MAY 2015 No.186 5 文部科学省 編集 特 集 第23回 世界スカウトジャンボリー 2015年 夏 世界の青少年が山口に! ◆MONTHLY LINE UP 教育再生実行会議第六次提言について/「トビタテ ! 留学 JAPAN日 本代表プログラム」の挑戦/独立行政法人教員研修センターにおい て「 教育長セミナー」を開催∼「 学び続ける教育長 」への支援のため に∼/ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京 2 015 の開催につい て/第 1回文部科学省 科学技術イノベーション政策フォーラム 日本 の未来を創る - MEXT to the NEXT - /優れた「 早寝早起き朝ご はん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰/「 地域防災対策支援研 究プロジェクト」成果報告会∼知の力による地域の防災力アップをめ ざして∼/国宝(美術工芸品)の指定について/「 発掘された日本列島 2 015 」展の開催について/テレビドラマ『 天皇の料理番 』と「トビ タテ!留学 JAPAN 」がタイアップ!∼ドラマ出演者・鈴木亮平さん が参加したトークイベントも開催∼/文部科学省「 情報ひろば」にお いて新たな企画展示を開始しました! The Monthly Journal of MEXT 文部科学広報 2015 年 5 月号 /No.1 8 6 特集 第23回 世界スカウトジャンボリー 2015年 夏 世界の青少年が山口に!……16 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課 教育再生実行会議第六次提言について……1 「トビタテ! 留学JAPAN 日本代表プログラム」の挑戦……3 独立行政法人教員研修センターにおいて「教育長セミナー」を開催……5 ~「学び続ける教育長」への支援のために~ ノーベル・プライズ・ダイアログ・東京2015の開催について……6 第1回文部科学省 科学技術イノベーション政策フォーラム……7 日本の未来を創る -MEXT to the NEXT優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進にかかる文部科学大臣表彰……9 「地域防災対策支援研究プロジェクト」成果報告会……10 ~知の力による地域の防災力アップをめざして~ 国宝(美術工芸品)の指定について……12 「発掘された日本列島2015」展の開催について……13 テレビドラマ『天皇の料理番』と「トビタテ!留学 JAPAN」がタイアップ!……14 ~ドラマ出演者・鈴木亮平さんが参加したトークイベントも開催~ 文部科学省「情報ひろば」において新たな企画展示を開始しました! ~大学・研究機関等との共同企画広報~……15 特 集 2015年 夏 世 界 の 青 少 年 が 山 口 に! 第23回 世 界スカウトジャンボリー 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課 世界スカウトジャンボリーは、4年に一度開か 回とな ウトの世界組織である、世界スカウト機構であり、 我が国では公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 が“開催ホスト国連盟”として、その準備運営の 中心となっています。 世界スカウト機構には162の国と地域、およ そ3600万人が加盟しており、今回の世界スカ ウトジャンボリーではこれらの全ての国々から参 加者を呼ぶことを目標に、総勢およそ3万人規模 での開催が計画されており、3月現在、参加者数は 既に3万人を僅かに上回る見込みとなっています。 日本からの参加者はおよそ6000人。様々な 国からの参加者たちと共に生活することで、世界 中に友情の輪を広げ、異文化を理解し、広い視野 を持つまたとない機会となります。日本の多くの 青少年男女が、これら次世代のリーダーに必要と なる資質を体得することも、世界スカウトジャン 回世界スカウトジャンボリー概要 ボリー日本開催の意義の一つです。 会 f o t i r i p S a y t i n U 会 場/山口市阿知須・きらら浜 参加人員/ 歳 ~ 歳の中学・高校生を中心に 約3万人 12 27 ●第 期/2015年(平成 )年 日(火)~8月8日(土) 28 日間 テ ー マ/和: 7月 23 14 17 16 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 れるボーイスカウトの教育事業で、世界最大の青 少年イベントといわれています。