じめに ロボ ッ トビジ ョン研 究におい て,ス テ レオ ビジョンによる3次 元構造 の復元の手法に関す る研究は,比 較的古 く か ら行われ てお り,特 に,注 目点に対す る近傍 の局所的なパ ター ンの相関値 を用 いて対応付 けを行 うare3-baSed matchingに よる手法は,数 多 く提案 されてい る.area― based matchingに基づ くステ レオ視 の大きな特長は,密 マ い な視差 ップが得 られ ると うことである。 しか し,画 像 中に繰 り返 しパ ター ンが存在す るよ うな場合,一 意 に 対応付けす ることができず,視 差 を決定できない とい う大きな問題点がある。 そ こで,本 研究では,ま ず平行 ステ レオ画像 をス キャンラインごとに色領域分割 して照合 してい くことによ り, ロバス トな対応付けを行 う新 しいステ レオマ ンチ ングの手法 を提案す る b,劇 。この手法では,左 右画像 の 同一 ス キャンライ ンをま とめて色領域 分割 し,両 側 の領域 の色 クラスが一致 してい る境界 を対応境界 として,こ れ らの 境界 の連続系列 が最長 となる色 パ ター ンを検出す るだけでよい ため,コ ス ト計算を行 うことな く,動 的計画法 よ りも単純なアル ゴ リズムで高速にマ ッチ ングを行 えるとい う大きな利点がある.し か しなが ら,こ の手法 を用 い ても,画 像 中に同一色 の領域 が多 く存在す る部分での誤対応 が避 けられず,正 確な 3次 元構造が復元できない場 合 があ る。 さらに,各 スキャンライン上の同一色 セグメン トの境界を用 い てマ ッチ ング を行 つてい るため,色 領 域内部の視差については,直 線的な補間を行 つて 3次 元構造 を復元 してお り,曲 面を正確 に復元す ることができな い とい う問題点 もある。 この問題 に対処す るため,画 像全体で の色領域分割結果 とス キャンライ ンごとの対応 点探索結果か ら,境 界 上の対応点 が最大 の領域 を選ぶ ことによ り,正 確な対応領域 を決定 し,誤 対応 を削除す る手法をさらに提案す る 113,18,2朝.本 手法では,得 られた対応領域 の境界に対 して準最適な 3次 元折れ線近似 を行 つて,領 域 の コーナー を取得す ることにより,3次 元構造 を復元す るのに十分な輪郭情報 のみを抽出 している。これによ り,復 元 のため に必要な 3次 元情報を大幅に削減できる。最終的に,領 域輪郭 の コーナー の視差情報 に基づいて,領 域 内部 を ド ロネー分割 し,有 限要素法 を用 いて色領域 内部 の視差 を補間す ることによ り,三 角形 ポ リゴンを用 いて,対 応領 域 を面 として復元できる. 2 前 処理 2 . 1 ハン ド ・アイキャリブレー ション ロボ ッ トの ハ ン ドに搭載 した 1 台 のカ メラを用 い て, ス キ ャ ン ライ ンステ レオ マ ッチ ング を行 うためには, カ メラキャ リブ レー シ ョンによ り, 画 像 中心や焦点距離な どのカ メラの内部 パ ラメー タを正確 に求めてお く必要 があ る. さ らに, カ メラの姿勢 と光学 中心 の 3 次 元位置 を ロボ ッ トハ ン ド座標 系 か らの相対座標 と して正 確 に求 めて おか ない と物 体 の 3 次 元構造 を高精度 に復 元す るこ とはで きない。 このために は, ロ ボ ッ トの稼動範 囲 をで き る だけ網羅す るよ うにカメラを回転 ・移動 させ て , キ ャ リブ レー シ ョンパ ター ン を複数 の位 置姿勢 か ら撮影す る必 要 があ る。本研 究では, こ れ を実現す るため, 従 来 の ビジュアル サ ー ボの 手法 を改 良 し, 大 きな回転 に対 して も 有効 な円筒座 標 系 に基 づ く手法 を提案 してい る。 これ に よ り, あ らか じめ複数枚 のキ ャ リブ レー シ ョンパ ター ン 画像 を ゴー ル 画像 として与 えてお くだけで, 自 動的にハ ン ド ・アイ キャ リブ レー シ ョンが行 える手法 を開発 した 117,22,24,25,26,271. 