課題名:中国におけるハチミツおよびローヤルゼリーの精製方法の開発と実証 (研究期間:H 19~H 20 ) 連携機関 株式会社 加藤美蜂園本舗 概 要 ハチミツやローヤルゼリーを加工食品原料として使用する場合、限外 ろ過やイオン交換等の処理が必要であるが、食品プロセス用の膜はほと んど存在しない。また、食品プロセスでは毎回膜の洗浄・再生が必要で あるが、中国の水は硬水であるため、洗浄・再生が難しい。そこで、本 研究では再生用造水装置を設置して食品プロセス用の膜およびイオン交 換樹脂の中国への導入と洗浄・再生技術の実証を行う。 実証課題の目的 19年度に再生用の造水装置が完成したことにより、日本での再生方法 に近い処理が可能となる。また、食品の精製に使用する膜やイオン交換 樹脂の洗浄および再生は使用毎に行うことが必須であるので、20年度の 技術実証活動においては、この水環境を考慮した再生方法を検討して、 日本での製造と同レベルの膜使用期間を得ることを目的とする。 成果 水の限外ろ過は中国でも行われているが、食品プロセス用の膜処理は ほとんど存在せず、現在必要な限外ろ過は日本へ輸送されて行われてい る。中国での再生技術が確立されれば、低価格の工業用ハチミツが生産 され、中国での新製品開発、新規事業が展開される。 現在日本では、家庭用ハチミツとして20,000トン、また工業用ハチミ ツとして20,000トン生産されている。中国では、家庭用として100,000ト ン消費されている。この上に工業用ハチミツの需要が増えれば、大きな 市場が開拓される可能性が大きい。 実施体制 株式会社 加藤美蜂園本舗 ハチミツの限外ろ過システムの検討実証 ハチミツ偽和物のTLC試験法の改良検討 ハチミツ中の抗生物質および農薬の除去システムの検討 ローヤルゼリーの再生および品質分析等 支援機関 (社)食品需給研究センター 中国の水質調査を行った結果、揚子江より黄河流域の水導電率が高い傾 向が分かった。また日本国内における、RO処理実験からも適切な造水用膜 が選定でき、中国におけるハチミツの限外ろ過処理および膜の洗浄システ ム、イオン交換システムを確立することができた(写真1)。ハチミツ膜処 理毎の透過流束を比較した結果、洗浄回復性も良好であった(図1)。 偽和物分析法の改良では、従来1日6検体の前処理が、改良後1日20検体以 上行うことができ精度も同等であることから時間・コスト的に大幅な削減 効果が得られた。UF膜によるハチミツ中の抗生物質および農薬の除去につ いても除去できることを確認した。今後の有用な技術として利用できる。 中国における限外ろ過膜の洗浄および再生技術等の実証は、今後海外進 出する企業の参考になると考えられる。 7000 問合せ先 ○(機関名) 株式会社 加藤美蜂園本舗横浜工場 研究室 ○(担当者名)研究室長 伊藤 新次 (他、吉岡 薫、小暮 直樹) ○ TEL 045 - 784 - 8469 推進会議の設置、研究への助言・指導等 透過流束 [L/hr・U] 実証機関 ハチミツ 純水洗浄 ハイター アルカリ 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 0 5 10 実験回数 [回] 写真1 限外ろ過装置 図1 膜の洗浄回復性 15
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