リスク管理体制について コンプライアンスへの取り組み

NANTO BANK
REPORT
2001
リスク管理体制について
金融の自由化・国際化の進展に伴い、銀行業務は多様化・高度化しており、信用リスク・市場関連リスク・事務リスク等、
銀行の抱えるリスクも増大してきています。
当行では、
リスク管理を経営の重要課題として位置付け、各種のリスクに対する管理方針を明確に定めるとともに、
組織および諸規定等を整備し、
リスク管理の充実・強化を図っています。
限度額の設定を行っています。
リスク限度額の設定は、
ALM
委員会において自己資本額を勘案のうえ決定され、各市場業
務において、
そのリスク限度額を遵守しながら収益の獲得に努
めています。
■リスク管理体制
外部監査
監査役会
取締役会
緊急対策会議
常
務
会
部
長
会
●用語解説
本部次長会
各種委員会
ALM委員会
システム委員会
コンプライアンス委員会
経営リスク
リスク
区分
信用リスク
市場関連リスク
流動性リスク
副主管部署
運営部署
システムリスク
法務リスク
レピュテーショナル
(評判)リスク
総合企画部
統括部署
主管部署
事務リスク
A
資産査定統括室・
審査部・管理部
L
M
室
証券国際部
事務部
システム部
証券国際部
事務部
総務部 法務室
総合企画部
営業統括部
法
令
遵
守
■VaR(バリューアットリスク)法
市場の不利な動きに対し、一定期間、一定確率のもとで保有ポートフォリオが被
る可能性のある最大損失額を計測する方法。
■BPV(ベーシスポイントバリュー)法
市場金利が1単位(0.01%)変動した場合に、保有債券のポートフォリオの現在
価値がどの程度変化するかを計測する方法
流動性リスク管理
流動性リスクとは、資金の予期しない流出等のため資金が不
足し、通常よりも著しく高い金利等での資金調達を余儀なくされ
ることなどによって、損失を被るリスクをいいます。
当行では日々の資金繰りの中で、各種の指標により厳格な管
理を行い、資金繰りの逼迫度合いに応じた機動的な対応を行っ
ています。
本 部 各 部 室 ・ 営 業 店 ・ 連 結 対 象 子 会 社
事務リスク管理
監査部署
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検
査
部
信用リスク管理
市場関連リスク管理
信用リスクとは、
お取引先の財務状況の悪化等により、資産
の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスクをいいます。
当行では、資産の健全性確保のため、営業推進部門から分
離した審査管理体制のもと、厳格な自己査定、信用格付け制度
等に基づく管理を行い、信用力を客観的に把握し、収益とリスク
のバランスがとれた与信業務を行っています。 また、将来起こりうる損失額を、統計的な手法を用いて計測
する信用リスクの計量化や、不動産担保評価システム等、
システ
ムによる審査サポート体制の充実に取り組んでいます。
さらに行員教育については、職場内教育や集合研修により
審査能力の向上を図っているほか、審査部におけるトレーニー
制度を実施し、実践的な与信判断能力を育成しています。
こうした取り組みを通じ、特定のお取引先や業種に偏ることの
ない適切な与信ポートフォリオを構築するとともに、不良債権の
発生防止に取り組んでいます。
市場関連リスクとは、金利、有価証券等の価格、為替などのさ
まざまな市場のリスク・ファクターの変動により、保有する資産の
価値が変動し、損失を被る市場リスク、
およびそれに付随する信
用リスクなどを含めたものをいいます。
市場部門の業務は、
フロントオフィス
(取引を執行する部署)
と
バックオフィス
(事務処理部署)
に分離し、
さらに市場部門から独
立したALM室がミドルオフィス
(リスクを管理する部署)
を担当し、
相互に牽制する体制としています。
市場リスクの計測方法としては、VaR(バリューアットリスク)法や
BPV(ベーシスポイントバリュー)法等複数の手法を用い、
リスクの適
切な把握に努めています。
ミドルオフィスにより定期的に計測さ
れるリスク量等は、
ALM委員会等を通じ、経営判断材料として
活用される体制となっています。
当行では、
リスクとリターンのバランスを適切に保ち、経営体力
に応じたリスクテイクとするため、半期毎に各市場業務のリスク
事務リスクとは、
役職員が正確な事務を怠ること、
あるいは事故・
不正等を起こすことなどにより、損失を被るリスクをいいます。
当行では、事務処理にかかる手続きを明確に定め、正確かつ
厳正な事務処理を通じて、
お客さまに信頼していただけるよう努
めています。
また、営業店事務のレベルアップを図るため、研修や臨店指
導を定期的に実施し、行員指導の充実に努めています。
検査体制面では、検査部により、事務の管理および処理に
関する厳正な検査と、事故防止のための指導を行っています。
システムリスク管理
システムリスクとは、
コンピュータシステムの予期しない停止、
誤作動、不備、被災等による障害や不正使用、情報漏洩などに
より損失を被るリスクをいいます。
当行では、
これらのリスクに備えてオンラインシステムの各種機
器・通信ネットワーク等を二重化するとともに、
データの外部保管
やバックアップセンターの構築を行い、万一のシステム障害やオ
ンライン停止時には速やかに業務を再開できる体制を整備して
います。
不正使用や情報漏洩の対策についても厳正な運用・管理に
より、万全な安全対策を講じています。
また、全般的なリスク管理体制の強化・充実を図るため、定期
的に外部監査を受けています。
法務リスク管理
法務リスクとは、取引上の契約について、法律的な不確実性
および法令等の遵守(コンプライアンス)違反、法務知識不足に
より損失を被るリスクをいいます。
当行では、総務部内に「法務室」を設置し、行内における法
律問題・指導等を一元的に管理し、
リスクの未然防止と軽減を図っ
ています。
レピュテーショナル(評判)リスク管理
レピュテーショナルリスクとは、風説の流布の発生等により、外
部からの評判が低下し、損失を被るリスクをいいます。
当行では、情報開示を積極的に行い経営の透明性を高める
こと等を通じて、
レピュテーショナルリスクの発生防止に努めてい
ます。
コンプライアンスへの取り組み
コンプライアンス
(法令遵守)
とは、
「法令や社会規範などのルールに適合する、遵守する」という意味です。
当行では、
コンプライアンスへの取り組み強化の観点から、
「行動憲章」
・
「コンプライアンス・ハンドブック」を制定し、遵守すべき指針・
基準を明確に規定しています。
また、
コンプライアンスの実践計画として「コンプライアンス・プログラム」を策定するとともに、各営業店においてコンプライアンス・オフィ
サーを任命し、
その周知徹底を図っています。
今後も、
お客さま・株主・投資家の皆さまから、
よりご信頼いただけるよう、
コンプライアンスを重視した企業風土を醸成し、経営の健全
性の維持・向上に努めてまいります。
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