ガソリンスタンド職場体験学習 -石油に関する知識-

ガソリンスタンド職場体験学習
-石油に関する知識-
全国石油商業組合連合会
はじめに
このパンフレットは、ガソリンスタンドで職場体験学習を行う皆さんが、安
全かつ有意義に取り組めるよう作成したものです。
皆さんもご存知のように、ガソリンスタンドでは、主にガソリン、軽油、灯
油などの石油製品を販売しています。日本における石油の使い道のうち、
最も多くを占めているのはガソリンや軽油などの自動車用燃料で、全体の
36%にのぼり、その大部分をガソリンスタンドを通じて消費者のみなさま
に販売されています。
ガソリンや軽油は、乗用車やバスの燃料となって人々を運び、トラックの
燃料となって生活に必要な様々な物資を運搬しています。また、灯油は家
庭や会社などで暖房用の燃料として使われています。このように、ガソリン
スタンドから供給される石油製品は、いろいろなところで皆さんの日常生活
に深くかかわっているのです。
また、ガソリンスタンドでは、石油製品の販売だけでなく、自動車の点検・
整備をはじめ、オイル・バッテリーの交換、洗車、車検など、各種の商品や
サービスを提供しています。さらに、地域社会の役に立つことを目指して、
女性や子どもが犯罪に巻き込まれそうになった場合などに、ガソリンスタン
ドを緊急避難場所として活用していただく取組みや、災害が発生した場合
には復旧活動に協力する活動などにも取り組んでいます。
皆さんが、今回の職場体験学習を通じて、ガソリンスタンドの様々な仕事
や取り組みについて、少しでも理解を深めて頂ければ幸いです。
目 次
◆石油はどこから輸入されているの?
・・・・・・・・・・1
◆原油はどのように運ばれてくるの?
・・・・・・・・・・2
◆石油製品はどのように作られるの?
・・・・・・・・・・3
◆ガソリンはどのように届くの?
・・・・・・・・・・4
◆石油はどのように使われているの?
・・・・・・・・・・5
◆石油はどのくらい備蓄されているの?
・・・・・・・・・・6
◆石油にかかる税金はどのくらい?
・・・・・・・・・・7
◆全国にガソリンスタンドはどのくらいあるの?
・・・・・・・・・・8
◆ガソリンスタンドは災害に強いの?
・・・・・・・・・・9
◆ガソリンスタンドが人助け?
・・・・・・・・・10
◆将来のガソリンスタンドはどうなるの?
・・・・・・・・・11
石油はどこから輸入されているの???
◆日本は原油の99.6%を輸入に依存しています。年間の原油輸入量は
2億3,441万KLです(2008年度)
◆原油の9割は中東地域から輸入されています。輸入国を国別に見ると、
サウジアラビア(全輸入量の28.2%)、アラブ首長国連邦(同22.8%)、
イラン(同11.9%)、カタール(同11.0%)となっており、この4カ国で
全輸入量のおよそ4分の3を占めています。
輸入の9割
は中東から
国別の原油輸入比率
その他, 4.2%
スーダン, 2.2%
オマーン, 2.2%
ロシア, 3.7%
分割地帯, 1.8%
サウジアラビア, 28.2%
インドネシア, 2.3%
クウェート, 8.3%
(出所)
経済産業省
「資源・エネルギー統計」
カタール, 11.0%
イラン, 11.9%
アラブ首長国連邦, 22.8%
1
原油はどのように運ばれてくるの?
◆年間2億3,400万キロリットルという膨大な量の原油は、巨大タンカー
で絶え間なく日本に運ばれてきます。
◆中でも輸入量の多い中東からの航路はオイルロードと呼ばれ、日本の
生命線になっています。その距離はおよそ1万2,000キロメートルあり、
タンカーは片道約20日間と、原油の積み下ろしに使う約5日間を合わせ、
約45日間をかけて日本と中東を往復しています。
アラビア湾
ホルムズ海峡
マラッカ海峡
2
石油製品はどのように作られるの???
