<特集> Crossover :未来に挑む力。

ス テ ー ジ
地域、社会、世界で、一人ひとりの可能性を伸ばす
<特集>
Crossover : 未来に挑む力。
チョコレートの驚くべきパワー
まなびのチカラ
夏休み直前の愛学生たち
今日のラーコモ
商品開発に挑んだ学生 × 熱く見守った教員
AGクロストーク
世界初の快挙を成し遂げた
歯学部 尾関伸明先生
ラボ スコープ
13
volume
Crossover : 未来に挑む力。
学部・学年の枠を超えた仲間と高め合い、
地域や企業、
世界の人々と協働して、
課題解決に取り組む―
愛知学院大学が 推進している
「クロスオーバー 型教育」は、
多様な人・学び・社会とつながり、
学生一人ひとりの可能性を伸ばしていく、
新たな教育です。
今回は、
クロスオーバーの活動を通して
よりよい未来、
よりよい自分に挑む学生たちの姿を伝えます。
ビジネス
コラボレーション
コミュニティ
コラボレーション
クロスオーバー
カリキュラム
多様な人・学び・社会とつながり、
未来に挑む人を育てる
クロスオーバー型教育
ラーニング
アシスタント
4キャンパス
グローバル
コミュニケーション
※2015年8月現在のインタビューをもとに編集しています。
地域連携
街角資 料 館
活 用 プロジェクト
弁天通商店街
名古屋市
AGUボランティアセンター
学生有志団体「えがお届け隊」
ティア
AGUボラン
※
センター
リーダー
経済学部 経済学科 3年 (静岡市立商業高校出身)
海野 竜矢さん
現:静岡県立駿河総合高校
まちが築いてきた歴史を、
子どもたちに伝えたい。
弁天通商店街にある、街角資料館。古い写
真や日用品が数多く展示されている。まち
の歴史や思い出が詰まった場所、まちの
伝統や文化を次へ伝えていく場所だ。ここ
で、学生たちが「歴史伝承」
「人と人の交流」
弁天通商店街振興組合
をキーワードとした地域貢献に励んでいる。
名城公園キャンパスから徒歩 14分
名古屋市役所
名古屋市西区城西 4-26 -21
市民経済局 産業部
地域商業課 主事
宮﨑 祐樹さん
名古屋の財産として、
商店街の個性を大切にしたい。
「過去を学び、未来に活かしていく」。それが、僕のテーマです。経済学部
商店街と大学との連携事業は、名古屋市としても力を入れて応援してい
で金融リスク管理の研究に取り組みながら、弁天通商店街では街角資料
ます。新しいアイデアに満ちた学生たちには、人を集める魅力があります。
館の資料の整理や展示レイアウトの考案、小学生対象のまちの歴史クイ
何かおもしろい体験ができそう!と人々の好奇心を刺激することに長け
ズ
「なるほど!ザ・ミュージアム」やまち歩きイベントの企画・運営などに力
ているのでしょう。それが、まちの元気にもつながっていると思います。
を注いでいます。商店街の皆さんの意見を聞き、
歩調を合わせて行動を起
私は弁天通商店街の活動に関わることで、
「商店街」という昔からある
こす力が鍛えられていると実感。今年春には、名古屋都市センターの
「地
コミュニティーの可能性をあらためて感じています。名古屋は、市外の方
域まちづくり活動助成」に提案書を提出しました。助成金というエールも
から魅力的なスポットが少ないという印象を持たれることもありますが、
いただき、活動の幅を広げています。目標は、子どもたちがまちの歴史を自
その課題を解決するのが市内各地の商店街だと期待しています。それ
発的に学び、
まちの将来を担う人に育つきっかけをつくること。この思いを
ぞれのまちの個性が観光客を惹きつけるだけでなく、住む人たちの愛着
後輩にも伝え、弁天通商店街の未来を継続的に支えたいと考えています。
や誇りを生み、
まちの歴史や文化を伝え続けるパワーになるはずです。
弁天通商店街振興組合 理事長
沢井 文男さん
AGUボランティアセンター
学生有志団体「えがお届け隊」 新メンバー
総合政策学部 総合政策学科 1年
吉村 郁哉さん(岐阜県立中津高校出身)
商店街の人が集まり、
語り合える場所をつくりたい。
まちの未来を思う熱意も、
受け継いでいきたい。
愛知学院大学 地域連携センターの方とのご縁があり、学生たちと連携
高校生の頃からまちづくりに興味があり、将来、地元である岐阜県中津川
して 2年目。若い人の斬新なアイデアが、まちを元気にする刺激になって