この第 日間の野外生活を共にしながら、様々な活動プ 種、言語、宗教を超えた青少年の交流キャンプで、 る大会が本年夏、日本で開催されます。国籍、人 23 世界スカウトジャンボリーの主催はボーイスカ ログラムに取り組みます。 12 特 集 世界スカウトジャンボリーは1920 (大正9) 自国での世界ジャンボリー開催を望む国々が世界 ウト会議」における選挙で決められます。毎回、 に、ボーイスカウトの世界会議である「世界スカ ト」と呼んでいます。 ら、この運動に参加する青少年のことを「スカウ 〈世界スカウトジャンボリーとは〉 年にイギリスで第1回大会が開催されて以来、4 会議の1年ほど前に立候補をし、選挙運動をしま 〈男女のスカウト〉 歳) 国や時代によって組織は様々ですが、日本では ~ す。会議当日のプレゼンテーションで世界の加盟 発足当初、青少年男女は別学が一般的だったこと 年に一度開催される中学・高校生年代 ( を対象とした教育行事です。 直近では2007 (平 国にアピールをし、投票を受けて、世界スカウト )年にイギリスで第 回大会、2011(平 成 から、ボーイスカウトとガールスカウトがそれぞ 盟が活動していますが、近年世界的に男女共学の 教育を継続しています。 続)、ガールスカウトでは引き続き女子のための カウトは男女共学とし(一部男子のみの団体も存 界スカウト会議でした。開催決定から7年間の準 ●スカウト運動について 流れが強まっていることから、日本ではボーイス ジャンボリーの開催国として選出されます。今回 )年にスウェーデンで第 ず、世界中の仲間が同じ条件で参加できるように 年齢で区切ることにしているからです。また、4 )年にイギリスで始まったス カウト運動は、その後世界中に広がり、100年 人の役に立つことを進んで行える人材を育てると 1907(明治 以上経った現在では162の国と地域で3600 それぞれ教育プログラムの細部は異なりますが、 は生涯一度だけ参加できる(その後はスタッフと た して大会運営に参加する) ようにし、 参加者にとっ いう志は共通です。 ぞれの国がガールスカウト組織からも参加者を募 世界の多くの連盟は男女共学であり、またそれ 各地に様々な少年団ができました。その後、19 22(大正 万人のメンバー の領域を切り開く、 味する言葉で、未知 そもそもは斥候を意 「スカウト」とは す。 全国で活動していま することを目的とし、 実践できるよう教育 役立つ技能を体得、 できる能力と人生に がおり、社会に奉仕 約 した。現在国内には れ、世界のスカウト運動への仲間入りを果たしま 11 というような意味か の参加者の男女比はおおむね1対1です。 集することもあって、世界スカウトジャンボリー 41 )年に「少年団日本連盟」が創立さ 日本には1908(明治 )年に伝わり、全国 万人以上が参加しています。 〈日本での開催について〉 世界スカウトジャンボリーは、オリンピック同 様、 4 年 に 一 度、 世界の各地を 巡って開催され て い ま す。 日 本 )年に静岡 では1971(昭 和 県・ 朝 霧 高 原 で 年ぶり2回目 開 催 さ れ て 以 来、 の開催となりま す。 開催国の選定 は、 こ れ も オ リ 13 るのです。 て掛け替えのない機会となるように考えられてい 年ごとに開催される大会に、参加スカウトとして 備を経て、今年いよいよ開催となるわけです。 れ別組織として発足しました。今もそれぞれの連 17 の日本での開催が決まったのは、2008年の世 14 回大会がそれぞれ 成 22 21 ~ 歳としているのは、それぞれ 開催されました。 対象年齢を 17 の国によって学校制度が異なるため学年で区切ら 14 ンピックのよう 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 17 40 23 19 46 44 回 世界スカウトジャンボリーのテーマは ●ジャンボリーのテーマについて 第 y t i n U f o t i r i p S a 」です。 y t i n U f o t i r i p S a )と、 「和」という 〈三つのコンセプト〉 ジャンボリー 2.革新(イノベーション: 」を で の 体 験 や、 大会テーマ「和(Wa): 構成するものとして、以下三つのコンセプトを設 様々な文化や伝 統、物事の異な けています。 