8月号 - 北関東循環器病院

2015 .8
夏 号
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
かくしゃくとして長生きするために
て長生
生きするために
副院長 高山 嘉朗
今後、日本に生じてくる大きな社会問題は高齢化社会を迎えて若年層の税負担が徐々
に増すことです。高度の福祉国家はありがたいのですが、社会の活力の低下が心配です。
これを防止するには、年齢を重ねても元気に働ける人を増やすことです。このことが、
国家でも個人のレベルでも発展、繁栄の道につながります。
では、年をとっても、かくしゃくとして人生を生き切り、できれば死ぬ間際まで仕事
ができ、まわりに迷惑をかけることなく大往生するという、老後の理想を実現するには
どうしたらよいでしょうか?まず、長寿の人が話されていることで共通していることは
体の鍛錬を欠かさない ということです。それぞれの人が自分にふさわしい運動をされ
ますが、歩くことが基本の様です。足は頭と連動しているともいわれ、足をよく使用す
ることによって脳の活性化が起き、精神機能の低下が抑制されます。医学的には体力は
その人のピークのときから毎年 2 パーセントくらい低下するとも言われています。しか
し、毎日運動を心がけていると体力の低下は 0.5 パーセントに抑えられるそうです。
年を取ってからの体力の増強は難しいのですが、体力の低下を抑えることはできるわ
けです。
もう一つ大事なことは、 頭を使って脳を刺激する ことです。ある報告によりますと、
人は 60 歳くらいまでに使った脳は、脳全体の 30-40%くらいであり、残りの 60-70%
の脳はまだ開拓されていない新鮮な状態であり手つかずとのことです。ですから高齢に
なってもまだまだ新しいことを習得することはできます。
良い実例としては、日本の禅文化を海外に広く知らしめた仏教界の鈴木大拙という方
がいます。この方は蔵書が 6 万冊もあり、コツコツと毎日勉強されたそうです。84 歳
でイギリス、ドイツ、スイスなどで講演をされ、90 歳を過ぎてから、親鸞聖人の著書を
英語に訳すという仕事をされました。一方では、仕事の傍ら毎日ノルマを課してお寺の
境内の石畳を往復して歩き、
足を鍛えていたそうです。頭を使うだけではなく足腰を日々
鍛錬していたことが、90 歳を過ぎても脳の機能も衰えずに、体もシャンとして、創造的
な生活を送る原動力であったと言えそうです。
このようになるためには、その年齢になる前より、準備も必要であり頭を使う習慣を
つけておくことが大事です。また、自らの人生の中で、かつては関心を持っていたが、
結局、やりそこねたというものを思い出し、もう一度取り組むのもよいでしょう。90 歳
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
を過ぎても難解な書物を英訳できる人もいるのですから脳というのはそんなに簡単にダ
メになるものではありません。年をとってもいつまでも必要とされる人となるように 体
を鍛える 、 頭を鍛える という手段を継続していけば世間様にもお返しできることに
なります。年をとると悲観的になりやすいと思いますが 80 歳、90 歳になっても輝いて
いる人をみますと非常に励みになります。日々の努力はコツコツと小さなものでも蓄積
の効果は偉大です。人生を決めるのは能力よりも心構えが大事だそうです。元気な日本
を作るためにも人生に目標を持って生きたいものです。
第7回
市民健康講座報告