市の活性化に貢献したいと考え、総合政策学部へ。入学してすぐ、地域
います。街角資料館には、地域の皆さんが
「こんな古い写真があったよ」
連携センターで弁天通商店街の活動を知り、AGUボランティアセンター
「この古い道具も展示できない?」と次々と資料を持ってきてくれます。
に所属しました。
これまでの3か月間、古地図を読み解いたり、商店街の方
倉庫がモノであふれて困っていましたが、学生たちが手際よく整理してく
との話し合いに参加したり、初挑戦の連続。企画アイデアの出し方や書類
れたおかげで、今は 1点 1点を大切に保管・展示することができています。
のまとめ方など、社会に出てからも役立つ多くのことを学んでいます。商店
街角資料館のルーツは、すぐ近くの浄心寺で行っていた
「浄心いっぷく
街や名古屋市の方と意見を交わす先輩は憧れの存在であり、めざすべき
茶屋」。まちの昔話を語り合う、談話会です。
「人が集まり、まちについて
目標。商店街の未来を思う多くの方々と協働していけるよう、まずは社会
話せる場所をつくりたい」という、もともとの思いを学生たちも理解し、
人としてのマナーや言葉遣いをしっかりと身につけたい。そして、先輩から
それをふまえた企画をしてくれて、
とてもうれしく、頼もしさを感じています。
プロジェクトへの熱意も受け継ぎ、地域貢献の輪を広げたいと思います。
※ AGUボランティアセンター:ボランティア活動に力を注ぐ学生主体の組織。被災地ボランティアや募金活動、地域イベントへの参加など、幅広い現場で行動を起こしている。
02
地域連携
柳原通商店街
夏まつり
柳原 通商 店街
AGUボランティアセンター
名城公園キャンパス支部
AGUボランティア
センター
名城公園キャンパス
※
愛学祭実行委員会
部長
商学部 商学科 3年 (愛知県私立・
谷内 美奈さん 愛知みずほ大学瑞穂高校出身)
名古屋市内でも大きな活気を見せる、柳原
通商店街夏まつり。例年、2日間で延べ 2万
人が訪れる。その運営スタッフの一員として、
熱い時間を過ごした学生たち。まちの発展
に貢献できるよう、まつりの先を見据えて
柳原通商店街振興組合
地域の人とのつながりを強めていた。
名城公園キャンパスから徒歩 8分
名古屋市北区柳原 2-20-13
柳原通商店街振興組合 理事長
松川 浩明さん
まつりの成功を支えて、
自分を成長させたい!
学生たちと協働し、
まちの新たな未来を拓きたい。
高校では水泳部の活動に熱中していたものの、まわりに馴染めなかった
現在、多くの学生たちが柳原通商店街で活動しています。彼らが新鮮な
私。正直、毎日が楽しくありませんでした。だから大学では、殻を破って自
風を送り込んでくれたおかげで、夏まつりも例年にも増して盛り上がって
分を変えたい!と行動を起こしました。そのチャレンジの一つが、ボラン
いるとうれしく感じています。商店街の活気を次の時代につなげるため
ティア活動です。1・2年の夏には震災ボランティアに参加し、AGUボラン
には、若い力が必要不可欠。空き店舗の活用、まちの名物の開発など、
ティアセンターにも所属。昨年、名城公園キャンパス支部の部長に指名さ
学生の皆さんと連携した新たなプロジェクトへの期待も高めています。
れ、初めての
「リーダー」という役割にとまどいながらも、柳原通商店街の
実は、私は愛知学院大学 商学部の卒業生。建学の理念である
「行学
イベントの企画・運営に携わってきました。学んだのは、チームが持つパ
一体」
「報恩感謝」が、まちの未来に貢献したいと行動し続ける原動力に
ワーの大きさです。ボランティアスタッフを募り、商店街の皆さんと思いや
なっています。後輩である学生たちも、失敗を恐れずにチャレンジを重ね、
情報を共有して、夏まつりの成功をめざす。その中で、私一人だけでは得ら
このまちで大きく成長してほしい。地域の一員として、年齢も職業も異なる
れなかった達成感を味わい、心から笑顔になっている自分に気づきました。
人々とともに行動した経験は、社会に出たときの強い力になりますよ。
柳原通商店街振興組合 事業部長
森 延治さん
まつりの本当の楽しみを、
学生たちも味わってほしい。
戦後間もない頃から地域の伝統行事として賑やかに行われてきた、柳原
名城公園キャンパス愛学祭実行委員会
ステージ統括
商学部 商学科 3年
鶴田 侑希さん(愛知県私立・安城学園高校出身)
地域の皆さんへの
感謝の気持ちを形にしたい!
