光電気化学ファイバーセンサの開発

光電気化学ファイバーセンサの開発
(富山大院理工(理)) ○今井 健一郎 ・岡崎 琢也 ・波多 宣子 ・田口 茂 ・倉光 英樹
緒言
実験
◆新規センサデバイスに求められる条件
電気化学測定条件
◆光電気化学ファイバーセンサの概略
• 高い選択性による検出
クロノアンペロメトリー
• 遠隔地からの連続的なモニタリング
高電位:0.5 V
低電位:-0.5 V
ポテンショスタット
環境分析における重要な技術課題
放射性廃棄物からの浸出水
光ファイバー
分光測定部
光源
本研究での目的と戦略
◆対象物質
◆分光電気化学測定法を検出原理としたセンサの開発
センサ部拡大図
電気化学的な酸化還元反応で生じる光吸収特性の変化を測定
メチレンブルー
白金電極
銀-塩化銀電極 (対電極)
金メッシュ
(参照電極)
(作用電極)
二元の情報による高選択性を持つ分析法
◆光吸収特性の測定に光ファイバーを導入
⇄
酸化体(λmax = 600 nm)
還元体(無色)
時計皿
透過性電極
エバネッセント波
フェロシアン化物イオン
クラッド部
コア部
• 試料容量が少量
• 光路長の自由な設定
光化学特性
試料
• 遠隔地からのモニタリング
通過する光
試料
還元体
光ファイバー
露出したコア部分
酸化還元反応による光吸収応答の変調から目的物質を検出
電極表面での化学種の変化 (酸化還元反応)
◆酸化反応によるフェロシアン化物イオンの光吸収変化
◆還元反応によるメチレンブルーの光吸収変化
98
クロノアンペログラム
印加電位:-0.5 V
電解時間:60 sec
0
100
time
500
600
700
wavelength / nm
800
Transmittance / %
99
0 sec
400
10 20 30 40 50 60
time / sec
98
97
96
0
50
100
150
200
250
0 sec
クロノアンペログラム
印加電位:+0.5 V
電解時間:60 sec
0
95
time
90
300
400
500
600
wavelength / nm
10 20 30 40 50 60
time / sec
100
60 sec
300
600 nmにおける透過率変化
95
100
-0.05
-0.10
-0.15
-0.20
-0.25
-0.30
-0.35
-0.40
-0.45
Transmittance / %
60 sec
測定試料 : 0.25 M
Current / A
100
0.030
0.025
0.020
0.015
0.010
0.005
0.000
Transmittance / %
Current / A
Transmittance / %
測定試料 : 10 µM
94
酸化体(λmax = 420 nm)
放射性廃棄物のモニタリングトレーサーとして利用
結果と考察
96
[Fe(CN)6]3- + e-
放射性セシウムの凝集沈殿法で用いられる。
エバネッセント波を利用する検出 (ATR)
電気化学特性
⇄
[Fe(CN)6]4-
700
416 nmにおける透過率変化
98
96
94
92
90
88
0
10
酸化還元反応による光吸収の変化を光ファイバーで測定することが可能
0
100
200 300
time / sec
400
10
5
検出限界(3σ):0.2 µM
0
0
20
40
Concentration / µM
60
100
98
96
94
92
90
88
0.04 M
0.08 M
0
100
200 300
time / sec
400
⊿Transmittance at 416 nm / %
75
y = 0.3356x
R² = 0.9985
Transmittance at 416 nm / %
80
⊿Transmittance at 600 nm / %
Transmittance at 600 nm / %
85
5.0×10-6 M
1.0×10-6 M
20
15
50
60
◆フェロシアン化物イオンの透過率変調と検量線
5.0×10-5 M
1.0×10-5 M
90
40
1分間の電解により吸収スペクトルの変化が平衡に達した(最適な電解時間)
◆メチレンブルーの透過率変調と検量線
95
30
time / sec
time / sec
100
20
0.125 M
0.25 M
y = 41.468x
R² = 0.9931
10
5
検出限界(3σ):1.6 mM
0
0
0.1
0.2
Concentration / M
メチレンブルー・フェロシアン化物イオン共に濃度に応じた透過率の変調が得られ、連続的なモニタリングが可能な分析法である。
まとめと今後の展望
•
光ファイバーを用いた新規光電気化学センサを開発し、メチレンブルー・フェロシアン化物イオンの検出を行った。
•
コア部分へ対象物質を濃縮する膜を修飾し、更に高感度な検出、モニタリングが可能なセンサへと改善していきたい。
0.3