2.2 色 領域分割 本手法 では ,色 領域 の境界対応 によ り誤 対応 を削除 し,そ の領域 を面 として復 元す るため,画 像全体 に対 して 一 領域分割 を行 つて , 2次 元的 に同 色領域 を分割 す る必要 が あ る。 平行 ステ レオ画 像 に対 して,色 領域分割画像 を得 るための処理 の流れ を以下に示す。 滑化 フ ィル タを用 いて雑音 を除去す る. や 中 一 Step 2色 空間 を コ ン ピュー タ上 のカ ラー 画像 フ レー ム メモ リと して 般 に使 われ る 兄CJ系 か ら,あ があ 表色 系へ と変換す る. 一 Step&非 階層的 クラス タ リング (ISODATA法 )を 用 い て,左 右画像 を つの分害J対象画像 とし,画 像 全体 で色 Step l:SUSAN平 領域分割 を行 う。 一 Step生 色領域 に分割 された画像 は,同 じ色であ る二つ の領域 が ,画 像 中で離れ て存在 していて も つ の領域 と し て扱 われ て しま うので ,ラ ベ リング処理 を行 うこ とに よ り,こ れ らの領域 を連結成分 ご とに分離す る。 3 対 応点探索 本手法では,画 像全体 で領域 分割 されたステ レオ画像か ら色領域 の境界をそれぞれ抽 出 し,境 界 の左 右領域 の 色情報をもとに,ス キャンライ ンごとに,以 下で説明す るよ うな対応表 を作成 し,対 応境界 の 1次 候補 を求める. Fig,1のよ うな単純 なステ レオ画像を例 に とり,領 域境界の対応表 の作成手順 について説明す る。画像 中の第 ぢ 番 目のスキ ャ ンライ ンが,Fig.2の よ うに,左 右画像 で,そ れぞれ六つ と五つの色領域 に分割 されて い るとす る。 ただ し,■ ,B,θ,Dは それぞれ の領域 の色を,番 号 1∼6は 領域 の境界を表 している。左画像の境界 の 両側 の色に 対 して,右 画像 の境界 の両側 の色 の対応関係 には,つ ぎの四つの場合 がある. ● 左右両側 とも一致 してい る. ・ 右側 のみ一致 している。 ● 左側 のみ一 致 している。 ● どちらとも一 致 していない. 一 したがつて,右 画像 のそれぞれ の境界 の両側 とも色が一致すればそ のマスを塗 りつ ぶ し,右 側 のみ 致すれば右 一 下向きの三角形,左 側 のみ一致すれば左上向きの三角形,両 側 とも 致 しない場合は空欄 として,対 応表 を作成 す ると,Fig.2の よ うな領域分割結果 に対 して,Fig.3の ような対応表が得 られ る。 このよ うに して得 られた対応表にお いて,シ ー ン中の対象物部分に,オ クル ー ジ ョンや ノイ ズがまった く存在 しなければ,Pと 3の ように,そ の部分 では,対 応表 の対角線方向の要素 が連続 して両側対応 となることは明 らか である。また,Fじ 1の 領域 Dの ように,オ クルー ジ ョンによリー方 の画像にのみ領域 が存在す る場合は,未 対応 一 領域 として肖J除され る。このようなオ クルー ジ ョンや ノイ ズは画像 中の 部に しか存在 しない と仮定すれ ば ,ほ とん どの領域 で対角線方向に両側対応が連続 してい ることになる。 したがつて,色 領域境界 の対応 が最長 となる 3で 示 され る対応表 の場合,Mと 記 してい る境界を対応点 とす ること よ うに対応境界を選択す る,す なわち F七・ ー パ が 自然であ り,こ れにより繰 り返 し タ ンが存在す るような場合でも誤対応 を軽減す ることができる。そ こで, 以下で述べ るよ うな手順 を用 いて,単 に両側対応が連続す る最長 の対角線方向の要素をもつ部分 を抽 出す ること によ り,対 応境界 を決定す る。 SteP l:対応境界の視差は,あ る適 当に決め られた範囲内にあると してい る。この条件 に満た さない ものは,対 応 境界 の候補 か らはずす。 Step身 両側対応 が連続す る対角線方向の要素 の うち,最 長要素を最 も信頼 できるもの として採用 し,対 応境界 と して抽出す る. Step&得 られた部分要素を含むすべ ての行 と列に対 して最長対角線要素 のみ対応境界 とし,ほ か をす べ て空欄, つ ま り非対応 とす る。 