12 学生の健康に関する悩みや不安にこたえて 大学生協共済連では、学生総合共済の加入者の健康に関する相談や心の悩みにこたえるために『学 生生活無料健康相談テレホン』を設置しています。この1年間(2013年10月∼ 2014年9月) からだの 健 康 相 談 ●からだの健康相談件数の動き この1年の件数を平均すると、43.4件/月となります。 昨年度の55.8件/月と比べ、月間12.4件相談件数が減少して います。 年間では4月、5月の入学・進級時や12月、1月のインフルエンザ や嘔吐下痢症などの感染症が流行する時期に増加傾向が見られます。 れました。 大学院生は、社会生活に向けての対人関係の構築への不安や、睡眠 障害、慢性疾患を抱えながら勉学する方の相談が入りました。 またその他には、高校生で共済に加入している方からの相談や、親 御さんからご自身の更年期症状、検診結果についてや、配偶者の医療 相談、祖父母の介護、健康など多種にわたる相談が多く入りました。 月別の推移は下記の通りです。 学生の健康に関する悩みや不安にこたえて 12 100 62 48 30 35 47 32 相談者の声 64 49 42 45 38 29 0 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 ●相談者の利用状況 今年度の男女別利用比率を見ると、男性24.0%:女性76.0%と なっており昨年(男性25.3%:女性74.7%)と比べ男性の利用率 がやや減少し、女性の利用率が増加しました。 利用者の続柄別では、ご本人からの相談が50.0%、親御さんから の 相 談 は46.1%と な っ て い ま す。 親 御 さ ん か ら の 利 用 が 昨 年 (41.0%)と比べ5.1ポイント増加しています。 新規利用と再利用の状況はそれぞれ59.1%と40.9%で、新規利 用は昨年(56.2%)から2.9ポイント増加しました。再利用は昨年 (43.8%)に比べ2.9ポイント減少しています。 学年別では3年生の利用率が最も高く25.1%で、次いで2年生の 19.8%、4年生の19.4%となっています。昨年利用率が高かった1 年生は16.1%で昨年より9.9ポイント減少しています。 住居状況については、一人暮らしの利用比率は61.6%となってお り、昨年(67.0%)に比べ、5.4ポイント減少しています。 ●時間帯別の利用状況 9時台、17時台の利用が最も多く、それぞれが全体の7.3%を占 めています。最も利用の少ない時間帯は、3時台、5時台でそれぞれ 0.6%となっています。8時台から21時台までの利用が75.2%を占 めています。講義の合間や、仕事や家事の合間を利用して相談され ている様子がうかがえます。 ●相談内容 『病気、ケガ等の疑問や不安(日常的な範囲) 』が最も多く、全体 の37.8%を占めています。これは、昨年度(36.2%)と比べ、1.6 ポイント増加しています。ついで、『病気、ケガ等の疑問や不安(受 診中・受診後)』が29.6%となり、昨年(28.4%)と比べ、1.2ポ イント増加しています。このことから、からだとこころに対する自 己管理の関心の高さと共に、急に病気になった時の受診の目安や応 急処置、医療機関へのかかり方など、インターネットなどでは得ら れない、専門的なアドバイスを電話相談に求めていることがうかが えます。 また、 『心の悩み』が昨年度の4.8%に比べて今年度は2.9%と1.9 ポイント減少しています。健康相談には、病気の捉え方や薬の使い 方など、精神科領域の医療相談が多く入っており、音声ガイダンス により、目的に適った相談窓口を、相談者が的確に選択しているこ とがうかがわれます。 ●学年毎の傾向 1年生は、大学生としての勉学の取り組みや学生生活、初めての一 人暮らしなど、環境の変化に起因する心身の不調などに関わる相談 が多い傾向にあります。また、初めての一人暮らしをさせる親御さ んからの急な病気の対応についてや、医療機関の案内などの相談も 多く入りました。 2年生は、交通事故や部活動、アルバイト先での事故、一人暮らし の食生活の改善など、生活環境の拡大による事故や体調の不安、健 康維持、改善に関する相談が多く見受けられました。 3年生は、就職活動や勉学などによるストレスで体調不良を感じた り、体調を押して学業を優先させたために更なる体調の悪化を招く など、心身ともに不調を訴える相談も見受けられました。 4年生は、海外留学後の体調不良や、今抱えている心身の不調、睡 眠時間の調整の相談など、社会生活に向けての相談が多く見受けら 12 2014 ANNUAL REPORT <日常的な範囲内で病気やケガ等の疑問や不安> ●昨夜より微熱あり、様子を見ていたが、今38℃台ある。インフル エンザが心配だが、検査は発熱後どのくらい経ってからできるか。 (2年生 20歳 女性) ●昨日、手首を火傷して水疱ができ市販薬で対応。朝からオープン キャンパスで受診が出来ないが、対応は。 (1年生 18歳 女性の母親) <受診中または受診後の病気やケガなどの疑問や不安> ●3日前から40℃の発熱があり受診し、2回インフルエンザの検査 では陰性だった。内服しても解熱せず、首の痛みもある。総合病 院に明日受診か。 (3年生 21歳 男性の母親) ●手荒れがひどく皮膚科でステロイド剤を処方されたが、それを使っ ても治らない。薬を付けて、手袋をして寝ているが、痒くて掻いて しまう。どう対応か。 (2年生 19歳 女性) <健康づくり(食生活、運動、健診、予防接種)> ●1週間前から便秘。便秘症で食事や運動には気をつけているがど う対処か? (1年生 19歳 女性) ●学校の歯科検診で不正咬合を指摘。前歯が一本後ろに引っ込んで、 顔が左右対象ではないようだが、かかりつけ歯医者には、見た目に 問題ないので心配ないと言われた。矯正は必要か。 (3年生 21歳 男性の母親) <性に関すること(性病・生理・セックスなどを含む)妊娠・出産> ●現在、妊娠12週。相手も学生のため、中絶してほしいといわれて おり、自分も育てる自信はない。しかし、中絶したくない。どうし たらよいか。 (5年生 23歳 女性) ●10日前に避妊をせず性交渉を持った。基礎体温はつけていないが、 毎月順調に35日周期で次の月経が来ている。予定日だが、まだ始 まらず、足の付け根の痛みや少量の出血がある。妊娠か。 (1年生 20歳 女性) <心の悩み> ●10年前から双極性障害で治療中。原因は親の態度や周囲にあると 思うが、病気自体がどのようなもので、どのような経過で治ってい くのか知りたい。 (3年生 22歳 女性) ●高校の時から、物忘れや状況説明がうまくできないなど違和感が あった。対人関係に支障が若干出ているが、若年性健忘症に当て はまるのではないかと心配。勉学は特に問題なく出来ているが、今 後、社会に出るにあたって医療機関を受診し相談したい。 (院2年生 25歳 男性) <医療機関、施設等の案内> ●夕方から発熱と倦怠感。明日は休日だが、受診できる病院を知り たい。 (院1年生 25歳 男性の母親) ●7年ほど前から赤面症と多汗症があり、心療内科で治療している。 多汗症については、ペインクリニックなどで外科的治療が可能と聞 いたが、医療機関を知りたい。 (4年生 21歳 女性) ●昨夜、胃痛で受診し症状継続している。胆石か十二指腸潰瘍の疑 いだが、本日受診できる医療機関を知りたい。 (4年生 22歳 男性の母親) ※個人が特定される可能性のある相談について、一部修正を加えてあります。 ∼学生生活無料健康相談テレホンの報告 携帯電話からもかけられます。 年中無休 24時間365日 の相談件数は、からだの健康相談が521件、こころの健康相談が955件、計1,476件となりました。こころの 健康相談は全体の64.7%で、相談に占める割合が高い状態が続いています。 「学生生活無料健康相談テレホン からだとこころの健康相談2014年度報告書」より こころの 健 康 相 談 ●こころの健康相談件数の動き この1年の件数を平均すると、79.6件/月となります。 月別の傾向としては、6月の件数が最も多くなっています。天候が 不順なことも影響してか、就職活動がうまくいかないので将来が不 安で怖い、連休が明けてから気分が落ち込んでやる気が起きない等、 心身の不調を訴える相談がありました。 大学院生は、研究が忙し過ぎて人と話す機会がないという状況から、 孤独になり精神的に追い込まれる傾向がみられます。 親御さんからは、学校に行けない一人暮らしの子どもさんの相談が 多く、中には親御さん自身が精神的な疾患を抱えているケースもみら れます。 月別の推移は下記の通りです。 100 67 77 79 82 11月 12月 1月 94 相談者の声 100 91 77 84 75 64 65 7月 8月 9月 0 10月 2月 3月 4月 5月 6月 ●相談者の利用状況 今年度の男女別利用比率を見ると、男性39.4%:女性60.6%と なります。 利用者の続柄別では、ご本人からの相談が86.1%:親御さんから の相談は13.7%でした。親御さんは母親からの電話が94.7%を占 めています。 新規利用と再利用の状況は、それぞれ17.1%と82.9%となって おります。 学年別では3年生の利用率が最も高く35.5%、次いで4年生が 22.4%となりました。大学院生を含めた高学年の利用が多い状況が 続いています。 住 居 状 況 に つ い て は、 一 人 暮 ら し が72.4 %: 家 族 と 同 居 は 24.2%となっています。背景には、両親に心配をかけたくないので 相談できない、みんな忙しいので思うように相談できない、対面相 談ではうまく話せないなどの理由があるようです。 ●時間帯別の利用状況 時間帯別の利用状況を見ると、夜の21時台の件数が最も多くなっ ています。また、21時∼ 0時の時間帯が相談件数のピークとなって います。特に一人暮らしの夜は、孤独を感じて悲しくなったり寂し くなったりするようです。 夜の時間帯では、不眠のため過量服薬をしたくなったときに相談 することで気持ちが晴れたケースがあります。