足助中央商店街活性化計画づくり

商店街活性化_事業レポート
足助商工会にて第 2 回「足助中央商店街活性化計画づくり」
ワークショップが行われました
商店街名:
足助中央商店街協同組合(愛知県豊田市)
1.「提案公募型研修って、なに?」
「提案公募型研修」とは、地域コミュニティの要とし
て頑張る商店街のみなさんを支援するため、全国商
店街支援センター(JSS)が実施している支援事業の
一つです。
どんな商店街にも悩みや問題はあります。その課
題に対して、「何とかしなくては!」と考え、悩んでいる
商店街も多くあります。「提案公募型研修」とは、こうし
た商店街がかかえる課題の解決やニーズに合った商
店街独自の研修を、みなさんがオーダーメイド的に企
画・実施していくもの。例えば、「○○先生の話が聞き
たい」「みんなが気軽に参加できる体験型の研修をや
▲紅葉の名所 香嵐渓
りたい」「こんなことに挑戦してみたい」など、プランを
2005 年 4 月には近隣の町村とともに、世界的大企
持った商店街・商店街支援機関であれば、自由に応
業トヨタ自動車のお膝元、豊田市に合併されました。
募できるのです。
まちづくり交付金事業等を活用して、下水道および電
愛知県豊田市足助町の足助中央商店街協同組合
も、そんな商店街の一つです。
一方的な講習というよりも、ワークショップ方式で一
線の地中化といった環境整備事業も行っています。
足助といえば、なんといってもかつての宿場町の面
影を色濃く残す古い町並みが有名。巴川の支流・足
人一人の意見を吸い上げながら、全員が目標を共有
助川に沿って 2 キロあまり続く景観は珍しい、のひと言。
し、商店街の未来を拓いて行きたいと、提案公募型研
現在見られる古い町並みは、文化・文政期(19 世紀
修に手を挙げました。
はじめ)以降に建てられたもので、景観整備事業の取
り組みの成果が、町並みのいたるところに表れ、商店
2.「このままでは自分たちの町がダメになって
しまう。危機意識を、みんなで共有しなければ
いけないんじゃないか」
街をはじめ地域住民の努力のほどが伺えます。
こうした中で町を支えているのが足助中央商店街
協同組合です。
足助町は、中馬街道(塩の道)の足助宿として栄え
現在 5 つの商業団体があり、組合員は 126 人。小
た歴史のある町です。紅葉の名所「香嵐渓」で知られ
売業がもっとも多く、次いでサービス業、飲食業となっ
る東海地方の観光拠点でもあり、紅葉シーズンには
ています。しかし、人口減と高齢化により商圏が縮小
100 万人もの観光客であふれかえります。
し、販売額・商店数ともに減少傾向にあります。しかも、
-1㈱全国商店街支援センター
平成 22 年度_提案公募型研修事業
100 万人いる香嵐渓の観光客が商店の売り上げに結
びつかず、店主の高齢化による後継者不足も深刻化
し、空き店舗が目立つようにもなってきています。問題
は山積しているのです。
商工会の役員で、大正 5 年創業の老舗和菓子店、
日月もなか総本舗代表取締役の近藤信介さんは、
「商店街の置かれている状況は確かに厳しいです。で
すが、このままでは自分たちの町がダメになってしまう
という意識が薄いと思う。現在の状況に対する危機意
識を、みんなで共有しなければいけないんじゃないか
と、そこが肝心だと思います」。
足助商工会の柴田栄さんも、
「だからこそ、提案公募型研修に手を挙げたんです。
最初は、第三者にプランづくりからすべて任せて、出
▲今でも 2 階への昇り降り
▲店先に設けられた休憩
に使われている階段箪笥
スペース
来上がったものを採用しようと考えていましたが、それ
では本当の底上げは出来ません。双方向で意見をみ
んなで出し合いながら、現状に対する認識を少しでも
多くの人と共有し合うことが大切だと思います」と口を
そろえます。
まさに《足助の地域力・住民力が、試される時を迎
えた》と言えるのではないでしょうか。
3.「商店主たちは資源豊かな足助の町に誇り
を感じる一方で高齢化に伴う後継者問題、空
き店舗に不安を隠せないでいる」
第 2 回ワークショップでは、まず始めに、研修で講
師を担当している「豊田まちづくり株式会社」から、前
回のワークショップのおさらいと、10 月 24 日に実施し
た「商工まつり来街者アンケート調査」、「商業者意識
調査」について、報告がありました。
まず、前回のグループ別ディスカッションで出され
▲書店もディスプレイを工夫
た、「足助の商い・商店街活動の良い点、課題」につ
いては、項目ごとに意見を整理したものを説明。足助
の町並みや風情、自然といった「資源」に関しては、
みなさん誇りに感じているようですが、事業主の高齢
化を指摘する声や全国チェーン店の進出を不安視す
る声、集客を観光客に依存しすぎているといった意見
も出されていました。
4.足助中央商店街の 5 年後の姿は?
