INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.38
イタリア
フェルトリネッリ書店
ショナル店︵約一二〇坪︶の看板が掲げ
坪の一般書店で、もう一店はインターナ
ンビニが挟まれている。一店は約一二〇
しているが、連続していないで、間にコ
つもお客様であふれている。二店が隣接
利な場所にあるので利用価値が高く、い
はローマ・コロンナ広場にある店だ。便
エナ、ナポリにある。ここで紹介する店
チェーン店はローマ、フィレンツェ、シ
フ ェ ル ト リ ネ ッ リ 書 店 に な る だ ろ う。
タであった。
図売場、地下は経済、経営、コンピュー
人文、歴史、実用書である。中二階は地
の本が目白押しであった。奥左翼は文学、
デザイン、建築と、イタリアが誇る分野
中央は詩、ドラマ、芸術、美術、写真集、
子どもの風景が何ともいえなかった。奥
杯の売場である。お父さんに本をねだる
奥右翼は子どもの本広場で可愛らしさ一
下売場と広く、二五〇坪前後ある。一階
街の中心に店はある。一階、中二階、地
オモ広場とサンタマリア駅の中間の繁華
フィレンツェの店は素晴らしい。ドゥ
ション誌と専門誌だけ並んでいた。
ノセ事務所
能勢
仁
イタリアには大型書店も大規模チェー
ら れ、 地 図、 ガ イ ド、 海 外 辞 書、 語 学、
ン 店 も な い。 そ の 中 で 強 い て 挙 げ れ ば
参考書、雑誌が販売されている。雑誌は
市 内 の ス タ ン ド に は か な わ ず、 フ ァ ッ
(表紙題字・陳舜臣)
2月
外 は す っ か り 晴 れ 上 が り、 パ リ パ
リ い う よ う に 凍 て つ い て い ま し た。
霜 に お お わ れ た 窓 に、 日 光 が 金 色 に
輝 い て い ま す。 家 の な か で は、 誰 も
彼 も が く つ ろ い で 陽 気 で し た。 そ の
世界の本屋さん
﹁書標﹂歳時記
月
科
書
書
芸
術
学
学
1
松本
聰美
2
著書を語る
○ ﹁ マリさんは、オンナ? オトコ?﹂
然
書標・書評
﹃古代史は知的冒険﹄ほか
特集
文明が終わるとき
自
ミステリ映画を読む
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
コミックフロアより
インフォメーション
4
6
2 38
本屋うらばなし
﹁仙台地区のジュンク堂事情﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
朝 の 食 事 を、 旅 の 人 た ち は 舌 つ づ み
を う っ て た い ら げ ま し た。 口 に す る
ものを、片端からほめちぎるのです。
ローラ・インガルス・ワイルダー著
恩地三保子訳
﹃シルバー・レイクの岸辺で﹄
︵福音館文庫︶より
25 24 22 20 17 15
10
26 24 23 21 18 16
30 28 27
514
著書を語る
○
︱︱
置 き 換 え ら れ ま せ ん で し た。﹁ オ ン ナ の か っ こ う を し て し
松本
聰美
か生きられない﹂マリさんでなくてはならなかったのです。
﹁マリさんは、オンナ? オトコ?﹂
﹃ 声 の 出 な い ぼ く と マ リ さ ん の 一 週 間 ﹄ は、 毎 日 小 学 生
な 中 で、 ま っ す ぐ に 生 き て い る マ リ さ ん が 存 在 し て こ そ、
︿ ふ つ う ﹀ で な い こ と で︿ 奇 異 ﹀ の 目 を 向 け ら れ る、 そ ん
新聞に連載した﹁マリさんとの一週間﹂を加筆修正、改題
﹁小学生新聞に連載のお話を﹂と、声をかけて頂いたとき、
主 人 公 は 小 学 五 年 生 の 少 年﹁ シ ン ﹂。 生 ま れ る 前 に 父 を
この物語は成立すると考えていました。
したものです。
