日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.50(2015)pp.9−24 カンボジアの熱帯環境に暴露した岩石の初期風化と 微生物侵入による影響 羽田 麻美・藁谷 哲也 Initial Weathering of Various Rock Samples Accompanied with Microorganisms under a Tropical Climate: Cambodia Asami HADA and Tetsuya WARAGAI (Received November 17, 2014) In order to clarify the processes of rock weathering in tropical climate, a field experiment was carried out for 934 days at the Angkor Wat temple in Siem Reap, Cambodia. The experiment used 50 mm-sided cubic rock samples of sandstone, laterite, tuff-breccia, marble, limestone, granite, and gabbro. Rock samples were characterized semi-annually in terms of weight loss, colour value with a soil colour-meter, ultrasonic propagation velocity, magnetic susceptibility, rock hardness, and microscope observations. After this experiment, roughness of rock surfaces and SEM-EDS analyses were carried out. Weight loss of the samples increased in the following order: laterite, tuff-breccia, sandstone, limestone and marble, granite and gabbro. No significant changes were found in the ultrasonic propagation velocity, magnetic susceptibility, and rock hardness. With regard to biological weathering, results indicate the following: (1) Microorganisms invade the surface of tuff-breccia and sandstone samples, as they have larger porosity than the other rock types. (2) The roots of microorganisms penetrate into the spaces between minerals, resulting in the weakening of rock surfaces. Keywords : field experiment, rock weathering, microorganisms, Cambodia Ⅰ はじめに 世紀の石造建築物であり,これまで遺跡の保存修復の観 熱帯気候下における岩石の風化プロセスについては研 点から,石材の劣化に関する研究が多数おこなわれてき 究事例が少なく,詳細な風化プロセスや物理的風化速度 た.例えば,石材の風化特性に着目した研究では,藁谷 については未解明である.岩石の風化速度(特に物理的 (2005a)は桃色砂岩とラテライトのスレーキング実験を 風化速度)は松倉(1996)にまとめられているように, おこない,吸水−乾燥を繰り返す環境下では桃色砂岩よ 建築年代が既知である人工構造物の風化・侵食量を用い りもラテライトの方が早く劣化することを示した.藁谷 て見積もられることが多い.