10 年後、20 年後の変化を見据えた 日常生活圏域ごとの課題解決に向け

広島の地域包括ケア
住民
多職種 ネットワーク
都
市
型
東広島市西条北
10 年後、20 年後の変化を見据えた
日常生活圏域ごとの課題解決に向けた
ネットワークづくり
みどころ!
10 年後、20 年後の変化を見据えて住み続けられる地域をつくっていくため、日常生活圏域を単位と
して地域の関係者(地域住民、民生委員児童委員、老人クラブ、在宅医療推進医、医療介護福祉関係
者、警察、消防、行政)が幅広く参加し地域課題の検討や解決に向けた協議を行う「日常生活圏域関
係者ネットワーク会議」を開催している。
この会議を積み重ね、地域の互助・共助の気づきを地域の課題解決の力に発展させ、さまざまな関係
者が地域包括ケアシステムをつくる当事者として地域づくりを進めていく。
地域概要
実施主体
東広島市西条北地域データ
総人口
40,479 人(高齢化率)
65 歳以上人口 5,945(14.7%)
75 歳以上人口 2,635(6.5%)
地域住民
民生委員児童委員
老人クラブ
在宅医療推進医
(平成 26 年 9 月末 住民基本台帳) 医療介護福祉関係者
警察、消防
東広島市
東広島市は広島県のほぼ中央部に位置し賀茂学園都市建設及び
広島中央テクノポリス建設のプロジェクトを柱に社会基盤や産
業基盤の整備を進めてきた。総人口は微増傾向で推移し、将来人
口も緩やかな増加にある。また、高齢者人口(65 歳以上)は年々
増加し、今後も増加傾向で推移するものと見込まれている一方
で、生産年齢人口の減少が進むとも予測されている。西条北圏域
は市の中央部に位置し、高齢化率が全圏域中 2 番目に低く、認定
率も市平均を下回っている。中心市街地では都市化が進み、都市
機能が集積している。
地域包括支援センターの活動紹介
【体制】
市直営、市役所本庁に設置され基幹的機能を有する。市内 10 日常生活圏域のうち西条北,西条南,八
本松,志和,高屋の 5 圏域を所管している。スタッフは、保健師4人、社会福祉士 2 人、主任介護支
援専門員 2 人、指定介護予防支援担当の介護支援専門員等 8 人からなる。
【活動】
年 2 回程度開催する運営委員会をはじめ、地域住民への普及啓発として、地域包括支援センター便り
の発行、市広報紙にて特集記事掲載、市HPの活用のほか、認知症サポーター養成講座、福祉まつりへ
の参画、民生委員児童委員協議会での高齢者相談窓口についての普及啓発に取り組む。
広島の地域包括ケア <都市型>
東広島市西条北
広島の地域包括ケア
取組の背景と課題認識
市の高齢化率は県内市町のなかで最も低いが、高齢者人口は今後も増加傾向で推移し後期高齢者も大幅
に増加(2025 年には 2014 年に比べ 7.3 千人(40%)増)すると見込まれている。同時に、高齢者を支え
る生産年齢人口の減少が進むと予測されている。市の中心に位置する西条北圏域では、他圏域に比べ介
護サービス資源が豊富でマンションも多く立地し、市北部など圏域外から都市の利便性を求めて移り住
む高齢者がみられる。地域とのつながりが希薄になっている状況も見られ高齢者の孤立が懸念される
という都市部特有の課題がある。
こうした地域の現状があり、今後人口構造や高齢者を取り巻く環境の変化が見込まれるなかで、市は
10 年後、20 年後も住み続けられる地域にしていくためには、地域ぐるみで高齢者の自立した生活を支
援する体制づくりに今から取り組みを始める必要があると考えている。
西条北圏域の介護資源の状況
サービス名等
通所サービス
短期入所サービス
小規模多機能居宅介護
認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者介護
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
事業
所数
14
7
1
1
4
1
2
2
平成 26 年 9 月
定員
333
30
25
18
231
100
200
82
高齢者千人当たり定員数
西条北
市平均
56.01
40.84
5.05
6.16
4.21
6.16
3.03
3.55
38.86
13.16
16.82
17.75
33.64
11.44
13.79
3.13
<介護サービス利用の傾向>
圏域内には介護施設や訪問サービス事業所が多いことから、施設・居住系サービスや訪問サービスの利
用が高く、その一方で地域密着系サービスの利用は低い傾向にある。
<インフォーマルサービス>
地域サロンが高齢者千人当たりの数で見ると最も少なく、集いの場づくりが課題となっている。その他
の利用できる事業所(日用品配達、配食、訪問理美容、家事援助等、廃棄物処理)の数は市内で最も多い。
取組の内容
○日常生活圏域関係者ネットワーク会議
