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CONTENTS
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各事業所には、下記の通り基準法令がある為留意すること。
● 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第四十六号)
(基本方針)
第二条
特別養護老人ホームは、入所者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業に関する熱意及び能力
を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。
2
特別養護老人ホームは、入所者の処遇に関する計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復
帰を念頭に置いて、入浴、排せつ、食事等の介護、相談及び援助、社会生活上の便宜の供与その他の日常生
活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自
立した日常生活を営むことができるようにすることを目指すものでなければならない。
3
特別養護老人ホームは、入所者の意思及び人格を尊重し、常にその者の立場に立って処遇を行うよう
に努めなければならない。
4
特別養護老人ホームは、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行
い、市町村(特別区を含む。以下同じ。
)
、老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者その他の保
健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
● 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
(平成十一年三月三十一日厚生省令第四十号)
(基本方針)
第一条の二
介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及
び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ
自立した日常生活を営むことができるようにすることとともに、その者の居宅における生活への復帰を目
指すものでなければならない。
2
介護老人保健施設は、入所者の意思及び人格を尊重し、常に入所者の立場に立って介護保健施設サー
ビスの提供に努めなければならない。
3
介護老人保健施設は、
明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、
市町村(特別区を含む。以下同じ。
)
、居宅介護支援事業者(居宅介護支援事業を行う者をいう。以下同じ。
)
、
居宅サービス事業者(居宅サービス事業を行う者をいう。)
、他の介護保険施設その他の保健医療サービス又
は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。
●
特定施設入居者生活介護
人員に関する指定基準
・介護付き有料老人ホーム ・軽費老人ホーム ・養護老人ホーム ・サービス付高齢者住宅
(基本方針)
第174条 指定居宅サービスに該当する特定施設入居者生活介護(以下「指定特定施設入居者生活介護」
という。
)の事業は、特定施設サービス計画に基づき、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の
世話、機能訓練及び療養上の世話を行うことにより、要介護状態となった場合でも、当該指定特定施設入居
者生活介護の提供を受ける入居者(以下この章において「利用者」という。
)が当該指定特定施設(特定施
設であって、当該指定特定施設入居者生活介護の事業が行われるものをいう。以下同じ。)においてその有
する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければならない。
2
指定特定施設入居者生活介護の事業を行う者(以下「指定特定施設入居者生活介護事業者」という。
)
は、安定的かつ継続的な事業運営に努めなければならない。
3
養護老人ホームが指定特定施設入居者生活介護の事業を行う場合については、第5節に規定する外部
サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の事業を行うこととする。
●
通所介護 人員に関する指定基準
(基本方針)
第92条 指定居宅サービスに該当する通所介護(以下「通所介護」という。)の事業は、要介護状態とな
った場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生
活を営むことができるよう、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤
立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなけれ
ばならない。
●
指定通所リハビリテーションの具体的取扱方針
第百十四条
一
指定通所リハビリテーションの方針は、次に掲げるところによるものとする。
指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、医師の指示及び次条第一項に規定する通所リハ
ビリテーション計画に基づき、利用者の心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立に資するよう、妥