Stepな 対応表 が対応境界 と空欄 のみ になるまで,Step 2,Step 3を 繰 り返す。 Left lmage 唖 t lttnage 図 1: StereO images 1 2 3 4 5 6 234 図 2:Result of co10r segmentation on a scanhne CるrresPondellco on both sido3 /t銃Ю ttdence 】:軌 we却 。 nde斑 o o■right side Braュエ :No corresPcndence 図 3:Correspondence table め られ た対応 境 界 の系列 か らな る領域 の左 端 に,あ る程 度以上 の長 さの右側対応 の境界 が隣接 し,同 一 行 あ るい は同一 列 に他の両側 あ るいは片側 対応境界 がなけれ ば,そ の右片側対応 の境界 も対応境 界 とす る.対 応 Step&求 領域 の連続 系列 の右端 につい て も,上 記 と同様 に処理す る. Step位 最 後 に ,対 応付 け されず に残 つた境界点 は ,未 対応 と して削除す る。 本手法 で は ,対 応境界 の順 序 が入れ替わ らない とい う条件 を必要 と しないため,従 来 のステ レオ ビジ ョンでは 対応探索が 困難 であつた narrtt occlusiOnを 含 む シー ンに対 して もマ ッチ ング を行 うこ とがで きる とい う大 きな 利点 を有 してい る。 対応領域 の決定 と誤対応の 削 前章で述 べ た手法 を用 い れ ば,繰 り返 しパ ター ンに対 して誤対応 の 少 ない 対応 境界 を決 定で きるが,色 領域分 な どの影 響 に よ り,同 じ色の領域 が多数 存在す る部 分 では ,無 視 で きな い数 の誤対応 が 含 まれ ,正 確 な 3次 元 害」 構造 を復 元 で きない 場合 が ある。そ こで ,領 域分割 に よつて連結成分 ご とに分離 され てい る領域 境界 の対応 の数 を調 べ ,最 も多 く対応 が とられてい る境界 ど うしを対応領域 と して採 用す ることに よ り,誤 対応 となってい る対応 境界 を検 出す る。 4.1 対 応 領 域 の決 定 まず,前 章で述べ た手法 を用いて,す べ てのス キャンライ ンについて対応点探索を行 う。その後,ラ ベ リング処 理 された画 像 中における各 ラベル番号 の領域 の輪郭 上で対応境界 の数 を求める。誤対応 の境界は正 しい対応の境 界に比べ て少数である,と い う仮定に基づ き,最 も多 く対応 が とられてい る境界同士を対応領域 として採用す る。 Fig。 4 の 例 に示す ように,左 画像 の領域 A,B,Cと 右画像 の領域 D,Eの 対応境界が 同一色領域 として対応付け 図 4:Fault correspondences on contours oF sIInilar color regbns 表 1: Number of correspondences Region Number(le免 ) Region 15 D B 2 E C 1 ,r A Number(right) 1 され ,Tabに 1の よ うに対応境 界点数 が求 め られ た とす る。 この とき,対 応境界数 が最 も多 い領域 Aと Dが 対応 境 界 は誤対応 とみ なす . 領域 として決定 され ,領 域 B,C,Dの この よ うに,本 手法では,左 画像 中の 一 領域 と照合画像 の全 領域 との対応点数 を比較 し,対 応 点数 が最 大 の も の を対応領域 と して い る.さ らに,照 合精度 の 悪 い微 小領域 や対応境 界点数 の少 ない 領域 を肖J除す るため,対 応 境 界点数 が ,あ る しきい値 以 上 あ るよ うな対応境 界 の み を採 用 してい る.す なわ ち,対 応 点数 が しきい値 以下 の 点数 が しきい値以上で も,他 の照合領域 と比較 して対応境 界点数 が最大 ではな 微 小領域や,Fと 5の よ うに ,対 応″ い 領域 は,未 対応領域 として削除 され る。