しかし,これらから求めら (2007)では,遺跡を構成する砂岩ブロックの放射温度 れる風化速度は,人工構造物が数百∼数千年オーダーで 測定から,温度勾配が小さいために破壊効果は大きくな 風化・侵食を被った結果であるため,風化期間中のプロ いとしながらも,砂岩表面部での熱による膨張−収縮の セスを知ることは難しい.そこで岩石の風化量あるいは 可能性を示した.また,内田(2007,2011)は,アンコー 風化速度を求めるための方法として,岩石タブレットを ル遺跡群の石材劣化に着目し,各種測定の結果から石材 用いた野外風化実験が知られている(たとえば松倉, 強度や塩類風化,日射,生物活動等による影響を指摘し 2008).この手法は長期にわたる実験期間が必要なもの ている.さらに,石材を取り巻く風化環境との関係に着 の,特定の風化環境下における岩石の風化特性を明らか 目した例としては,藁谷(2004,2005b)による遺跡内の にできる. 温 湿 度 測 定 の 実 施 や, 石 柱 の 剥 離 深 度 測 定(Andre, 熱帯環境下に位置するアンコール・ワット遺跡は 12 日本大学文理学部地理学科 : 〒 156−8550 東京都世田谷区桜上水 3−25−40 2006;原・藁谷,2010;比企,2013)などが挙げられる. Department of Geography, College of Humanities and Sciences, Nihon University, 3−25−40, Sakurajosui, Setagaya−ku, Tokyo, 156−8550 Japan ─ 9 ─ ( 9 ) 羽田 麻美・藁谷 哲也 表 1 試験に使用した 7 種の岩石の物性値 採石地 真比重 乾燥単位体積重量 湿潤単位体積重量 間隙率 圧裂引張強度 (乾燥) (飽和) 灰色砂岩 ラテ ライ ト 斑 レ イ岩 花崗岩 石灰岩 大理石 凝灰角礫岩 シェムリアップ (カンボジア) シェムリアップ (カンボジア) 黒石山 (福島) 桧山 (福島) 秋吉台 (山口) 阿武隈 (福島) 潜ヶ浦 (宮城) Gs γ d (g/cm3) γ w (g/cm3) n (%) S td (Mpa) S tsat (Mpa) 2.68 2.28 2.40 14.75 5.94 2.48 3.15 2.32 2.56 26.27 1.70 1.16 2.暴露試験と風化程度の分析方法 3.01 3.00 3.00 0.44 18.82 16.17 2.68 2.65 2.65 1.33 14.26 13.04 2.71 2.68 2.69 1.03 10.54 8.55 2.71 2.67 2.67 1.55 3.94 4.00 2.32 0.95 1.50 59.16 0.82 0.60 を測り,重量が変化しなくなった時点を絶乾状態とみな 2.1.暴露試験 して計測した.これら測定に要した期間はおおむね 1 週 暴露試験に利用する試料は,後述する TICO やエコー 間である. チップによる測定限界を考慮して,一辺 5 cm の立方体 風化程度の測定では,重量測定は電子天秤(新光電子 供試体とした.岩石試料は,はじめにカッターを用いて AJ-620JS,実目量 0.001 g)を用いて測定した.色彩値は 立方体に整形し,その後研磨機により表面を♯ 220 の研 色彩色差計(コニカミノルタ社製 CR-200)を用いて,供 磨剤で研磨した.さらに,設置時に天面となる 1 面のみ, 試体天面の色彩値を計測した.この色彩色差計では,1 ♯ 800 の研磨剤で磨き供試体とした.このような供試体 つの色を L *,a *,b *値の 3 つの数値で表現し,L *が明度, を各岩石試料につき 2 個,計 14 個準備し,試験の出発供 a *,b *が色相と彩度をあらわす色度に対応する.この測 試体とした. 器は測定面が直径約 0.8 cm あり,測定は天面を 4 分割し 整 形 供 試 体 は, そ れ ぞ れ ス テ ン レ ス 製 ネ ッ ト( φ た計 4 ヶ所でおこなった.また,磁性鉱物の風化による 88 mm,D55 mm,メッシュ間隔 1 mm)に入れ,AMOS 変質を把握するため,帯磁率計(エキスポラニウム社製 露 場 内 の 西 側 に 置 い た 架 台(W600 mm × D240 mm× KT-9)を用いた帯磁率の測定をおこなった.