2015年5月23日(土)15:00より当院地下食堂に於いて
市民健康講座が開催されました。
れました。南 和友院長の司会進行
により、第1部は、内科の市川 明子医師による「循環器疾患
と認知症」をテーマとしたお話をいただきました。
第2部では、映画「妻の病」を上映。
小児がん医療に取り組み、最前線で活躍していた小児
科医 石本 浩市氏が、2001年に故郷・南国市へ戻り「あけ
あけ
ぼの小児クリニック」を開業。地域医療に取り組みながら、
ら、
*
レビー小体型認知症 と診断された妻・弥生さんの病との
との
10年間に及ぶ日々を、赤裸々に記録された映画です。誰の
上にも起きる可能性がある認知症という病。愛する人が
人が
認知症になったとき、あるいは自分が認知症になったと
たと
き、いったい何が大切なのか…。
この映画は、ひとり一人に深い問いを投げかけた作品
作品
でした。 *レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症とともに、三大認知症といわれ、パーキンソン症状と幻視・幻聴体験、そして認知症独特の記
憶障害がみられる疾患。
「レビー小体」とよばれる異常物質が脳組織に沈着する。症状には波があり、鬱(うつ)症状もみられるため、同
居する家族の精神的負担も大きいといわれる。
次回
第8回市民健康講座のお知らせ
パワーウ
パワーウォーキング発案者のハートヴィッヒ
ウォーキン
キング発
グ発案者
案者のハ
のハートヴィ
トヴィッヒ
ヒ・ガウダ
ガウダー氏による
ガ
ウダー氏によ
氏による
テーマ:
「健康的な正しい歩き方を学ぼう!」
●日時 10月12日(祝日)
14:00∼15:00
す。
入場無料で
●場所 北関東循環器病院外来フロア
加を
多数のご参
●講師 ハートヴィッヒ・ガウダー
ります!
待ちしてお
お
(オリンピック金メダリスト)
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
夏野菜で夏バテ予防
栄養課 管理栄養士 市川由樹
旬の野菜にはその時期に必要な栄養素が豊富に含まれています。夏はそうめんや
うどんなどの炭水化物が多くなりがちですが、野菜もしっかり食べて暑い夏を乗り
切りましょう!
類
ビタミン
ビタミンB1…疲労回復効果
VB1 と言
えば豚肉
ですが、
夏野菜に
も
含まれて
います。
枝豆 ●とうもろこし ●にんにく
●
ビタミンC…夏のストレスを緩和、夏風邪予防
ゴーヤ ●ピーマン(赤ピーマン) ●冬瓜
●
β-カロチン…日焼け対策に
かぼちゃ ●トマト ●しそ
●
食品
ネバネバ
ネバネバの正体はムチンという成分。ムチンは胃腸の調子を整えてくれ
たり、たんぱく質の吸収を助けてくれたりするので、疲労回復に効果が
あります。
オクラ ●モロヘイヤ
●
カリウム
カリウムには利尿作用があり、身体をクールダウンしてくれます。
キュウリ ●なす ●スイカ
●
おすすめ
メニュー
・豚肉と夏野菜のトマト煮込み
・ゴーヤ豚キムチ
・梅とオクラのそうめん
・冷やし中華(お酢をたっぷりかけて)
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平成 27 年8月発行
夏の紫外線対策を忘れずに !!
薬剤課 薬剤師 山内 隆男
海や山でのレジャーの機会が増える夏は、肌がもっとも紫外線を受けやすいシーズンです。
外出時はしっかりと紫外線対策をしましょう。
「ちょっと、そこまでだから」「直射日光を浴びない日陰だから」といって、ちょっぴり安
心していませんか??
