3AM-D01 平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 CSI 方式白色干渉法による超精密性状測定機(CCI)の紹介 アメテック 株式会社 テーラーホブソン事務部 積田 慎吾 1. はじめに 近年、様々な手法を用いた非接触表面性状測定機があり規格化も進んでおり、今後の表面性状測定の分野への貢献も 期待されている。本報告では、白色干渉方式の一つの手法である Coherence Correlation Interferometry(CCI)の特長、 基本測定原理、アプリケーション例の紹介を行なう。 2. 装置の構成と測定原理 本装置は、可視光光源、ビームスプリッター、対物レ ンズ、CCD カメラ(検出器)で構成される(図 1)。光源から 放射された光がビームスプリッター、対物レンズを介し て、サンプル面に照射される。サンプル面の反射光とビ ームスプリッターによって参照面で反射した光によって 生じる干渉強度を検出器で電気信号として測定軸(垂直 方向)に沿って連続的に検出する (図 2)。 得られる信号は使用光源が一定の波長幅を持つため、 測定軸に沿って図 2 の下図の様な形状になる。この信号 のピーク位置がサンプル表面の相対的な高さに相当する ため、このピーク位置を独自のアルゴリズム(CCI 法)を 用いて検出し、3 次元表面を形成させる。 3. 装置の特徴 本測定機(CCI)は、レンズの倍率に関係なく、CCI 法 を用いて、0.01nm の分解能で Z 方向の凹凸が検出可能 である。 CCI 法では、互いに直角な 2 つの人工信号を用意し、 これらと実際の信号の相関をそれぞれ計算する(図 4)。次 に人工信号の相関値より測定信号の包絡線を得る。この 包絡線のピーク位置を基準にして測定信号の位相接続を 行い、位相がゼロとなる位置を高さ情報とする。 4. 微細凹凸の検出 CCI 用の平面校正マスターを移動ステージ上に載せ て測定し予め特徴となるような微細形状に注目しておき、 ステージを微量駆動させ、その駆動量に合わせて、微細 形状も移動するかの実験をおこなった。(図 5) 特徴点となる形状は、0.7nm の程の突起形状であり、 テーブルの移動に追従し、微細形状も移動した結果が得 られた。(図 6) 5. CCI を使用したアプリケーション 試料台下部の XY ステージを駆動させながら測定し、 測定面の繋ぎ合わせをしてより広いエリアを高密度測定 も可能である。 3 次元での表面性状測定は加工の方向性、パターンな どの情報も多く表面粗さの測定のみならず、図 7 にみら れるような磨耗、方向性の測定等の用途にも応用可能で あり、 今後の 3 次元表面性状測定の向上も期待が持てる。 -11 -10 -11 図 1 装置の構成 -10 -9 -8 -9 -8 -7 -7 -6 -6 -5 -4 -5 -4 -3 -3 -2 -2 -1 -1 0 0 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 8 9 7 8 9 10 11 11 図 2 多波長の光の合成 図 3 検出のイメージと測定例 図 4 検出のアルゴリズム 特徴点 10 テーブル移動 図 5 平面マスター(左)と 実験概要(右) 図 6 実験結果 図 7 アプリケーション例 (磨耗面測定) 3AM-D02 平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 最新の非接触測定技術のご紹介 東京貿易テクノシステム株式会社 スキャニングテクノロジー部 近藤 基成 製造業において、3D CAD データを利用した開発期間の短縮、品質の向上を目指した活動が、近年急ピッチで進ん でいます。その流れの中で、3 次元測定も従来の固定型、有接触式の測定からレーザーや CCD カメラを利用した、 稼働型、非接触式の測定へとシフトしてきており、用途によっては、産業用多軸ロボットにインテグレートされた全 自動式の測定システムの導入が進んでおります。 従来のノギスや接触式測定では、図面指示されている全ての箇所を検査しないと製品の出来栄えの可否判断ができ ませんでした。非接触測定機を利用することで、製品全体の出来栄えを「見える化」することができます。NG 箇所 に対し、早い段階での修正対応をすることで手戻り削減につながります。 本セッションでは、ワークサイズ、形状、用途によって異なる最適な非接触測定技術をご紹介するとともに、測定 結果の有効活用方法をご紹介いたします。 1、CCD カメラ式 非接触測定機「COMET」 CCD カメラ型 非接触測定機 COMET はフリンジパター ンを測定対象物の表面に投影し、三角計算によって、 高密度・高精度にスキャニングします。 CCD カメラ式「COMET」 2、ラインレーザー式 非接触測定機 ① 多関節型 非接触測定機 「べクトロン」 ベクトロンは、 人間の腕と同じような関節をもつ測定 機です。 先端のラインレーザーセンサーを利用するこ とで、高速・自由度の高い測定が可能です。 ラインレーザー式 「べクトロン」 ② トラッカー型非接触測定機「Leica Laser Tracker」 Leica Laser Tracker システムは、Laser Tracker 本 体から半径 20m の領域をラインレーザーセンサーに より 1 回の段取りで計測できる広範囲・高精度測定 機です。 ラインレーザー式 「Leica Laser tracker」 3AM-D03 平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 発表テーマ:X 線三次元測定の現状 カールツァイス株式会社 IMT ディビジョン 竹田 和博、山本 雅紀 従来、産業用 X 線 CT 装置は、対象物(以下「ワーク」)内部を非破壊で検査する非破壊検査装置として利用されてき ました。ドイツ・カールツァイス社製 Dimensional X 線 CT 装置 METROTOM(メトロトム)は、従来の X 線 CT 装 置に三次元測定機(CMM)に新しい寸法計測技術を複合・加味することによって、非接触・非破壊の三次元寸法測定機 として利用が可能となった装置です。