大学運動部員のストレス対処法に関する研究

大学運動部員のストレス対処法に関する研究
-個人競技と団体競技の比較から-
鹿島
大路(生涯スポーツ学科 地域スポーツコース)
指導教員 河西 正博
キーワード:ストレス対処法,大学運動部員,競技特性
1.緒言
った.また,個人競技と団体競技を比較してみる
筆者は 15 年間陸上競技を続ける中で様々なス
と,ほとんど差は見られなかった.個人競技と団
トレスを感じ,競技成績の停滞を経験したことも
体競技では,共に自助努力と情動統制のストレス
あった.そこには,環境が大きく関係しているの
対処の意識が高いという結果が得られており,先
ではないかと考えられる.運動部活動をめぐるバ
行研究とは異なる結果となった.
ーンアウトやドロップアウトなどの諸問題は,部
員のストレスフルな状態が顕在化したものと考
4.まとめ
えてよいであろう.部員が経験するストレッサー
本研究では,個人競技と団体競技間のストレス
の多くは,毎日の運動部活動に内在していること
対象法の差は見られず,いずれのストレス場面に
がほとんどである(渋倉,2001)
.ロバートグロ
おいても自助努力と情動統制のストレス対処法
ーブらはこれらのスランプ対処法として 5 因子解
の意識が高いことが明らかになった.
を得ている.本研究ではこれらの先行研究をもと
先行研究においては,個人競技と団体競技間で
に,大学運動部員を対象とした質問紙調査を実施
はストレス対処法の傾向が異なるという知見が
し,様々なストレス場面における対処法の違いに
得られており,本研究の結果はそれらとは異なる
ついて検討していくものとする.
ものとなった.
2.研究方法
引用・参考文献
2014 年 12 月,B 大学陸上競技部 70 名,硬式野
渋倉崇行・小泉恭(2002)高校運動部員の部活動
球部 74 名に質問紙を配布し,144 名から回答を得
ストレッサーに対するコーピング採用とストレ
た.主な調査項目は, 回答者の属性,競技年数,活
ス反応との関連.スポーツ心理学研究,29:(2)
動頻度,身体状況,部活動の捉え方,様々な場面に
船越正康(2001)スランプの予防と対策.体育の科
おけるストレス対処法に関する考え方等とした.
学,杏林書院,51:(5)pp.353-357
山田泰行・中島宣行・広沢正孝・田中純夫・水野
3.結果と考察
基樹・杉浦幸(2006)運動選手の用いるストレスコ
指導者との関係,競技力について,怪我・病気
ーピングの共通性に関する研究−性差と競技特性
について,仲間との関係によって生じるストレス
に着目して−.順天堂大学スポーツ健康科学研
対処法は支援要請と否認回避の意識が低く,自助
究,10:pp.21-28
努力と情動統制の意識が高いことが明らかにな