y t i n U f o t i r i p S a 「和: 日本語の漢字を用いたこのテーマは、日本の持 つ和の精神( とで、新たなイ る見方を学ぶこ ) Energy 会場に集まる世界中のスカウトのエネルギー、 ンスピレーショ 1.力(エナジー: 世界中に広がるスカウト運動のダイナミズム、積 ンが生まれ、イ 漢字の持つ「調和」や「平和」 、 「ハーモニー」や 参加者にとって一生に一度の大会の後には、世 極的に様々な課題や可能性に取り組むスカウトの ノベーションが 「協調」を表しています。 界中から集まったスカウトが仲間との連帯感を胸 アクティブさを表しています。 芽生えます。 に、それぞれの国へと戻り、それぞれが平和の使 回世界スカウトジャンボリーの会場は、世 者となるよう、大会のテーマが設定されています。 第 界中からの多くの青少年の参加により、いわば小 さな世界となります。そしてその世界では、大会 テーマに基づく多様なプログラムにより、様々な 伝統や最新技術との融合、平和への取組、環境や 防災などについて、体験しながら学ぶことができ ます。 3.調和(ハーモニー: ) Innovation ) Harmony ジャンボリー では文化も宗教 も生まれ育った 環境も違うスカ ウトが世界中か ら 集 ま り、 互 い の違いを認め合 い、協力し合う、 平和の文化が醸 し出されます。 18 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 23 23 特 集 ●ジャンボリーの会場について )の広さを ジャンボリー会場となるきらら浜は、東西およ そ1㎞、南北におよそ3㎞(286 持ち、公園エリアや自然観察エリアを含む、全体 このうち、上図の濃いブルーの部分をプログラ ム活動エリアとして使用し、濃いグリーンの部分 をキャンプ生活地として利用します。 〈キャンプサイト〉 人が最小単位となる班を編成し、四つの班= 参加者たちは、9人のスカウトと一人の指導者 の m× m 〈ハブ〉 2000人のサブキャンプが四つ集まって、8 000人のハブを構成しています。スカウトたち の三つのハブと、成人生活エリアも一つのハブと mもの長さがある大型テントが設け みなし、全体で四つのハブがあります。 ハブには られ、各サブキャンプの本部や集会場、食糧配給 日間のジャンボリー会場と 拠点などの様々な生活支援施設が置かれます。 この3万人の町が なります。 ●参加者たちの生活 紹介します。 ジャンボリーでのスカウトたちの生活の概要を プールくらいの広さです。ここで、スカウトたち 〈言語〉 グラムの参加日程などを共にする参加単位となり ブキャンプに当たります。サブキャンプは、プロ 画にそれぞれ置かれています。この一つ一つがサ です。上図で、桜の花びらの形のマークが緑の区 を編成します。2000人の村、といったところ は、「英語をもっと頑張ろう」とその後の勉強に ます。海外派遣に参加した日本のスカウトの多く せんから、皆が身振り手振りを交えて交流を試み フランス語が苦手なのは日本人ばかりではありま 大会を楽しむことはできません。もちろん英語や のジャンボリー会場では英語やフランス語抜きで の資料も英仏語。海外で開催される大会同様、こ 語とフランス語で行われます。ハンドブックなど 世界スカウトジャンボリーの運営のほとんどは英 3万人の参加の8割は海外からの参加者です。 の 眠 る テ ン ト や、 食 事 の 場 と な る 大 き な フ ラ イ シートなどが張られ、ちょっとした広場や炊事場 などを含むキャンプサイトが作られます。 〈サブキャンプ〉 隊集まって、一つのサブキャンプ ます。花弁型マークがそれぞれのサブキャンプの 意欲的に取り組むようになります。 人の隊が マークとなっており、各サブキャンプにはアサギ を受け取りに行き、自分たちのキャンプサイトの 朝晩の2回、各隊の人数分、配給場まで食材料 〈食事〉 のサブキャンプが参加ス カウトのために設けられており、このほかに大会 調理場(調理場はスカウトが作成)で毎食調理し てプログラム会場や場外プログラムなど、出掛け 運営に当たるスタッフのための成人生活エリアも、 ちらは6000人規模になっています。 ます。昼食は、パンやフルーツなどの携行食を持っ 12 一つのサブキャンプと位置付けられています。こ ザインされています。 リ、バンダイなど、日本の山の名前が付けられデ 50 的にフラットな干拓地です。