「柳原通商店街夏まつりのステージ企画をお願いしたい」と学内の地域
通商店街夏まつり。今年で 64回目を迎えます。南北約 600メートルの
連携センターから依頼を受けたのが、6月。
「あと2か月しか時間がない!」
商店街の一部を歩行者天国にし、ステージ企画やゲームコーナー、夜店
と急きょ、名城公園キャンパス愛学祭実行委員会 ステージ班の 11人で
などを開催して、誰もが楽しめるまつりをめざしています。
その運営スタッフ
話し合いを進め、2時間のステージ構成を考案しました。
「路上ライヴ」と
の新メンバーである学生の皆さんには、大きな期待を寄せています。地域
銘打って、学外のパフォーマーに出演依頼をし、子どもたちが楽しめる
の人たちと協働して、商店街にたくさんの笑顔を咲かせる、そんなまつり
連想ゲームやじゃんけん大会も企画。限られた時間の中で最大限の準備
の本当の楽しみを味わってほしいと思っています。だからこそ私たち振興
をするために、メンバー一人ひとりに適した仕事を割り振り、一丸となって
組合は、学生たちの新しいアイデアや行動力を尊重し、ベストを尽くして
力を発揮しました。日頃お世話になっている地域の皆さんに、お礼の気
くれると信じて見守っています。柳原通商店街でチャレンジした経験を、
持ちを伝えたい。その一心でした。10月の愛学祭も地域を盛り上げる
卒業後の人生にも活かしてもらえたら幸せです。
イベントとなるよう、全力で走り続けたいと思います。
03 ※名城公園キャンパス愛学祭実行委員会:毎年 10月に名城公園キャンパスで行う大学祭の企画・運営を担当。近隣住民の方々も楽しめるまつりをめざし、地域活動にも励む。
地域連携
街
藤が丘 中 央 商 店
街
藤が丘中央商店
名 物おやつ開 発
ミ
経 営 学 部 鵜 飼ゼ
鵜飼ゼミ ゼミ長 / 商品開発代表
経営学部 経営学科 3年
諫山 康基 さん(福岡県立京都高校出身)
名物おやつで、
商店街をもっと元気にしたい!
鵜飼ゼミの先輩方が開発した
「くるくるなごみかん」を、多くの人に味わっ
てもらいたい。そして、藤が丘中央商店街に人を呼び込みたい。その思い
のもと、毎月 1 回、商店街の方々と会議を開いています。一人ひとりが
商店街の発展を真剣に考えるからこそ、
ときには激しい議論になることも。
ゼミ長として学生と商店街の橋渡し役を務め、互いの思いが理解し合え
るよう
「対話・会話」を大切にしています。在学中から実社会の方々と協働
名古屋市・藤が丘中央商店街のブランド力を高めるために、経営
できた経験は、
自分の進路を拓く上でも大きな力になると信じています。
学 部の鵜飼ゼミが 5年にわたって活性化プロジェクトに取り組んで
いる。その一つが、まちの新たな名物の開発。中部エリアの素材に
こだわって三重県の柑橘類「新姫」と愛知県の米粉を使用し、ロー
ルケーキ「くるくるなごみかん」を生み出した。現在も改良を進めなが
ら、藤が丘地区の「名物おやつ」としての定着を図っている。
「くるくるなごみかん」
開発・PR活動ストーリー
「くるくるなごみかん」の商品化
1
2011
テスト販売をもとに、分析と改善
2
「くるくるなごみかん」を考案し、名古
屋市内の洋菓子店の協力を得て商品
化。パッケージデザインや価格設定、
売上目標などを細かく決めていく。
2013
名古屋のターミナル駅・金山駅での販売会
や日進市のナチュラルフードストアで試験販
売。顧客の感想や売上データを分析し、商品
そのものや販売方法の改善策を見出す。
販路拡大、継続販売に向けてPR
3
東京・新宿髙島屋で開催された
「大学は美
2015
ためのショートムービーを製作する予定。
味しい !!」フェアに出品。今後は商店街の店
舗で継続的に販売することをめざし、PRの
地域連携
ロウィン菓 子 開 発
みゆき通り商 店 街ハ
み ゆき通り商 店
街
志
経営学部 学生有
経営学部 経営学科 3年
小島 秀仁さん(岐阜県立多治見高校出身)
商店街のために、
自分の力を発揮したい!