また、リストカット したくなったときに相談することで気持ちが落ち着いたケースもあ ります。 ●相談内容 不安、抑うつなどの精神症状や、不眠、疲労・倦怠・脱力感など の身体症状を訴える傾向が強く、日常生活や学業に影響を与えてい るケースが多く見られます。インターネットで、ご自身の精神疾患 の症状を調べた結果、精神的な病気なのではないか、病院に行った 方がよいかなどの問合せもあります。 昨今の特徴としては、親御さんが子どもさんの進学や就職活動に ついて心配して相談するケースがみられます。中でも、一人暮らし の子どもさんとのコミュニケーションの取り方についての相談が多 くみられました。 また、精神疾患を抱えながら、進学や就職活動を行うことに対す る悩みもあります。相談窓口に毎日電話をかけ、相談員と話すこと が日常生活においての精神安定剤になっているケースも多くみられ ます。 ●学年毎の傾向 1年生は、大学生活が始まったものの、サークル活動などで集団に 溶け込むことができない、初めての一人暮らしで不安など、期待に 対するギャップや、新しい環境への不適応でご相談いただくケース が多くみられます。 2年生、3年生は、ご本人が精神疾患(発達障害、統合失調症、適 応障害など)を抱えながらの進学や就職活動に伴う将来の不安につ いての相談が多く見られます。また、精神疾患により、留年、休学 されてしまう方もいるようです。 4年生は、社会人になるにあたって、初めて一人暮らしをすること、 ひとりで社会で生きていく自信がないことから不安を感じて相談い ただくケースもあります。 <身体症状の悩み> ●昨年から過食だったが、悪化してきている。最近は上手く吐けな くなってきているので、下剤を使っている。食べる姿が変だと思う ので、外で食事を摂る事が出来ない。 (1年生 18歳 女性) ●倦怠感が強くやる気が出ない。気が付くと遅刻の時間になっていて、 何度か学校を休んでいる。睡眠が浅く、目が覚めたり、頭痛がした りすることが何度もある。頭痛のときは、鎮痛剤を服用している。 (院2年生 24歳 男性) <精神症状の悩み> ●先週、精神科を受診したところ発達障害と診断された。交換留学 を予定しているが、留学先の大学から発達障害はダメだと断られ てしまうのではないかと不安になっている。 (3年生 21歳 女性) ●先ほど自傷行為をしてしまった。両親に電話をしたら、母親はそん なことはしないで欲しいと怒ったので、自傷行為したことを後悔し た。母親は通院も服薬も反対しているので、帰省するにも気が重い。 (1年生 19歳 女性) ●息子は性同一性障害で、現在は一人暮らしをしている。お金がな くなった時だけ連絡がくる。周囲に適応できないのは、母親に押さ えつけられて育ったせいだと息子は考えており、自殺をほのめかす。 (3年生 21歳 男性の母親) <人間関係の悩み> ●大学内の恋愛関係のもつれで、元彼や同級生との関係がギクシャ クした。虚しさで自棄酒をしたり、衝動買いをしたり、お酒の場で 声をかけられた男性について行ったりもした。このままでは自分で 自分を破滅に追い込みそうで怖い。 (1年生 20歳 女性) ●自分は発達障害ではないかと思う。人並みにコミュニケーションが取 れない。アルバイト先や研究室でも疎まれているように感じる。この 先、生きていけるのかな、生きていてもよいのかな、と思ってしまう。 (院1年生 24歳 男性) <学業・進路の悩み> ●死にたい気持ちが強くなりパニックになって2週間ほど入院をして いた。医者や家族、カウンセラーとも相談し、大学を退学した。休 学しようと思っていたが、今がどん底という気持ちもあり複雑だ。 (院2年生 30歳 男性) ●6月から大学に行っていない。理系の学部に所属しているが、研究 に縛られるのもいやだ。サークルも辞めてしまい、実家に戻ってパ ソコンでゲームばかりしている。いままでは自分の気持ちを押し殺 してきた。 (1年生 19歳 男性) ●1年留年してしまった息子が「大学は辞める、もうだめだ」と言って おり、何とか説得しようとしているが話を聞かない。先日は、勝手に 一人暮らしのアパートの解約手続きをして、帰って来ようとしていた。 (3年生 21歳 男性の母親) <その他の悩み> ●今の大学とは別の大学の博士課程に進学が決まっていたが、その 研究室の教授が突然亡くなられた。基礎的な知識が違いすぎるた め、ほかの研究室でうまくやっていけるか自信がない。 (院2年生 24歳 女性) ●相談者のプライバシーに関わる情報が研究室に流失した。相談者 は研究室内でパワハラにあった。大学のハラスメント窓口に相談を したが、 「嫌なら辞めれば」という態度であり納得できない。 (院2年生 24歳 女性) 学生の健康に関する悩みや不安にこたえて 12 200 ※個人が特定される可能性のある相談について、一部修正を加えてあります。 2014 ANNUAL REPORT 13
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