三方を海に接し、西 側は県道に接しています。 人が一つの隊として、キャンプでの寝食を共に します。多くの隊は一つの国単位で編成されてい ますが、少人数の参加国などでは、幾つかの国の 人につき、キャンプサイトは スカウトが一緒に隊を編成することもあります。 一隊 25 の 区 画 が 提 供 さ れ ま す。 ち ょ う ど 小 学 校 の 水 泳 20 80 た先などでとります。 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 19 40 12 10 40 40 ha 〈寝床〉 ●ジャンボリーの日程 主な参加スカウトにとっては 日間のジャンボ の 隊 が キ ャ ン プ を 立 ち 上 げ、 キ ャ ン プ 生 活 を ス タートさせます。 リー。スタッフはその少し前から現地での準備や 場に集い、開会式が行われます。 自分たちでたてたテントの中に、マットなどを 敷き、肩を寄せあって寝袋で眠ります。互いに親 ト レ ー ニ ン グ を 開 始 し ま す。 前 後 日 程 を 含 め た そしてこの日の日没頃、全参加者がアリーナ会 しく、それぞれたくましくなります。 〈 日(木)~8月1日(土)モジュールプログ ジャンボリーの流れをざっと御紹介します。 サブキャンプごとに割り当てられたプログラム ラム〉 これ以前から一部先発スタッフが会場入りし、 日程に沿って、後述する多様な大会プログラムに 日(土)大会運営スタッフ・IST到着〉 ジャンボリーの主役である参加青少年のほかに スタッフを迎える準備や会場作りを進めています 〈7月 も多くの人たちの参加で成り立つジャンボリー。 それぞれ参加していきます。 また、日本全国や海外からの一般見学者(デイ 世界から集まってきたスタッフたちが、それぞ ンボリーを楽しみに会場を訪れ、会場はますます リーフェスタ」も開催され、多くの山口県民もジャ に 併 設 さ れ る 山 口 県 主 催 の「 や ま ぐ ち ジ ャ ン ボ ビジター)も会場を訪れるようになり、更に大会 れの部署で行う業務について、トレーニングを開 日(日)ISTトレーニング〉 が、多くのスタッフが集まり始めるのがこの日で 歳までの青少年男女 始します。まず初日はジャンボリー全体のことを にぎわっていきます。 〈8月2日(日)文化交流日〉 数時間学び、それから各部署での専門業務につい てのトレーニングを受けます。 ます。開催ホスト国となる日本のスカウトは、半 本からの参加スカウトの半数がこの日会場入りし 引き続きスタッフのトレーニングが続く中、日 〈3日(月)~6日(木)モジュールブログラム〉 アリーナショーを共に楽しみます。 流を楽しみ、夕刻には再びアリーナに全員が集い、 プログラムはお休みとなります。場内で様々な交 この日は文化交流日(後述)としてモジュール 数が1日早く会場入りして海外のスカウトを迎え 日(月)日本参加者到着〉 国際サービスチー 〈 歳以上の大会運営を支えるスタッフ e c i v r e S l a n o i t a n r e t n I : m a e T m a e T t n e m e g a n a M t n e g n i t n o C m a e T y r e v i r e D e e r o b m a J e r o C e e r o b m a J m a e T e e r o b m a J ます。数百台のバスがきらら浜にやってきます。 m a e T t n e m e g a n a M この日が、世界スカウトジャンボリーの大会1 日(水)開会式〉 日目となります。 〈 一部の外国隊はこの日到着しますが、ほとんど しみ、最後の夜を皆で分かち合います。 ンプの撤営にかかります。夜は閉会式を全員で楽 この日は午前中まででプログラムを終え、キャ 〈7日(金)閉会式〉 す。 るなど大会を社会に発信していく機会ともなりま スフォーラム等に、各国の代表スカウトが参加す ブログラムも後半戦。更にプログラム参加を勧 日(火)外国参加者到着〉 既に日本入りして国内を旅行している隊も含め、 、JMT: そして何千ものテントがきらら浜に一気に立ち上 の主要スタッフのほか、ゲスト、見学者(デイビ ジター) 、スポンサー、協力者など多くの人々が ジャンボリーに関わっていきます。 がっていきます。 、といったジャンボリー運営 多くの隊がこの日ジャンボリー会場に集まってき 〈 ます。 