いちばんに頭に浮かんだ作品は、マリさんが登場する今回
亡 く し、 キ ャ リ ア ウ ー マ ン の 母 と 二 人 で 暮 ら し て い ま す。
のお話です。かねてから、大人の読者にも読んで頂ければ
と 願 っ て い ま し た。 小 学 生 新 聞 な ら、 小 学 生 の み な ら ず、
学 校 に も 行 け な く な り ま し た。﹁ 消 え て し ま い た い ﹂ と 思
ま れ て い る ﹂ と 殻 に 閉 じ こ も り ま す。 声 が 出 せ な く な り、
母親や友人との関係によって、シンは﹁自分はみんなに疎
その周りの大人の方たちも読んでくださるかもしれませ
ん。胸が高鳴りました。
でも一抹の不安がありました。小学生のための新聞とい
うようになりました。そんな中、母親のアメリカ出張が決
ま り、 シ ン は 会 っ た こ と も な い 母 の 幼 馴 染 の マ リ さ ん と、
う場に、この作品内容は受け入れられるだろうか︱︱。
﹁不安﹂と感じるには、ふたつの理由がありました。
一週間過ごすことになるのです。
こ う い っ た 人 物 に 設 定 す る 必 要 は な い の で は。︿ ふ つ う ﹀
何 年 か 前、 同 人 誌 に 発 表 し た と き、﹁ マ リ さ ん を 敢 え て
多く、たくさんの人が溺れて亡くなったそうです。死体が
です。今、川底をちょろちょろと流れる水は、昔は水量が
が川を隠すように茂り、そこだけがまるで別の世界のよう
くられた玉川上水が流れています。両岸からせり出した木々
作品の舞台は東京都三鷹市です。三鷹には江戸時代につ
一つは作品の中で大きな位置をしめる﹁マリさん﹂が、﹁オ
の女性にしたほうがいい﹂と、幾人もからアドバイスを受
ンナのかっこうをしたオトコ﹂だということです。
けました。けれど私は、マリさん役を︿ふつう﹀の人には
−2−
514
ました。命を絶ち切られるようにして死なねばならなかっ
なかなか上がらず、
﹁人喰い川﹂
﹁子奪り川﹂と呼ばれてい
つ変化させます。
ます。そんなマリさんと過ごす日々は、シンの心を少しず
思いをしてきたマリさんだからこその生活と考え方があり
主 人 公 と 大 き く か か わ っ て き ま す。﹁ 死 ﹂ の 影 が、 物 語 全
今回のお話の中で、玉川上水は﹁魔物のすむ川﹂として
ムの行く手に、まばゆいばかりの光が描かれます。シンは
最後、シンがマリさんと別れて家に帰る場面では、駅のホー
んだコップの底で、膝を抱えてしゃがんでいます。そして
描いてくださいました。物語の前半でのシンは、氷の浮か
こうした主人公の心を、画家の渡邊智子さんは、見事に
た人々。その無念さを、いつか書きたいと思っていました。
﹁ 不 安 ﹂ と 感 じ た も う 一 つ の 理 由 は、 こ の﹁ 死 の 影 ﹂ に
光に向かって、出発するのです。
体に漂います。
あ り ま す。﹁ 死 ﹂ を し っ か り 見 つ め る こ と で、 生 き る 力 は
いもののほうがいいかもしれない⋮⋮。私自身、そんな風
生に、しかも朝に届けられる読み物としては、もっと明る
作者として大きな喜びです。そして、表紙絵の寄り添う二
一人の人間﹁マリさん﹂として、読者の心に残ってくれれば、
︿オンナ? オトコ?﹀という括りではなく、マリさんが
出発前、シンは言います。﹁マリさんは、マリさんさ﹂。
−3−
確固たるものになる、と私は信じています。けれど、小学
にも思っていました。それで、何作品かと共に候補作の一
そばにいますようにと、願います。
つのアジサイのように、どの子にも心が寄せられる大人が
つとしてこの作品を提出しました。
ところが、編集者U さんが、この作品に目をとめてくだ
さいました。毎日小学生新聞の編集サイドからもOKが出
ま し た。﹁ よ く 掲 載 を 決 め て く だ さ っ た ﹂ と、 感 謝 で 胸 が