後述す る実験 では,対 応領域 と して採 用す る対応 点数 の しきい値 を 10 点以上 として い る. 一 対象物 であ るに もかかわ らず,Fig.5の よ うに,左 右画像 で 一 未対応領域 が生 じる大 きな原 因 の つ と して ,同 一 べ いに よ つて一 方 の画像 に 領域 分割結果 が異 な るため,領 域 の 部 が未対応領域 として欠 けて しま う場合や ,隠 の み色領域 が 存在 しない場合 が 考 え られ る。 4 。2 領 域 対 応 に よ る誤 対 応 の 削 除 前節 で述 べ た よ うに対応領域 と誤対応境 界 を決 め る こ とがで きれ ば, 誤 対応 を削除す るこ とがで きる。本手法 の 対応境 界点 は, 単 純 に削除す る。 で は, 誤 対応 と判 定 され た領域 B , C , E 上 ー ン 中 に色 領域 系列 の パ ター ンがほぼ 同一 の この よ うな削除 に よつて も誤 対応領域 が残 る可能性 としては, シ ー 一 対象物 が二つ 以 上 存在 し, どち らか の 画像 中で , そ の うちの つ の対象物 が , オ クル ジ ョンに よ り見 えない よ ー うな場合 が あ る。また, 領 域 分割結果 が左 右画像 で大 き く異 な る場合や , オ クル ジ ョンに よ り左 右画像 で領域 形状 が大 き く異 な る場合, 誤 対応削除を行 つて も, 誤 対応領域 が 残 つて しま う可能性 があ る。 しか しなが ら, こ 一 ー の よ うな場合 で も左 右画像 の 色領域分割結果 にお い て , 色 領域 の 系列 パ タ ンが 致 して い な けれ ば, 誤 対応 は 一 生 じない ので , ス キ ャ ン ライ ン上で 同 色 パ ター ン系列 を もつ 対象物 が複数存在 しなけれ ば, そ の可能性 は極 め て小 さい と考 え られ る. 図 5: Noncorresponding rerOn r酎 封 ︱ 図 6:Modincation of disparity bj7 using a median ilter 4 . 3 メ デ ィア ンフィルタによる視差の修 正 領域輪郭 上のある対応 境界の視差 は,ス テ ンプ状 に変化す ることはあ り得 るが,あ る境界対応点 の視差 のみ が 6に 示す よ う 突然変化 し,そ の前後 の視差 と大きく異なってい るとい うことはほ とん どあ りえない。そこで,Fig。 に,あ る領域輪郭上で,注 目す る対応境界 とその前後の対応境界 の視差 を比較 して,注 目対応境界をそれ らのメ デ ィアン値 に変更す ることによ り,異 常な奥行 き値 をもつ 対応境界の視差 を修正す る. 5 領 域輪郭 の 3 次 元折れ線近似 前章までで得 られた領域輪郭に対 して,折 れ線近似 を行 うことにより, 3次 元構造復元のために必要な対応点の 数 を大幅に削減できる。ただ し,領 域輪郭を 2次 元的に折れ線近似す ると,奥 行 き方向の変化 をま った く無視 し て しま うことになるので, 3次 元的な輪郭形状 を復元す るためには,画 像座標 律,7)と左 右画像関 の視差値 ″に 基づいて, 3次 元的に折れ線近似 を行 う必要 がある.そ こで,本 手法では,準 最適 な 3次 元折れ線近似 の手法 を 点の位置を 律 ,7,z)として,そ の コーナー座標を抽 出す る.本 章では,そ の折れ 用いて, 3次 元的な領域輪郭上の″ 線近似 の手法について述べ る。 5.1 折 れ 線候 補 の取 得 F尊 7の よ うな領域輪郭 が得 られた として ,折 れ線候補 を抽出す る手順 を以下に示す。ただ し,こ こでは説明を 簡単にす るため, 2次 元的な輪郭形状 を例 とした図を用 いてい るが,ア ル ゴ リズム的には 3次 元形 状 に対 して も まった く同様 に適用できる. まず,輪 郭形状を近似す る折れ線 の候補 を,以 下の よ うな手順で取得す る。 Step l:領域輪郭上の任意 の点 Aと 最 も長い距離 の輪郭 上の点を線分 aで 結び,二 つ に分割する。 