紫外線は、直射日光のあたる屋外はもちろんのこと、日陰や木陰、曇の日でも、たえず私
たちの肌の上に降り注いでいます。しかも、空ばかりではなく、地面に反射した紫外線を、
下から浴びてしまうケースも多々あります。毎日、ほんの5分しか浴びていなくても、積も
り積もって肌の老化やシミ、シワの原因になります。そもそも、紫外線とはどの様なものな
のでしょうか。
太陽からは、さまざまな光が発せられています。地上に降り注いでいるものは『赤外線・
可視光線・紫外線』の 3 種類の太陽光です。そのうち、紫外線は、可視光線の紫の外側にあ
ることから、紫外線と名付けられました。
紫外線は、波長の長いほうから順に A・B・C と分類されています。地上に届いているのは
紫外線 A 波(UVA)と紫外線 B 波(UVB)です。紫外線 C 波(UVC)は、波長が短いため、
私たちが生活する地上には届いていないと言われています。しかし、最近懸念されているよ
うにオゾン層の破壊によって、標高の高い山頂などには UVC が届いていることが確認されて
います。近い将来、UVC が脅威になる可能性も否定できません。
私たちが普段浴びている紫外線のほとんどは UVA です。それは 1 年中地表に降り注いで
います。特に一番強くなるのは 5 月、また弱くなるのは 12 月です。また波長が長いため気候、
雨、くもりなどに関係なく降り注ぎます。紫外線の中では最も悪影響が少ないと言われてい
ますが、UVA は肌の真皮まで届き、シワ、たるみの原因になります ( 光老化 )。浴びる量が
多くなればなるほど、美容に悪影響が出てくるので注意が必要です。さらに UVA は、肌の色
を黒く ( 褐色 ) するメラニンを作りだし、サンタン(日焼け)を招きます。
一方で、夏場の晴天時に最も気を付けなければならない紫外線は、UVB です。
季節変動が激しく、5 月頃からだんだん増え始め、6 ∼ 8 月に最大に降り注ぎます。まさに、
今の季節に相当します。
この UVB は、UVA と違い肌の表皮までしか届きません。しかしながら、その有害性は
UVA の 100 ∼ 1000 倍と言われています。シミ、シワ、肌の乾燥など、美容に悪影響があり
ます。免疫力の低下、皮膚がん、白内障などの病気と深く関わっていることも分かっています。
ちなみに太陽光を浴びて一時的に肌 ( 皮膚 ) が赤くなったり、痛くなったり、水ぶくれが出
来る状態、サンバーンを引き起こします。
サンタンもサンバーンも肌の白さを鈍らせる要因と
なります。
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
紫外線による影響は、すなわち、肌内部で起こる老化現象に注目しなけれ
ばなりません。
日焼け止めクリームや UV カット化粧品は、紫外線対策によく使用されます。
それらに表示されている SPF や PA は、紫外線防止効果の高さを示す数値です。
SPF は、Sun Protection Factor(サンプロテクションファクター)の略です。
この数値は、サンバーンの防止効果を示す値です。数字が大きいほど日焼け止め効果が高く、
1 ∼ 50 +まであります。
SPF の数値が 25 だった場合、何も塗らなかった場合より、25 倍だけ長い時間、皮膚が赤
くならず、サンバーンを起こさないという意味です。
PA は、Protection Grade of UV-A(プロテクショングレイドオブUV - A)の略です。
主に UVA をカットする効果をあらわす表示です。PA の表示は、+(効果がある)、++(か
なり効果がある)、+++(非常に効果がある)の3段階表示です。そして、2013 年 1 月から、
++++(防止効果が極めて高い)フォープラスが追加されました。+の数が多いほど効果
が高いということになります。
日やけ止め化粧品には多くの種類があります。生活スタイル、活動する時間帯や場所によっ
ても選び方が変わります。
ここまで、紫外線はあたかも大敵であるかの様に並べてきましたが、日光浴が、ビタミン
D の生成、骨粗鬆症の予防、疲労回復、脳の覚醒、免疫力アップ等優れた効果があるともい