そして、昨年五月に五十回の連載が終わると、汐文社か
詰まりました。
ら単行本にとお声を頂き、多くの人の手に渡る機会を与え
られました。シンの辛さが理解され、マリさんの生き方が
受け入れられた、と大変うれしく思いました。
マリさんは、長いまつげをつけて、パッカパッカと馬の
よ う に 歩 き ま す。︿ ふ つ う ﹀ で は な い と い う こ と で、 辛 い
『声の出ないぼくと
マリさんの一週間』
汐文社・1,400 円
﹃古代史は知的冒険﹄
悔しいかな、分かっていても、誘われて
しまうのが、関裕二の著作の魅力であるの
憲法は、国を成り立たせる基本ルールで
法は、外部からやってきた。
的に、国は他の国が無ければ存在せず、そ
る。二つの属性は、実は一つである。論理
ある。同時に諸外国に向けた外交宣言であ
ちょっとでも古代史に興味があり、この
して他の国には価値観が全く異なった人び
だが。
本を手にとってしまった人は、古代史の深
憲法とは、決して国家が国民を統治する
NHK出版新書・八二〇円
じ て の 連 帯 ﹂ こ そ が、﹁ 未 来 の 他 者 ﹂ を も
しえないからである。そうした﹁弱さを通
り、この理念無くしては人類はもはや存続
して日本国憲法に書き込まれたものであ
であるかもしれない。九条は世界的理念と
うじてぼくたちが世界に提示できる﹁物語﹂
九条を死守して来た戦後七十年が、かろ
他者たちといかに共生するかにある。
る。そしてそのテーマは、価値観の異なる
即ち、憲法は他者の存在を前提としてい
とが生きているからだ。
みにはまっていくに違いない。
そう確信出来るほど、始めの一歩を踏み
関
裕二著 PHP研究所・一六〇〇円
古代史が好きと言いながらも、小難しい
研究書など読む気にもなれない自分にとっ
出す︵その気は無かったのに強引に背中を
戦後 年から考える﹄
︵志︶
て、関裕二の著作は非常にありがたく、面
冊だと思う。
押 さ れ る、 と も 言 え る。︶ に は、 最 適 の 一
この本は古代史の謎を追求するものでは
白い。
な く、 謎 を 小 出 し に し て 読 み 手 の 好 奇 心 を
﹃憲法の条件
道 具 で は な く、 国 民 が 国 家 に 課 す 命 令 で あ
巻き込んだ普遍的連帯への芽となる。そし
米仏の憲法のように、大多数の国民が共
︵フ︶
作動させる装置として、今なお希望の光な
のである。
﹃ 女性たちの貧困 〝新たな連鎖〟の衝撃﹄
幻冬舎・一四〇〇円
NHK﹁女性の貧困﹂取材班著
−4−
あおっては次の一冊へ読者を誘おうとして
る。なのに﹁集団的自衛権﹂だ﹁解釈改憲﹂
大澤真幸・木村草太著
聖徳太子は祟る存在だった?
だと憲法が蹂躙されても、内閣の支持率は
しかも提示された謎は、さわりの部分し
邪馬台国はどこにある?
か答えを教えてくれない。
日本書紀と古事記の奇妙な差異、等。
て法の形式性・抽象性こそが突破口となる。
有できる﹁歴史的物語﹂がないことが、そ
傷だらけの日本国憲法は、他者の視点を
下がらない。この国の憲法と国民の関係は、
で、
著者は﹁それで、
こっちの謎がね﹂と、﹁そ
うしてそうなるの?﹂と身を乗り出す頃合
うなんだ ! ﹂というカタルシスを与えてく
いうレッテルが剥がれずに残る。そもそも
の理由かもしれない。日本国憲法には、今
日本において、律令の昔から、ほとんどの
なお﹁占領国によって押しつけられた﹂と
いよ﹂と、著者がほくそ笑みながら手招い
﹁ こ っ ち へ い ら っ し ゃ い。 古 代 史 は 楽 し
ているのが見える気がする。
れぬまま、するりと身をかわしてしまう。
実によそよそしい。
こちらが﹁え、何? どうしてなの? ど
おり、いわば始めの一歩にあたる本だ。
70
取材内容と若年女性の貧困に関するデータ
を書籍化。さらに番組で紹介できなかった
スペシャル﹁調査報告
女性たちの貧困
新たな連鎖の衝撃﹂︵二〇一四年四月放送︶
たが見えない
