CARRERA SOLAR ATACAMA 2014 優勝報告 東海大学ソーラーカーチーム代表 若林 希 東海大学ソーラーカーチーム総監督 木村 英樹 CARRERA SOLAR ATACAMA 2014 について 世界一日射量が多いとされている、チリ北部のアタカマ砂漠で開催されるレース。 南米唯一の大会で、高低差が世界一大きい。2011、2012 年に続き2014年は第3 回目の開催となる。 ・英語表記: Atacama Solar Challenge ・ルート全長: 約1,200km(牽引区間を含む) ・標高: 20~3,432m ・制限速度: 100km/h(最高) ・レース期間: 5日間 ・最終出走数: 5カ国から20チーム (エントリー:7カ国から26チーム) アタカマ砂漠 低圧室を用いた高山病への対策 • 低酸素状態で身体に異常が出ないかを確認するために、東海大学スポーツ医科 学センター所長の寺尾保教授が保有する「低圧室」にて、標高3,500mの状態 =688hPaの気圧を再現 • パルスオキシメーターを使用し、 脈拍および血中酸素飽和度を計測することで、 遠征メンバーの適応能力を事前にチェック スケジュール ~ • 11月 5日 モネダ宮殿前広場にて大会主催の公式リリース • 11月10日 車検 • 11月12日 • 11月13日 レース開始 • 11月15日 Day Off • 11月17日 レース終了 • 11月18日 表彰式 スタート地点で開始を待つTokai Challenger サンティアゴでの準備(10月28日~11月6日) • トヨタ・チリの協力を得て、研修スペースをお借りして準備作業を進める • 大会主催者に直接会い、情報交換を行う RSコンポーネンツ現地担当者訪問(11月3日) RSコンポーネンツ現地担当者ジェシカさんとの写真 差し入れを頂いている写真 在チリ日本大使館を訪問(11月3日) 二階尚人特命全権大使と山口恵美子二等書記官にお会いし、 チームの紹介やCarrera Solar Atacama参戦について説明 カレラ・ソーラー・アタカマ公式リリース(11月5日) • 会場:モネダ宮殿(=大統領府)前の広場で開催(サンティアゴ) ソーラーカーを見学するエネルギー経済大臣と環境大臣 アンタカリ大学(チリ) 主な出場チーム1 チリ大学(チリ) 主な出場チーム2 コンセプシオン大学(チリ) サンティアゴ大学チーム(チリ) 主な出場チーム3 テクニカ・フェデリコ・サンタ・マリア大学(チリ) 東海大学チーム(日本) イキケでの整備作業(11月3日~12日) イキケの海岸から離れた場所は治安が悪くサポートカー整備 はホテルの駐車場にて行った チーム全員が集合した後、急ピッチでレースに向けた車体整 備が行われた イキケでの作業場 ホテル駐車場でのサポートカー整備 レースに向けた車体整備 車検(11月10日~12日) 会場: アルト・オスピシオ・サーキット (イキケ郊外) スタティック試験 DAY1: 267KM(11月13日) • トップでスタートしたが、外国チームであることから税関の手続きに時 間がかかり、アンタカリ大学に追い越され、2位にてゴール • トップとの差2分 DAY2 175KM(11月14日) • 東海チームはトップの10分後にスタート • Day2の記録はトップであった、総合タイムでは2位 DAY3=DAY OFF(11月15日) DAY4: 286KM (11月16日) • 踏切の段差通過の際に、ソーラーカーの足回りのパーツが破損。一般 車両とソーラーカーの接触等のトラブルにみまわれました • なんとかDay4を完走し、この日の記録は3位、総合2位 • 1位のアンタカリ大学iチームとの差1時間14分に広がってしまう DAY5 369KM (11月17日) • スタートしてすぐに前日2位のコンセプ シオン大学チームに追いつき、追い越 しを成功 • 総合1位を走行する アンタカリ大学 チームを追う展開となる • 2つ目のコントロールポイントに向かう 途中、1位を走行していたアンタカリ大 学チームのソーラーカーが足回りに深 刻なトラブルを起こし、路肩に長時間停 車 • その間に追い越しに成功し、トップに返 り咲く 工事区間 表彰式(11月18日) • ユネスコ世界遺産「ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群」で表彰式が開催。 • メインクラスである4輪のエボリューションクラスで総合優勝 • Carrera Solar Atacama 2014大会を制する 現地の方々によるチームのサポート 通訳者 エリサ・パズ・カウフマン トラックドライバー アントニオ モヤ レースを振り返って(学生リーダー) • オーストラリア、南アフリカ、南米チリの南半球3大陸で開催される、ソーラーカー レースのすべてで、優勝経験を持つことができた • ソーラーカーの歴史がはじまって以来の快挙 • はじめてのチリ大会への参戦で、経験豊富な地元の大学チームとの差は縮まる中 で、僅差の優勝を成し遂げた • この経験を生かして、2015年のオーストラリア大会に向けて、新車の設計・製作を 進めたい • チリの人たちのホスピタリティはとても良く、日本よりも素晴らしいのではないかと 思う場面も多かった • ソーラーカーを通して多くの友人ができ、人生の中でも良い経験を得ることができ た 主な結果と記録 順位 大学名 最終走行距離 (km) 最終走行時間 (hh:mm) 1 東海大学(日本) 1082,0 15:20 2 アンタカリ大学(チリ) 1082,0 15:29 3 4 コンセプシオン大学(チリ) サンティアゴ大学(チリ) 1082,0 1082,0 21:09 22:09 5 テクニカ・フェデリコ・サンタ・マリア大学 584,1 6 チリ・カトリック教皇大学(チリ) 190,2 7 8 アンデス・ベロ大学(チリ) チリ大学(チリ) 409,3 レースを振り返って(総監督) やっぱり強かったアタカマ砂漠の日射量 • アタカマ砂漠においてピークで1150~1200W/m2の日射量を計測 • 定格出力の1.35kWを超える出力が得られる場面も • しかし、太陽エネルギーが余り、100km/hの制限速度ではモーターで消 費しきれない展開に やっぱりすごかったアタカマ砂漠の高低差 • 3,432mの地点にDay2のコントロールストップ2が設置されていた。 • 標高が高いと日射量が強くなることを実感 • パナソニック製リチウムイオン電池によって、登坂時のパワーをバック アップ • ミツバ特製のハイパワー&高速仕様のダイレクト・ドライブ・モーターで、 登り坂であっても、常に100km/hの速度を維持した 超軽量CFRPボディと低転がり抵抗タイヤ • 登坂路や未舗装路といった悪路に悩まされたが、東レの炭素繊維「トレカ」を使用し、 150kgと軽量な東レ・カーボンマジック製のソーラーカーボディで乗り越えることができた • 低転がり抵抗には定評があるミシュランのソーラーカー用ラジアルタイヤRadial X 95/80R16は、悪路であってもパンクすること無く通過し、高い信頼性を示した 太陽電池 パナソニック VS サンパワー • • • • • パナソニック HIT太陽電池モジュール c-Si & a-Siヘテロジャンクション太陽電池 変換効率22.5% 高温になっても変換効率が落ちにくい • モジューリング構造を工夫し、電極に照射 された太陽光を表面で再反射させて、太 陽電池に戻す→影をキャンセル • • • • • サンパワー(米国) C60太陽電池モジュール 裏面電極型太陽電池 変換効率20~22.5% 表面に電極の影ができない • モジューリング後の変換効率が落ちや すい 太陽電池 パナソニック VS サンパワー • パナソニック • サンパワー • HIT太陽電池モジュール • C60太陽電池モジュール • 汚れがつきにくい • 砂埃に弱い ジャパン・ブランドの浸透 • 今回は、チリ国内だけに留まらず世界に向 けて、日本が誇る様々な技術力を広くア ピールすることができた。 • 様々な技術を横断的に統合することで、高 い機能や性能を実現した、新たな製品を開 発することができることを証明した。 • 日本そのものが信頼されることで、世界か ら多くの人々が少しでも、今以上に日本に 関心を持つようになってもらえればと思う。 社会的実践力の獲得 • 同じ秋セメスター(秋学期)に、チリ大会とアブダビ大会があ るため、チームを2グループに分ける必要があり、経験があ るメンバーの層が薄くなってしまった。 • 当初は、まとまりに不安な面も多く見られたが、レース終盤 に近づくにつれ、学生間でのチームワークが急速に向上し ているように思えた。 • 東海大学独自の大規模PBL(Project Based Learning)に よる、社会的実践力の獲得につながったと考えている。 • 産学連携により、企業の方々からも学生が多くの指導を受 けることができた。 • 世界に通用する人材育成を通して、日本の大学改革につ なげたい。 アブダビ・ソーラー・チャレンジへの参戦計画 レース開催は2015年1月16日~19日の4日間 2015年オーストラリア大会 資料ダウンロード 資料のダウンロードは本日16時頃に http://www.ei.u-tokai.ac.jp/kimura/2014csa.html からダウンロードできるようになります。
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