地域で活動し、思い知ったのは、自分にはまだまだ知識も力も足りないこ
と。
「売れる裏付け」を明確にした商品アイデアが提案できず、社会の厳し
さを痛感しました。それでも、今の自分たちでも何か力になれるはずだと考
え、お菓子に関するアンケート調査を商店街の夏まつりで実施しました。
2014年、愛知県武豊町のみゆき通り商店街で、経営学部の 2年生
が、初めての地域活動に挑んだ。 商店街が活気づくきっかけとなる
「ハロウィンのお菓子」の開発が彼らのミッション。その目標を果た
100人以上に協力いただき、その結果を商品開発に活かしました。仲間
や地域の方とともに協働した日々は、人事管理に関する研究、インターン
シップなど、新たなことに挑み自分を高め続ける底力になっています。
すために、学部で学んだ知識を活かし、地元の人々のニーズを探るア
ンケート調査を実施。お菓子のセレクト商品「みゆき通り・愛学セレク
ション」の販売に励み、
まちへの貢献をめざした。
「みゆき通り・愛学セレクション」開発・販売ストーリー2014
商品アイデアの考案
1
2014. 6
商店街の方との会議を経て、商品ア
イデアを考案。思うように提案ができ
なかったため、商品開発の手助けと
なるアンケート調査の実施を計画。
アンケート調査をもとに商品決定
2
2014. 7
夏まつりに参加し、アンケート調査により
「子ども
から大人まで安心して食べられるお菓子」が求め
られていることを明らかにした。その結果を受け、
「ふすまパン」
「フルーツ大福」の開発が決定。
ハロウィンまつりで販売
3
2014.10
誕生した新商品を
「みゆき通り・愛学セ
レクション」としてハロウィンまつりで
販売。学生たちが店頭に立ち、積極的
にPRして完売することができた。
04
産学連携
ハワイ旅 行 商 品
開 発 プロジェクト
JA L
ト
近畿日本ツーリス
文学部
科
グローバル英語学
2014年秋から約 1年をかけて、文学部グローバル英語学科・松岡ゼミの
学生たち20人が、
「ハワイ旅行のプランニング」に取り組みました。JAL
(日本航空)、近畿日本ツーリストとの協働プロジェクトであり、2015年秋、
旅行商品として一般販売されます。旅のテーマは
「歩いて楽しむハワイ」。
観光学の根底にある“ホスピタリティの心 ”を形にし、旅で笑顔を広げよう
と努めた学生たちの挑戦を、
ここでレポートします。
チームシートを
活用し、その日の調査・研
究や話し合いを振り返って
改善点を確認。グループ
ワークの内容を充実させ
ていきました。
ミーティング
事前調査・研究
学生の斬新な発想とプロのノウハウを融合させ、これまでにない
学生 20人が 4チームに分かれ、旅行プランの作成にチャレンジ。
旅行プランをつくり、旅行業界を活性化させたい ―そうした
まずは、
ハワイの地理、歴史、文化、風習などの調査・研究から始
目標のもと、産学連携の取り組みとしてスタートした
「ハワイ旅行
めました。グループワークが円滑に進むように、松岡先生が評価
商品開発プロジェクト」。第 1回のミーティングでは、JAL、近畿
シートや振り返りシートを用意。
「 Plan(計画)」
「 Do(実行)」
日本ツーリストの方々と学生たちが初顔合わせ。新たなハワイ
「 Check
(評価)」