Step身 分割 された領域境界について,線 分 aと の距離 が最長 の点 を探 し,得 られた点 と領域境界の始点 と終点 と を結ぶ線分 b,c,d,eを 引き,Fig.8の ように二分木 を作成す る. Step tt Step 2を 繰 り返 し行 い,領 域境界 と線分 との距離 があるしきい値 『 以下になるまで行 う.描 かれた線分 はす べ て近似す る折れ線 の候補 となる。 5。 2 準 最 適 な折れ線 の 選択 前節で得られた折れ線候補に対して,つ ぎのような評価式を用いて折れ線近似することにより,少 ない特徴点 で準最適 に領域輪郭 を復元す る ことがで きる。 T=D/あ (1) ここで,Dは 領域輪郭 と線分 との距離,あ は線分 の長 さである。上式において,Dが 小 さいほど領域輪郭 と折れ 線 との距離 が小 さく,ま た,あ が大きいほ ど折れ線 を長 くす ることがで きる。 したがつて,(1)式 の値 が小 さい折 れ線 を採用すれば,よ り少 ない本数 で,近 似度 の高い折れ線近似 が行 えることがわかる. 以下に,Fig.8の よ うな三分木を例 にとり,準 最適な折れ線 を選択す るための処理手順 を以下に示す。 Step l:一つ 目の二分木において,最 下層 の線分 f,gについて (1)式を計算す る。 図 7: Contour and line segments oF a region わ め 図 8:Binatt trec Step身 一 つ上の 階層 であ る線分 いについ て (1)式 を計算 し,igの の 階層 を候補 か らはずす .c,h,1に つい て も同様 の 処理 を行 う. 計算結果 の うち小 さい方 と比較 し,大 きい方 らに上 の 階層 aに ついて (1)式 を計算 し,Step 2と 同様 の処理 を行 い ,計 算結果 の小 さい 方 を近似す る 一 準最適 な折れ線 として採 用す る。 も う 方 の三 分木 について も同様 に処理 を行 う. Step&さ 6 領 域 の内部補間 ゴ 前節まで に述べ た手法によつて得 られ る領域 の実行き情報 は境界のみであ り,三 角形ポ リ ンを用 いて,領 域 を 面 として復元す るには,色 領域内部 を面要素に分割 し,こ れ らの頂点 の視差情報 を補間 しなけれ ばな らない。そ こで本手法では, ドロネー 分割 を用 いて ,領 域輪郭 の点群 か ら領域内部 を三角形 に分割 し,そ れ ら点群 の視差 を 境界条件 として有限要素法 によ り領域 内部 の視差 を補間す る。 6 . 1 ド ロネ ー 分割 に よる領域 の 三 角形分割 ロ ー 前章 で述 べ た手法 に よつて得 られ た色領域輪郭 の 3次 元折 れ線近似 の結果に基 づい て, ド ネ 分割 によ り,領 ー 域 内部 を三角形 ポ リゴ ン群 に分割す る。 ここでは, 2次 元 ドロネ 法 を用 いて領域 内部 を面要 素に分割す る。 し か し,領 域 の 面積 は,そ れ を見込む方 向 に よ つて大 き く変化す るので ,な るべ く少 ないポ リゴ ン数 で,正 三 角形 一 に近 いポ リゴ ン を得 るためには,領 域 を 番 大 き く見込 め る方 向を求 め る必要 があ る。そ こで ,本 手法 では,領 ロ ー 域輪郭 上の 対応 点群 に よ り構成 され る平面 を近似 的 に求 め ,そ の 平面 に領域輪郭 を射影 した後 , ド ネ 分害Jを 行 う.以 下に,そ の処理 の流れ を示す 。 ー ー Step l:画像座標 と視差をそれぞれ 律 ,7)と ″として,領 域輪郭 の折れ線 を構成す るコ ナ の 3次 元座標 =1を 特異値分解 によ り求 める。 ,ダ ,″ )か ら,最 小 二乗誤差 の意味 で最適 な平面方程式 a″十 町 +C″ (″ ー ロ StcP 2 Step lで求めた平面 に,領 域輪郭 上の点を射影 し, ド ネ 分害Jを行 う. Step&次 節で述べ る有限要素法 によ り領域 内部 の 3次 元位置 を推定 し,領 域 を面 として復元す る。 6 . 2 有 限要素法 による領域 の奥行 き情報 の補間 ドロネ ー分割 を用 いれ ば, 色 領域 内部 を三角形ポ リゴンに分害J することができるが, 本 手法によつて取得 でき る視差情報 は領域境界 のみであるため, 内 部 の三角形要素 の頂点 の視差情報 を補間す る必要 がある。