ダウンロード - BiNI COMPLEX JAPAN

2015/10/14
BiNI FESTA 2015 in NAGANO
∼既存のパラダイムを超えて∼
Spine Dynamics理論
現代医療に関する疑問点
清泉クリニック整形外科東京 渡邉 純
“Choosing Wisely” 「賢く選ぶ」
米国71の医学会が参加して不必要な医療を基本的に5つ掲げていくキャンペーン
60万人強の米国人医師中の約8割(50万人)の規模
米国理学療法学会
これらの動きにイギリス、ドイツを含めた欧州各国、オーストラリア、イスラエルなどに
広がっている
1
Don’t employ passive physical agents except when
necessary to facilitate participation in an active
treatment program.
2
Don’t prescribe under-dosed strength training
programs for older adults. Instead, match the
frequency, intensity and duration of exercise to
the individual’s abilities and goals.
1
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3
Don’t recommend bed rest following diagnosis
of acute deep vein thrombosis (DVT) after the
initiation of anti-coagulation therapy, unless
significant medical concerns are present.
5
Don’t use whirlpools for wound management.
還元論:René Descartes(1596-1650) 4
Don’t use continuous passive motion machines for the
postoperative management of patients following
uncomplicated total knee replacement.
Spine Dynamics 理論の理解
全体論:Willard van Orman Quine
(1908-2000) 全体は個々の成り立ちであり、個々を理解することが全体の
理解につながるという考え方である。現代西洋医学(科学)
は還元論に属し、個々の要素=患部をよくすることで全体
が良くなるという考え方。
全体は一つのものであり、個々に分解したときとは異なる
性質を持つという考え方である。近年着目される統合医療
が全体論に属し、全体は個々の総和以上であり個々だけ
では理解することができないという考え方。
2
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Spine Dynamics 理論(療法)とは?
過去における善悪の業に応じて現在における幸不幸の果報を
生じ、現在の業にて未来の果報を生ずること(広辞苑 第
五版)
運動器疾患分野での「痛み」「変形」「拘縮」な
どに限らず身体に生じる疾患全てがなるべくしてな
った結果ではないだろうか?火の無いところに煙は
立たぬという言葉があるように、
結果には全て原因がある。ヒトがなぜそのよ
うな 結果になったのかを常に考え、原因を追究し
て治療に反映していくことが理学療法である。
地球上の物質の運動は、普遍的物理的ルール
に従っている。
地球上のルールとヒトの運動との関係性を
明らかにすることがSpine Dynamics理論(療法)
の理解へと繋がる。
Spine Dynamics理論(療法)は、
特別な治療法や治療手技ではなく、物理的ルールと
身体機能の関係性を如何に解釈し、どのように
臨床応用していくかがポイントになる。
全体論からみた原因の捉え方へ
パラダイムシフトしてみよう!!
地球上のルール
万有引力(重力)
人は体重が絶対的物理量
運動の第1法則 (慣性の法則)
「他からなんらの作用も受けない物体は等
速直線運動を行う」
運動の第2法則 (加速度の法則)
「一つの物体が他の物体から受ける作用は
力で表され、力はその物体に起こされる加
速度に比例する。その比例係数を質量と呼
び、時間にも力にも無関係である。」
運動の第3法則 (作用反作用の法則)
「物体(または質点)P1が物体(または質
点)P2に働かせる力とP2がP1に働かせる
力とは大きさが等しく、P1、P2を結ぶ方向
にあって向きが反対である。」
運動の第2法則 (加速度の法則)
運動の第1法則 (慣性の法則)
「他からなんらの作用も受けない物体は等速直線運動を
行う」
その1
スケート場であなたが誰かを引っ張るとき、ある速度に達す
るまでの所要時間は、相手が子供の場合より、おデブさんの
方が余計にかかる。 aはmに反比例する。
その2
卵キャッチボールで受ける時、手を大きく後ろに引かない
と卵が割れる。
卵の飛来速度が同じならば、より短時間に速度を0にした
方が(=加速度が負の方向に大きい)手から卵に働く力が
大きい。
その3
Fはaに比例する。
掌を広げて机の上におきます。その上空1メートル程から、
ゴルフボールと野球ボールを落とします。多分、野球ボー
ルの方が痛いですよね。 Fはmに比例する。
3
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運動の第3法則 (作用反作用の法則)
「物体(または質点)P1が物体(または質点)P2に
働かせる力とP2がP1に働かせる力とは大きさが等し
く、P1、P2を結ぶ方向にあって向きが反対である。」
FA +F B = 0 台がモノを押し返す力 F A Stability ~安定性~
作用力を発揮には必ず力の起点の
安定性・支持性が必要となる
F B Flxability、Mobility
~柔軟性~
モノが台を押す力 地球上で生きるためのには?
