インターネットコミュニティの現実空間の地域活動へ及ぼす効果に関する研究 −千葉県松戸市六実地区での取り組みを事例として− 建設工学専攻 506054 萩野 正和(はぎの まさかず) 都市計画研究 指導教員:志村 秀明 メンバー数が 478 名である。そのトップページは A ∼ 1. はじめに G の7つの機能から成る。(図 2) 1-1. 研究の背景と目的 2-2. ネット上での活動状況 近年、IT は社会や経済の基盤となり、情報の大量蓄 「六実人」は主に「書き込み」による活動を行っている。 積や情報交換は容易となった。まちづくりに関心の高く ない人を活動に巻き込むようなツールとして大いに期 「書き込み」の合計は、約 2 年間で 1300 件に達している。 待され、地域のまちづくりにおいても情報化が進んでい (図 3、4) 2-3. 小結 る。既存のコミュニティが活動を活気させるまちづくり 「六実人」のメンバーが、六実地区に関する情報発信・ の情報交換の取組みの一つの手法としてインターネット 交換や意見交換のテーマを出している。六実地区に関す を用いる取組みは幾つか報告されているが、SNS(Social る自由意見交換の場としての IC として成立している。 Network Service) のようなインターネット上で発生した 3. ネット上での実験 コミュニティから、現実空間の地域活動に及ぼす効果は 本章では「書き込み」の内容にある程度の責任が発生 未だ明らかにされていない。 本研究では、インターネットコミュニティ(以下 IC) する市民参加型の実験を行う。 3-1. アンケート を使用して、インターネット上(以下ネット上)から現 居住地域と閲覧頻度を問うアンケートを行った。延べ 実空間の地域活動への展開を実験し、現実空間の地域活 回答者数は約 20% であった。1) 動への IC が及ぼす効果について明らかにすることを目 3-2. 「実ぽいんとクエスト!」 的とする。 アメブロ、Google マップを利用した情報地図づくり 1-2. 研究の方法 である。「書き込み」はほとんどなかった。2) 研究の方法と構成を図 1 に示す。IC として「六実お 3-3. 閲覧状況 もてなしコミュニティ 六実人(むみんちゅ)」 (以下「六 ɮʽʉ˂ʗʍʒ˨ းሳᩖ ᾁᇘ ᾅᇘ 閲覧者数をカウ 実人」 )を使用する。ネット上での実験、現実空間での ɮʽʉ˂ʗʍʒ ɮʽʉ˂ʗʍʒ ɽʩʯ̝ʐɭ ɽʩʯ̝ʐɭ ントする実験を 対面実験、非対面実験の一連の実験を行う。 Ȉф̷ȉ Ȉф̷ȉ 行った。1 ヶ月間 研究で使用する SNS は、mixi(ミクシィ)と呼ばれ で 90 人が閲覧し る民間のインターネットサービスを使用する。 ф̷Ɂɒ ф̷ᴨğ ф̷Ɂɒ ᾃᇘ ᾃᇘ ᾁᇘ ていた。3) 1-3. 千葉県松戸市六実地区の概要 ߦ ߦ ᬂ ᬂ ๊ ᮷ 六実地区は、松戸市の東端に位置する面積 310ha、 3-4. 小結 Ӧ ᾄᇘ ᾂᇘ ᾂᇘ 人口約 3 万人の昭和 40 年頃に開発された住宅地である。 個人的な情報に ߦ ߦ ᬂ ᬂ 関わる、またまち 2.「六実人」の概要 ᮷ ᮷ づくりに参加する 本章では「六実人」の概要と活動状況を把握し、利用 テーマなど「書き 頻度を明らかにする。 ᒲႏ Ҥ᪅ ߦᬂ ߦᬂ ϲᜊ ԦЄ ষڨᄉαȻষڨˁ̬૰ ᚐӦ 込み」の「責任」 2-1. 