当適切に行う。
二
通所リハビリテーション従業者は、指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、懇切丁寧に行
うことを旨とし、利用者又はその家族に対し、リハビリテーションの観点から療養上必要とされる事項につ
いて、理解しやすいように指導又は説明を行う。
三
指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、常に利用者の病状、心身の状況及びその置かれて
いる環境の的確な把握に努め、利用者に対し適切なサービスを提供する。特に、認知症である要介護者に対
しては、必要に応じ、その特性に対応したサービス提供ができる体制を整える。
■
職員の「拠り所」であり、介護の基礎となる独自のケアマニュアルである
ケアマニュアルの目的
いつでも誰でも同じ根拠のもとに知識と技術の基礎を振り返り、個人差のない質の高いサービスの提
供のために、以下①~⑤を目的とする。
①利用者に負担をかけない
・精神的負担(不安感や恐怖など)
・身体的負担(痛みや摩擦など)
②介助者に負担をかけない
・主に腰痛予防(ボディメカニクスの活用)
③残存機能の活用(自立支援)
・利用者の使える能力を最大限に生かし、
より良い生活になるための支援
④安全のため
・事故や怪我なく行うため
⑤職員の自己研鑽のため
・技術や知識の再確認、研修での教科書として活用する。
ケアマニュアルを開くとき
勤続年数に関わらず、常に基礎を振り返ることが大切。
新しい技術を身につけるとき
対応方法に悩んだとき
指導する立場になったとき
仕事に悩みを抱えたとき
成長を支えるために
ケアマニュアルは毎年内容を更新しています。技術の進歩とともに、また福祉を取り巻く情勢に合わ
せて成長しています。北水会グループや職員の成長とともに常に歩みを進めます。
16 排泄
Ⅰ.排泄の意義・目的 ……………………………… 258
Ⅱ.排泄のメカニズム ………………………………… 259
Ⅲ.排泄介助の方法 ………………………………… 265
・トイレ・Pトイレでの排泄介助 …………………… 267
・ベッド上での排泄介助 ………………………… 272
・尿器での介助 ………………………………… 276
・差し込み便器での介助 ………………………… 277
Ⅳ. 陰部洗浄の方法 ………………………………… 278
Ⅴ.介護力強化事例発表会 ………………………… 280
参考文献「新しい介護」三好春樹・大田仁史共著
Ⅰ.排泄の意義・目的
【排泄の意義・目的】
◎ 排泄とは、老廃物や栄養物の残りカスを体の外へ出すこと ⇒ 排尿・排便
これは、日々繰り返し行われ、穏やかな生活を営む上で大切な役割を担っている。
◎ 自立へ向けての排泄を心掛ける ⇒ 自立支援
排泄での目的は、可能な限りトイレでの排泄を中心と考える。
◎ 排泄介助で気を付けなければならないこと
排泄はプライベートな行為であり、他者に排泄を手伝ってもらうということは、「恥ずかしい」「申し訳
ない」といった感情が芽生える。その為、介助にあたる際はそのような気持ちに配慮しなければなら
ない。その方の気持ちを理解し、思いやりのある介助が必要となる。
◎ 個別に合った排泄介助を考える
利用者の身体状況は 1 人 1 人違う為、様々な排泄用具を用いて、個々の利用者に適した排泄方
法を選択することが、気持ち良く日常生活を送る手助けとなる。
【プライバシーの保護】
介護者が排泄介助を行なう際は、プライバシーの保護に配慮した以下の項目に注意する。
① 排泄介助の際は、パーテーション、カーテン、ドア等で、その排泄行為が他人に見えないよう
配慮する。
② 介助中、「臭い」「汚い」など、利用者が嫌がる・傷付くような言葉は口にしてはならない。
③ 介助中は、対象者が安心できる声かけを行ないながら介助を行う。
【排泄問題と生活の質の変化】
高齢者の多くは排泄に障がいや不安を抱えている。その為、外出や趣味の時間を持つ等の生活の「自
由」が制限されている。 又は実行することをためらってしまう状態である。
排泄の
生活の質の
ストレス
低下
つまらない毎
日
生活意欲の
低下
そこで、介護者として求められる姿勢とは?
・「排泄」の不安を取り除く援助 (精神的ストレスの軽減・緩和)
・利用者の身体レベルに合わせ、ストレスなく 介助を行う (介護技術の習得)
排泄の
ストレスを除
去
生活の質の
楽しい
生活意欲の
向上
毎日
向上
Ⅱ.排泄のメカニズム
【排尿】
尿は腎臓によってつくられる。身体の各組織から不要物を受け取った血液は、腎臓に流れ込み体内の
老廃物や、余分な水分がろ過される。腎臓でつくられた尿は尿管を通って膀胱へ流れる。
膀胱にたまった尿は尿道を通って体外へ出ていく。(図‐1)
図‐1 上部尿路解剖図
図‐2 排便の仕組み
【排便】
[胃・大腸反射]
食べ物が胃に入ると、胃は大腸へ信号を送る。
その信号を受け取った大腸は、反射的に便を
大腸へ送り出す様「ぜん動運動」が始まる。
[ぜん動運動]
食物を移動させる為の腸の働きの事。
【排泄の姿勢】
※トイレでの排泄はとても重要
○前傾姿勢をとることで、腹圧をかけやすい。
○重力が働く。
○足を床につけることで、力を入れやすい
体を支えやすい。
○本来の排泄習慣な為、心理的負担が少ない。
○トイレに座るという一連の動きは生活リハビリに
繋がる。
○QOL の維持・向上に繋がる。
○排泄介助の基本はトイレ
【
図-3
トイレでの姿勢
】
【姿勢における直腸肛門角の変化】
仰臥位では全部の量を出しにくい
座位では角度が広く、重力も活用出来る為出しやすい
直腸肛門
角
座位(前座位)
背臥位
ポイント
⇒
座位(背もたれにもたれる)
「○」の角度が広いほど排便がスムーズである!!
