野球における捕手のセカンドスローにおける運動学的研究 岩松 恭平 (生涯スポーツ学科 学校スポーツコース) 指導教員 仲宗根 森敦 キーワード:野球,捕手,スポーツ運動学 1. 緒言 3.考察 野球というスポーツの中には9つのポジショ インタビューとアンケート調査を行った結果 ンがあるが,その中でもキャッチャーはもっと 指導者に進められて捕手になった選手が多く存 も重要な役割を担っていると言われている.池 在していたことが分かった.またセカンドスロ 田哲雄(2014)によれば「扇の要」などという ーが早い人の共通点に握り替えの早さと答える 言葉で捕手のことを表現されており,どれだけ 選手が多く存在していた.結果を大きく分ける 大切なポジションであるのかを表しているので と,構えのポイント・捕球時のポイント・ステ ある.また筆者が今まで受けてきた指導の際で ップ時のポイントテ・テイクバック時のポイン も, 「恋女房」や「グランドの監督」になること ト・ボールを離す瞬間のポイントの 5 つに分け が必要だと言われてきた.投手とのやり取り、 られた.それぞれの項目には動き方だけでなく セカンドスロー、キャッチング、バッターの癖 頭の中でのイメージも多く存在していた. やピッチャーの調子を見て配球をする能力、ま たほかの野手のポジショニングや試合の状況判 4.結論 断、相手ベンチの動きを見てグランドで監督の これまで捕手のセカンドスローについての研 代わりの役割をするなど,挙げだしたらきりが 究はほとんどされてこなかった.セカンドスロ ないほど多く存在する. その中でも実際にプレ ーに何が必要でどんなコツや感覚があるのかが ーをしていてセカンド送球が捕手には求められ 明確にされてこなかった.肩が強かったために ているのではないかと考えた.しかしながら配 捕手に進められることが多かった.その背景に 球についての論文や研究は存在するものの,セ は肩が強いことがセカンドスローに直結してい カンドスローの運動感覚についての研究はほと るとされていた.しかし握り替えやステップな んど存在していなかったのである.セカンドス どがセカンドスローには大きく関係しており, ローが上手くいくことで,配球に広がりが生ま 練習でコツやカンを習得すれば上達は可能であ れたり,心に余裕が生まれたりすることでより る.またセカンドスローには握り替えが非常に 良いプレーができる.そんな選手の手助け,ま 大切で握り替えの練習が重要である.しかし課 た自らの指導方法の確立につなげていくために 題として握り替えなどの練習を行う時間が確保 この研究を行った. しにくいということが分かった. 2. 研究方法 研究方法としては, B 大学硬式野球部の選手 9 名にセカンドスローに関するアンケート調査を 行った.対象者のポジションはキャッチャーで あり,現在もそのポジションを守っている選手 を原則とした.またその中から 2 名を選出し, インタビュー調査を実施した. 引用・参考文献 古田敦也・矢部万紀子(編) (2009) 「フルタの方 程式」 ,pp.52-65,朝日新聞出版. 池田哲雄(2014) 「ベースボールクリニック」, ベースボール・クリニック社,7 月号. 池田哲雄(2013) 「ベースボールクリニック」 , ベースボール・クリニック社,5 月号.
© Copyright 2024 ExpyDoc