「 Action
(改善)」の PDCAサイクルを意識して、
旅行を形にしようと、参加者全員が思いを共有しました。
1
2014. 9
2
2014. 10 〜
学生たちはプロジェクトに取り組みました。
3
2015. 2
ハワイ体験学習
現地の新たな魅力を発見するために、春
休み期間を活用し、4泊 6日のハワイ体験
学習を実施。観光スポットや飲食店、
ショッピングモールなどを視察しました。
スマートフォンやタブレット端末などの
ICT機材を使い、旅行プランに組み込める
素材を収集・分析。ハワイを五感で楽し
み、旅行のアイデアを大きく広げました。
05
プランニング・発表
チームごとに PDCAサイクルを積み重ね、旅行商品の具体案を練りました。
4月末に中間発表、5月末に最終プレゼンを実施。写真や文字を効果的に
組み合わせたスライドを用意し、スクリーンに映し出しながら、自分たちが
考えた旅行プランを発表しました。JALや近畿日本ツーリストの方々から
意見をいただき、学生は企画立案の難しさ、
おもしろさを実感。プロジェクト
を通じて情報収集・分析力、課題発見力、構想力、表現力、実行力などを
身につけ、
たくましく成長した一人ひとりの姿が、
そこにはありました。
4チームのプラン
▶︎女子大生が卒業旅行に訪れたい、
歩いて回れるパワースポット
▶︎東西南北わくわく街歩きハワイ旅
▶︎ママとの母娘旅
▶ KAWAII HAWAII
4
5
2015. 4 〜
2015. 秋より販売開始!
商品化・販売
最優秀チームは、
「女子大生が卒業旅行に訪れた
い、歩いて回れるパワースポット」を提案したチーム。
「パワースポット」
「スピリチュアル」というキーワー
ドを使って、旅行と宗教をつなげたプランが高く評
価されました。秋の発売に向け、プロの旅行プラン
ナーの指導を受けて商品化を進めています。
担当教員メッセージ
グローバル英語学科
松岡 昌幸 教授
学生個々の感性が光る旅行プランが生まれるように、指導教員として
大切にしたのは、
「現場主義」の観点です。現地で体も心も動かすことが、
観光学の本質である
「ホスピタリティ・マインド
(おもてなしの心)」を
学び取ることにつながると信じ、体験学習を重視しました。実際、学生
たちは、荒削りながらも個性豊かな旅行プランを生みだしました。さらに、
企業の方々の前で堂々と発表する彼らを見て、ひとまわりもふたまわり
も成長したのだと、頼もしさを感じました。次の代の学生たちにとっても、
このプロジェクトが意義あるものになるよう期待しています。
06
愛 知 学 院 大 学 で 紡 ぐ「 絆 」ス ト ー リ ー
AG Cross Talk
経営学部 経営学科 4 年
竹内 葵 さん
学生×教員
経営学部 経営学科 ゼミ
( 愛知県立愛知商業高校出身 )
高校時代から簿記を学び、将来は会計分野
で活躍したいと考えていた私。財務会計や
国際会計が専門の平賀先生のゼミを自然と
選びました。おしゃれで紳士な平賀先生は、
実はとても熱い人。特にプロレスのことを語り
だすと止まらない。
もちろん、会計学の研究に
も熱心です。そんな先生の熱に感化されて、
3年次の夏、産学連携の商品開発の誘いを
平賀 正剛
教授
自分の力を信じて、
経理としても
チャレンジあるのみ!