いよいよワークショップで計画づくり!
調査の結果報告も終わり、いよいよグループワーク
の開始です。
テーマは「5 年後の足助中央商店街の目標をつくり
ましょう」。平成 23 年度から 28 年度までの 5 年間に、
-2㈱全国商店街支援センター
平成 22 年度_提案公募型研修事業
足助の町をどのように変えていきたいのか、どんな町
STEP1、2の両方が決まった時点で模造紙に張り出
にしていきたいかを、3 つのグループに分かれて意見
し、グループごとの発表となりました。
を出し合いました。
STEP1「目標の設定」
まず「5 年後こうなってほしい」という具体的なイメー
ジ(古い建物を活かし町並みを保存し計画的に再現し
た商店街 etc)が書かれた 20 枚ほどの紙が、一人一人
に配られました。その中から各自 3 つを選択。選ばれ
た紙を模造紙上に並べ、それをもとにグループで話し
合いながら、最終的にグループで 3 つを選びました。
STEP2 「お客様の設定」
次に、商店街が想定する顧客について、「どこから」
(2 枚)「どんなお客様に」(2 枚)来てほしいか、同じよう
に用意された紙からグループで選択していきました。
5.発表の中で、みなさんの共感を得ていた意
見を紹介すると…
・「普段使いから贈答品まで、すべて足助の商店街で
買い物が完結できるようなショッピングモール的な商
店街にしたい。よそには客を絶対逃がさないといった
感じがいい(笑)」(旅館業、40 代女性)
・「空き店舗を利用してベンチなどの休憩スペースを
取り入れ、公共施設の充実を計ったらいいのではな
いでしょうか。子供連れの若いファミリーと女性をター
ゲットにすべき。財布は女性がにぎっているから(笑)。
それから子供に足助を好きになってもらえれば、将来
大きくなっても足助に来てもらえると思うので、子供は
大事に育てていくべき」(カメラ店経営、50 代男性)
-3㈱全国商店街支援センター
平成 22 年度_提案公募型研修事業
店街でも、四季を感じる商店街にしても、その情報発
信が現在うまくなされていないと思うんです。商工会
のホームページにしても情報の伝達がうまく活用でき
ていないし、インターネットを使った情報発信は一刻も
早く取り組んだ方がいいと思います」(カラオケ店経営
50 代男性)
・「みなさんが言うように空き店舗の活用を進めたとし
て、もし成功して店が埋まったときに現状の駐車スペ
ースで足りるのかという問題が出てきます。はたして路
▲A グループの発表
上駐車でいいのかと…。町に外から人が大勢来るとし
たら、それだけの駐車場は確保しなければならないは
ず。公共施設の充実を考えて行くのなら、そこには十
分な駐車場の確保が絶対不可欠だと思います」(旅館
業、40 代男性)
【講師を務めた「豊田まちづくり」の奥泉友紀さんより】
「どんなお客様に来てほしいのかという点では、み
なさん“女性”と一致した見解でしたね。ですが、どこ
から集客するのかという点では、足助地区とその周辺、
そして広域(観光客)の両方が上がりました。計画を作
り上げていく上で難しくなってくるのは、集客のウエイ
▲B グループの発表
トをどうするのかということ。どちらかにしぼって戦略を
立てて行くのかどうか、そこが今後の課題だと思いま
す」
ワークショップは今回で終了。次回はモデル先進
地の視察を行う予定です。
(平成 22 年 11 月)
▲C グループの発表
【受講者からは、ほかにもこんな意見が出ました】
・「気になるのは足助の魅力的な町並みを活かした商
-4㈱全国商店街支援センター
平成 22 年度_提案公募型研修事業
▲かつての宿場町の面影を色濃く残す古い町並み
-5㈱全国商店街支援センター
平成 22 年度_提案公募型研修事業