深刻化する若年女性の貧
困﹂︵二〇一四年一月放送︶、続編のNHK
本書はNHKクローズアップ現代﹁あし
である。取材者はそのように感じている。
部の人にとってとてもハードルの高い行為
から脱する﹁努力をする﹂ということが一
的﹂にしか思えない状態にあっても、そこ
欠 如 し て い る 状 態 だ と も い え る。﹁ 非 合 理
がない﹂だけでなく﹁教育﹂や﹁情報﹂が
る こ と も 事 実 で あ り、﹁ 貧 困 ﹂ と は﹁ お 金
かの例が挙げられており、最終章では現代
エクスタシー状態を体験した聖人のいくつ
れを目指してきた。本書ではその神秘的な
人の存在は依然として崇められ、人々はそ
的感情の高まりから神との合一を遂げる聖
うな時代にあっても、信仰の熱烈さ、宗教
学の進歩によって神の存在が消えていくよ
キリスト教の歴史の中で、近代以降の科
本書によると、エクスタシーの体験者と
触れている。
精神衰弱と宗教的エクスタシーの関係にも
の 精 神 病 患 者 の エ ク ス タ シ ー を 取 り 上 げ、
︵大︶
抗いようのない貧困の中で限界まで努力
も含んでいる。
を知る一冊となった。
しながら疲弊していく女性たちがいること
働く単身女性の三人に一人が貧困状態に
あ り、 中 で も 深 刻 化 し て い る の が 十 代、
二十代の貧困である。さらに親世代の貧困
﹃エクスタシーの神学
み出し者であったそうだ。しかし、誰にも
い 子 ど も 時 代 を 送 っ て き た 人 や、 家 族 や
﹁きちんと暮らす方法﹂すら身につかな
だった。
うのはおかしいのではないかという主張
る利用料金を考えると彼女たちを貧困とい
ネットカフェに一か月滞在することで生じ
も っ と も 多 く 意 見・ 感 想 が あ っ た と い う。
以上暮らすケースがでており、視聴者から
番組ではネットカフェで母娘三人が二年
スト教神秘主義の思想を読み解こうとする
であるのではないか。そんな視点からキリ
﹁ エ ク ス タ シ ー﹂ こ そ 宗 教 の 本 質 的 な 要 素
い よ う に も 思 え る が、 そ ん な こ と は な く、
ヨーロッパのキリスト教社会とは相容れな
な 神 秘 的 な 感 覚 は、 理 性 が 重 ん じ ら れ る
体の外に抜け出した状態である。そのよう
﹁ 外 に 立 つ ﹂ こ と を 意 味 す る そ う だ。 魂 が
葉のもとはギリシア語の﹁エクスタシス﹂。
しい言葉のようにも感じられるが、この言
ることになる一冊である。
対するまなざしについてまで、想いを馳せ
の思想から、自分の、理解できないものに
ないかと著者は記す。キリスト教神秘主義
まったとき、いくらかの救いになるのでは
は、いざ自分がこの世間からはみ出してし
そ理解できないことが存在するということ
遍性に辿り着いてきた。この一般にはおよ
人は、全人類が求めてやまない神という普
孤独な営為﹁エクスタシー﹂においてこそ、
分の、世間の、あらゆるものの﹁外に立つ﹂
は、それぞれの時代の社会の規範からのは
キリスト教神秘主義の扉をひらく﹄
理解されず、ひとりきりで昇りつめる、自
が子の世代へと引き継がれ、特に若い女性
に重くのしかかっているという現状を丹念
﹁ エ ク ス タ シ ー﹂ と い う と 少 し い か が わ
菊地章太著
パートナーから暴力を受け、不利な条件で
のが本書の内容である。
ちくま新書・七八〇円
に取材している。
しか生活を維持できない人、うつなどによ
︵井︶
り生活を立て直す気力さえ持てない人がい
−5−
われは繁栄のなかに衰退の種子があるこ
た。そして原因を探求していけば、われ
さまざまな文明の運命が論じられてき
繰り返し語られ、またローマとの類推で
代ローマの衰亡はすでにその同時代から
衰亡論は、不思議に人を惹きつける。古
のではない。いま隆盛を誇るグローバル・
もう用済みとして簡単に片づけられるも