◆原油は、多様な設備が施された製油所で精製されて、ガソリンをはじめ
とする各種石油製品が製造され、市場に流通していきます。
◆原油は加熱炉で約350℃に過熱され、石油蒸気の形で蒸留搭に送ら
れます。蒸留搭では、塔頂ほど温度が低くなるように制御されていて、
蒸留搭へ吹き込まれた石油蒸気は、沸点の低い留分から高い留分へと
順に分けられていきます。沸点30~180℃でガソリン・ナフサ留分、17
0~250℃で灯油留分、240~350℃で軽油留分がそれぞれ抽出され
ます。また、塔頂からは、プロパンガスになるガス留分が抽出され、一方、
蒸留搭の底にたまった残油は重油やアスファルトになります。
精製装置の仕組み
常圧蒸留搭
原油
35~180℃
加熱炉
170~250℃
石油ガス留分
(LPガス)
ガソリン・ナフサ留分
(ガソリン・ナフサなど)
240~350℃
灯油留分
(灯油・ジェット燃料油)
350度以上
軽油留分
(軽油)
石油蒸気
残油
(重油・アスファルト)
3
ガソリンはどのように届くの???
◆海外からタンカーで運ばれてきた原油は、製油所で精製され、最終的
な石油製品になります。石油製品は製油所からタンクローリーで給油
所(SS)や工場などへ配送されます。
産油国
原油タンカー 延935隻
(2008年度)
製油所 28ヶ所(2010年3月)
原油処理能力 479万バレル/日
タンクローリー 8,670台
(2009年3月末)
給油所 40,357ヶ所
(2010年3月末)
消費者
4
石油はどのように使われているの???
◆石油の用途は、自動車などの動力用、工場などの熱源用、そして、合
成繊維やプラスチックなどの化学製品の原料用と、3つの分野に大別さ
れます。そして、様々な石油の消費分野の中でも最も多く消費されるの
は自動車用で、全体の36%、次に化学製品の原料用の約20%、そし
て、家庭・商店・事務所用の約16%と続きます。
◆油種別で見ると、ガソリンは圧倒的に自動車用燃料として使用されるこ
とが多く、軽油は、バスやトラックの燃料として、ジェット燃料油は航空機
の燃料として使われます。また、ナフサは合成樹脂やプラスチックなど石
油化学製品の原料に、灯油は家庭・業務用の暖房などに使われます。
なお、重油は船舶燃料のほか、工場やビルなどのボイラー用として使わ
れています。
石油の主な消費分野(2007年度)
日本の国内需要は2億6,565万KL
運輸・船舶 1.9%
航空機 2.2%
都市ガス 0.6%
農林・水産 2.5%
電力 10.0%
鉱工業 10.9%
自動車 36.4%
●ガソリン 58,982千KL
●軽油
34,161千KL
●LPガス 2,855千KL
●潤滑油
683千KL
家庭・業務 14.5%
化学用燃料 20.9%
出所:石油連盟
5
石油はどのくらい備蓄されているの???
●石油のほとんど全量を輸入に頼る日本では、万が一の緊急時をはじめ、
石油の安定供給などのため、石油の備蓄が重要な課題となっています。
●日本では、1976年から民間備蓄が、1978年から国家備蓄が開始さ
れました。2009年12月末の石油備蓄量は197日分(8,364万KL)と
なっています。
国家備蓄基地の所在地(10箇所)
苫小牧東部
むつ小川原
秋田
白島
福井
久慈
上五島
菊間
串木野
志布志
6
石油にかかる税金はどのくらい???
