石岡市新庁舎建設基本設計・実施設計業務 プロポーザル審査結果報告書

石岡市新庁舎建設基本設計・実施設計業務
プロポーザル審査結果報告書
平成 27 年3月
石岡市新庁舎建設設計業務プロポーザル審査委員会
1 選定結果
最優秀者
株式会社 久米設計
優 秀 者
株式会社 INA新建築研究所
2 選定概要
(1)選考方法
設計者の選定については,公募型プロポーザル方式を採用し,石岡市新庁舎建設基本設
計・実施設計業務委託プロポーザル実施要領に基づき,参加資格を満たす者を公募により募
集した。
審査にあたっては,石岡市新庁舎建設設計業務プロポーザル審査委員会による一次審査及
び二次審査を経て優先交渉権者及び次点交渉権者を選定した。
(2)参加表明者
7者
(3)一次審査
一次審査では,参加表明者から提出された書類により,企業の評価,配置技術者の資格及
び技術力について評価を行った。
この審査の結果,参加表明者7者のうち評価点の低い1者を非選定とし,6者を二次審査
に進む者として選定した。なお,非選定の1者については,評価項目及び評価の着目点のう
ち,特に企業の評価における同種・類似業務の実績及び配置技術者の技術力における同種・
類似業務の実績において,他者よりも低い評価点であった。また,「二次審査の技術提案書
提出者 5者程度」の解釈において,上位4者までとする案から6者まで選定する案につい
て審議した結果,5位及び6位の者の評価点が僅差であったことから上位6者を二次審査の
対象者とすることに決定した。
(4)二次審査
二次審査では,設計工程計画,業務の実施方針,特定のテーマについての技術提案及び取
組意欲・基本計画の理解度について評価を行うこととし,一次審査で選定された6者から提
出を受けた技術提案書等及びプレゼンテーション・ヒアリングの結果を踏まえ,総合的に判
断した。
その結果,評価点(400 点満点)の最も高い提案者を優先交渉権者に,次に高い提案者を
次点交渉権者に選定した。
1
【審査結果】
順
位
企
業 名
評
【提案番号2】
第1位
299点
≪優先交渉権者≫ 株式会社 久米設計
【提案番号3】
第2位
価 点
246点
≪次点交渉権者≫ 株式会社 INA新建築研究所
第3位
【提案番号6】
236点
第4位
【提案番号1】
223点
第5位
【提案番号4】
215点
第6位
【提案番号5】
190点
※二次審査:審査委員1名欠席のため評価点の満点を 400 点とする。
3 審査委員会委員の構成(順不同,敬称略)
氏
名
所
属 等
専
門
・筑波大学名誉教授
委員長
小場瀬 令二
・公益財団法人練馬区環境まちづくり公
建築,都市計画
社練馬まちづくりセンター所長
副委員長
斎藤
義則
委 員
金久保 利之
委 員
北郷
新平
委 員
山海
敏弘
・茨城大学人文学部社会科学科教授
地域研究,社会学
・筑波大学システム情報工学研究科構造
建築構造,地震工
エネルギー工学専攻准教授
・茨城県土木部OB
・石岡市都市計画審議会会長
・独立行政法人建築研究所環境研究グル
ープ長
学
土木,都市計画
環境工学,省エネ
ルギー
2
4 選定の経過
平成26年12月19日(金)
プロポーザルの公告
平成27年 1月 7日(水)
参加表明書等に関する質問書の受付期限
1月13日(火)
参加表明書等に関する質問の回答書公表
1月27日(火)
参加表明書等の提出期限
1月31日(土)
一次審査(第1回審査会)
2月 4日(水)
技術提案書要請者へ通知
2月13日(金)
技術提案書等に関する質問書の受付期限
2月18日(水)
技術提案書等に関する質問の回答書送付
3月 6日(金)
技術提案書等の提出期限
3月15日(日)
二次審査(第2回審査会)
5 審査及び講評について
<最優秀案選定までの経緯>
石岡市役所は平成 23 年3月 11 日の東日本大震災の被害を受け利用できない状況にある。
このため新庁舎建設検討委員会が立ち上げられ平成 26 年 11 月にその報告がまとまった。それ
により,現地での新庁舎建設を行うこと,新しい庁舎のあり方等についての計画方針が示された。
それに基づき市は,計画への理解度が高く,その趣旨に基づいて設計ができ,かつ設計過程にお
いて,市民や議会,行政の考え方に柔軟に対応できる豊富な実績と確かな技術力を持つ設計者を
公募型プロポーザル方式で選定することとし,学識経験者5名よりなる審査委員会に審査を委託
した。
一次審査は平成 27 年1月 31 日に開催され,エントリーのあった7社からの書類を審査して,
今までの実績等を踏まえて,二次審査に進む6社に絞った。二次審査ではその6社より新庁舎へ
の具体的提案を求めた。平成 27 年3月 15 日にその提案について審査委員の前で各社ごとにプレ