アメフト部のマネージャーを務める竹内さん
は、明るく元気で声がよく通る。発表の場で
は人を惹きつけるプレゼンテーションをします。
その持ち味を発揮してくれたのが、衛生材料
メーカーである酒井商店との商品開発です。
いちい信用金庫からの依頼を受けて、竹内
さんを含めた学 生 有 志 6 人が企 画 開 発に
励み、不 織 布を使った綿 棒やティッシュ箱
受けたときに「新しいことに挑戦できるチャン
スタイルのガーゼボックスの実用化を進めて
スだ!」と迷わず手を挙げました。14人のゼミ
います。ゼミでは会計学を専門的に学んで
生のうち、立候補したのは私を入れて 6人。
いるため、原価意識が身についている彼ら
当初はまとまりのないチームでしたが「ユー
は、商品化をしっかりと見据えた提案をして
ザーに求められる商品をつくろう!」と話し
くれました。福祉施設でのニーズ調査を抜か
合いを重ねて団結しました。一人ひとりが自分
りなく行い、商品の将来性を明示したことも
の役割を果たしたからこそ、企業の方々に納
すばらしい。かつてプロレス界で活躍した
得いただける新商品が提案できたと思います。
長州力さんが率いる維新軍団のように、一人
私たちの力を信じて見守ってくださった平賀
〈ふたりをつなぐもの〉
平賀ゼミの仲間
先生のおかげで、企画力や実行力、仲間と
ITスキルと表現力が高い山本真奈さん、
リーダー
頼もしく感じています。さらに、経理職に内定
切磋琢磨して協働する力が鍛えられました。
役の西川大地さん、場を和ませる伊藤滉基さん、
した竹内さんをはじめ、6人全員が就職戦線
その力を強みにして、卒業後も自分の道を突き
進みます!
07
新たなことに 挑み 、
みんなの刺激になっています。
自分を 高め 続ける
燃える先生。
最 強タ�グ 。
会計学にもプロレスにも
経営学部 経営学科
縁の下の力持ちの青山哲さん、切り込み隊長の藁
科秀人さん、そして竹内さんの 6人が商品開発
チーム。平賀先生もうなる成長を遂げています。
ひとりが 個 性を活 かして活 動してくれたと
を乗り越え、希望の進路を実現。それぞれの
リングでも“名勝負 ”を見せてくれ!
加藤竜生さん(文学部歴史学科 2年)
「会話 OKだから、疑問点をすぐに聞くことが
今日の
ラーコモ
Today's Learning Commons
July, 2015
できて勉強がはかどります」と、歴史学や
英語、法律学と闘っていた空手部の 3 人。
期末試験を無事に突破して、夏は空手の
練習にも熱を入れたいと気合い十分。
清水一矢さん(商学部商学科 1年)
大学生になって初めて受ける期末試験に向け、
互いに教え合いながら勉強に力を注いでいた
「ここは、友達同士で気軽に居られる
2 人。
勉強スペース。試験前には毎日のように通って
います」とラーコモをフル活用していました。
夏休み直前の
とある一日
ラ ーニ ン グ・コ モ ン ズ 、略 し て ラ ー コ モ 。
日 進 キ ャン パス に あ る こ の 施 設 は 、単 な る 自 習 室 で は な く 、
だ か ら 、教 え 合 っ た り 、意 見 を 交 わ し た り 、
学 生 た ち の「 学 び の 交 流 」の 拠 点 で す 。
会話
人々の行動を見ちゃうかも」と苦笑い。
プ レ ゼ ン の 練 習 し た り 、使 い 方 は 自 由 。
変わってきたことを実感。旅行や遊びに出掛けること
が多くなる夏、つい “法律の視点 ”で観光地やお店、
い つ も 、学 び 合 い 、高 め 合 う 学 生 た ち の 活 気 に 満 ち て い ま す 。
講義で学んだことをボードに書きだし、活発に議論し
「法学部で学び始めて、
ニュースの見方が
ていた 2人。
さ あ 、今 日 は ど ん な 学 び が 行 わ れ て い る で し ょ う か 。
鈴木 彩世さん(法学部現代社会法学科 1年)
O
K
糟谷直美さん(心身科学部心理学科 2年)
「人格心理学演習」のレポート作成に取り組んでい
た彼女。
「秋学期にはゼミの選択があるし、進路を
本格的に考えていきたい。だからこの夏、資格取得
や地域活動などにチャレンジして視野を広げた