そ こで, 領 域境界の奥行 き情報を境界条件 として有限要素法を用 いて,次 式で表 され るラプラス方程式を満 たす よ うに内部 を補間す る。 響 +響 =0 0 上式 は奥行 きの変化 率 を最小 にす るよ うに領域 内部 を補間す るこ とを意 味 してお り, 物 理 的には, 固 定境 界 に ゴ ム膜 を張 り付 けた状態 を表 して い る。 7 実 験結果 ー ー 本実験 では ロボ ッ トマニ ピュ レ タ上にカラ C C D カ メラを搭載 し, ス テ レオ画 像 を取得 した。C C D カ メラ 一 ー は, あ らか じめ正確 にキ ャ リブ レ シ ョンされ ていて , 左 右画像 の エ ピポ ラ線 が 同 ス キ ャ ン ライ ン となるよ うに平行化 され て い る. 7.1 視 差 の 大 き な 物 体 を含 む シ ーン F i g . 9 に示す よ うな, 手 前 の物体 の視差 が非常に大きく, 対 応点の順序 が左 右画像 で入れ替わ つてい るよ うな ステ レオ画像に対 して, 物 体 の 3 次 元構造 を面 として復元 し, 二 つの異なる視点 か n a r r t t o c c l u s i o n含む平行 を 1 0 と F i g . 1 1 に示す. こ れ らの図か らわかるよ うに, 大 きく視線方向が違 うため, 前 方 の対象物 ら見た結果を F i g 。 一 ー の側面が右画像 にのみに しか見えないだ けでな く, 前 面 と同 色系列パ タ ンを有す るため, こ の側面部分 が誤 対応領域 として残 つて しまってい るが, 本 手法 を用いれば, 視 差 の大きなステ レオ画像 に対 して も, 物 体 の 3 次 元構造を比較的精度 よく復元できることがわかる。 7.2 繰 ー ー ー り返 しパ タ ン とオ ク ル ジ ョン を含 む シ ン 1 3 と P i g . 1 4 に示す。これ らの図か 対す る復元結果を F 七・ 繰 り返 しパ ター ン とオクルー ジョンを含んだ F i g . 1 2 に ー ー ー パ ら, ス テ レオ画像 中に, 繰 り返 し タ ンとオクル ジョンが同時に存在す るシ ンに対 して も, ほ ぼ正確 に物 一 結果 体 の 出面 の 3 次 元構造 が復元 されてい ることがわか る。また, 陰 影 の影響 で , 背 景 の 様色領域 の領域分害‖ が分離 して,対 応 が とられ てい るが,左 右画像 の分割 結果 に差異 があま りな か つたため ,こ の部分 も比較 的精度 よ く復元 され てい るこ とがわか る。 8 次) わ 】りに 本研究では,画 像全体 での色領域分害J結果 とスキヤンライ ンごとの対応点探索結果 か ら,境 界上の対応点が最 大 の領域 を選ぶ ことによ り,正 確 な対応領域 を決定 し,誤 対応 を修正できる手法 を提案 した.本 手法 を用 いれば, ー 領域輪郭 の コーナー の視差情報 に基づいて,領 域内部 を ドロネ 分割 し,有 限要素法 を用 いて色領域 内部 の視差 を補間す ることにより,三 角形 ポ リゴンを用いて,対 応領域 を面 として復元できる。本手法 では,色 領域分害1の影 ー 一 響 により,画 像 中の小領域 が多い部分や,人 間 の顔な ど,色 領域分割結果 が 様 な領域 になるよ うな シ ンに対 して, 3次 元構造を正確に復元す るのは難 しい。 しか しなが ら, 人 工的な環境で作業す る ロボ ッ トの視覚 として 考 えた場合,本 手法は十分有効 であると思われ る. 一 さらに,本 研究では,領 域分割 によつて得 られた 様色領域 の特徴量 か ら直接対応付 けを行 い ,面 の 3次 元構 一 造を復元す る手法 11,3,4,7,2司,テ クスチヤ領域 と 様色領域 を分離 してそれぞれ の特徴量 に適 した対応付 けを 行う手法い,10,16,1朝 ,相関ステレオ法と色領域分害Jによる手法を融合し,誤対応を軽減する手法 p,11,14,2倒 な どを提案 しているが,紙 数 の都合 上,詳 細は文献 を参照 されたい。 