作用力を発揮すれば必ず反作用力
を吸収する機能 が必要となる
人では何処に着目したら良いのか?
「運動」=物理学上に定義された物体の移動
人の運動とは地球の引力(重力)に抗して体重移動
重力ストレスに対する身体応答を追求!
脊 柱
Spine Dynamics !
なぜ脊柱なのか?
理由① ∼個体発生学∼
定義:水平面上、および垂直方向の
物理的変化に伴う重力への対応
能力
ヒトは脊椎動物であり、脊椎動物とは
「骨化の程度は異なるが骨性の脊椎をもつ脊索動物」
と定義されている。個体発生学におけるヒトの
成り立ちは、椎骨が連なり生命の源となって重力に
逆らって頭側方向への伸張である。そして二足歩行
に伴う支持基底面の狭小化と脊柱弯曲による重力への
応答という進化がヒトの成り立ちである。
重力との戦い
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姿勢の要素
Kendall
①支持基底面の狭小化
②垂直方向への延長化
脊柱の彎曲が必要
①支持基底面の狭小化
側方への重心変化への対応困難
弯曲なし
弯曲あり
(I.A.KAPANDjI:1986)
Seisen Clinic of Orthopedics Shizuoka Japan
②垂直方向への延長化
衝撃の増強
頸椎前弯 荷重関節運動
胸椎後弯
腰椎前弯
(S字運動)
重心位安定
下肢衝撃緩和
弯曲なし
弯曲あり
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なぜ脊柱なのか?
理由② ∼身体重心位置∼
地球上の物体には、全てにおいて万有引力
(地球の中心に向かう力)が作用している。
重力は力の方向が一方向であるため、
その作用点は一つの点に合成できる。
この点を物体の重心(質量中心)といい、
地球の中心点と結んだものが抗重力線であり、
身体の中心を通る。つまり、身体の中心である脊柱は、
どのような姿勢においても物体の重心と重心線が通る
位置であり、脊柱は重力との関係性は非常に大きい。
運動の力源は重心位置
(→末梢への運動連鎖)である
~Keyword~
姿勢制御機構の正常化
姿勢制御とは?
人工衛星や宇宙船の場合、観測機器を観測対象に向けたり、通信アンテナを
正しい方向へ向けたり、軌道制御時の推進方向を精密に保つために、衛星や
船体の全体の向きを制御する必要がある。また、有人宇宙船で船体が回転して
いると、船内・船外活動に支障をきたすため、姿勢制御が必要となる。
(Central gravity line)
• C3~6の横突起の中
央
• Th4椎体の前
• L3椎体
John Martin Littlejohn
「脊柱の力学“The mechanics of the spine”」
制御と機構とは?
制御:相手を押さえて自分の思うように動かす
機械・化学反応・電子回路などを
目的の状態にするために
適当な操作・調整をすること
姿勢
機構:機械などの諸部分が互いに
関連して働く仕組み
機械の内部構造・メカニズム
姿勢制御機構の正常化とは
Buffering Dysfunctionの改善
(脊柱機能異常)
1.センサーによって現在の姿勢を把握する
Buffering Dysfunctionの影響は?