われております。
夏場の紫外線が強い時間帯は避け、1 日 15 分程度や、木漏れ日のある木陰での 30 分程度
の日光浴は、逆に効果的であるともいわれております。いずれにせよ、夏場では、紫外線対
策グッズを上手に使い、肌のダメージを防止しつつ、なおかつ日々の健康を維持したいもの
であります。
北関東循環器病院理念・基本方針
理 念
・患者中心の医療
・循環器疾患を中心とした全人的医療、医学
基本方針
∼基本方針のキーワード∼
1.人権、倫理、安全 2.医療の質 3.医療連携 4.人材育成 成 5改革
5.改革
・私たちは、患者の人権の尊重と医療倫理の遵守により、公平かつ安心な医療の提供に努めます。
・私たちは、患者の立場に立ち、ひとり一人の患者の思いを受け止め、理解と納得に基づいた医療に努めます。
・私たちは、全人的医療を行うため、全職員の専門性を結集したチーム医療に努めます。
・私たちは、地域の医療機関との密接な連携を図り、地域に開かれた医療に努めます。
・私たちは、地域に健康情報を発信し、適切な医療の啓蒙に努めます。
・私たちは、日々進歩する医療・医学の自己研鑽に努めるとともに優れた医療人の人材育
、
成・人材教育に努めます。
・私たちは、
より良い医療サービス提供のため、改革の精神をもって活力かつ誇りある職場づくりに努めます。
シーシージェイだより Vol.27 No.3
平成 27 年8月発行
外来診療予定表
27.4.1現在
初診
午
前
再診
初診
後
午
再診
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
北 條
小 池
金 井
市川(明)
荻 野
循環器内科(外山第2)
南
八 木
岩 崎
依 田
角野(第4)
群大(市川)
市 川
北 條
眼科(森本)
呼吸器(鈴木)
不整脈(太田)
高 山
北 條
市川(明)
眼科(大島)
糖尿(小和瀬)
高 山
角野(第2・4)
八 木
岩 崎
南
八 木
高 山
市 川
金 井
小 池
眼科(大島)
呼吸器(山口)
内科(澤田)
眼科(大島)
成人先天性心疾患(宮本 第2)
糖尿(今村)
皮膚科(第2)
群大婦人科(第4)
群大皮膚科
禁煙外来(角野 第4)
腎 臓(林)
荻 野
熊 倉
腎臓(廣村)
金 井
眼科(大島)
(10:00∼12:00)
循環器内科(外山第2)
眼科(佐藤)
北 條
(熊 倉)
南
市川(明)
荻 野
小 池
南
高 山
高 山
市 川
熊 倉
伊 藤
熊 倉
血管病(熊倉)
八 木
岩 崎
金 井
小 池
眼科(大島)
中 島
荻 野
中 島
整形(重田)
骨粗鬆症(重田)
群馬大学脳外
整形(重田)
依 田
糖尿(今村)
橋本
眼科(大島)
泌尿器( 透析室
)
シャント外来(市川明)
眼科(大島)
禁煙外来(角野) 糖尿(大山・佐藤)
眼科(大島)
消化器外科(星野)
(第2・4)
ペースメーカー(第2・4) 婦人科(伊吹)
編集後記
案内図
至渋川
至新潟
渋川市
北橘支所
渋川駅
橘小
渋川・
伊香保 I.C
利
根
川
Aコープ
木曾三社神社
下箱田
橘山
消防学校
渋川バイパス
至東京
群馬大学
教育学部
R
線
上越
田口
郵便局
北関東
循環器病院
17
至前橋市街
至大胡
八木原駅
渋川
・大
胡
線
小児医療
センター
坂東橋
木曾神社
入口バス停
関越自動車道
日・米・露の 3 人を乗せたロシアの
宇宙船ソユーズが、日本時間の 7 月
23 日バイコヌール宇宙基地から打ち
上げられ、5 か月間の滞在に入った。
乗船した油井 亀美也さん(45 歳)は、
1990 年の秋山 豊寛さん以来、10 人目
の日本人宇宙飛行士となりました。
日 本 人 で は、45 歳 で の 初 飛 行 は、
秋山さんの 48 歳、古川 聡さんの 47
歳に次ぐ年長とのこと。油井さんが「年
をとってもやればできる、45 歳、中
年の星!」と自らを語ったことも、皆
さんご存じのことと思います。
本号冒頭、高山先生の「かくしゃく
として長生きするために」を参考に、
「星」とまではいかずとも、元気に過
ごせるよう頑張りたいものです。
編集委員 今井 京子
午後休診