【尿・便の観察】
○体内を通過してきた尿や便は、体内の情報や、健康状態を教えてくれる貴重な情報源である。
○利用者の排泄に一番身近に関わる機会が多い介護職員は、どのような尿・便が正常・異常であるか
を把握しておかなければならない。
観察のポイント
正
① 量 ② 色・性状 ③ 回数 ④ 臭い
常
1200~2000ml
状態
1 日の
異
常
2000~3000ml以上(多尿)
尿量
尿
薄黄色で透明
6~7 回
色
1 日の
回数
考えられる原因
水分の過剰摂取・腎不
全
300~500ml以下(乏尿)
水分摂取量低下
脱水(下痢等)・腎不全等
混濁
尿路感染
濃縮尿
水分摂取量低下
血性色
膀胱炎・外傷性等
10 回以上(頻尿)
前立腺肥大・膀胱炎
2 回以下(尿意減少)
尿閉・腎不全等
水分摂取量低下
悪臭はない
臭い
1 回100~250g程度
便の量
褐色か黄褐色
(食事内容に影響)
色
アンモニア臭・強い臭気
糖尿病等
赤褐色
切れ痔・大腸癌
黒褐色(血便)
胃、十二指腸潰瘍で出血
下痢止め、造血剤などの
薬を飲んだ後
白濁色
胆石や胆のうガン
便
1 日2~3 回から
2 日に 1 回程度
1 日の
回数
3 日以上排便がない
ストレス
水分摂取不足
特に悪臭はない
臭い
刺激臭・腐敗臭
下痢等
バナナ状(有形の軟便)
便の性状
硬便
水分摂取量低下
泥状便・水様便・
下痢
不消化便
下痢
タール便
消化管出血
【便秘・下痢の原因と対応】
原
便
因
対
応
・運動不足による筋力、腸管運動の
低下
・食事、水分摂取量の低下
・食物繊維の過不足
・薬の副作用
・毎日一定時間に排便を促す
・排便を我慢させない
・十分な水分の摂取
・腹部マッサージ
・原則3日間排便がない場合は NS に
報告
下
・感染、炎症、神経過敏などの原因
・腸のぜん動運動が活性化
・腐敗した食品を食べない
・腹部を冷やさない
痢
・腐敗食品などの摂取
・食物の消化不良
・歯の治療、義歯の装着などにより
咀嚼力を高める
・下痢があった場合は NS に報告
秘
※介護者は利用者の排泄の妨げを少しでも軽減し、心身ともにリラックスした状態で排泄できる雰囲気・
環境作りに心掛けなければならない。利用者の状態によって異なるが、基本3日間排便が見られない
場合は NS に報告し、利用者にあった方法で排便を促すなど職種間の連携も必要である。
【ブリストル便形状尺度】
【失禁】
失禁とは・・・「自分の意識に関係なく漏れてしまい、それが衛生的、社会的に問題になること」
《失禁の主な 4 タイプ》
腹圧性尿失禁
腹圧性便失禁
お腹に急激に圧力がかかった時に失禁してしまう
切迫性尿失禁
切迫性便失禁
「したい」と思うがトイレまで我慢できず失禁してしまう
溢流性尿失禁
溢流性便失禁
尿・便がうまく出せず、じわじわと少量ずつ尿・便が溢れて出てしまう
機能性尿失禁
機能性尿失禁
排泄動作や判断がうまくできずに失禁してしまう
【失禁によるオムツ着用、その生活の弊害】
◎ 人の手を借りることで自尊心の低下が起こりやすい。(QOL の低下)又、排泄機能も低下。
◎ トイレに行く機会が減り、活動量が減る。オムツ装着により動きにくくなる。(ADL の低下)
◎ オムツの着用による排泄機能低下は、1回のおむつ交換にかかる介護負担も増加させる。
 (介護者の視点から)
◎ 尿意を伝えるという神経作用が働かなくなり、脳の活性化を妨げる。
◎ 皮膚が常に湿潤し、清潔が保てない。
◎ 介護者は、失禁があるからと安易にオムツに頼ってはいけない。オムツは最終手段!
