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第
第4
4回
回
平成 27 年
明治大学心理臨床センター共催
10 月 23 日(金)~25 日(日)
23 日:10:00~17:00(受付 9:30~)シ
シン
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修復
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※初日終了後、懇親会あり
講義
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基礎
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24 日 9:00~18:00/25 日 9:00~16:00 ※初日と2・3日目は会場が異なります
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24
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25
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日::技
技術
術研
研修
修会
会・・演
演習
習
幼児期に虐待などの不適切な対応を受けた子どもたちや、発達段階に沿わ
ない不適切な環境で育てられた子どもたちのアタッチメントは、非常に歪め
られた形で形成されていきます。また、こうした子どもたちは、多様な行動
上の問題を起こし、家族や集団で生活を営んでいく上で、大きな苦しみを抱
えることになります。アタッチメントに問題を抱える子どもたちに対する治
療・支援は、日本ではまだ十分確立されておらず、非常に大きな問題の一つ
でもあります。
アタッチメント障害の子どもたちに対する取り組みで日本よりはるかに先
を行くアメリカでは、A t t a c h m e n t T r e a t m e n t & T r a i n i n g I n s t i t u t e ( A T T I )
で行われている修復的愛着療法が大きな成果を上げています。修復的愛着療
法とは、アタッチメント理論とトラウマ治療、そして家族療法を柱とした
様々な手法を統合したものです。2 週間の集中治療で、アタッチメント対象
となる養育者への支援と心理教育、治療的介入から始め、子ども本人への治
療的介入を行います。豊富な臨床経験を持つ、リヴィー博士とオーランズ心
理士の、ユニークで愛情あふれるアイディアが盛り込まれた素晴らしい治療
方法です。
ATTI のリヴィー博士・オーランズ心理士を招いての日本でのワークショ
ップは、2008 年名古屋、2010 年神戸、2012 年埼玉で開催され、大き
な反響を呼びました。今回は 4 回目となり、明治大学心理臨床センターとの
共催で開催されます。初日のシンポジウムでは、アタッチメントの観点から
の児童虐待の心理治療と援助者・養育者支援にいち早く着目し日本に修復的
愛着療法を紹介した日本社会事業大学の藤岡孝志教授と、アメリカでの最先
端の治療・支援方法および理論を日本に紹介し続けているヘネシー澄子博士
をお招きし、「修復的愛着療法の臨床的応用」についてディスカッションを
行います。その後、リヴィー博士より、「修復的愛着療法の基礎講座」と題
し、具体的な事例を通じてのご講義をいただきます。ヘネシー博士にはわか
りやすい日本語訳に解説を加え、皆さまの質疑にお答えいただきます 。 2 日
以降のワークショップでは、実際の治療場面での臨場感あふれるビデオ学習
や実践的な実技演習を交え、修復的愛着療法の全体と具体的なスキルの習得
を目指します。全日程参加の修了者には、ATTI 発行の修得証明書をお渡し
します。児童虐待を受けた子どものアタッチメント障害への治療だけでなく、
養育者支援の知識とスキルが含まれた内容は、子育て支援や保育などの領域
でも役立つことと思います。この機会に、ぜひ体感してみてください。
主催:修復的愛着療法研究会
共催:明治大学心理臨床センター
会場
23 日
明治大学グローバルフロント
1階 多目的室 (定員250名)