(メカノレセプター)
2.制御プログラムによって、現在の姿勢から目的の姿勢に
どう移行させるかを決定する(大脳)
3.*アクチュエーターによって、姿勢を変える(筋・関節)
* 入力されたエネルギーを物理的運動に変換するものであり、機械・電気回路を
構成する機械要素。能動的に作動または駆動するもの。
筋出力抑制による見かけの筋力低下
安静時筋緊張亢進による可動域制限
脊柱は力の作用-反作用の機能的特徴を有する
(筋出力=反作用力吸収機能)
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脊柱機能のイメージ
姿勢の力学的環境下における身体柔性の低下は
原因
身体剛性に必要な筋張力エネルギーの抑制に繋がり
安静時筋緊張
その抑制は脳の筋緊張制御系による
安静時筋緊張亢進の筋内環境下で、、
筋出力抑制を生じる!結果
Buffering Function Image
脊 柱
(姿勢制御機構の正常化)
Buffering Function
・脊柱は作用力の起点であり反作用力の終点である
・脊柱は作用力の固定源としての働きと反作用力を
緩衝する働きをもつ。
・つまり脊柱は固定性と柔軟性(駆動)という相反する
要素を同時に持ち得ていることが重要であり、運動時には
両要素が同期するというイメージを持って欲しい
・脊柱の固定性を高めるのは筋であり、脊柱の柔軟性
(反作用力の吸収)を高めるのも筋である。つまり脊柱の
筋は脊柱を固定しながら末梢に力を加え、同時に末梢から
の反作用力を吸収するという相反する調節機能が同時に
必要になる。
・また固定性と柔軟性(駆動)はそのどちらかの要素(機能)
が欠ければ、筋出力は発揮できない、もしくは筋出力が
抑制される。結果的に筋力がでないということになる。
駆動源
(柔軟性)
固定源
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正常な運動
Free joint
オーバーストレッチ・オーバーコン
トラクションの原理とは、近位関節
軸の関節運動が阻害されると、遠位
関節の拮抗筋同士に過伸長と過収縮
が同時に起こることを意味する。
Motor unitでの代償
Motor unit
Free jointでの代償
Free joint
Free joint
Motor unit
Dysfunction
OC
OS
OC
Motor unit
Dysfunction
OS
遠位関節 Free joint→Motor unitに変化
Motor unitがより遠位⇒OS・OCがより増大
慢性 痛患者と健常人の
筋出力と筋量の関係
(J.Hay : 1993)
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慢性 痛疾患=筋出力抑制
体重(kg)
(嵩下ら:2008)
健常人%M V とW B I
×100
200.0
y = 2.6475x - 101.55
2
R = 0.4498
150.0
W BI
WBI=
大 四頭筋
随意最大筋力
100.0
50.0
健常と慢性疼痛
相関関係
0.0
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
%M V
慢性疼痛患者%M V とW B I
200.0
筋量(kg)
体重(kg)
150.0
×100
W BI
%MV=
100.0
50.0
y = 1 .755x - 5 6.866
R 2 = 0 .3421
0.0
0.0
20.0
40.0
60.0
%M V
Seisen Clinic of Orthopedics Shizuoka Japan
80.0
100.0
(嵩下ら:2008)
y = 2.7356x - 100.73
150
健常群
(嵩下ら:2008)
87
70
57
45
100
130
100
80
60
82%
72%
65%
58%
慢性疼痛疾患
y = 1.759x - 57.143
WBI
慢性疼痛群
50
%MV
0
健常人
50
60
70
80
90
100
110
筋出力抑制
なくて良い抑制