測定には, H210 mm)に載せ,防鳥用ネットをかけて設置された 設置した際の底面にあたる面を除く 5 面をそれぞれ 1 回 (写真 1b).この架台は長辺が南北になるように配置さ ずつ測り,これらの平均を求めた.帯磁率の測定は,室 れており,地上からの高さは 32 cm である.設置期間は 内における磁性物質の影響を避けるため,野外試験実施 2011 年 8 月 24 日∼ 2014 年 3 月 15 日(計 934 日間)である. 場所でおこなった. 2.2.風化程度の分析方法 風化による供試体の力学的変化を示す指標として, 経時的に供試体の風化程度を知るため,試験開始前と TICO(プロセク社製)を用いて超音波伝播速度を計測し 終了後,および試験期間内の 2012 年 3 月 16 日(設置から た.この測定に使用した面は,設置した際の側面 2 面(北 205 日目) ,2012 年 8 月 3 日(345 日目) ,2013 年 3 月 16 日 面・南面)である.また,エコーチップ硬さ試験機(プ (570 日目),2013 年 9 月 3 日(741 日目)にそれぞれ供試 ロセク社製 Equotip3)を用いた反発強度を測定した.測 定には,超音波伝播速度試験に使用していない側面 2 面 体の物理的・力学的性質を分析した. 試験前・後における測定項目として重量,色彩値,帯 (東面・西面)を用いた.測定方法は,表層の風化状況 磁率,超音波伝播速度,反発強度,および表面粗さ(ラ を把握することを目的とし,青木・松倉(2004)になら フネス値)などを日本国内の実験室内で測定した.また, い単打法で 1 面につき 4 ヶ所(すなわち,1 時期の計測に 現地における試験期間中は重量,色彩値,帯磁率,超音 つき計 8 ヶ所)を測定した. 波伝播速度,反発強度の測定とマイクロスコープを用い 試験前後において,供試体表面の風化程度を把握する た表面観察などをカンボジア国内の作業室で行った.こ た め, 超 深 度 形 状 測 定 顕 微 鏡( キ ー エ ン ス 社 製 VK- の現地測定では,供試体を一時的に回収し,洗浄・乾燥 8500)を用いて表面粗さ(ラフネス値)を測定した.ま 後に重量などの各種測定項目を測定した.ここで,現地 た,試験期間中はマイクロスコープ(佐藤商事社製 MJ- の実験設備の都合上,洗浄には電気伝導度の低いミネラ 302)を用いて試料天面の観察をおこなった. ルウォーターを蒸留水の代用とし,乾燥にはドライヤー を用いた.このため,乾燥重量は定期的に供試体の重量 ( 12 ) ─ 12 ─ カンボジアの熱帯環境に暴露した岩石の初期風化と微生物侵入による影響 灰 岩 99.7 %, 大 理 石 99.8 %, 花 崗 岩 99.8 %,斑 レ イ 岩 Ⅳ 分析結果 99.9%となり,特にラテライト,凝灰角礫岩でステンレ 1.重量損失量 ス製ネット内に試料の砕片がみられる等,物理的風化の 設置時の重量を基準(100%)とし,基準値からの変化 様子が観察された.なお,砂岩では 743 日後から 934 日 を図 3 に示した.重量変化の大きい順に並べると,ラテ 後にかけて,重量が 0.25 g 増加する現象がみられた.砂 ライト > 凝灰角礫岩 > 砂岩 > 石灰岩・大理石≧花崗岩・ 岩では物理的に破砕する過程がほとんど観察されなかっ 斑レイ岩となった.実験終了時の重量(2 個の平均)は, たことから,増加の理由は本章 4 節で述べるような微生 ラテライト 98.4%,凝灰角礫岩 98.9%,砂岩 99.7%,石 物の付着によるものと考えられる. 図 3 岩種別の重量変化 注)砂岩①は 743 日目以降,表面観察のため一部カットした。したがって,以降の重量測定は欠測となっている。 ─ 13 ─ ( 13 ) 羽田 麻美・藁谷 哲也 2.色彩値 ないものと推測された. 供試体天面の色彩値のうち,本研究では L 値(明度 帯磁率の値には顕著な変化はみられなかったが,実験 を示し,黒色の 0 から白色の 100 までの 101 のデジタル 前後の値を比較すると,砂岩①で 2.71 から 2.03,砂岩② 値に分割)に着目し,その平均値の変化を図 4 に示した. で 2.71 から 2.68,ラテライト①で 0.58 から 0.53,ラテラ * 図 4 をみると,大理石,石灰岩,花崗岩,ラテライト, イト②で 0.58 から 0.56,斑レイ岩②で 45.8 から 45.2,花 斑レイ岩はほぼ横ばいに推移し,顕著な変化はみられな 崗岩②で 3.85 から 3.40,凝灰角礫岩①で 1.57 から 1.48 に い.