従来の X 線 CT 装置が医療用 X 線 CT 装置やその他の X 線装置のメーカーに よって開発されて来たのに対して、Dimensional X 線 CT は、主に測定機器メーカーが非接触測定機として開発して きた過程の違いがあります。 すなわち、Dimensional X 線 CT 装置は、ワーク内部を非破壊・非接触で精度良く寸 法計測ができる新しいカテゴリの計測装置といえます。 ただし、照射する X 線がワークを透過しないと計測ができ ないため、X 線発生装置の能力に応じて対象となるワークの素材や大きさに制限があります。 カールツァイス社が提供する METROTOM には、2 つのラインナップが用意されており、METROTOM 800(機械 精度:約 4.0μm)は、主に、樹脂・ゴム・シリコン製品を対象とし、METROTOM 1500(機械精度:約 4.5μm)は、 加えてセラミックス製品やアルミニウム・マグネシウムなどの軽金属製品に対して、精密な寸法計測や形状測定を行 うことが可能です。 Dimensional X 線 CT の役割 型の寿命予測など様々な利用価値が考えられます。 モノづくりにおいては、ノギス・マイクロメータ、投影 (3)リバースエンジニアリング 機・二次元測定機、光学式やレーザ式の非接触スキャナ ワーク全体をスキャンした多点データは、リバースエン から、高精度な三次元測定機まで様々な寸法計測機器が ジニアリングに利用することが可能です。ワーク全体の 目的や用途に応じて使用されています。それらに対して、 表面データを利用することで、意匠製品(芸術品・ゲーム 新しい寸法測定機としてのDimensional X 線 CT 装置の キャラクタ)の CAD 化、CAD データを持たない(図面し 役割は、 「非接触(非変形)測定」「非破壊測定」「表面(色・ か持たない)ワークの CA デジタル化、必要に応じて、実 光沢・透明度)非依存」「立体多点評価」などが考えられま 製品形状による強度解析や流動解析などへの利用も考え す。 られます。 METROTOM の適用例 Dimensional X 線 CT 装置 METROTOM の機能に即し て、具体的な適用例を紹介します。 (1) 寸法測定 METROTOM のスキャン結果は、三次元測定機用評価 プログラム CALYPSO(カリプソ)を使用して、様々な要 素測定や評価課題を処理することが可能です。 METROTOM 800 METROTOM 1500 (2) 形状評価 METROTOM では、内部を含めたワーク全体を多点ス キャンし、CAD モデルと比較評価することで、ワーク 形状全体を評価・確認することができます。この形状比 較機能は、CAD モデルとの比較だけに留まらず、ワー ク同士の比較も可能とすることから、マスターワークと の比較評価、ワークの経時変化やそこから推測できる金 寸法計測・幾何公差評価 形状比較 3AM-D04 平成27年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 非接触式三次元座標測定機による支援事例 神奈川県産業技術センター 機械・材料技術部 1. はじめに 通常、製品の寸法確認に使用される接触式三次元座標 測定機は、測定試料が柔軟であったり、薄物であったり すると測定できない。それらの測定を可能にするため、 神奈川県産業技術センターでは光学式非接触式三次元座 標測定機を平成 26 年に導入した。 本発表において装置の 仕様と測定事例を紹介する。 ○阿部 顕一、大澤 寿 の中心座標を測定することで座標系を設定した。 5. おわりに 現在、当センターには、非接触式三次元座標測定機に 加え、大型・高精度の接触式三次元座標測定機を保有し ている。 今後も、 測定対象に最善の機器や方法を選択し、 測定による支援を実施していく。 2. 非接触式三次元座標測定機の仕様 当センターで導入した、 非接触式三次元座標測定機は、 従来の接触式プローブを含め、3 種のセンサーを有する マルチセンサー式三次元座標測定機である(図 1) 。 三次元測定が可能な接触式プローブに加え、 水平 (x-y) 方向の非接触測定が可能な画像センサーと、高さ(z)方 向の非接触測定が可能なホワイトライトセンサーを有す る(図 2) 。 3. 非接触式三次元座標測定機の特徴 個々のセンサーを、試料の形状や材質に合わせて切り 替えて測定することが可能だが、複数のセンサーによる 測定が同一基準で評価できることに特徴がある。 物体を三次元的に測定するには、原点となる個所の三 次元座標を認識する必要がある。 画像センサーは二次元、 ホワイトライトセンサーは一次元の情報しか得られない ため、三次元測定ができない。 しかし導入した測定機では、各センサーの位置関係が 明確であるため、 複数のセンサーを組み合わせることで、 単独のセンサーでは測定不能な三次元座標測定が可能に なっている(図 3) 。 不利な点として、それぞれのセンサー毎に校正が必要 なことに加え、センサー間の相対位置の校正が必要とな る。センサー間の相対位置は変動するため、測定誤差の 要因となってしまう。 4. 測定事例 4.1 樹脂部品の内部測定 樹脂製部品の外形はタッチプローブで測定できるが、 内部の形状測定は微細なため測定できない。画像センサ ーで外形基準からの測定が可能となった。 4.2 プリント基板の反り測定 基板の高さの測定はホワイトライトセンサーで測定可 能だが、測定対象の配線を正確に走査できない。画像セ ンサーで配線の位置や角度を測定することで座標系を設 定した。 4.3 微小プレス品の形状測定 微小なプレス品のため、バイス等の治具で固定できな い。そのため、平板に接着して測定した。ホワイトライ トセンサーで形状を測定するため、画像センサーで部品 図 1 非接触式三次元座標測定機 図 2 センサー 図 3 センサーの用途
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