【心地よい排泄(排便)を促す為の3つのポイント】
水分
排便
運動
食事
水分
便の成分は75%が水分で占められている。水分を上手に摂取することで、心地よい排泄を導くと共
に、身体の細胞を活性化させることにも繋がる。
食事
食事内容により、排便をスムーズに導くことが出来る。特に、豆、穀類、野菜、きのこ、海藻等に多く
含まれている食物繊維を摂取して頂くことが大切。又、食事をきちんと召し上がって頂き、栄養を確保
することで、生活意欲も向上する。
運動
適度な運動をすることで、腸に刺激を与え、排便を導くことが出来る。
【排便がうまくいかないことによる弊害(便秘)】
高齢者はもともと、消化管の機能の衰えにより便秘になりやすくなっている。便秘になると、イライラし
たり、不快な気分になる。
〈便秘がイライラにつながる仕組み〉
①直腸・下部結腸内に便がたまる。
②交感神経を刺激し、緊張状態を引き起こす。
③気分が興奮した状態(イライラ)になる。
排泄行為が毎日の生活に多大な影響があることを理解しなければならない。
Ⅲ.排泄介助の方法
『排泄の基本はトイレ』
排泄介助全般における必要物品
①
②
③
④
⑤
⑥
清拭タオル(タッパーに入れる)
清潔カゴ
パッド
ビニール袋
陰部洗浄ボトル
ディスポグローブ
⑦ 新聞紙
⑧ ふた付きバケツ
(使用済みパッド・清拭等用)
※必要時には換えの下着も用意する
介助に入る際、持ち歩く場合は
左記のようにセットする。
← カゴに入った必要物品セットと
ふたつきバケツ
※清潔カゴのかわりに、トートバックを使用するのも良い。
(周りからパッド交換をしているという雰囲気をなくすため)
【パッドの種類と使い方】
パッドの種類と吸収量
パッド名
吸 収 量
400cc
ウルトラ400(グリーン)
エクストラ600(ピンク)
600cc
エクストラ800(パープル)
800cc
1000cc
エクストラワイド1000(グリーン)
ウルトラ400
エクストラ600
エクストラ800
エクストラワイド1000
【ビニール袋と新聞紙の使用目的と使い方】
使用済みパッドを包む為に使用する。ビニール袋を使い、使用済みパッドを完全に密閉する事で、排
泄物による感染を防げる。また、排便時には新聞紙でパッドを包んでからビニール袋に入れ処分する。
新聞紙には消臭効果もあり、合わせて臭いも防ぐことが出来る。
排泄介助時の注意
① 排泄介助に入る際、清潔カゴより出し、使いやすいようセットしておく。
※使用前のパッドと一緒に、ベッド上(足元)においてもよい。
② 外した使用済みパッドは放置せず、即ビニール袋に入れる。その際、すぐにビニール袋の口を結ぶ
か、もしくは開封口を折り、密閉する。 ※利用者の臥床状態に応じて処理する。
③ 排便が見られた際は状況に応じ新聞に包んでからビニール袋で密閉するなど感染予防に努める。
【清拭のたたみ方】
《片付け時の注意点》
片付けの際にも、飛沫感染などによる感染予防に努める必要性がある。
感染対策として、以下の項目に注意する。
① 使用後の物品は、清潔を保つ為、洗浄後に消毒を行なう。
② 集められた使用済みパッド等は、長時間放置せず早めに処分する。
③ 失禁等で汚れた衣類等も長時間放置せず、洗濯するかふたつきバケツに
仮置きする。
【トイレ・P トイレでの排泄介助】
介護従事者として排泄介助を行うときには、トイレでの介助を念頭におかなければならない。
トイレの環境整備
・
・
・
・
・
明るい照明
段差がなく、滑らない床
適切な位置へのコール・手すりの設置
取りやすい位置へのペーパーホルダーの設置
介助者の手は温めておく。(冷たい手で触れると、利用者に不快感を与える為)
1.排泄介助の準備
① 利用者に挨拶をし、了承を得る
② トイレ・P トイレの環境を整える
③ 必要物品を用意する
④ トイレ・P トイレへ利用者を誘導する
⑤ パーテーション・カーテン・扉を閉める
ポイント!!