24・25 日
明治大学猿楽町校舎
心理社会実習室 (定員60名)
●詳しいアクセスは専用 HP にてご
確認下さい。
参加費
23 日のみ 8000 円
3 日間 35000 円
懇親会
4000円
専用 HP (ホームページ)
http://pomr.jp/attijapan2015/
解説:愛着障害の治療をめぐる状況と修復的愛着療法
Bowlbyがアタッチメント理論を提案してから、学術研究の領
域と臨床実践の双方の領域で、アタッチメント理論に関する
様々な発展が遂げられてきています。例えば、ストレンジ・シチ
ュエーション法での乳児のアタッチメント分類、成人のアタッ
チメントの研究、そして虐待などの不適切な養育を受けた子ど
ものアタッチメント研究です。これらの研究の中で得られた成
果をもとに、臨床的応用がなされ、様々なアタッチメントの観
点からの心理治療や支援方法が考案・実践されています。
しかしながら、アタッチメント療法の一部には、危険が伴い
禁止されているものもあります。「愛着療法」は、愛着障害の
治療を目的とし、1960.1970 年代に主に、クライン博士とエ
ヴァグリーン市の愛着センターの関係者によって作られ、全米
に広がりました。しかし、子どもが再誕生(Rebirthing:毛布
にくるまれ、大人何人かの重さに抗って生まれ直す)を伴う集
中的愛着療法中に窒息死したり(2000 年)、11 人の養子の
多くがホールディング・セラピーを受け、家庭では檻で寝かされ
る愛着療法ペアレンティングを受けていたケースが摘発されま
した(2005 年)。そのため、
ホールディング・セラピーや、マ
ッサージ、くすぐり、食物・水分
摂取に関わる罰、アイコンタクト
の強制、大人によるコントロール
への完全服従、通常の社会的関係
の遮断など、強制的で拘束的ある
いは嫌悪的な手続きが批判されて
います。例えば、2 州で再誕生が
禁止され、コロラド州でも緊急時
以外はセラピーにおいて拘束を用
いることを禁止しています。こう
した「愛着療法」に対する反愛着
療法キャンペーンもあります。
修復的愛着療法とは -
このような強制的で死亡事故を起こした「愛着療法」とATTI
における修復的愛着療法は、両機関とも同じエヴァグリーン市
にあり名前も似ていますが、全く別のものです。
リヴィー博士、オーランズ心理士は、修復的愛着療法と修復
的愛着ペアレンティングを、トラウマ、ファミリー・ダイナミ
クス、子どもの発達、生物学と脳研究、愛着理論の領域からの
考え方と方法論を結合して作りました。彼らは強制と服従を用
いる実践には明確に反対しています。彼らが1989 年に共同設
立した親と専門職による国際的な団体ATTACh(Association
for Treatment and Training in the Attachment of
Children)は、「愛着障害をもつ子どもたちが非常に挑発的な
行動を示すのは、深い恐れと恥への防衛的な反応であり、強制
的な介入を用いる根拠は一切ない。情動を扱うためには、条件
付けられた情動反応を活性化することが必要だが、大人はサポ
ートの源であるという感覚を促進し、個人の対処能力を越えな
い方法でのみ行う」という姿勢をはっきりと示しています。
ヘネシー博士は、「愛着療法」と修復的愛着療法の違いを次
のようにまとめています(私信より抜粋、一部改変)。クライ
ン博士による愛着センターの治療法は、①子どもの治療が中心
で、複数のセラピストが1人の子どもに関わり、家族はセラピ
ーに参加しない、②家族は1週間ほどで自分の家に帰り、子ど
もは6ヶ月から1年ほどセンターで治療をうけ、治療里親宅で
寝起きする、③セラピーの過程で、何人かのセラピストが子ど
もを動けないように押さえて、感情を出させ、子どもに直接対
決する。④まず子どもをトラウマから解放しなければ、新しい
愛着関係を作り直すことができないと考える、という特徴があ
ります。
当初、愛着センターでセラピストとして働いていたオーラン
ズ心理士は、子どもを押さえつけ怒鳴りつけるやり方に満足せ
ず愛着センターをやめ、家族療法家のリヴィー博士と共に、ア
タッチメント理論とトラウマ理論、そして家族療法を統合させ
た修復的愛着療法を編み出しました。その柱となる考え方は、
①子どもの治療でなく、家族と子どもの相互の愛着関係の作り