い!」とにっこり。
中村有那さん(心身科学部健康栄養学科 1年)
管理栄養士をめざす 4 人は、おしゃべりできるラーコモがお気
に入りスペース。
「遊園地に行きたいね」
「アルバイトしなきゃ」
と夏休みの話に花を咲かせていました。
東 佑季さん(経営学部経営学科 1年)
みんなで過ごす夏の計画について、和気あいあいと話し合っていた彼ら。
「大学生になって初めての夏休み。資格取得、アルバイト、遊び…。いろんな
ことに全力を注いで、充実させたい!」と元気に語っていました。
08
先 生 の 素 顔 が 見 え る 研 究 室 レ ポ ート
研究への思い、好きなもの、青春秘話など、先生の素顔をリサー
チする、このコーナー。今回は歯学部の歯内治療学講座を訪
れ、最先端の研究に取り組む尾関先生にお話を伺いました。
歯内治療学講座のホープ
歯学部 歯学科
歯内治療学講座
尾関 伸明 講師
歯科医師。専門は歯内
治療学。愛知学院大学
大学院歯学研究科博士
課程を修了し、アメリカ
カリフォルニア大学サン
フランシスコ校に研究留
大学院修了時、恩師から「論文をたくさん書こ
学。帰国後、愛知学院大
学歯学部の教員に。日本歯科保存学会専門医、日本
再生医療学会再生医療認定医・臨床培養士。
う!」と贈られたペン。カリフォルニア大学から
帰国する際、所属したラボのボスから「人脈
を広げよう!」と贈られた名刺入れ。尾関先生
はそれぞれ愛用し、教えも実践している。
患 者 さんの 笑 顔 のために、歯 の 再生医 療 に 挑 む 。
歯科再生医療 の 未来 を 拓 け 。
「僕がめざしているのは、未来の患者さんを救
うこと。歯の痛みは歯髄を取ることで解消され
究や臨床試験が進められている
「再生医療」。
ますが、歯髄のない歯はもろくなります。いかに
可能性を追い続ける姿勢は、脈々と受け継
病気・ケガによって機能が失われた臓器や
本人の歯をそのまま生かす治療を実現するか。
がれていくのだ。尾関先生のモットーは、愛知
本学歯学部の卒業生。歯科医療の新たな
組織をよみがえらせる力を秘める
「幹細胞」の
そこで、象牙質を再生させ、再び歯に命を吹き
一つである iPS細胞が樹立され、ノーベル生
込む、幹細胞を使った最先端の研究に携わっ
「報恩感謝」。
「歯科に限らず、
医療には明るい
理学・医学賞を受賞するなど、
日本の研究者
ています」。尾関先生の志は燃え続けている。
未来が広がっています。これから医師の道へ
たちが健闘している。そして 2014年には、歯
科再生医療の第一歩となり得る研究成果が、
愛知学院大学歯学部から発表された。その
学院大学の建学の精神である
「行学一体」
進む学生たちにも、希望を持って学んでほし
心に
「行学一体」
「報恩感謝」を。
「歯科医師として、患者さんの幸せを一番に
キーマンが、尾関先生。歯髄
(歯の神経)
・象
考えている」と語る尾関先生は、教育・研究・
牙質
(歯の主体となる硬い組織)
・歯周組織
臨床のすべてに力を注ぐ。その起点となった
(あごの骨など)の再生をテーマに研究してい
のは、愛知学院大学歯学部で学んでいた
る。日本歯科保存学会 2015年度春季学術
学生時代。大学 4年次、歯内治療学の基礎
大会において高く評価されたのは、象牙質と
実習で、歯科医師として、人生の先輩として
骨格筋幹細胞、
そ
なる象牙芽細胞をES細胞、
尊敬する教員と出会った。
「僕も、患者さんの
09
若き尾関先生の背中を押したその教員もまた、
21世紀の新たな医療として、世界各国で研
して iPS細胞からつくり出したこと。これは世界
苦痛を和らげる治療を追究したい!」と思い
初の快挙だ。
を高め、大学院進学、アメリカ留学を決行。
い。誰かのため、
社会のために自らの力を伸ば
し、活かそうとする志が、人としての成長にも、
幸せにもつながるはずだから」。
2015年、日本歯科保存学会の学術大会において、研究
者として栄えある優秀論文賞と学術賞をダブルで受賞。
解 決に
部 活 、お 悩 み
毎日の 勉 強 や
豆 知 識 を、
役 立 つ 雑 学・
がレクチャー。
である先 生 方
ル
ナ
ョ
シ
ッ
ェ
フ
その 道 のプロ
る!
