ビール大麦新品種

--------------------------------------------------------------------------[成果情報名]ビール大麦新品種「はるみやび」の播種期の違いによる生育特性
[ 要 約 ]「 は る み や び 」は 、こ れ ま で の 播 種 適 期 と し て い る 11月 25日 の 標 準 播 に お い
て収量性、外観品質が最も優れ麦芽品質も良好である。
[キーワード]はるみやび、多収、ビール大麦、播種期
[担当部署]農産部・麦類育種チーム
[ 連 絡 先 ] 092-924-2937
[対象作目]麦
[専門項目]栽培
[成果分類]技術改良
--------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい]
ビール大麦新品種「はるみやび」は、オオムギ縞萎縮ウイルス系統(Ⅰ~Ⅴ型)全てに
抵抗性を有し、多収で被害粒の発生が少なく、検査等級および麦芽品質が良好であり、契
約対象品種に認定され一般栽培が行われる。しかし、「はるみやび」において播種期が異
なる場合の生育特性は不明である。そこで、今後、生産現場へのスムーズな導入を図るた
め、播種期別の生育特性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.「はるみやび」は、いずれの播種期においても他2品種と比較して、穂数が多く、容
積重および千粒重が同等かやや重く、整粒歩合も高いため多収である。播種期別でみる
と標準播で最も多収となる(表1)。
2.「はるみやび」の出穂期は、いずれの播種期も「ほうしゅん」より1~2日早く、「し
ゅんれい」より3日早い。成熟期は、「ほうしゅん」より1~2日遅く、「しゅんれい」
より1日早い(表1)。
3.「はるみやび」の標準播は、「しゅんれい」並に検査等級が優れ、被害粒の発生割合
も低い(表2)。
4.「はるみやび」の標準播は、麦芽総合評点が他2品種と同程度か、優れる傾向であり、
低いほど好ましいとされる麦汁β-グルカンが「ほうしゅん」と同程度であ る。 一方、
「はるみやび」のやや早播は、麦汁β-グルカンが高くなる傾向にある(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1.「はるみやび」の一般栽培へ向けた資料として活用する。
2 .「 は る み や び 」は 、こ れ ま で の ビ ー ル 大 麦 と 同 様 11月 25日 ~ 12月 5日 に 播 種 す る 。
3.やや早播は、麦汁β-グルカンが高くなる傾向があるため避ける。
-1-
[具体的データ]
表1
播種期
品種名
はるみやび
やや早播
ほうしゅん
(11月15日播)
しゅんれい
はるみやび
標準播
ほうしゅん
(11月25日播)
しゅんれい
はるみやび
遅播
ほうしゅん
(12月14日播)
しゅんれい
播種期・品種別の生育特性、収量
出穂期
成熟期
穂数
容積重
月.日
4.04
4.05
4.07
4.07
4.09
4.10
4.15
4.16
4.18
月.日
5.20
5.19
5.21
5.23
5.21
5.24
5.27
5.26
5.28
本/㎡
486
434
439
477
445
474
361
335
317
g/L
712
688
705
726
701
728
721
702
718
千粒重
g
45.3
40.7
44.4
45.5
39.9
43.9
47.3
41.8
46.2
整粒歩合
収量
%
98
96
91
98
96
96
98
96
96
kg/a
40.8
32.9
31.2
43.1
35.5
38.2
35.4
27.5
25.6
注) 1. 播種期()内は4カ年の平均播種日
2. 生育特性、収量は平成22~25年度の4カ年平均、倒伏の発生はなし
3. 目標出芽本数はやや早播および標準播で150本/m 2 、遅播で200本/m 2
4. 整粒歩合は2.5mmのふるい上の割合、収量および千粒重は2.5mmふるい上の値で、それぞれ水分
12.5%および無水での換算値
表2
播種期・品種別の外観品質および麦芽品質
検査
播種期
被害粒
品種名
等級
はるみやび
やや早播
ほうしゅん
(11月15日播)
しゅんれい
はるみやび
標準播
ほうしゅん
(11月25日播)
しゅんれい
はるみやび
遅播
ほうしゅん
(12月14日播)
しゅんれい
2等 下
2等下
2等下
2等 上
2等下
2等上
等外上
等外上
2等下
発生割合
(%)
5.7
9.0
5.0
1.8
5.1
1.6
4.5
11.6
5.0
麦芽
総合評点
67
68
71
77
73
77
78
76
77
麦汁βグルカン
mg/L
63
48
56
52
50
38
44
47
39
注 ) 1. 播 種 期 ()内 は 4カ 年 の 平 均 播 種 日
2. 外 観 品 質 は 平 成 22~ 25年 度 の 4カ 年 平 均 、 麦 芽 品 質 は 栃 木 農 試 に よ る
分 析 で 、 平 成 22~ 24年 度 の 3カ 年 平 均 値
3. 被 害 粒 発 生 割 合 は 側 面 裂 皮 粒 、 凸 腹 粒 お よ び 剥 皮 粒 そ れ ぞ れ の 発 生
割合の合計
4. 総 合 評 点 は 麦 芽 の 品 質 を 総 合 的 に 評 価 し た 点 数 で 、 高 い も の が 良 い
5. 麦 汁 β -グ ル カ ン は 低 い ほ う が 良 い
[その他]
研究課題名:高醸造適性・多収・耐病性品種の育成
予 算 区 分: 国 庫 受 託 ( 実 用 化 技 術 )
研 究 期 間: 平 成 25年 度 ( 平 成 23~ 25年 )
研究担当者:濵田美智雄、原口雄飛、髙田衣子、山口 修、甲斐浩臣
発 表 論 文 等 : 福 岡 農 総 試 研 報 33号 、 福 岡 農 林 試 研 報 1号
-2-
同左
標準
比
%
95
76
72
100
82
89
82
64
59