謝辞 本研究は,(財)高 柳記念電子科学技術振興財団の平成 12年 度研究助成 を受 けて行われ たことを記 し,深 く感謝 いた します。 図 9:Rectifled stereo images with nattw occlusions 図 10:3D reconstruction 図 1■ 3D reconstruction iom an another view 参考文献 セ ンター研究報告, の [1]河 野祐輔,北 川大 二,岩 月正見,色 領域分害1による領域輪郭 3次 元形状復 元,法 政大学計算科学研究 第 13巻 ,pp.7い 84(2000) センター研究報 レ]工藤弘義,岩 月正見,相関ステレオ法のための色領域分害Jによる探索範囲の限定,法政大学計算科学研究 告 ,第 13巻 ,pp.85-90 (2000) の 3次 元形 状 の復元 ,法 政大学計算科学 研 究セ ンタ [3]阿 部伸生 ,岩 月正見,テ ク スチ ャを用 いた曲 面 領域照合 と 第 13巻 ,pp.91,96 (2000) ー研 究報告 , ス テ レオ ビジ ョン,計 ull自動制御 学 会論 文 集 ,Vol.36,No.11, 141岩 月正 見 ,鈴 木浩 二 ,山 口剛 弘,階 層的 な領 域分割 に よ る pp.887-893(2000) ンご との色領 域分割 を用 いたステ レオ マ ッチ ン え 計測 自動制御 学 会論 文 [51岩 月正 見,鈴 木浩 二 ,山 口剛 弘 ,ス キャ ンライ 集 ,Vol.36,No.11,pp.1037-1043(2000) の 18回 日本 ロボ ッ ト学 会学術講 演 [6]岩 月正 見,田 部伸生,佐 藤 正太 ,テ クスチ ャ面 の分離 と熙合 に よる 3次 元形状 復元 ,第 会予稿 集 (2000) の レ 上 計 科 ス ビ ン 大 学 算 ジ ョ 政 オ に お け 度 向 ,法 テ る 復 元 精 く 分品づ '1整 [71登 空 坑 場 管 覇 セ夢騨 先 委 署 養 ,毛 斉 季 発 最 離奇 図 12:Rectined stereo images with occlusions and repetitiwe patterns 図 13:3D reconstruction 図 14:3D recOnstructも n iom an another view [8]大石友明,勝 又美 由紀,岩 月正見,ア クテ イプ ビジ ョンによる 3次 元形状復元 の高精度化 と完全化,法 政大学計算科学研 究セ ンター研究報告,第 14巻 ,pp.27-32 (2001) 小笠原豊和,片瀬有一,岩月正見,輪郭視差の整合性を考慮したスキャンラインステレオマンチンえ 法政大学計算科学 [9〕 研 究セ ンター研 究報告 ,第 14巻 ,pp.33-38 (2001) [10]佐 藤 正太 ,阿 部伸生 ,岩 月正 見,一 様 色領城 とテ クス チ ャ領 域 の分離 に よる 3次 元形 状 の復元 ,法 政大学計算科学研 究 セ ンター研 究報告 ,第 14巻 ,pp.39-44 (2001) ぺ [11]鈴 木俊 生 ,瀬 戸義仁 ,岩 月正 見,相 関 ス テ レオ法 の た めの探 索範 囲 の 限 定 と隠 いの検 出,法 政 大学 計算 科学研 究 セ ン ター研 究報告 ,第 14巻 ,pp.45-50 (2001) M2]秋元崇,斎藤宏尚,浜野洋二,岩月正見,領域分害1に基づくステレオビジョンにおける復元精度の向上,第 33回計測自 動制御 学 会北海道 支部学術 講演会論 文集 ,pp.1-2(2001) 小笠原豊和,片瀬有一,岩 月正見,輪郭視差の整合性を考慮したスキャンラインステレオマンチンえ 第 33回計測自動 113〕 制御学会北海道支部学術講演会論文集,pp.3t4(2001) 人 [14]鈴 木俊生,瀬 戸義仁 ,岩 月正見,相 関 ステ レオ法のための探 索範囲の隈定 と隠 いの検出,第 33国 計測 自動制御学会北 海道支部学術講演会論文集,pp.9-10(2001) の と完全化 ,第 33回 計 測 自動制 [15]大 石 友 明,勝 又美 由紀 ,岩 月正見,ア クテ ィプ ビジ ョンに よる 3次 元形 状復 元 高精度化 文集 ,pp.11-12(2001) 御 学会 北海道 支部学術 講演会論 ス の 3次 元形状 の復 元,第 33回 