る準備をし、残りの半数は最終日の後1日残り、 、 :派遣団本部 員の略で、参加各国派遣団の世話役といった人々 です。 〈 その主な構成を紹介します。 歳から 歳以上のメンバー。日本における成人 〈参加隊指導者〉 です。 に所属している、 世界スカウト機構に加盟する各国スカウト連盟 す。 ●主な参加者区分 30 20 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 12 〈参加スカウト〉 25 める一方、広島での平和記念式典、長崎でのピー 歳以上であることとなってい が 歳以上なので、一つの隊の指導者4人のうち、 同じく 17 全ての海外の隊を会場から送り出すお手伝いをし 少なくとも一人は ます。 〈IST〉 ムの略で、 です。 〈CMT〉 18 こ の ほ か、 J D T: 28 29 JCT: 26 27 18 14 20 20 特 集 〈8日(土)キャンプアウト〉 いきます。 まずは主に場内で行われる三つのモジュールア クティビティから紹介します。 いよいよスカウトたちがきらら浜からそれぞれ の国へ帰っていきます。ジャンボリーの最終日で ●GDV(地球開発村) e g a l l i V t n e m p o l e v e D l a b o l G の 略 で、 プログラムが提供されます。それらのプログラム 年にとって魅力的であるように考えられた多様な 決には国際的な協力関係が必要であり、更にその 大気汚染、海洋汚染、地球温暖化などの課題の解 とにより解決することもあるかもしれませんが、 で発生している問題はその国を挙げて取り組むこ いくことが大切です。例えば環境問題。一つの国 課題の原因や問題について様々な視点から捉えて 課題に取り組む必要があります。そしてそれらの 地球の住民として、私たちは様々な地球規模の 「地球開発村」と訳しています。 GDVは す。 〈9日(日)日本参加者退出〉 日本の後発隊やスタッフが帰り始めます。にぎ やかだったきらら浜も、落ち着きを取り戻し始め ます。 ●大会のプログラムについて 回世界スカウトジャンボリーでは参加青少 活動を通して、参加者はジャンボリーに参加する 推進のためには国による経済、習慣、法令などの 第 様々な国々の参加者と交流します。それらの体験 このプログラムでは、活動を通じて、スカウト 多くの違いを越える必要があります。 的な成長を促し、スカウト運動の「より良き社会 たちは日々の生活の中で地球規模の様々な課題に は参加者の肉体的、知的、情緒的、社会的、精神 をつくる」というビジョンに向かうための素養を 自分ならどのように取り組むことができるかを学 びます。具体的には、平和・環境と持続可能性(E 養います。 日の開会式から始まり、8月7日の SD)・人権・健康・貧困についての理解を深め 本年7月 閉会式まで続く一連のジャンボリープログラムは、 やNPOなど ま す。 加 え て、 の組織がどの モジュールアクティビティやサブキャンプライフ 右図左手の「モジュールプログラム」は、参加 ような取り組 これらの課題 者のそれぞれが「今日はGDV」(後述)などそ みを行ってい 等により構成されます。参加するスカウトたちに るまたとない機会になります。大会テーマである の日のどのプログラムに参加するかを大会日程に に対して国連 」と三つのコンセプト(エ 沿って割り当てられ、順番に入れ替わりながら参 加していくプログラムです。それ以外のプログラ ます。 るのかを学び y t i n U f o t i r i p S a にとってよりよい教育機会の提供となるよう、プ ムはそれぞれの日々の生活の中で行ったり、全参 「和: ボリープログラムが相互につながり合い、参加者 ナジー、イノベーション、ハーモニー)とジャン とって、世界中から集まった参加者と友情を深め 29 ログラムは組み立てられています。 加者一斉に参加したりするプログラムとなります。 大 会 期 間 中 参 加 者 が 体 験 す る こ と の 全 て が、 ジャンボリーのプログラムなのです。 以下、それぞれのプログラムについて紹介して 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 21 23 に目を向けると韓国のチマチョゴリ、モンゴルの を例に取ってみれば、日本には着物があり、世界 私たちの世界には多様な文化が存在します。服 術について学びます。また、スカウトたちは科学 インターネット、携帯電話、冷蔵庫などの科学技 ウトたちは、現代社会を支えるコンピューター、 を駆り立て、知識を広げ、理解を深めます。