しかし,凝灰角礫岩と砂岩については,L *値の急速 若干低下した.また,磁性鉱物をほとんど含まない石灰 な低下(すなわち黒色化)がみられる.凝灰角礫岩は設 岩や大理石では,値は 0.01 ∼ 0.02 の間を推移し,ほと 置後から L 値の低下が始まり,572 日後には全面が黒色 んど変化がみられない.しかし,その他の磁性鉱物を含 化し,以後 L 値の低下はとどまった.砂岩は,572 日以 む斑レイ岩①や花崗岩①,凝灰角礫岩②では 3 ∼ 4%程 降 L 値の低下が始まり,現在も黒色化が拡大しつつあ 度の値の増加がみられ,前述した若干の低下は測定誤差 る.これらの供試体について,実験初期(2012 年 3 月 22 範囲であることも示唆され,ほとんど変化がないものと 日)と実験終了時(2014 年 3 月 15 日)の天面の様子を図 みなした. * * * 5 に示した.なお,砂岩と凝灰角礫岩における黒色化の エコーチップ硬さ試験機による反発強度は,1 面につ 原因については,本章 4 節に述べるような微生物の付着 き計 4 時期(2012 年 8 月 3 日,2013 年 3 月 16 日,9 月 3 日, が関係している. 2014 年 3 月回収後)の測定をおこなっているが,測定後 には微小な打撃痕が残っており,同一箇所の測定はおこ 3.超音波伝播速度,帯磁率,反発強度 なっていない.測定結果からは,超音波速度と帯磁率同 超音波伝播速度には顕著な経年変化はみられず,実験 様に顕著な変化はみられず,実験中の測定値(8 ヶ所の 中の測定値を比較すると,砂岩 2573 ∼ 3550 m/s,ラテ 平均値)を比較すると,砂岩 481.4 ∼ 516.8HLD,ラテラ ライト 2410 ∼ 2980 m/s,斑レイ岩 3800 ∼ 4547 m/s,花 イ ト 228.1 ∼ 426.3HLD, 斑 レ イ 岩 793.6 ∼ 840.3HLD, 崗岩 3720 ∼ 4470 m/s,石灰岩 3650 ∼ 4470 m/s,大理石 花崗岩 833.5 ∼ 878.9HLD,石灰岩 645.9 ∼ 680.3HLD,大 3720 ∼ 4470 m/s,凝灰角礫岩 1623 ∼ 1820 m/s の間を変 理 石 548.0 ∼ 584.8HLD,凝 灰 角 礫 岩 207.4 ∼ 270.9HLD 動する値が得られた.実験期間中,大幅な速度低下がみ の間を変動する値が得られた. られなかったことから,供試体内部での亀裂等の形成は 図 4 岩種別の色彩値 L* の変化 ( 14 ) ─ 14 ─ カンボジアの熱帯環境に暴露した岩石の初期風化と微生物侵入による影響 2.微生物による風化の実態 用いて暴露実験終了後の供試体天面について,EDX によ これまで述べた微生物の付着に伴い,基物となる岩石 る面分析をおこなった.測定の結果,微生物の主な組成 にはどのような影響が及んでいるのかを検討した.すな は炭素であり,他に窒素,ナトリウム,マグネシウム, わち,微生物の侵入は岩石内部に及んでいるのか,物理 アルミニウム,微量元素としてケイ素やカルシウム等を 的風化の可能性について,卓上型電子顕微鏡(日立社製 含むことがわかった.なお,天面と供試体内部の状態を TM-1000 Miniscope)を用いて岩石表層の観察をおこ 比較するため,天面から約 6 mm 下でカットし,新鮮な なった. 岩石内部も同様の元素分析をおこなった.天面にしかみ 観察に用いた試料は,野外実験で使用した試料(凝灰 られない元素としては,微量ではあるが塩素と鉄が検出 角礫岩・砂岩)と,比較のためにアンコール・ワット遺 された.ただし,これらの微量元素は観察した面におい 跡を構成する砂岩から剥離した原位置不明の小岩片であ て一様に分布しており,微生物活動との関連はみられな る.これらの試料について,岩石カッターを用いて垂直 かった. 方向に切断し,表面から内部にかけての断面を電子顕微 鏡で確認した. 写真 6 に示した凝灰角礫岩では,微生物が厚さ 100μm Ⅵ まとめ 以上,熱帯環境における 7 種の岩石の暴露実験により, 程でマット状に付着し,微生物下部では,岩石の空隙を 侵入していく様子がうかがえた.