にもまた歴史がある。けれど古い叙述は
てしまったにもかかわらず。歴史の叙述
から大きく変貌を遂げ奇妙な大国となっ
は、本書に描かれたような近代工業文明
とともに取り上げられた現代のアメリカ
せない。古代ローマや中世ヴェネツィア
ベストセラーだが、まるで古さを感じさ
とに気づく。衰亡の物語は一直線ではな
ヒストリーの中心テーマである環境論に
円︶序章の要約である。三十年以上前の
く、浮沈を伴いつつ続き、ついに終わり
しても、それが決して新しい発想ではな
永 遠 に 続 く か に 見 え た 強 大 な 文 明 が、
を迎え、その後どうなるかまでを伝える。
徐々に綻びを見せ、やがて崩壊する││
それは、有限の存在であるわれわれに運
に不滅なものへの憧れがある以上、そう
運命の感覚は人間を思慮深くする。人間
を持って、これからいくつかの文明の衰
だ。楽観でも悲観でもない未来への感覚
命との正しい付き合い方ではない﹂から
発 し よ う と い う 意 図 も な い。﹁ そ れ は 運
そもそも著者には、現代文明に警鐘を
いことがこの本でわかる。
した感覚で十分ではなかろうか。未来へ
だ か ら、 衰 亡 論 は 人 間 を 謙 虚 に す る。
命を考えさせる。
の信念を持つということは、結局のとこ
亡を眺めていこう。
るものがあるそうだ。一九七〇年代、ギ
歴史学の世界には﹁古代末期論争﹂な
キンズ著・三三〇〇円︶
︵白 水 社・ ブ ラ イ ア ン・ ウ ォ ー ド = パ ー
﹃ロ ー マ 帝 国 の 崩 壊 文 明 が 終 わ る と い
うこと﹄
ろ判りえないものを強引に信ずることで
あ る。 そ れ よ り も 衰 亡 論 の 与 え る 知 恵、
未来への感覚の方が、われわれを正しく
導くのではなかろうか。
││という文章を筆者が書けるはずも
なく、以上は﹃文明が衰亡するとき﹄
︵新
潮社︵新潮選書︶
・高坂正堯著・一四〇〇
−6−
ボン﹃ローマ帝国衰亡史﹄以来の常識だっ
たローマ帝国の衰亡、崩壊はメロドラマ
的フィクションであり、古代末期は独自
の価値を持つ﹁変容﹂の時代だったと捉
える動きが起こった。政治や経済よりも
宗教・文化に着眼するこの説は瞬く間に
非 ロ マ ン 的 で あ る。﹁ 宗 教 戦 争 ﹂ や﹁ 民
﹁悲劇﹂と呼ぶにはあまりにも生々しく、
族紛争﹂という言葉が今も安易に使われ
るが、歴史はそんなおおざっぱな括りで
動いてはいない。
﹃マヤ文明
密林に栄えた石器文化﹄
︵岩 波 書 店︵ 岩 波 新 書 ︶・ 青 山 和 夫 著・
千年王国の最期。わずかな手勢で城壁
三八〇〇円︶
の都市が放棄されたことがわかってい
築物や石造記念碑の建立が途絶え、多く
九世紀の劇的な社会変動があった。大建
﹁古典期マヤ文明の衰退﹂と呼ばれる、
﹃ビザンツ帝国の最期﹄
学界を席捲したが、九〇年代になると考
を死守する皇帝。野心に燃えた若きスル
る。その要因として最も重要視されてい
古学的史料を用いた反論が現れる。本書
さ れ た 人 々 の 暮 ら し ︱︱ ロ ー マ 帝 国 の
タン。祖国と信仰のために死ぬ覚悟を決
八〇〇円︶
洗練された生産・流通システムがひとた
めた人々⋮⋮だが﹁悲しいかな、それが
︵白 水 社・ ジ ョ ナ サ ン・ ハ リ ス 著・
び崩壊してしまうと、地域によっては先
るのは、人口過剰、環境破壊、戦争である。
の著者はその代表的存在である。
史時代の水準にまで後退し、回復に数世
ビザンツ人とトルコ人は日常レベルで
事実ではないことはほぼ確実である。﹂
プの中の嵐﹂ではない。それは私たちの
の論争は部外者にとって必ずしも﹁コッ
け に は い か な い ! ︶ 考 察 さ れ る。 学 界
︵ゲルマン民族を一方的な悪役にするわ
理、 ま た E U の 発 展 と の 関 係 に お い て
の成立が、ポスト・コロニアル時代の倫
入 を﹁ 平 和 な 移 住 ﹂ と 考 え る﹁ 変 容 説 ﹂