直しに焦点を当て、治療里親は使用しない、②家族全体を治療
の対象とする、③まず夫婦システムを子どもがアタッチメント
しやすい良いチームにするために、夫婦間の愛着を深めるコミ
ュニケーションと、より効果的なペアレンティングを教える、
④両親一人ひとりの生育歴を聴き、その親との愛着関係を事前
調査し、そこに問題があればまずその親を治療しエンパワーす
る、などです。
修復的愛着療法で用いる技法の一つに、「養護的抱擁過程
(Nurturing Holding Process=NHP)」があります。NHP は、
ソファに座った同性のセラピストのひざの上にクライエントを
横たわらせ、頭を枕で支え、右手をセラピストの背に回し、左
手を自分のおなかに置かせる形で実施されます。セラピストは
優しくその左手を包む格好になり、自然にアイコンタクトがで
きます。これを赤ちゃんが抱かれた姿を再現した「養育の抱き
方」と呼び、クライエントに説明します。これは、クライン博
士らの「愛着療法」とは異なり、クライエントの同意と協力が
得られなければ行いませんし、その過程でも決して力による強
制や制限は行いません。クライエントはいつでも体を起こすこ
とができ、抵抗を感じれば自由にやめることができます。身体
的拘束はもちろん、羽交い締めにしたり、強く抱きかかえたり
することもありません。乳幼児が母親に抱かれる形と、アタッ
チメントを深める「アイコンタクト」「抱擁する人の優しい顔」
「優しいタッチ」を再現します。セラピストがNHPを実施する
中で、自分が赤ちゃんのときにすぐに愛情を持って応えてもら
えなかった歴史にクライエントが気付き、悲しみなどの否定的
感情を表現したら、すぐ
にセラピストと交代して
現在の養育者に抱擁させ
る(感情をコントロール
する右脳と大脳辺縁系が
刺激され子どもが「傷つ
き易い」状態になり、ア
タッチメントの修復がで
きる最適のときに、子ど
もが養育者とアタッチメ
ントを深めることができ
る)ようにします。
また、トラウマ理論と治療の観点
を導入し、心理劇を用いたトラウマ
の治療を行っています。熊のぬいぐ
るみを使って傷ついたクライエント
の頃の自分を成長した自分が守り癒
すことから始め、別のセラピストが
クライエントを傷つけた実親になっ
てトラウマの場面を演じます。クラ
イエントはセラピストに抱擁されて
守られながら、小さい自分である熊を守りつつ実親と対決しま
す。心理劇はそこで終わらず、実親たちが魔法の杖で「良い親」
となって再登場し、クライエントに謝り、クライエントは本当
に言いたい思いのたけを実親に向けて言ったあとで親を許すと
いう、象徴的プロセスを演じます。また、クライエントがどん
なことをされても実親に対してもち続けている愛情を無視せず、
「私の心の中に実親に対する愛の場所を残していていいか?」
と現在の養育者に尋ねさせます。養育者は「もちろん」とその
気持ちを認め、ここで「里親に忠実なら実親を拒否しなければ
ならない」という「忠誠心の葛藤(loyalty conflict)」に陥らない
よう配慮します。
修復的愛着療法も含めた愛着療法全般に対して、「愛着理論
や科学的な診断と方法に基づかない治療」という批判もあるよ
うです。しかしながら、修復的愛着療法に関する効果研究もな
されており、日本でも修復的愛着療法の実践と臨床的応用に関
する学術的研究が積み重ねられてきています(藤岡、2002
/2003/2005/2007ほか)。診断においても、修復的愛着療
法では独自に作成した50 項目からなる徴候チェックリストを用
いていますが、医学的診断を無視しているわけではなく、効果
研究がなされた50 人の子どものうち92%は治療前にすでに反
応性愛着障害の診断がついている、という結果が出ています。
心理教育やセラピーの内容は愛着理論に沿っており、 修復的愛
着療法を「アタッチメント理論を応用した治療・介入」と 位置づ
けている研究者もいます (井上直美
2006 より抜粋)。
講師紹介
テリー・M・リヴィー
心理学博士
ブリッジポート大学心理学科
で学士課程を終了後、フロリ
ダ州マイアミ大学で臨床心理
学を専攻して1969年に修士
号を1972年に博士号を取得
した。1980年から4年間南
フロリダ州ノヴァ大学心理学科の助教授として家族組