計測 自動制御 学 [16]佐 藤 正 太 ,阿 部伸 生,岩 月正 見,二 様色領 域 とテ ク チ ャ領 域 分離 に よる 会北海道 支部学術 講演会論 文集 ,pp.15,16(2001) 111沖 山紀光 ,岩 月正見 ,円 筒座標 系を回転優 先型視 党 サ (2001) ー ボ,第 19回 日本 ロボ ッ ト学会学術 講演会議演論文集 ,pp.945-946 一 マ の [18]片 瀬 有 ,谷 夏樹 ,岩 月正 見,ス キャ ン ライ ンステ レオ ッチ ングに よ る面 3次 元構 造復 元,電 子情報通信 学会技術 研 究報告 ,Vol 101,No.525,PRMU2001-180,pp.31-36(2001) の 3次 元構 造復 元 ,電 子情報通信学会技術 [19]阿 部 伸生,加 藤偉 之 ,岩 月正 見,一 様 色領域 とテ クスチ ャ領域 の分離 に よる面 42(2001) 研 究報告 ,Vo1 101,No.525,PRMU2001-181,pp.3み レ い [20]勝 又美 由紀,沖 山紀 光 ,岩 月正 見,任 意視 点 か らのステ オ画像 を用 た 3Dモ 術研 究報 告 ,Vol.101,No.525,PRMU2001-182,pp`43-50(2001) デ ツングツー ル ,電 子情報通信 学会 技 レ11斎藤宏尚,若 生裕司,岩 月正見,領域分害1に基づくステレオビジョンにおける復元精度の向上,電子情報通信学会技術研 究報告 ,Vol.101,No.525,PRMU2001-183,pp.51-66(2001) [22]浜 野洋 二 ,岩 月正 見,エ ピポ PRMU2001-185,pp.65-70(2001) ー ラ幾何推 定 に有 効 な特徴 点 の抽 出,電 子情 報通信 学会技術研 究報告 ,ヽ る ol,101,No.525, 式 い検 出 と適合 窓 の推 定,電 子情報通信学会技術研 究報 [23]瀬 戸義仁 ,岩 月正 見,相 関 ステ レオ法 の た めの領 域照合 に よる隠 告 ,Vol.101,No.525,PRMU2001-186,pp,71-76(2001) ハ ビジユアルサ [24]沖 山紀光,岩 月正 見 ,デ カル ト座標 系 と円筒 座標 系 を用 い た イ プ リン ド ジア予 稿集 ,12B3,pp.131-136(2002) ー ボ ,第 7回 ロボテ ィクスシ ンポ ented Visual Servoing based on Cylinthcal Coordinates,Proceedings of [251 M IwatSuki and N.Okiyama,Rotation-0五 4203(2002) IEEE InteHlational Conference on Robotics and Automation,pp.419掛 [26]M.IwatSuki and N Okiyama,A New ForIIlulation of Visal Settoing based on Cylintttal Coordinate System with ShFtable OH事 n,Proceedings ofIEEE/RSJ International Conference on lntelLgent Robots and Systems,pp.35年 359 (2002) [271M.IwatStt and N.Okiyama,Preferential Direction Control for Visual Servoing based on Orthogonal Curvihnear Coordinate Systems,Proceedings of IEEE/RSJ International Conference on lntelhgent Robots and Systems,to appear(2003) 一 ンステ レオマ ンチ ング を用 いた 面 の 3次 元構 造復 元 ,シ ス [281岩 月正 見 ,片 瀬 有 ,谷 夏構 ,色 領域分割 に基 づ くス キャ ン ライ ム テ 制御 情報学会誌 ,Vol.16,No.5,pp.226-233(2003)
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