スカ サイエンスでは、スカウトたちの科学への興味 す。日本国内だけでなく、世界の様々な地域から における日本の貿易や輸送の発展を反映していま には山々が連なります。山口特有の文化は、近代 の最西端に位置し、3面を海に囲まれ、中央部分 わる四季折々の豊かな自然が美しく、また、本州 山口県はその多様な文化や1年を通して移り変 a デール、フィジーのスル、チリのポンチョ、イギ 技術が私たちの生活を豊かにするだけでなく、地 山口は影響を受けてきました。ここでは、スカウ ●コミュニティ リ ス の キ ル ト、 ド イ ツ の レ ー ダ ー ホ ー ゼ ン な ど 球の自然と人間との調和に貢献することを学び、 トたちに山口の市町を訪問する機会を提供します。 ●サイエンス 様々な衣装があり、それぞれが異なった独自の文 イノベーションを起こすきっかけになることを学 そ れ ぞ れ の 訪 問 地 で ス カ ウ ト た ち は、 地 域 の などを体験するとともに、それぞれ自国の文化を y t i n U f o t i r i p S 地域の人々に紹介します。このような体験を通し f o t i r i p S a y t i n U 」の意味についての理解を深めます。 市町の協力に 22 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 ●カルチャー 化を持っています。 びます。特に今大会では、日本の最先端の科学技 」について、例えば伝統的な技能 て、スカウトたちは日本と自国との関わりについ 様々な文化を体験し、受け入れることを通して、 他者を尊重し、他者から学ぶことができます。そ 術について学ぶ機会を設け、大会テーマ「和: と最新技術の調和など、科学的、技術的な視点か 人々と交流しながらその地域の文化、建築、衣装 して相互に学び合うことにより友好が深まります。 本プログラムでは、スカウトたちは自国や自国 ら理解する手助けをします。 て 考 え な が ら、 大 会 テ ー マ「 和: の文化を紹介する出し物を準備し、他のスカウト 様なプログラムブースが設けられる予定です。 また、多くの日本の企業から出展協力を得て多 たちと体験や伝統を共有することができます。自 国とその文化について説明し、共有することを通 して、お互いの理解を深める機会となります。こ このプログラムには山口県の全 より、多くの青少年と海外の参加者との交流が行 れらの異文化交流を通じたスカウトたちの相互理 解 の 深 ま り に よ り、 国 や 文 化 を 越 え た“ ハ ー モ ることの意義をより広いものとしています。 われ、世界スカウトジャンボリーを日本で開催す くプログラムについて紹介していきます。 ニー”が生まれます。 続いて、主にジャンボリー会場外へ出掛けてい 19 特 集 ●ピース ●ウォーター a スカウトたちは、広島を訪問し、戦争の悲惨さ プログラムです。 ●ネイチャー 山口は、1500㎞にもおよぶ海岸線を有し、 を学ぶことを通じて、生命の尊さ、そして人との 世界では、 これは場外と場内の両方にまたがり実施される 中央部には山々が連なる自然豊かな県です。この つながりの大切さについて学びます。また、スカ 以上の国々が海に面していません すばらしい環境の下、スカウトたちはハイキング でフリークライミングも体験します。 指します。さらに、ジャンボリー会場近辺の施設 発揮して、様々な課題に挑戦しながらゴールを目 に参加し、日頃のスカウト活動で養ったスキルを ピース(平和の使者)となり、大会テーマである れらの活動を通して、メッセンジャーズ・オブ・ 方法を考え、仲間と共有する機会を持ちます。こ ウトたちは、世界平和を実現するための具体的な トたちの“エナジー”を育みます。これらの活動 フィッシングなどの水辺の活動を提供し、スカウ ンボリーではこの環境を生かした水泳、ヨット、 が、日本は海に取り囲まれています。今回のジャ は楽しいことはもちろんですが、スカウトたちの y t i n U f o t i r i p S a 水辺の活動に関する技術や知識を向上させ、そし 」を体現します。 1日につき4000人、期間中6回実施で2万 てチームワークを養います。また、ビーチでゆっ 「和: ティビティを通じて、生態系の重要性や自然への 4000人のスカウトが広島を訪問します。