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【全訳】
首都直下型地震
政府が被害半減へ対策
政府は、今後起こりうる首都直下型地震の影響をおおむね半減させることを目標に定
め、耐震や防火の方策を今後 10 年間で推進していく。
ここでの目標は、首都直下型地震に関する緊急対策を推進するための政府の基本計画
への変更点として規定された。火曜日の閣僚会議で、政府はこの変更点を承認した。
政府は現在のところ、首都直下型地震が起こった場合、最悪のシナリオでは死者が約
2 万 3000 人、全壊・焼失する建物が約 61 万棟と算定している。
政府はこの想定される被害規模を半減させるために、住宅の耐震化や、地震の際に自
動的に電力供給を停止させる感震ブレーカーの設置などを推進していく構えである。ま
た、首都機能を維持するために各省庁には食料や水などの物資を備蓄することも計画し
ている。
各省庁や大地震による被害が予測される自治体は今後、基本計画に沿って防災対策を
進めていく。
2011 年の東日本大震災を受けて、政府の中央防災会議は 2013 年 12 月に東京直下型
地震によって起こる被害想定を新たに行った。14 年 3 月には、火災防止策などを柱とし
た緊急対策推進基本計画を政府は公表した。
今回の基本計画に対する変更には、想定に基づいて大地震の被害を減らすための数値
目標が含まれている。
この基本計画は、東京都心南部においてマグニチュード 7.3 の直下型地震が、家庭に
おける火気の使用が多い冬の夕方に起きたという想定に基づいている。この想定によれ
ば、 (3)住宅や他の建物の崩壊で約 6400 人が亡くなり、また都心部を囲む木造住宅が密
集した地域の大規模な延焼で人々が逃げ場を失い、さらに約 1 万 6000 人が死亡すると
見られている。
死者数と全壊・焼失棟数を半減させるため、政府は 2008 年に約 79%だった都内の耐
震化した住宅の割合を 2020 年までに 95%に引き上げることを計画している。
また、政府は木造住宅密集地域を中心とする市街地を 2020 年度までにほぼ解消する
ねらいである。そうした密集地は大地震の際、特に危険性が高い。
加えて、木造住宅の多い地域で感震ブレーカーを設置した世帯の割合を 2024 年度ま
でに 25%とすることを目指すとした。
この基本計画のもと、消火や救命救急活動を円滑に行えるよう、政府は 2018 年度ま
でに各自治体などの緊急消防援助隊の数を 6000 隊に増強する構えである。同援助隊は、
昨年の段階で全国に 4600 隊あった。
石油コンビナートや化学工場における火災にも対応できる特殊部隊も、2018 年度まで
に 12 隊編成されることになる。
中央防災会議の首都直下型地震の被害想定計画に携わった、東京経済大学名誉教授の
吉井博明氏は、
「耐震化した建築物を増やしたり木造密集地域を解消したりするには、時
間も予算もかかる」と述べている。