内容・規模 ՎӏᚐӦɁሗ᭒ 図 1 研究の方法と構成 「六実人」は、実験者が 2006 年 1 月に設置し、現在、 が発生するような ˁɮʣʽʒ ˁૡᇉȻɽʫʽʒɥҟႊȪȲ ǽষڨᄉαǾ̬૰Ȼ̬૰ ˁ๊Ӧ ˁ Ȉф̷ɲɽ ǽȮȶȤɦȉ ǽᥓࢎኄ ˁɬʽɻ˂ʒ ˁ ȈɐȗɦȻ ɹɲʃʒᴞȉ ˁф̷ʃʐʍ ɵ˂ᥓࢎ ˁᩣᜄม ɽʩʯʕʐɭɁകᛵ ǽᩒᜫஓǾከျ̷Ǿɵ ʐɾʴǾʫʽʚ˂ୣǾ Վӏస͔Ȼуᩒʶʣʵ ኄɁɽʩʯʕʐɭɁᝊ ጯȟ᚜ᇉȨɟȹȗɞǿ ᴥ˩َՎྃᴦ ᩒܿఙ ᴾ ᴿ ²°°¶®±®±´ ᤆ؆ఙᩖ ·±°ஓ ከျ̷ ᕯඩ֪ ɵʐɾʴ˂ ٥ڒ ɽʩʯʕʐɭю ʁʱ˂ʒɵʍʒ ǽʒʍʡǾʒʞʍ ɹǾɮʣʽʒǾɬ ʽɻ˂ʒȽȼ˿Ƚ ൡᑤɋɁʁʱ˂ʒ ɵʍʒȺȕɝǾɹ ʴʍɹȬɟɃյȁ Ɂʤ˂ʂȟ᚜ᇉȨ ɟɞǿ ʫʽʚ˂ୣ ´·¸̷ Վӏస͔Ȼ ከျ̷Ɂ уᩒʶʣʵ ੪ᝓȟ॒ᛵ ᴥуᩒᴦ ʒʞʍɹ ከျ̷ˁ ͽɁ൏᪅ Վӏᐐȟ ͽȺȠɞ ɽʩʯʕʐɭɁ ʉɮʒʵ ʒʞʍɹǽᴷǽ ¶³ ɮʣʽʒǽᴷǽ ɬʽɻ˂ʒᴷ ᴵ ᴯ նǽǽǽǽᴷ ంȠᣅɒնᴷ ᵁ ǴంȠᣅɒю߁ 㪉㩼 㪊㩼 ఊষڨ ɽʩʯʕʐɭˢᜄ ǽటɽʩʯʕʐɭȻʴ ʽɹɥȪȹȗɞɽʩʯ ʕɭȟ᚜ᇉȨɟɞǿ႕ 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各実験の結果から、実験者とつながりのある者の参加 が目立ち、現実空間での活動への展開は難しい。(図 6) 現実空間の地域活動には匿名性が確保されないと展開し づらいことがわかった。IC は間接的に現実空間のコミュ プライバシーや匿名性が確保されないため、参加が消極 ニティを強化することがわかった。 であると推測できる。 補注 :1) 居住地域(2007 年 9 月 21 日設立、回答者数 65 人)閲覧頻度(2007 年 5. インターネットコミュニティの非対面実験 11 月 20 日設立、回答者数 20 人 ) を尋ねる2つのアンケートを実施した。 本章では前章の結果から、現実空間で匿名性を保てて、 2) アメブロにコメントの 4 件が 2007 年 11 月 3 日に書き込まれたのみである。 3) 実験者のページのアクセス数を採取した。 「六実人」のメンバーのみに広報する非対面の配布実験 ՎӏᐐɁࠖॴȻ᮷ᐐȻɁȷȽȟɝɁི յ᮷Ɂ ߦǽᬂǽǽ᮷ ф̷ ٥ͳڒ ȰɁͅ Վӏᐐୣ ᴥَᴲȻߦख़Ǿ᮷ஓᬲᴦ ི ི ི を行い、その影響を明らかにする。 ° ´ ° ° ° ° ´ ф̷ʡʋਢᝬ͢ 5-1. 六実人エコせっけんの配布等の実験 ቼᴮوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ³ ° ° ° ° ° ³ 「六実人エコせっけん」の配布と募金、廃食油の回収 ± ф̷ʞɹʕʍɹ ² ² ° ° ° µ の実験を 11/3 ∼ 12/3 まで行った。結果は、「六実人 ቼᴮوф̷ਢᝬ͢ µ ° ° ° ° ° µ エコせっけん」は計 17 個、募金は計 410 円、廃食油 ቼᴯوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ³ ° ° ° ° ° ³ ± ° Ʌɑɢɝɲɽʡʷʂɱɹʒ ² ° ° ² µ は計 0 ℓであった。(図 7 ①) ± ° ɐȗɦȻɥᅺɠșᴞȷȤɛșᴞ ± ° ´ ° ¶ 5-2. 