惑とそれにすり寄る貴族や学者たち。崩
西欧各国、教会、オスマン・トルコの思
結果なのである。繰り返される内輪もめ、
を確保するためにとった現実的な選択の
り、皇帝から民衆まで個々人が己の将来
仰よりも国際政治の現実にその要因があ
り入れていた。帝国の滅亡は、理念や信
り、通商相手であって、互いの慣習を取
は平和に交流していた。彼らは隣人であ
らの権威を正当化し、神々の助けを請う
だが諸王は最悪の解決策を講じる。自
を上回り、食糧が不足した。
増加のペースが土地の再生に必要な時間
が疲弊すると再生に時間がかかる。人口
く浸食されやすい土壌は、いったん土地
し、土地が疲弊する。地盤が石灰岩の薄
耕地や宅地の拡大によって森林が減少
が八世紀に人口がピークに達すると、農
程度は循環型の農耕文明だった。ところ
陶器や貨幣、建築物の分析から描き出
紀を要したという事実は、かなり衝撃的
意識のありようを映す鏡ともなるので
壊の直前までだらだらと続くその過程は
マヤは過度の森林破壊をしない、ある
である。最終章では、ゲルマン民族の侵
ある。
−7−
『ローマ帝国の崩壊』
イアス、特に宗教観念に基づいたお決ま
設したのである。それは当時の文化的バ
ために、より巨大な神殿ピラミッドを建
戦争や疫病をしのぐ地球文明への脅威と
の人が、生態系自死︵エコサイド︶を核
壊が社会の崩壊につながった。今や多く
リアで、ルワンダで、ハイチで、環境破
一九七六年の時点でソ連崩壊を早くも
二五〇〇円︶
﹃帝国以後
アメリカ・システムの崩壊﹄
︵藤 原 書 店・ エ マ ニ ュ エ ル・ ト ッ ド 著・
りの解決策だった。賦役に駆り出された
見なしている。
社会が繁栄すると人口が増える。農作
パターンはあるのだろうか?
あちこちに残っている。そこに共通する
隆盛を極めながら崩壊した社会の遺跡が
ノルウェー領グリーンランド。世界には、
イ ー ス タ ー 島、 マ ヤ、 北 米 ア ナ サ ジ、
アモンド著・各一二〇〇円︶
︵草思社︵草思社文庫︶・ジャレド・ダイ
﹃文 明 崩 壊
滅亡と存続の命運を分ける
もの︵上・下︶﹄
明の黄昏を象徴していたのである。
古典期末の大神殿ピラミッドは、マヤ文
で生き残ったイヌイットの生存戦略から
死に絶えたノルウェー人は、なぜ同じ島
ンランドに入植し、苛酷な環境のなかで
どんな言葉を吐いたのだろう? グリー
に残った最後の一本の木を切り倒すとき
結末を迎えたイースター島の住民は、島
が戦争につながり、大量の集団死という
間くさい物語である。徹底的な森林破壊
すのは、やはり環境をめぐるきわめて人
どもこの大著を読み通して強い印象を残
で多様な崩壊現象を分析していく。けれ
の対応といった枠組みが設定され、複雑
敵対集団と友好集団、環境問題への社会
因ではない。この本では他に、気候変動、
もちろん環境被害だけが文明崩壊の要
動である、と。
上げ、これを叩く演劇的な小規模軍事行
争、つまり弱小国を世界の脅威に仕立て
い。そこで起きたのがたとえばイラク戦
して己の必要性を証明しなければならな
役割も終焉させた。アメリカは世界に対
の崩壊は自由主義世界の保護者としての
とって世界は不可欠である。しかもソ連
リカなしでやっていけるが、アメリカに
のは金融資本の流入である。世界はアメ
り、その国際収支の均衡を維持している
にもかかわらず猛烈に消費する国であ
である。アメリカは生産力が著しく低い
いずれ衰退するというストーリーは明解
ド。アメリカ﹁帝国﹂が実は脆弱であり、
アの政策にも影響を及ぼしたというトッ
断言し、本書ではヨーロッパ各国やロシ
農 民 の 負 担 は よ り 大 き く な っ た だ ろ う。
物の増産のため森林乱伐と植生破壊、土
流布しているイメージとは逆に、並はず
何も学ぼうとしなかったのか? 一般に
人 口 が 減 少 し、 社 会 の 政 治 的、 経 済 的、
て人が争う。飢餓や戦争や病気によって
題をもたらしたのか?