①挨拶 パッド交換を行うことを伝える
②羞恥心に配慮する
③安全に考慮し、事前に物品の準備をする
④環境を整える
よくある「失敗」①
※ 「トイレに行くよ」と一方的にトイレに連れていってしまう
※ トイレが暗い、汚い
※ 必要物品の準備をするのを忘れ、利用者をトイレで待たせてしまう
※ トイレのドアが開けっ放し
2.ディスポグローブを装着する → 感染予防
①利用者に立って頂く
3.衣類を下げる ⇒ トイレ・P トイレへ座る
①
②
③
④
ズボン・下着を下げる (図)
注意点
両手で上と下から手を入れて
片方ずつ徐々に下げる
ポイント!!
①残存機能を活かす
②無理に衣類を下げない
②安全を確保する
⑤ パッドを外す → 後ろから引き抜く (図)
⑥ パッドをバケツに入れ、ふたをする
⑦ トイレ・P トイレに座る (図)
よくある「失敗」②
※
※
※
※
グローブを着用せずにズボンを下げてしまい、便が手についてしまった
ズボンと下着を一緒に下げてしまう
ズボンと下着を下げすぎて、パッドが床に落ちてしまった
汚れたパッドを前からとってしまう
※ 外したパッドを床に置いてしまう・放り投げてしまう
※ トイレでの座位が安定しないまま離れてしまい、利用者が倒れてしまった
4.陰部清拭を行う
《トイレが済んだら》
・ トイレットペーパーを渡す
・ 清拭タオルで拭くことを話す
・ 清拭の温度を確認する → 前腕内側で確認 (図)
・ 立位をとって頂く
≪清拭の順番≫
ポイント!!
①下腹部 → のの字を描くように
①しっかりと汚れを落とす
②強く擦りすぎない
③皮膚状態を確認する。
④清拭タオルの使い方
⑤拭く順番
②鼠径部を拭く → シワをのばしながら上から下へ
③陰部を拭く → 奥から手前へ
④臀部を拭く → パッドが当たっていた部分を上から下へ
⑤肛門を拭く → 軽く押し当てるように
⑥清拭をバケツに入れ蓋をする
よくある「失敗」③
・ 清拭タオルの温度を確認せず、利用者に熱い思いをさせてしまった。
・ 立位をとってもらってから清拭タオルを用意した為、利用者のそばを離れてしま
った。
・ 清拭タオルの汚れた面で何度も拭いてしまった。
5.パッドを当てる
ポイント!!
※注意点
①焦らず丁寧に行うこと
面積が広い方 → お尻側
【男性の場合】
ポイント
陰茎を下に向け、パッドを谷折にして
包むように当てる ⇒図
【女性の場合】
ポイント
パッド表面と尿道口が接するように
パッドの中心を山型に折る ⇒図
①臀部側からパッドのしわ、片寄りが無いか確認する。
②太ももで利用者を支える
③パッドを当てる → 下着・ズボンを上げる
上手くあてられないと横漏れの原因
パッドを鼠径部に当てながら、ギャザーを立て、鼠蹊部に沿わせるように当てる
鼠径部に沿うように整える
利用者の安全を確認し、片付けを行う。
よくある「失敗」④
・ 太ももで利用者を支えずにいたため、転倒してしまった
・ パッドの当てる向きを逆にしてしまった。(面積の広いが前)
・ パッドがずれていたのにそのままにした。1 時間後、ズボンが濡れてしまって
いた。
・ 焦って行ってしまい、上の肌着をズボンの中に入れなかった
6.利用者と職員の手洗いを必ず行うこと
ポータブルトイレの設置法
・ 自力でベッドから移動できる場合はベッドと同じ高さの物が良い。
・ 重量が軽すぎると、座ろうとした時に転倒の危険があるので、ある程度重量のある物を選ぶ。
・ ベッド近くに置く場合は家具調の物にするか、カバーなどを掛け、入り口から見えない位置(足元)に
置く。
・ 滑り止めと床の汚れ防止の為、床にゴムマットを敷く。
テープタイプの介助方法
① 介助者は利用者の後ろ側に立ち、股の間からテープの付いた方が後ろになるように差し入れる。
② パッドを山型にし、尿道口に密着させるようにあてる。この時、介助者は自分の腰でパッドを押さえ、