あるべき抑制
100%
生理的
限界
全脊柱視認ポイン
ト
心理的
限界
30%
50%
dow
n
6~7割
5割程度
0%
慢性疼痛群
通常
例:火事場の馬鹿力
P-01
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弯曲阻害因子
画像視認ポイント
①体力と腰椎前弯頂点の関係
①体力低下と相関
・腰椎前弯頂点位置
・棘突起肥大/関節化
L3頂点→WBI 80~以上
②心身相関
・胸椎FLAT化
③内臓-体性反射
・下位胸椎FLAT化
①体力と腰椎前弯頂点の関係
①体力と腰椎前弯頂点の関係
L4頂点→WBI
70~80
①体力と腰椎前弯頂点の関係
S1頂点→WBI
20~50
L5頂点→WBI
50~70
弯曲頂点とWBIの平均値
(嵩下敏文ら、2009)
第3腰椎弯曲頂点
WBI:78.6±17.7 第4腰椎弯曲頂点 第5腰椎弯曲頂点
WBI:73.5±20.3 WBI:69.2±19.7
第1仙骨弯曲頂点
WBI:45.9±16.7 WBI低値ほど腰椎弯曲頂点は下位へ移行
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①棘突起の肥大・関節化
WBI 80 以上
*
*
*
(嵩下敏文ら、2009)
①棘突起の肥大・関節化
WBI 50∼60
①棘突起の肥大・関節化
①棘突起の肥大・関節化
WBI 30∼50
なぜ胸椎がフラット化するか?
頚椎腰椎になく、胸椎にあるも
の?
交感神経節
呼吸筋(自律神経→体性神経)
視床辺縁系で情動反応
下行性交感神経活動異常
胸髄支配域の筋緊張亢進
胸椎フラット化
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②心身相関
胸椎FLAT化
胸椎筋スパズム由来の弯曲障害
下位頚椎の胸椎化
(→ 頚椎弯曲制限)
弯曲阻害因子
画像視認ポイント
①体力低下と相関
・腰椎前弯頂点位置
・棘突起肥大/関節化
②心身相関
上位腰椎の胸椎化
(→ 腰椎弯曲制限)
・胸椎FLAT化
③内臓-体性反射
・下位胸椎FLAT化
③内臓ー体性反射
下位胸椎FLAT化
(→ 腰椎弯曲制限)
現代医学にできること
・どの治療法より優れた外傷治療
・内科的・外科的緊急事態の処置
・抗生物質による細菌感染症治療
・寄生虫・菌類感染の治療
・ワクチン接種による感染予防
・複雑な障害の詳細な診断
・損傷した股・膝関節の復元
・美容整形・再建手術の優秀性
・ホルモン欠乏の診断と矯正
Andrew weil “Spoontaneous healing” より引用
現代医学にできないこと
・ウイルス性感染の治療
・慢性疼痛性疾患の治療
・精神疾患の効果的対処
・アレルギー・自己免疫疾患
・心身相関疾患効果的対処
・悪性腫瘍大部分のタイプ Andrew weil “Spoontaneous healing” より引用 12
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慢性 痛は現代医学では
治癒できない疾患?
慢性疼痛が問いかけるもの
慢性 痛の治療法は?
ヒトの自己治癒能力を呼び覚ます
「健康観」
自己医療 治療依存
ニーズに対応することも重要
人の倫理や精神世界が大きく作用している奥深い世界
心と体のリハビリテーション研究会
“Spine Dynamics療法 研修会”
①プレ入門コース座学
②入門コース座学
③入門コース実技
④ベーシックコースⅠ座学
⑤ベーシックコースⅠ実技
⑥ベーシックコースⅡ応用実技(1)
⑦ベーシックコースⅡ応用実技(2)
⑧アドバンスコースⅠ座学
⑨アドバンスコースⅠ実技
⑩アドバンスコースⅡ座学
⑪アドバンスコースⅡ実技
⑫アドバンスコースⅢ座学
⑬アドバンスコースⅢ実技
“Spine Dynamics療法研究会”
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ご静聴
ありがとう
ございました
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