(大 たりとした時間を過ごす機会を通じて、世界の仲 スカウトたちはこれら屋外での活動的なアク 畏敬の念を学び、また様々な国のスカウトたちと 会参加者3万人のうち6000人は運営スタッフ きずな の交流を通してチームワークの力を知ります。 y t i n U f o t i r i p S a 」を体感します。 y t i n U f o t i r i p S さて、ここから先は、個々のグループが順番に 「和: 間 と の 友 情 や 絆 が 生 ま れ る こ と で、 大 会 テ ー マ ジャンボリー参加各国の代表スカウトが参列しま ま た 8 月 6 日 に 行 わ れ る 平 和 記 念 式 典 に は、 です) 」 を 実 現 す る“ エ ナ ジ ー” と な り スカウトたちの間に生まれた強い絆は「和: ます。 またこのプログラムの一環として、長崎市で開 あるいは特定の日に全員参加で行われるようなプ そのほか、ジャンボリーのあらゆる場所で毎日、 体験していくモジュールアクティビティを離れ、 催 さ れ る 長 崎 ピ ー ス フ ォ ー ラ ム に も、 ジ ャ ン ボ ログラムを紹介していきます。 す。 リー参加国の代表スカウトが出席します。 さらに、世界スカウトジャンボリーの開催に先 立ち、日本全国で実施するPRを兼ねたキャラバ ン事業では、地域 の子供たちに平和 の大切さを伝え、 千羽鶴作りに参加 してもらうことに より、全国の青少 年の平和への祈り を広島に届ける計 画を進めています。 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 23 50 なおこのワールドスカウトセンターは一般見学 なります。 スカウト運動では、宗教や宗派を問わず、それ (デイビジター)の方々にも御覧いただけます。 そんな日々のキャンプ生活も、ジャンボリーの大 切なプログラム活動の一つです。 皆が力を合わせないとキャンプ生活は成立せず、 皆が力を合わせるからこそキャンプ生活は楽しく なります。 日間のキャンプ村での生活は、参 世界中から集まった同世代の仲間たちに囲まれ た、3万人の 大会期間のほぼ真ん中に当たる8月2日の日曜 宗教について 持って、プログラム活動に出掛け、夕方キャンプ 行 く。 朝 食 を 作 っ て 皆 で 食 べ る。 昼 食 と 水 筒 を 朝、起きて、顔を洗って仲間と食材料を取りに 域で文化交流が行われます。夕刻にはアリーナに 料理を振る舞い合うなど、ジャンボリー会場の全 集いや信仰奨励の集いに続いて、それぞれの国の の日は1日、文化交流日となります。各教宗派の 24 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 ●信仰奨励 ぞれのスカウトが「信仰心」を育むことを大切に しています。 世界スカウトジャンボリーでは、仏教、キリス ト教、イスラム教といった世界でも有名な宗教の 加スカウトにとって生涯忘れられない貴重な経験 起源、信仰対象、教義、主流な礼拝方法などを学 ぶことができる多様なブースが設けられます。ま となります。 更に多様な宗教が一堂に集まってそれぞれの教え などを紹介し合う場も提供されます。 自身の信仰 も 知 識 を 深 め、 サイトに帰ってきたら夕食作り。夜は近所の外国 全員が集い、アリーナショーを共に楽しみます。 日、場内・場外のプログラムはお休みとなり、こ それぞれの違 隊と交流会を兼ねた夕食会とキャンプファイア。 心を深めると いを尊重し合 動の「今の動き」を知ることのできる交流の場と 組を紹介するコーナーもあり、世界のスカウト運 ブースを並べます。中には世界スカウト機構の取 けるスカウト運動を紹介する展示や体験遊び等の る世界各地のスカウト連盟が、それぞれの国にお ドスカウトセンターでは、ジャンボリーに参加す ジャンボリー会場のほぼ中央に位置するワール ●ワールドスカウトセンター す。 出していきま ニ ー” を 創 り の“ ハ ー モ した人材は世 み ま す。 こ う える人材を育 と も に、 他 の ●文化交流日 た、自身の信仰に基づく礼拝の時間も設けられ、 ●サブキャンプライフ 12 特 集 それまでにも参加者たちは大会の様々な場面で の「 和: ド”を得ることができます。認証を行うのは、各 証として、参加スカウトは“フレンドシップアワー あかし これらのプログラム一連に積極的に取り組んだ ●フレンドシップアワード 」について参加者一人 グなどを受け、一般メディアからのジャンボリー 一人が感じる機会となります。 日(水)の日没頃より、開会式が行われ、 スカウトが所属する隊の指導者。