前の部分を引き上げるようにする。
③ パッドが鼠経部にぴったり沿っているかを確かめ、股に近い方から(下)テープから止める。テープは
やや上向きに止める。
④ 上部にあるテープは、やや下向きに止めると、体にフィットして当てた際の不快感がなくなる。テープ
は何回でも付け直すことができる
注意点
排泄後、臭気が気になる場合は、トイレ内・居室内の換気・消臭に気を配る。
温かい態度で接し、手際よく介助する。
次の利用者の介助に携わる際は、必ず手洗いをする。
ふらつきがあり、転倒の恐れがある利用者には必ず付き添いにて対応する。
【ベッド上での排泄介助】
ベッド上でパッド交換を行う対象者 → トイレでの排泄が困難な方
・トイレに座ることができない(骨折、障がい等) / トイレに行くことができない(体調不良等)
・オムツに排泄をしたいと思っている方はいない → 気持ちに配慮した対応が大切!!
1.排泄介助の準備
① 利用者に挨拶をし、了承を得る
② 換気扇を付ける
③ 必要物品を用意する
④
⑤
⑥
⑦
⑧
ポイント!!
①パッド交換を行うことを伝える
②羞恥心に配慮する
③環境を整える
④清潔と不潔の区別に注意
(カゴ ⇒ 清潔 / バケツ ⇒ 不潔)
カーテン・パーテーションを閉める
ベッドの高さを調整する
ベッド柵を調整する
掛け布団を足元にたたむ
清潔カゴは、ベッド上(足元)に置く。又、使用前のパッド及びビニール袋も同様に置いてもよい。
⑨ ふたつきバケツは、床(介助者の足元)に置く。
2.ディスポグローブを装着する → 感染予防
※トイレでの排泄介助同様
3.衣類を下げる ⇒ 陰部・臀部の清拭
① 利用者の膝を立てる → 膝を立てないと体位変換が行いづらい
② 仰臥位の状態でズボン、下着を別々に下げられるところまで下げる
③ 仰臥位の状態でズボン、下着を膝下まで下げる。 → 膝下まで下げれば、足が大きく広がる
④ 清拭の温度を確認する → 前腕内側で確認
ポイント!!
①しっかりと汚れを落とす
②強く擦りすぎない
③皮膚状態を確認する。
⑤ 下腹部を拭く → 「の」の字を書くように拭く
⑥ 鼠径部を拭く → 前から後ろへ拭く
⑦ 陰部を拭く → 前から後ろへ
⑧ 健側臀部を拭く → 腰を持ち上げられる方は上げて頂く
⑨ 臀部を拭く → 皮膚の状態観察や
確認も行う
⑩ 肛門を拭く → 軽く叩くように
4.パッド交換をする
① 汚染したパッドを外し、着用していたディスポグローブと共にバケツの中に廃棄する
② 側臥位の状態で新しいパッドを差し込む
③ 仰臥位を向いて頂き、反対側のパッドを広げる。
その際、ギャザーをしっかり立てる
④ 前側のパッドを当てる
女性の場合:パッドを山型にし、尿道口に密着させる
男性の場合:陰茎を下に向け、パッドを谷折にしてあてる
ポイント!!
①無理に衣類をあげない
②残存機能を活かす
③衣類をしっかり整える
⑤ 仰臥位の状態で、ズボン、下着を別々に上げられる所まで上げる
ポイント!!
・ 無理に衣類を上げないこと
・ 衣類をしっかり整えること
・ 仰臥位の状態で患側からでズボン、下着を上げる
・ 衣類を整える
・ シワにならないよう注意
・ 前側の衣類もしっかり整える
5.パッド交換後の後片付け
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
柵を元の位置に戻す
掛け布団を掛ける
ベッドの高さを元に戻す → パッド交換前の環境に戻す
パッド交換の終了を告げ、後片付けをする
パッドの汚れが目立つ場合は、新聞紙にパッドを包んでからビニール袋に入れる
カーテン、パーテーションを開ける
換気扇を消す → 臭いが残っている場合はそのままにし、なくなった後に消す
挨拶をして退室
ポイント!!
