開催結果の概要

なかのライフサポートビジネス創造塾 第2回テーマ別セミナー
実施日
平成 27 年 9 月16日(水)19 時 00 分~21 時 00 分
実施場所
中野区産業振興センター 3階 会議室
テーマ
「シニアマーケット研究/売上や収支の試算方法」
講師名
神山 晃男 氏(株式会社こころみ 代表取締役社長)
講師プロフィール
株式会社こころみ 代表取締役社長。高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」を提供。
コミュニケーションと高齢者マーケティングの専門家。
内
容
シニアマーケットの特性・特徴やコミュニケーション方法、また、ターゲットマーケティング手法、事業計画
の方法について学ぶ。
参加者数
26名
<第2回テーマ別セミナーの流れ>
18:30
受付開始
19:00
開会・事務連絡
19:05
なかのライフサポートビジネス創造塾
第2回 テーマ別セミナー「シニアマーケット研究/売上や収支の試算方法」
講師:神山 晃男 氏(株式会社こころみ 代表取締役社長)
チューター:月原 弘 氏(月原経営研究所 代表)
講義
19:45
休憩(10分)
19:55
ワーク
21:00
セミナー終了
名刺交換・あいさつ
21:30
退出
第2回テーマ別セミナー 「シニアマーケット研究/売上や収支の試算方法」
【講師】
神山 晃男 氏(株式会社こころみ 代表取締役社長)
【添付資料】資料 ① 第2回セミナー配布資料(アーカイブ用抜粋版)
資料 ② 創業計画書(様式)
【セミナーの流れ】
近年よく取り上げられるシニアマーケットについて、実例を踏まえた講義により理解を深めるとともに、創業計画書のうち、
どのように売上計画を試算するのかをワークを交えて講義
1.こころみとは?
2.シニアマーケット研究
3.シニアマーケットの難しさ
4.まとめ
5.ワーク 「カフェの売上計画作成。コンセプト共にブラッシュアップ」
□1.株式会社こころみとは?
○すべての孤独と孤立をなくす(資料① 1ページ)
・我々の開発した商品のターゲットに、たまたま高齢者も入っているが、拘ってはいない
あくまで孤独と孤立をなくすのが目的である
○コミュニケーションの技術を高め、人をつなげる
商品紹介(資料① 2ページ)
1つながりプラス(会話型見守りサービス)
2親の雑誌(親のための自分史)
商品の形は違うが、根本は一緒
コミュニケーションによって親子の絆を深める媒体として利用してもらっている
1つながりプラス(会話型見守りサービス)
初回に訪問したうえで、専任の担当者が週に2回電話する
毎回、会話内容のすべてをレポートにして家族にメールで報告する
高齢者は、家族に心配事を伝えないケースが多く、それを拾い上げて家族に報告
主な対象は 70 代後半~80 代、一人暮らし、介護にはなっていない高齢者
プロの第三者が傾聴しながら家族に話せないことも話せる関係をつくる
そのためのプロのコミュニケーターのトレーニングも欠かさない
他の見守りサービスは、機械中心であったり、安否確認だけのもので、会話型を取り入れているのは弊社しかない
2親の雑誌(親のための自分史)
2015 年 5 月にスタート
実はつながりプラスとやっていることは全く同じであり、聞き取り内容を文章にすることのみが違う
自分史は相場で非常に高価と言われているが、弊社は安価で提供している
プロのコミュニケーターが2~3時間の訪問と、週1回 10 分程度電話でインタビューを行い冊子にする
新しい形の親子の絆、プレゼントとして好評を得ている
□2.シニアマーケットの研究
○日本の高齢化/ビジネスチャンスとしてのシニア(資料① 3ページ~6ページ)
日本は高齢化が非常に進んでおり、現在の高齢化率は25%⇒将来は40%に拡大すると言われている
高齢化率が40%を超えるエリア(昔建てられた団地等)では、実際にスーパーで販売しているおむつは、
大人用のみ、子供用はなしという実態もある
高齢者が増えているというより、若者が減少し、人口が減少、寿命も延び高齢者の割合が増えるというのが実情
高齢者の人口比率は25%であるが、60 歳以上の消費に占める割合40%を超えている
既存の事業者も高齢者に目を向けつつあり、これからマーケットにどんどん参入をしてくると思われる
チャンスがあるというより、大変と感じるべきかもしれないが、ここを無視しては通用しないというのが前提
・老後の誕生(資料① 7 ページ)
定年後の余生を過ごすのは実は戦後からであり、昔にはなかったものである
例1)男性
1947年 平均寿命50歳 定年55歳 老後の余生を過ごす人は少なかった
1980年 平均寿命73歳 定年60歳 ようやく増えてきた(定年後10年超)
2012年 平均寿命80歳 定年65歳 沢山増えてきた(定年後15年)
老後とは最近我々が手に入れたものである
時間的に余裕があり、消費や活動の占める割合が大きくなるのは事実
マーケットとして大きなチャンスを秘めているが、実はこういう見方をしている方は少ない
例2)世代で見る年齢のイメージ/さていくつでしょう?
ちびまる子ちゃん
さくら友蔵さん
76歳
サザエさん
磯野波平さん
54歳
サザエさんは戦後まもなく、ちびまる子ちゃんは80年代で、同じようなおじいさんキャラクターでも20歳の違いがある
⇒平均寿命が長くなった事は、老後の時間が長くなったというよりも、若くいられる時間が長くなったといえるのではないか
高齢化率が上がる事よりも、将来の65歳は今の65歳よりも、もっと若くて元気という前提で物事を考えたほうがよい
○まとめ(学び)(資料① 8ページ)
【マクロ】
・平均寿命が大きく伸びた。結果、今までなかった「老後」が誕生し、余生を過ごす期間が伸びている
・時間と、豊富な貯蓄を持つ層の登場
・一方で健康に不安があったり、死に向きあったり、家族と離別するなど高齢者特有の特徴もある
⇒新しいニーズの発生。では、どういうサービスが求められるのか?どういう訴え方をすると受け入れられるのか?