●国の税金の収入(平成22年度予算)に占めるガソリン税などの石油諸
税は7.2%に相当し、約3兆5千億円の税収となっています。また地方
税の軽油引取税を合わせると約4兆3千億円にのぼります。
●ガソリンにかかる税金は、価格が1リットル138円(消費税込み)とした
場合、その中に含まれる税金は約62円にのぼります。
重量税
, 1.2 %
平成22年度(予算)
国税収入額
39兆4,623億円
続
税
3兆4,494億円
+
軽油引取税
(地方税)
消費税,
24.4%
8,432億円
. 2%
=
相
,3
石油諸税計
(国税)
収入 たばこ
印紙 税, 2 .5%
,2
酒
.6 %
税
,3
.5 %
所得税,
32.0%
自動車
その他, 2 .8%
【国の税収と石油諸税】
法人税,
18.4%
ガソリン税,
7.2%
石油諸税額計
(国税+地方税計)
石油石炭税
石油ガス税
航空機燃料税
約4兆3千億円
1.5%
【1ℓ当たりのガソリンに課せられている石油諸税および消費税】
税金合計
約62.4円
二重課税:
6.6円
2.8 円
中身価格分:3.8円
ガソリン税
53.8円
石油石炭税2.04円
販売価格を1ℓ 138円とした場合
出所:レギュラーガソリン小売価格(平成22年6月調査・石油情報センター)
7
全国にガソリンスタンドはどのくらいあるの???
●ガソリンスタンドは、各地域においてガソリンや灯油など生活に必要な
エネルギーの供給拠点としての役割を担っていますが、日本のガソリン
スタンド数は、1994年の約6万ヶ所をピークに、2010年3月末で約4
万か所となっています。そのうち、お客さんが自分で給油を行う「セルフ
SS」は1998年から設置が開始され、2010年3月末で8,296SSと
なっています。
●各市町村のなかには、1つもガソリンスタンドがない市町村も出てきて
います。ガソリンスタンドがなくなると、車への燃料提供だけでなく、灯油
の配達もできなくなるなど、日常生活に支障が出ることになりかねませ
ん。
【ガソリンスタンドの数と販売業者数の推移】
65,000
34,000
60,421SS
給油所数
販売業者数
60,000
32,000
30,000
55,000
28,000
50,000
26,000
45,000
40,357SS24,000
40,000
22,000
35,000
20,000
21
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
18,000
2
平
成
元
年
度
30,000
8
ガソリンスタンドは災害に強いの???
●1995年1月の阪神・淡路大震災強固な施設構造で生き残ったSSは、
震災直後から地域住民のライフラインとして活躍しました。
●また、2004年10月の中越地震、2007年3月の能登半島地震、同年
7月の中越沖地震などの大規模災害時において、被災地内のSSは各
種ライフラインの中で最も早い段階から燃料供給を実施しました。
●地震等の災害時においても給油や生活用水の供給が可能な「災害対
応型給油所」が、全国に234ヶ所あります。
阪神・淡路大震災
中越地震
災害対応型給油所
9
ガソリンスタンドが人助け???
●全国の多くのSSでは、子供や女性、老人などの安全を守るため、
「かけこみ110番」などを実施しています。
●大規模災害時に発生が見込まれる帰宅困難者に対し、SSはトイレの
提供や飲み物の配布などを実施しています。
●また、交通事故などの際に、SSのスタッフが適切に対応できるよう
各地の組合で「救急救命講習」を実施しています。
かけこみ110番のSS
事故などに備えて救急救命講習
災害時の帰宅困難者をサポート
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将来のガソリンスタンドはどうなるの???
●現在、地球環境保護などを目的として、ハイブリッドカーや電気自動車
などの次世代自動車の普及が進んでいます。
●SSでは、電気自動車への充電や燃料電池自動車への燃料供給など、
次世代自動車に対するエネルギー供給拠点となることを目指していま
す。
●また、SSに太陽光パネルや、燃料電池などの新エネルギーを活用した
SSづくりを行い、地震等の災害時でも地域の安全・安心ステーション
として機能することを目指しています。
将来のガソリンスタンド(イメージ)
LED照明等の省エネの徹底
次世代自動車整備工場
電気自動車向け
急速充電装置
太陽光パネル設置
バイオ燃料の供給
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