手洗いをする。 → 感染予防
①挨拶をしてパッド交換が終了したことを伝える
②パッド交換前の環境にきちんと戻す
テープタイプの介助方法
※ベッド上での排泄介助と流れは同じ
① 利用者を側臥位にし、テープの付いた方が背中側にくるようにパッドを差し込む。
② 仰臥位に戻し、反対側のギャザーもしっかり当てる。その後、前側のパッドを当てる
ポイント!!
①テープは何回でも付け直せる
②体の合ったサイズを選択する
③ 股に近い方のテープから止める。テープはやや上向きにする。
④ 上部のテープは、やや下向きに止めると体にフィットして当てた際の不快感がなくなる。
【尿器の介助 】
<男性用尿器の介助方法>
① ズボン・下着を下げ、バスタオルなどを掛け不必要な露出を避ける。
② 腹圧を掛けやすくするため、側臥位にする。
ポイント
側臥位になれない方は、ベッドを 15~30°程度ギャッチアップし両膝を立てる
③ 尿器の受尿口に陰茎を入れ、尿器の取っ手を利用者に持って頂く。
④ 排泄が終わったら尿器を外し、ふたをし、陰部をトイレットペーパーまたは清拭で拭く。
⑤ 下着・衣類・掛け布団を整え、利用者の手をウェットティッシュなどで拭く。
⑥ 換気をし、排泄物の観察をしてから尿器・その他の物品を片付ける。
⑦
<女性用尿器の介助>
① ズボン・下着を下げ、両膝を立てて足を少し開く。(バスタオルなどを掛け不必要な露出は避ける
② ベッドを 15~30°ギャッチアップし、腹圧を掛けやすくする。
③ 介助者が片手で尿器を持ち、受尿口の縁を会陰部の下に当てる。尿器をベッドの上に置き、安定
させ支える。
④ トイレットペーパーを陰部に当てて、尿を尿器に誘導し、飛び散るのを防ぐ。
⑤ 膝を「ハ」の字に閉じる。(尿器の固定と腹圧を掛けやすくする為)
⑥ 排泄後、尿器を外す時にこぼれる恐れがあるので、受尿口を下に向けないように注意し、陰部に沿
ってすくい上げるようにする。
⑦ 陰部を清拭し、下着・衣類・掛け布団を整え、利用者の手をウェットティッシュなどで拭く。
⑧ 換気をし、排泄物の観察をしてから尿器・その他の物品を片付ける。
【差し込み便器での介助】
腰の上げられる方の介助方法
①
②
③
④
⑤
⑥
品を用意し、便器の中にトイレットペーパーを敷く
(後始末を容易にする為と、汚物を容器外に飛ばさない為)
出を最小限にする為、掛け物は足元から腰までまくりあげる
膝を立てて、足先を開き、腰を上げる
着の裾を汚さない為、腰までまくりボン・下着を下げる。
腰を上げ、4 等分に折ったバスタオルの上に便器を置き差し込む。
ポイント
① バスタオルを入れることにより、シーツの汚れ防止となる。
② 直接臀部と便器がシーツにつかないようにする
⑦ 女性の場合は、尿を便器に誘導し飛び散りを防ぐ為、トイレットペーパーで陰部を覆う。
⑧
⑨
⑩
⑪
露出部分にバスタオルをかけ、腹圧が掛かりやすいようにベッドを 15°程度ギャッチアップし、
足をハの字に開く
ナースコールを手元に置き、退室する
ギャッチを下げ、バスタオルをとり、陰部を清拭で拭く。(排便時は陰部洗浄を行う)
⑫
⑬
⑭
⑮
便器を外してから側臥位にし、臀部・肛門を清拭で拭く。
下着・ズボンを上げ、衣類を整え、下に敷いていたバスタオルをとる。
換気をし、排泄物の観察をしてから便器・その他の物品を片付ける。
露出部分にバスタオルをかけ、
ポイント
自分で持てる方にはペーパーを持って頂く
⑯
⑰
⑱
⑲
⑳
21
22
露出にバスタオルをかけ、腹圧が掛かりやすいようにベッドを 15°程度ギャッチアップし、足を
ハの字に開く
コールを手元に置き、退室する。