□3.シニアマーケットの難しさ (資料① 9ページ)
新規参入する企業は、大概失敗を経験している。何故シニアマーケットは難しいのか?
<考えられる理由>
①シニアをひとくくりにする
一般的にシニアとは65歳以上であるが、実は65歳,75歳,85歳では大きな違いがある
若年層でも、15歳,25歳,35歳では実際に違う
シニアのうち、どの年齢層のどんな人をターゲットにするのかと考える癖をつけることが重要
失敗例の多くは、この区別をせずにシニアをひとくくりにしている
②マーケターにシニアがいない
定年して会社からいなくなるため、マーケティング関係者にシニアの専門家がいない
働いている人のほとんどは、学生時代を経験しているので学生の気持ちを推し量ることもできる
シニアを経験したことがないため、実際は身内を例に分かった気になってしまうことが多い(分かっている人も割り引いて考え
た方がよい)
③細分化するための肩書き・プロファイルが見えない
通常、商品のターゲットは細かく決められているが、シニア層は定年退職後、情報が少なく絞りにくい
働いている場合は、会社名・業種・役職などで年収も推測できる
シニア層の場合は、ほとんどが年金収入であり、持ち家、貯蓄など様々で、その見極めが非常に難しい。
シニア層は全て同じにみえてしまうが、実は違っていて、こうすれば当たるという解がない
⇒ いかに個別にみていくかが重要である
例 一人暮らしなのか?年齢は?ご家族は?
○シニアとは何か?
・若者でも高齢者でも同じ人間であり、高齢者だからというものはない
ともすれば、高齢者だから・・と発想しがちであるが、そうではないところがポイント
高齢者となり、年を重ねても、個々の人間が持つ内面は変わらず、ただ外見、風貌などが変わるだけ
高齢者をひとくくりにお年寄り扱いすると反発されてしまう
呼び方も、おじいさんやおばあさんなどと呼ばないこと(上から目線と思われてしまう)
⇒実例
・『つながりプラス(会話型見守りサービス)』
使い始めれば喜ばれるが、見守られるという感覚が受け入れを躊躇させている
・『親の雑誌』
サービスの中身はあまり変わらず、形を変えただけだが、大好評で、自ら申し込んでくることもある
年齢は関係なく、どの世代も対等に、高齢者扱いをしていない(ポジティブ)
但し、ターゲティングは65歳以上と絞っている
基本的に客は子どもで、プレゼントなどとして利用いただいている
□4.まとめ (資料① 10ページ)
・高齢者マーケットが日本において大きな比率を占めるのは確実
・ただし、中身は千差万別。外から見て区別を付けることができないし意味がない
・「年を取る」という尺度で人間を分類することに、マーケティングとしての意味はあまりない
意味があるのは医療や介護などの限られた業界だけ
・「自分が顧客だったらどうか」というシンプルな目線でマーケットに向き合うことが最大の近道
⇒自分が今のままの状態で、目が少し見えづらくなったり、足の動きが遅くなったり、と考えてみるのが一番シンプル
□5.ワーク 「カフェの売上計画作成。コンセプトと共にブラッシュアップ」
○ワークテーマに関する説明(チューター 月原氏)
・第1回の振り返り(アイデアの発想方法、事業計画書による具体化について)
・今回のテーマは、特に売上をどう立てていくのかが重要
創業者の多くが苦労しているのは、予定どおりに売上が上がらないこと
経費は予定どおり以上にかかっていく
誰に何を提供するのか、コンセプトが明確でないと、しっかりとした売上計画は立てられない
○売上計画の作り方(講師 神山氏)
・コンセプトが重要(資料① 12ページ)
どこで/誰に/どんな価値を/どうやって生みだすのか
⇒更に、なぜそれが「私」に提供できるのかを考えられるとなおよい
・売上計画の考え方は、漠然と月額いくらではなく、掛け算で考える(資料① 15ページ~16ページ)
⇒期間x単価x人数
実際の起業後、売上は予定どおりにはまずいかない
その原因を検証するときに、この売上計画をきちんと立てておけば、具体的に対策しやすくなる
例)来客数は予定どおりだったが、単価が下回った。
⇒単価をアップするためにはどうしたらよいか?
・売上原価及び経費について(資料① 18ページ)
売上計画の作成後に経費を考えることになる
当然、収支計画としては、営業利益を黒字にしなければならない
<ワーク内容>
・課題①コンセプトを各個人でつくる(3分)(資料① 13ページ)
・課題②5~6名1グループで、ひとつコンセプトを選び、その売上計画を考える(25分)(資料① 20ページ)
・各グループ発表・講師からの講評(20 分)
⇒曜日や時間帯に分けてそれぞれの売上を考えてから、月や年の売上を計算することも考えられる
⇒コンセプトと売上の考え方をいったりきたりしながら、それぞれをより具体化していくことも大事
⇒次の段階として、経費を考えていくときに、売上に対してどの程度の設備投資なら回収できるかなどを考えていく
講師からのメッセージ
「創業というのは、基本的にすぐにはうまくいかないものです。
PDCA をぐるぐる回す、 原因分析ができる計画作成を心がけること。
誰でも失敗はします。しかし、それを生かしていければうまくいきます。
また、うまくいかなくて当たり前、しなかったらラッキーと思えるくらいに
心を太くすることが大事だと思います。ぜひ頑張ってください。」
<セミナー風景>