織理論とセラピーの援助技術を教えた。
現在は、愛着療法を専門とするアタッチメント・トリ
ートメント・アンド・トレイニング・インステイチュ
ート(ATTI)をオーランズ氏と開設して愛着障害児と
実親・里親・養親との愛着の絆の修復と「癒しの親業」
の教育を2週間の集中治療で行っている。世界各国から
治療を望む家族が子どもを連れてATTIを訪れ、1985
年から現在までに1000余の家族と子どもの治療を行
った。2010年に来日した際には日本人夫婦への治療
的面接を行い、エヴァーグリーンにおいても日本人親
子への愛着の修復に成果をあげている。
著書には「愛着・トラウマとその癒し」「愛着障害ハ
ンドブック」「癒しの親たち:里親と養親家族で安定し
た愛着を築くために」などがある。
ヘネシー澄子先生
クロスロード・フォー・
ソーシャルワーク社 所長
東京福祉大学名誉教授 社会福祉
学博士 臨床ソーシャルワーカ
東京外国語大学仏語科卒業後、
ニューヨークのフォーダム大学で社
会福祉学修士号を、コロラドのデン
バー大学で博士号を獲得する。
東京福祉大学で実習担当主任教授、コロラド州オーロ
ラ市に在住して、アメリカの最新援助技術を日本に紹
介するクロスロード・フォー・ソーシャルワーク社を
夫と共に立ち上げ、日本の児童福祉に携わる人達の研
修を日・米両国で行っている。
著書には反応性愛着障害を書いた「子を愛せない母・母
を拒否する子」と子どもとトラウマを書いた「気にな
る子・理解できる・ケアできる」がある。
お申し込みについて
スケジュール
1日目 10/23(金) 10:00~17:00 シンポジウム「修復的愛着療法の臨床的応用」
シンポジスト1 藤岡孝志(日本社会事業大学社会福祉学部教授)
シンポジスト2 加藤尚子(明治大学文学部准教授)
1日目
定員250名
シンポジスト3 濱田祥子(明治大学文学部専任講師)
2・3日目 定員60名
※1日目のみ参加、もしくは3日連続
コメンテーター ヘネシ―澄子(社会福祉学博士)
参加のどちらかでご参加ください。
講義「修復的愛着療法の基礎知識」テリー・M・リヴィー(心理学博士)
2日目 10/24(土) 9:00~18:00 技術研修会&演習 リヴィー博士/ヘネシー博士(日本語通訳あり)
講義「癒しの親たち」 講義とDVD「愛着を深めるコミュニケーション」
人生脚本の演習
講義とDVD「親業を教える」
*実際の治療場面を DVD で確認しながらの実践的な学びができます。
3日目 10/25(日) 9:00~16:00 グループ演習 「心の中の傷ついた子どもの自分を癒す」
リヴィー博士/ヘネシー博士(日本語通訳あり)
お申し込み方法
①~⑤の項目に沿って、必要事項をご記入のうえ、メール、または FAX にてお申し込みください。
①参加者氏名(漢字にふりがなもお願いします)
②所属先と職種
③返信用メールアドレス
④電話番号
⑤希望コースを A〜D から選び、アルファベットをご記入ください。
A(初日のみ 8000 円)
B(初日+懇親会 12000 円)
C(3 日間参加 35000 円)
D(3 日間参加+懇親会 39000 円)
事務局からの返信メールをご確認のうえ、下記口座に所定の料金をお振り込みください
振込先 ゆうちょ銀行 12440−22803071 (他銀行からは 店番号 248 普通
口座名 シュウフクテキアイチャクリョウホウケンキュウカイ
お申し込みメールアドレス
[email protected]
(FAX
2280307)
0 3 − 6 2 6 1 − 2 7 3 8)
参加申し込み書
参加者氏名
(ふりがな)
電話番号
返信用メールアドレス
参加
希望コース
所属
職種
A.(初日のみ 8000円)
B.(初日+懇親会 12000円)
C.(3日間参加 35000円)
D.(3日間参加+懇親会 39000円)
【ご参加いただける方】里親さん、児童養護施設、乳児院等で働く方々、児童相談所等職員、保健・医療・心理関係職員、
司法関係職員、大学教員、アタッチメント障害の治療に関わり守秘義務を有する方々
(学生の方は初日のみ参加可、関連学術分野の専攻大学院生に限り、3日間の連続講座の受講が認められます)
* 参加に際し、受講者全員に守秘保持の誓約書に署名していただくことを予めご了解ください。