ギャッチを下げ、バスタオルをとり、陰部を清拭で拭く。(排便時は陰部洗浄を行う)
便器を外してから側臥位にし、臀部・肛門を清拭で拭く。
下着・ズボンを上げ、衣類を整え、下に敷いていたバスタオルをとる。
換気をし、排泄物の観察をしてから便器・その他の物品を片付ける。
腰の上がらない方の場合
① 掛け物は足元からではなく、胸から下へ足元までとる。
(側臥位になり掛け物が体に絡まるのを防ぐ)
② 露出を避けるる為、胸元にはバスタオルを掛ける。
③ 仰臥位のままズボン・下着を下げられるところまで下げる。
④ 側臥位になりズボン・下着をすべて下げる。
(足が安定しやすいよう片方のズボン・下着は完全に脱がせる)
⑤ 上着の裾を腰の上までたくし上げる。
⑥ 対面側臥位にし、ベッド上に 4 等分に折ったバスタオルを敷き、便器を置く。
これ以下の介助方は
<腰の上がる方>と同じです。
注意点
*女性用尿器は不安定になりやすいので、ベッド上にしっかりと固定する。
*利用者が自分で使用する場合には、手の届くところにカバーをしたり、箱などに入れ見えない
ようにする。
*排泄の準備が整ったら、出来るだけ席をはずし、気兼ねなく排泄できるよう配慮する。
*排泄後は必ず、利用者の手を洗うかウェットティッシュで拭き清潔に心掛ける。
*
Ⅳ.陰部洗浄の方法
必要物品
・清潔用カゴ ・清拭タオル(タッパーに入れる) ・パッド ・新聞紙
・下着 ・ゴム手袋 ・ガーゼ ・バスタオル ・微温湯
・ふた付きバケツ ・シャワーボトル(下写真 例)
介助方法
① 微温湯の温度を確認する。
ポイント
* 湯温は38~40℃。前腕内側で確認
② タオルケットなどを掛け不必要な露出を避ける。
③ 利き手にゴム手袋を着用する。(感染予防と陰部を傷付けず洗浄する為)
④ 便は洗浄前にトイレットペーパーまたは使用しているパッドで拭き取る。
※尿・便が多い場合はフラットパッド(半分に切ったもの)を敷く。
⑤ 微温湯は上半身にかからないよう、腹部側から(上から下に)向かってかける
※利用者の身体状況により、下腹部に乾いたタオルを置く。
⑥ 微温湯は、前から後ろに向かってかけ洗浄する。
(臀部が汚染されている場合は側臥位にし、臀部・肛門も洗浄する)
* 具体的な方法は次ページ参照
<男性の場合>
① 陰茎、陰のう、肛門部を丁寧に清拭する。
陰茎は手で軽く押さえて裏側も洗う。
亀頭部は、包皮をずらして露出し汚れを落とす。
② 陰のうは、手でしわを伸ばしながら洗う。
③ 最後に十分に洗い流し、汚れを拭き取る。
<女性の場合>
① 陰唇を片手で開き、十分に洗う。陰唇や肛門部はしわを伸ばしながら洗う。
② 最後に十分に洗い流し、汚れを拭き取る。
Ⅴ.介護力強化事例発表会(オムツアンダー30プロジェクト)
介護力強化事例発表会(オムツアンダー30プロジェクト)とは?
1. 北水会グループでは利用者の ADL・QOL 向上の為施設内オムツ使用者を 30%以下にする取り組みを行っ
ている。
2. なぜオムツを外すのか?
オムツをする事は皮膚への不快感、煩わしさを感じさせ、排尿、排便後においては不快感を招く。また意欲低
下や皮膚疾患(褥瘡等)を招く。その為オムツを外す事は ADL、QOL、意欲向上、食欲増進、認知症の改善(不
穏の減少)につなげることができる。またオムツ外しについて他職種(Dr・PT・NS・ヘルパー・栄養士等)と検討する
ことにより連携が深まっていく。オムツ外しを取り組んでいくことで利用者と関わりを多く持つことができスタッフとの
信頼関係を築くことができる。その事がスタッフの自信につながっていく。
◎ 介護力強化事例発表会の様子