東広島市では地域の関係者が一堂に会し、お互いの活動状況を報告し相互に連携して圏域レベルの地域
課題の解決に向けた検討を行う場として、このネットワーク会議を発足させた。
<平成 27 年 2 月に開催された西条北地域関係者ネットワーク会議>
市からの説明により圏域の現況,将来予測について共通の理解に立った上で、各参加者から取組と課題
の報告が行われた。
(1)テーマ:
「高齢者が安心して暮らし続けることができる地域」
~誰もがやがて訪れる“高齢期”を、安心して迎えるための地域包括ケアシステム~
(2)参 加:在宅医療推進医、住民自治協議会(全 5 地区代表)、老人クラブ、民生委員児童委員、警察
署、消防署、社会福祉協議会、高齢者相談センター、市(高齢者支援課、介護保険課、社
会福祉課、健康増進課)
(3)市の説明:圏域別の人口動態と高齢化の状況、要介護者等のデータに基づく圏域の現況と課題
広島の地域包括ケア <都市型>
東広島市西条北
都
市
型
広島の地域包括ケア
⁽4⁾報告・協議から分った課題等
分野
主な課題等
サービスを拒否される方への対応、老人クラブの世話人の確保
高齢者
災害時要支援者に関する情報の共有、一人暮らし高齢者への支援
認知症の人の徘徊対策、住宅警報機電池切れへの対応
連携
入退院時の連携、救急搬送時の「命の宝箱」の活用
地域づくり
マンション居住者への地域行事参加の働きかけ、大学生と地域の繋がり
(5)今後の取組:これらの課題を含め地域課題について継続的に検討していく方針を確認した。
<課題の検討や解決に向けた協議を行っていく上での基本的視点>
・
「自分達にも役割がある」という意識に切り替える。
・共有する課題を前もって考え察知し 10 年後に起こらないようにする。
・今の子供達が 20 年後に戻りたいと思える地域に。
・今の高齢者をどう支えるかは自分達ならどう支えてもらったら安心か。
(会議終了後の市の整理)
取組の経緯
平成 25 年 4 月:国の通知による地域ケア会議の位置づけの見直し
地域ケア会議について、
「個別課題の解決」
「地域包括支援ネットワーク」
「地域課題の発見」
「地域づく
り・資源開発」
「政策形成」の 5 つの機能の位置づけが明記されたことを受けて、市は現在行っている
介護支援専門員を中心とした地域ケア会議によるネットワークにとどまらず、ネットワークを圏域全体
に広げて地域課題の解決に取り組む方針を定めた。
平成 25 年度~:日常生活圏域ネットワーク会議の立ち上げ・運営を開始
市は平成 25 年度より日常生活圏域ごとに関係者ネットワーク会議を順次立ち上げ、平成 26 年度まで
に全 10 圏域で立ち上げを終え運営を始めた。
平成 26 年 12 月~平成 27 年 2 月:ネットワーク会議の運営に向けての意思統一
市は、市内全地域包括支援センターの職員と協議を重ね、ネットワーク会議の意義、目的、運営、デー
タの見方等の基本事項について改めて理解と認識の共有を図った。
広島の地域包括ケア <都市型>
東広島市西条北
都
市
型
広島の地域包括ケア
取組の成果・今後の課題と展望
◆成果◆
日常生活圏域レベルで、福祉分野だけでなく警察、消防、自治協議会など、様々な分野の関係者が将来
の変化に伴う地域課題を共有し相互に連携して地域課題に取り組む体制の基礎ができた。ネットワーク
会議参加者からも、自らの活動を知ってもらうだけでなく、他の団体の活動をよく理解できることから、
今後の会議運営に期待しているという声が寄せられた。
◆課題と展望◆
ネットワーク会議を定例的に開催し、定着化をめざす。参加者にとって継続する会議としての認識をも
ってもらうことで、さらにネットワーク会議と生活支援コーディネーターとの連携を図りながら課題解
決から政策形成へ繋げていくプロセスをもつことをめざしたい。
取組のポイント、機能強化ポイント
人口の動態推移や介護サービス利用の傾向、また高齢者の個別課題の現状など、行政が把握している地
域のデータに基づき、地域の現状や今後の変化の見通しについて、介護サービス関係者だけでなく、地
域生活に関与する関係諸団体が共通した地域課題を認識した。こうしたネットワーク会議での協議や合
意形成へのプロセスを通じて、地域にある個別課題を解決するための、介護予防の取り組み、何らかの
支援を必要としている人への見守りや気づきといった「地域力」を高めるとともに、今後地域に必要な
生活支援策を生み出す原動力としたいと位置づけている。
連絡先
東広島市地域包括支援センター
082-420-0984
広島県地域包括ケア推進センター
082-254-1166
丸山尚美
広島県健康福祉局地域包括ケア・高齢者支援課 082-513-3198
平成 27 年7月
広島の地域包括ケア <都市型>
東広島市西条北
都
市
型