特集:最近の NEXI の中堅・中小企業支援への取組み 中堅・中小企業の活発な企業活動が、我が国の経済のみならず社会生活の基盤を支えている ことは言を待ちません。中小企業白書によれば、日本の企業数の 99.3%が中小企業であり、東 京・名古屋・大阪の3大都市圏を除く地域では、約 85%の雇用が中小企業によるものとなって います。 他方、中堅・中小企業を取り巻く環境は、経済のグローバル化による系列・下請けビジネス の減退、少子高齢化による国内需要の縮小などの要因から、厳しさを増す一方となっています。 こうした中で、中堅・中小企業が一層活発に活動するためには、新たな販路の開拓が不可欠と なっており、その重要な選択肢の一つとして海外展開に焦点があてられています。 中堅・中小企業の支援は、政府の重要政策の一つとなっており、本年 6 月に閣議決定された 「日本再興戦略」においても、今後 5 年間で新たに 1 万社の海外展開を実現することが定めら れており、ジェトロ・中小機構等の政府機関や各公的機関の連携による支援の実施が策定され ています。 日本貿易保険でも、国内各地の中堅・中小企業の海外進出をご支援するための様々な施策を 行っており、そのひとつに、地方銀行、信用金庫との「中堅・中小企業海外展開支援ネットワ ーク」による全国の中堅・中小企業支援があります。 今月は、本号発行直前に行われた、2つの中小企業関連対応をご紹介いたします。 1.中小企業海外展開支援ネットワークの拡大 2015 年 10 月1日、NEXI は、新たに地方銀行8行、信用金庫 16 金庫と業務提携を結び、 2011 年から開始した中小企業海外展開支援ネットワーク等の拡大をはかりました。 これにより、業務提携先は計 101 金融機関(63 地銀、38 金庫)となり、全国各地の中小・中 堅企業に対する貿易保険の普及と利用促進への取組体制が、より一層強化されることとなりま す。 また、今回の業務提携では、山口県初の提携行となった山口銀行(山口フィナンシャルグル ープ)によるプレス発表に NEXI からも参加し、全国紙、地方紙のほか、地元TV局からの取 材を受けました。 固く握手を交わす山口銀行 福田頭取と日本貿易保険 小泉理事 (写真提供:山口 FG) -2015 年 10 月1日の提携銀行・信用金庫- 銀行 (あいうえお順) 岩手銀行、愛媛銀行、北九州銀行、栃木銀行、富山銀行、福井銀行、 もみじ銀行、山口銀行 信用金庫 尼崎信用金庫、飯田信用金庫、遠州信用金庫、岡崎信用金庫、帯広信用金庫、 北おおさか信用金庫、甲府信用金庫、城南信用金庫、西武信用金庫、 諏訪信用金庫、玉島信用金庫、豊橋信用金庫、西尾信用金庫、播州信用金庫、 碧海信用金庫、稚内信用金庫、 -2015 年 10 月1日以降の中堅・中小企業海外展開支援ネットワーク- 2.Berne Union 中小企業専門家会合への参加 2015 年 10 月 1~2 日チェコ・プラハで開催された Berne Union(BU)主催の中小企業専門家 会合に NEXI は参加いたしました。今回の会合は、BU と中東欧他新興国の輸出保険機関が参 加する Prague Club との合同開催で 41 機関から 77 名参加となり、新興国においても中小企業 支援が重要なテーマとなっていることが伺えました。 会合で主に話し合われた議題は、次の 3 点となりました。 ① 中小企業の海外展開における障害は何か? ② 貿易保険など支援制度をいかに中小企業に認知してもらうか? ③ 中小企業に広く利用してもらうためのサービス・商品改善とはどのようなものか? 中小企業の海外展開における障害としては、必要となる事業資金の準備と新規事業機会の不 足が主な課題として話し合われました。資金面の対策では、金融機関と連携し各機関が提供す る公的なサービスを融資に有効活用してもらうことなどが議論されました。一方、我が国で課 題として取り上げられることが多い人材面は、議題となりませんでした。 (この点、欧州では語 学面で海外ビジネスに対応できる人材が多く中心的な課題となっていないように感じました。) 次に多くの参加機関から貿易保険などの支援制度の認知度が低いことが課題として上げら れました。その対策としては、アプローチを行う中小企業の顧客データベースの整備、提携す る金融機関との協働、説明会やセミナーの開催、Web での動画公開による分かりやすい説明、 などの取り組みが紹介されました。NEXI の取り組みを紹介した展示ブースでも、実施してい る中小企業向けのプロモーションについて質問が集まりました。 サービス・商品改善の協議では、Web を活用した手続きによる簡素化されたサービスが必要 であること、公的支援策として継続性を保ちつつ中小企業に利用してもらうための特別なサー ビス・商品の企画・開発が必要であることなどが議論されました。 NEXI は中小企業向けマーケティングの分科会でも議事進行を行いましたが、分科会参加機 関の中では必要となる認知度向上やパートナーとの協力等の取り組みへの認識は一致しており、 人員を含む限られた経営資源の中で、何をどこまで実施していくか方針を決定することが重要 であるということが分科会での協議のラップアップとなりました。 会議で議題となり協議されたことは、中小企業のお客様に広く貿易保険を利用していただく ための NEXI の取り組み方針とマッチしているものであり、各機関も同様の取り組みを着実に行 っていることが確認できたことは大きな収穫となりました。 会議開始前の会合メイン会場 3.おわりに 中小企業海外展開支援ネットワークにより、提携先の地銀・信金からのご紹介が徐々に増え つつあり、初めての海外展開の一歩を後押ししていますが、今回の提携拡大により、一層のサ ポート体制が整ったことになります。 以前実施された民間調査によれば、日本の輸出企業は約 33,000 社あり、この内年商規模で 中小企業に分類される企業数は 19,000 社あまりとの報告がありました。又、中小企業庁のレ ポートによれば、直接輸出を行う中小企業の製造業は 6,300 社あまりとなっています。こうし た既に海外展開に取り組まれている中小企業の皆様に加え、今後新たに取り組まれる皆様に、 貿易保険を通じて安心を提供することで、一層ビジネスを発展させていただけるように NEXI は他の支援機関とともに引き続き取り組んで参ります。
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