六実人ステッカーの配布実験 ± ɐȗɦȻȺᤅɏșᴞ µ ° ° ´ ° ±° 「六実人」の証として「六実人ステッカー」の配布を µ ° ° ° ° ° µ ቼᴰوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ 11/28 ∼ 12/10 まで行った。結果は、計 42 枚の配布 ቼᴱوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ´ ° ° ° ° ° ´ を確認した。(図 7 ②) նǽ ³µ µ ±° µ° 5-3. 小結 図 6 対面実験の参加者内訳結果 ḧǽ±±¯ᴰᵻ±²¯³ 今回の活動には一定の参加があったことから、匿名性 Ḩǽ±±¯²¸ᵻ±²¯±° ḧ ф̷ɲɽȮȶȤɦ が確保されれば現実空間へ活動が展開すると言える。 µ° ±² ±·ρ ᥓࢎୣ ᩜᣵɽʫʽʒୣ ±´͔ 6. 各実験過程の現実空間コミュニティ ḧ ф̷ӭᦂ ḧ ࣔ᭥บوՖ ±° ´° ᥓ 本章では、各実験を通じての活動主体である「六実人」 ᩜᣵ °ᵉ ´±°я ࢎ Ǵ ф̷ʡʋਢᝬ͢ ²°°·®°¶®°µ Ʌɑɢɝɲɽʡʷʂɱɹʒ ²°°·®±±®°³ ̙֖ ᭬᭥ࣆȺʬʃʚ˂ɶ˂ ɁᒵȾᩜȪȹɁᝈȪ նȗɥᚐȶȲǿ Ǭ ቼᴮوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ²°°·®±°®°¸ ɐȗɦȻɥᅺɠșᴞȷȤɛșᴞ Ǫ ²°°·®±±®°´ Ǵ ɐȗɦȻȺᤅɏșᴞ ²°°·®±±®±± ̙֖ ֖ڨ фୈȺǾȝᔪɗȝ ᕔފɥႊȪȹǾᝬᝈ ȪȲǿ ቼᴮوф̷ਢᝬ͢ Ǵ ²°°·®±°®±³ ቼᴰوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ²°°·®±±®²³ ̙֖ ֖ڨ ቼᴯوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ²°°·®±°®²· ቼᴱوфɹʴ˂ʽ๊Ӧ ²°°·®±²®±¶ ̙֖ ֖ڨ Ǵ ɮʣʽʒ᮷ Ǭ ๊Ӧ᮷ ̙֖ Ȉф̷ȉюȺ๊Ӧ̙֖ ° ± µ ๊ǽӦ dz ʗʍʒ˨Ɂ๊Ӧ Ǫ Ǵ ߦᬂ᮷ᴪɮʣʽʒ ±° ±µ ²° Ǭ ߦᬂ᮷ᴪ๊Ӧ ȷȽȟɝɁȠȶȞȤȻ ȽȶȲ๊Ӧ ైੑࢍम ᶱ ɐ ȗ ɦ Ȼ ɹ ɲ ʃ ʒ ᴞ ᶲ Ƿ ʗʍʒ˨Ɂ᮷ Ǭ ߦᬂ᮷ᴪ๊Ӧ DZ ߦᬂ᮷ Ǫ Ǭ ֖ڨȈф̷ȉюȺ๊Ӧ֖ڨ 図 5 対面実験の概要 ф٥Ԗ ͳɁ Ѿ ˿Ͷ ጳ̿ ɬʵʚɮʒ аɁ͓ᩖ µ̷ ԛᕹޙ۾ ٥ЫɁ ޙ۾ႆ ф٥Ԗ ͳɁȁ ³̷ Ǫ ߦᬂ᮷ᴪʹ˂ɹ ʁʱʍʡ dz ʗʍʒ˨Ɂ๊Ӧ Ǫ ʹ˂ɹʁʱʍʡ ǽਢᝬ͢ ǽՎӏᐐ ´̷ ᮷ᐐ Ǭ Ǭ ф٥Ԗ ͳɁ ° Ȉф̷ȉ Ǫ ɑȷȼࢍ๊Ӧ ɿʧ˂ʒʅʽʉ˂ ³° 図 7 非対面実験の結果 ̙֖ ֖ڨ фୈȞɜඬȗȹǾ ɐȗɦȻࡼɝɥȪȽ ȟɜɾʩથȗɥᚐȶȲǿ ²° ᷢ ²µ Ȉф̷ȉȻɁᣵଆ˿Ͷ Ǫ Ǭ Ǭ ρ ˁ µ¶͔ ±° ᮷ஓୣᴥஓᴦ ̙֖ ֖ڨ ̙֖ ֖ڨ ୣ ³° ᷡ ´² ² ̙֖ ֖ڨ фȨȢɜᣮɝȞɜф ᮟɑȺɁᤍȺɾʩથ ȗɥᚐȶȲǿ фȨȢɜᣮɝȺɾʩ થȗɥᚐȶȲǿ Ѿ Ḩ ф̷ʃʐʍɵ˂ ᥓࢎୣ ᩜᣵɽʫʽʒୣ ʋ˂ʪɁɐȗɦȻ 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