たの 味 方 にな
学 問 が 、あ な
今日は負けられない!
70
大事な試合、日頃の練習の成果を発揮し
たい!そんなときにおすすめしたい栄養素
が「カカオポリフェノール」。この成分が
そんなときには、
何を食べたらいい?
カ
カ
オ
ポリフェノール
明日はテストだから今晩こそ勉強しなきゃ!
70%以上含まれるダ ークチョコレート
を 1日25g摂取すると、脳が活発に働くよ
うになり、集中力が高まりますよ。勉強や
%以上の
スポーツなど「ここぞ!」という勝負時には、
ぜひ、ちょこっと食べてみてください。
ダークチョコレートで 集中力UP!
世界初の 大規模調査で 、チョコのスゴさを解明!
炭水化物、
タンパク質、
脂質、
ビタミン、
ミネラル、
食物繊維。この 6大
栄養素に加え、
第 7の栄養素といわれているのが「ポリフェノール」
です。自然界に何千種類もあり、個々の研究はまだ始まったばか
り。2014年度には愛知県蒲郡市・株式会社明治・愛知学院大学
が連携し、
カカオポリフェノールの実証研究に着手しました。行った
のは、世界初となる大規模な調査。カカオポリフェノール 72%の
ダークチョコレートを約 350人に毎日25gずつ食べてもらい、摂取
前後の体重や血圧などを測定し、血液検査も実施しました。する
と、記憶や学習などの認知機能を高める脳の栄養「 BDNF」が、
チョコレートの摂取によって増えることがわかりました。こうした効果
がチョコレートで確認できたのも世界で初めてのこと。しかも、身近
な食 べ 物による B D N Fの増 加が明らかになった研 究 成果は、
健康維持・増進への活用・応用が大いに期待されます。
「攻めの栄養学」。
よりよい食材をバランスよく摂る
このチョコレート摂取の調査では、体重や BMI
(肥満度)に変化が
なく、善玉コレステロールが増えるなど、
うれしいことづくしの健康
効果も判明しました。
「チョコは好きだけど、太ったらイヤだな…」と
控えている人はもったいない! 適量の「チョコレート習慣」を身に
つけ、脳のチカラを引き出してより健康的な毎日を過ごしましょう。
また、ポリフェノールは野菜や果物、茶葉など多くの食材にも含まれ
たのは
教えてくれ
!
生
この 先
心身科学部
健康栄養学科
大澤 俊彦 教授
機能性食品研究、特に抗酸化食品研究の第一人者として
知られる。
「食品と生命機能の関わり」をテーマに、日々の食
生活が引き起こす、生活習慣病のメカニズムの解明や予防
に関する研究に力を注ぐ。日本フードファクター学会理事長、
日本ゴマ科学会会長、日本予防医学会常任理事などを歴任
し、現在、日本AOU
(抗酸化指標)研究会理事長、日本酸化
ストレス学会理事、日本食品安全協会理事などを務める。
ています。1日3食、
バランスよく食べることもお忘れなく。
10
Cover Introduction
子どもたちからお年寄りまで、多くの人が
楽しみにしている、夏まつり。今年も大切
な思い出をたくさんつくってもらえるよう
に、学生たちもスタッフの一員としてイベン
トの企画や運営に全力を注いだ。地域に
一歩を踏み出して、さまざまな人と力を
合わせ、新たな可能性に挑む。その先に、
よりよい未来、より輝く自分が待っている。
(本編はP. 3へ)
◎文学部 歴史学科・日本文化学科・英語英米文化学科・グローバル英語学科・宗教文化学科 ◎心身科学部 心理学科・健康科学科・健康栄養学科
◎商学部 商学 科 ◎経営学部 経 営学 科 ◎経済学部 経 済 学 科 ◎法学部 法 律 学 科・現 代 社 会 法 学 科 ◎総合政策学部 総 合 政 策 学 科
◎薬学部 医療薬学科
(6年制)
(3年制)
◎歯学部 歯学科 ◎短期大学部 歯科衛生学科
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