スカウトと身近 7月 ●三つの全体集会 ノベーション”の提供なのです。 こうした本格的な職業体験の機会も一つの“イ 取材要請に応えたりします。 y t i n U f o t i r i p S a 文化の多様性を知りますが、この文化交流日のア リーナショーでは、その多様性が一斉に集まり、 一つに溶け合います。 参加者一同が“調和”を体感する1日となるこ とでしょう。 8月2日(日・文化交流日)夕刻のアリーナショー、 ●スカウト通信員/報道官 に接し、その活動を見守ってきた指導者だからこ 世界のこんなにも様々な国から、こんなにも多 そして7日(金)夜の閉会式と、三つの全体集会 くの仲間が集まった“エナジー”に驚き、感謝し、 各国派遣団には、自国の報道機関等に世界スカ スソースとなるためのレポート記事の書き方や、 共に楽しみ、“イノベーション”を感じ、そして そ、その取組を評価することができるわけです。 ゲストへのインタビューの方法などを専門家から 海外から日本にやって来るスカウトたちの多く があり、それぞれ全参加者が会場のアリーナに集 教わる機会を得て、ジャンボリーの様々な場面を それぞれの国に帰って今後どのような活動をして は、ジャンボリーの前後日程で日本各地を旅して ウトジャンボリーの様子を伝える役割を担う“ス 報道機関と同様に取材して、自国のメディアに伝 いくか。世界中の仲間たちとそうした思いを確か まわります。そのうちおよそ9000人のスカウ 合します。 えていくとともに、 インターネット、 ジャンボリー め合うことで“ハーモニー”へ至る。三つの集会 トが、全国 カウト通信員/報道官”がいます。彼らはニュー 新聞などにも発信をしていきます。またスカウト は大会のコンセプトを形にしながら、大会テーマ 都道府県に広がって、日本家庭への が、いわばオプションの活動です。 これは大会の直接のプログラムではありません ●前後日程のホームステイ 報道官はインタビューを受けるためのトレーニン 23 御覧ください。 デ イ ビ ジ タ ー の 詳 細 は、 第 回世界スカウト プログラム等が提供されます。世界の祭典を是非 ログラムやパビリオンを見学できるデイビジター 世界中から集まった青少年たち、様々な活動プ ●見学プログラム 思い出深い国際交流体験となります。 と思います。これは同時に受入れ家庭にとっても その国の文化を肌で知るには最高の経験になる お世話になるスカウトもいます。 カウトたちの家庭。その他地域の方々の御厚意で ホームステイを体験します。その多くは日本のス 47 ジャンボリーの大会WEBサイトから御覧くださ い。 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 25 29 / p j . j s w 3 2 . w w w / / : p t t h ジャンボリー会場へのアクセス 空路 分、山口宇部空港から国道190号線を経由 分。福岡空港からは車で約1時間半。 分。 分、JR宇 経由して、山口宇部道路の阿知須ICから約5分。 世界ジャンボリーを通じて一人でも多くの青少 年が将来世界で活躍できる人材に育つ契機となる 回世界スカウトジャンボリー ようつとめ、皆様の御期待にお応えします! 第 / p j . j s w 3 2 . w w w / / : p t t h 公益財団法人 ボーイスカウト日本連盟 26 文部科学広報 No.186 平成27年5月号 羽田空港から山口宇部空港まで航空便利用1時 間 して車で約 分。新大阪から新山口駅まで新幹線のぞみ利 部線阿知須駅から徒歩 15 広島方面からは山陽自動車道山口南ICから 自動車 30 分。福岡方面からは山陽自動車道の宇部下関線を 25 道山口阿知須宇部線を経由して車で 用で2時間1分。JR山陽新幹線新山口駅から県 間 東京から新山口駅まで新幹線のぞみ利用で4時 鉄道 25 45 40 23 / p j . r o . t u o c s . w w w / / : p t t h 文部科学広報 平成27年5月号 No.186 (発行・著作) 文部科学省大臣官房総務課広報室 〒100-8959 東京都千代田区霞が関 3-2-2 TEL: 03-5253-4111(代表) URL: http://www.mext.go.jp/ E-mail: [email protected]
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