特に写真 6b では,微 微生物活動による岩石の風化初期段階の様子が観察され 生物が侵入した際に生成されたとみられる,長さおよそ た.設置後 2 年半の実験では,物理的に岩石が破砕され 20 μm 以下の微細岩片が顕著に観察できる. るほどの風化は生じず,微生物が岩石表面に選択的に付 砂岩の内部の様子は,写真 7 に示した.野外実験に用 着し,それらが鉱物間に侵入していく.この過程では, いた供試体では,写真 7a の青枠内にみられるように, 岩石のもつ間隙率の大きさと鉱物組成が,微生物の侵入 ごく表層の40μm程度の凹みに微生物がポケット状に入 しやすさに関与している.また,微生物が岩石に及ぼす り込んでいるに過ぎない.しかし,遺跡を構成していた 影響としては,根の侵入により表層の鉱物を剥離・破壊 砂岩片(写真 7b ∼ c)では,鉱物の粒子間に微生物が入 していくという物理的風化過程が考えられた.今後は, り込む様子が観察できる.例えば,写真 7b では,大き 侵入した微生物の生物学的な特性を踏まえ,岩石風化に さ約 150 ∼ 200 μm の粒子間に,線状の微生物が侵入し, 与える影響を検討していく必要がある. 粒子間の剥離を促している.写真 7c では,厚さ 500μm 程の微生物が付着し,その微生物の内部にはおそらく岩 石表層から分離したであろう砕片が抱え込まれている. この様子は,McCarroll and Viles(1995)が論じた,岩 石の割れ目から侵入した地衣類が生息域を拡大し岩石の 破片を取り込んでいくという風化モデルに類似する.ま た写真 7d では,砂岩に含まれる雲母が剥がれ,表層を マット状に覆う線形の微生物がその雲母を抱え込んでい る様子が観察できる.これまで Andre et al.(2011)にお いてアンコール遺跡を構成する各種砂岩のうち,本研究 でも使用した灰色砂岩がもっとも耐久性が低く,それは 灰色砂岩に多く含まれる黒雲母の層状構造が一要因とし て挙げられている.写真 7d で観察された黒雲母の剥離 は,Andre et al.(2011)による結果を裏付けるものであ ろう. また,付着した微生物や周辺鉱物の化学組成を調べる 謝辞 本研究の実施に際しては,石澤良明教授(上智大学アジア 文化研究所),故片桐正夫教授(日本大学名誉教授) ,三輪悟 氏(上智大学アジア人材養成センター)をはじめとする,上 智大学アンコール遺跡国際調査団によるご支援を頂いた.遺 跡内における調査については,APSARA(the Authority for the Protection and Management of Angkor and the Region of Siem Reap)より許可を頂いた.また,日本大学文理学部地球シス テム科学科の竹村貴人先生には電子顕微鏡をお借りした.同 物理学科の橋本拓也先生には SEM-EDX 装置をお借りし,同 化学科助手の杉本隆之氏には使用方法をご教示頂いた.使用 した供試体の作成には比企祐介氏(当時,日本大学大学院理 工学研究科・院生)の,物性試験には前田拓志氏(日本大学 大学院理工学研究科・院生)の協力を頂いた.以上の方々に, ここに記して深く御礼申し上げます. なお本研究は,文部科学省科学研究費補助金(2010 ∼ 2013 年度,基盤研究 B,課題番号 22401005,研究課題:カンボジ ア・アンコール遺跡における石材の風化量の定量化とその寿 命に関する研究,研究代表者:藁谷哲也)による助成を受け た. ため,SEM-EDX(JEOL 社製,JCM-5700,JED-2300)を ─ 23 ─ ( 23 ) 羽田 麻美・藁谷 哲也 参考文献 青木 久・松倉公憲(2004):エコーチップ硬さ試験機によ る青島砂岩の表面風化層の強度把握.地形,25(4), 371-382. 内田悦生(2007):アンコール遺跡の石材と非破壊調査.物 理探査,60(3),223-234. 内田悦生(2011);『石が語るアンコール遺跡−岩石学からみ た世界遺産−』,早稲田大学出版部,254p. 朽津信明(2008):カンボジア・タ・ネイ遺跡における蘚苔 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