ゼンテーション,質疑応答をするヒアリング審査を実施。1社ごとに 20 分発表,25 分質疑応答
を行った。ヒアリング審査終了後,直ちに最終判定会を開き,各社の提案内容について審査委員
間で吟味し,議論を行い,最終的に 10 にわたる審査項目について評価点を各審査委員ごとにつ
けた。それを集計した結果を踏まえて,最優秀者と優秀者を審査委員会として全員一致で選定し
た。
<本計画の課題>
6社の提案を概観すると,
「使いやすさ」
,
「コスト低減」,
「構造的な安定性」,
「防災時の対応」
,
「ユニバーサルデザイン」
,
「省エネルギー」
,
「スケジュール管理」等々の課題については,いず
れの提案も優劣つけがたいほど質の高いものであった。
ただ,これらの計画課題の他に,今回の計画では現地建替えという条件があり,以下の課題に
3
ついてどのように答えたかで評価の優劣が生まれたと思われる。
① 取壊し予定の旧庁舎をどのように扱うか。特に旧庁舎には地階があり,また杭があること
から,その処理の仕方でかなりのコストの差が出てくるものと予測される。
② 敷地が不整形でかつ高低差があり,この敷地をいかに有効に使うか。
③ 非常に大きなボリュームになる駐車場をどのように配置するか。
であった。
<審査講評>
その中で最優秀者の案は以下の点で高い評価を得た。
① 旧庁舎には全くかからないように新庁舎を配置するように工夫していて大変巧みである。
② 旧庁舎の地下部分も耐震補強をして再利用する提案になっており,コスト的には大変有利
だと評価された。
③ 新庁舎の建設や,大規模な駐車場を整備するにも関わらず,地盤の切り土や盛土がまった
く不要な計画になっており,コスト的に有利である。
④ 巨大な駐車場をうまく3分割して確保している。このことにより,日常的な市民が利用す
る駐車場と,繁忙期に市民が利用する臨時駐車場,公用車や職員用駐車場をバランスよく
確保し,しかもそれぞれ見通し性が良くまとまった駐車場が確保できている。特に,繁忙
期の市民駐車場は,非繁忙期には市民プラザとして利用するなどのアイディアも極めて優
れた提案として提示されている。
⑤ 新庁舎は筑波山をイメージした造形となっており,まちのシンボル性については極めて明
示的である。
⑥ 屋根をつける造形になっているが,天井が高くなる部分には,議場や議員全員協議会室な
ど天井の高い部屋を当てており,無駄のない計画になっている。
⑦ 新庁舎の内部の市民ロビーに石岡市民にとって最も誇りにしている山車を展示するアイデ
ィアが含まれている。実現には色々困難が予想されるが,実現すれば大変有意義な提案で
あろう。
⑧ 「果樹あるな広場」についても,市民の協力で実現化できれば,観光的な意味でも意義が
あるだろう。
最終的に「設計行程」,
「業務実施方針」
,
「安全安心の庁舎」,
「利用しやすい庁舎」,
「バリアフ
リーの庁舎」
,
「経済的で合理的な庁舎」,
「事務効率的な庁舎」
「エネルギーが効率的な庁舎」,
「シ
ンボルとなる庁舎」
,
「取り組み意欲」といった 10 項目の評価項目について 10 点満点で各審査委
員が評価点をつけ,その評価点を合計した。その結果,提案番号2が第2位以下の提案者の獲得
点数を大きく引き離して最高得点を獲得した。また,本提案者は,ほとんどの項目について,い
ずれの審査委員からも最高得点を獲得している。
以上より,審査委員会は提案番号2を最優秀者として選定することに意見が一致した。
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次に,評価得点の高かった提案番号3を優秀者とした。この案の特徴は新庁舎を L 字型に配置
することにより,旧庁舎と重なる部分を極力減らし,取壊しや杭の引き抜きを最小限にしようと
工夫している。また,地形の高低差を利用して,石岡劇場という名前の市民プラザを設けて,市
民のための市役所という色合いを強く出そうとしている。加えて,屋上には屋根を乗せて,筑波
山をシンボルとする造形を試みている。更に,L 字型プランであるメリットを活かして各課を市
民が利用しやすいように配置している。
但し,大規模な駐車場が確保されているが,駐車場が幾つか分散することから利用しにくい配
置になっている点などが惜しまれる。また全体的にはコストパーフォーマンスについては十分練
られている案ではあるが,旧庁舎を取壊し後,その埋戻しが必要な点もマイナスと評価された。
以上,最優秀者と優秀者を選定したが,各提案者の多大なるご尽力に感謝するとともに,最優
秀者を中心に,市民,議会,行政が連携してより良い新庁舎建設へ進まれることを希望したい。
石岡市新庁舎建設設計業務プロポーザル審査委員会
委 員 長
5
小場瀬 令二