らず兎や狐まで持ち込んで重篤な環境問
に入植したイギリス人は、なぜ羊のみな
れて脆弱な自然を抱えたオーストラリア
だろう。
済や外交を考える際には示唆に富む構図
動向を見ると頷ける部分もある。国際経
農業はさらに圧迫され、戦争が激化した。
壌の荒廃が起こる。それがふたたび食糧
文化的な複雑性が損なわれていく︱︱そ
事の是非は私の手に余るが、その後の
不足をもたらし、少なすぎる資源を巡っ
れは残念ながら過去の話ではない。ソマ
−8−
ない。その自覚の上で﹁環境としての技
主体となり、世界は人間の意志によって
る。神に代わって人間が世界を形成する
であり、﹁文明﹂﹁文化﹂とはそのプログ
﹃没落する文明﹄
ラムを始動させるために提出された﹁他
成立していることを証明づける新たな歴
この時代を支配している文明のスタイ
のいかなる思想よりも革命的な﹂概念
術﹂とのコミュニケーション、いわばリ
ルが、どうやら曲がり角を迎えていると
だったのである。
︵集英社︵集英社新書︶・萱野稔人、神里
東日本大震災は、私たちの生活が自然
いうのが著者二人の共通認識である。文
史 記 述 が 求 め ら れ た。 こ れ が﹁ 世 界 史 ﹂
環境という、人間の力ではどうにもなら
明没落の兆しをいちはやく体験してし
しかしこのような神話世界からの解放
スク・マネージメントの文明論的考察を
ない条件のもとでかろうじてなりたって
をめざした西欧近代の最大のパラドクス
語る科学史家。
いることをあらためて思い知らせた。エ
ま っ た 日 本 は、 そ れ ゆ え に こ そ 世 界 を
は、再び人間を神話的思考内に取り込ん
哲学者と科学史家による対談集。
ネルギーも同様である。原発をやめるな
リードする新しい文明の担い手たりうる
達博著・七二〇円︶
ら産業のあり方から権力構造まで転換し
という﹁希望﹂も提示される。
で し ま っ た こ と で あ る。﹁ 文 化 ﹂ は 国 家
なければならない。つまり、どんなエネ
と民族が人間の価値に確固たる基盤を与
え る と い う 神 話 を、﹁ 文 明 ﹂ は 合 理 的 思
考や科学技術による人類の無限の進歩と
いう神話を生んだ。現在、われわれはこ
の呪縛から抜け出せたのだろうか。たと
えば﹁グローバリゼーション﹂が新しい
寵のなかで予定調和的に決定された時間
西欧近代以前、歴史とは神の摂理、恩
タ 前 と 福 岡 店 三 階 に て、 二 月 十 日 ∼ 三 月 九
︵白水社・渋谷︶
神話ではないといいきれるのだろうか?
からの意志でコントロールできないこと
の進行のことであって、人間の主体的意
日までフェア展開中です。
でご紹介した書籍は、池袋本店一階エレベー
−9−
ルギーがもちいられるかによって社会の
かたちまで規定される。社会や文明のな
りたちを自然環境やエネルギーの問題か
ら考えること、自然環境と人類の相互交
渉のなかにいまの社会が直面している
のインパクトを受け止める知的方
課 題 を 位 置 づ け る こ と。 そ れ こ そ が、
3・
﹃文明と文化の思想﹄
が技術の本質であり、しかも新しい技術
志が関与する余地のないものだった。そ
︵白水社・松宮秀治著・三二〇〇円︶
ができるたびに新しいリスクは生まれる
れが十八世紀の啓蒙主義の時代に一変す
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ 文 明 が 終 わ る と き ﹂
という構造が原理的にある。農耕の開始
『文明と文化の思想』
以来、人類はそこから逃れることはでき
事故を発明することと同じである。みず
飛行機を発明することは、飛行機墜落
法だと言う哲学者。
11
ん少ないなあ、という気がする。そのせ
と、ミステリ映画と呼べるものはずいぶ
常に量産されているSF映画に比べる
だけあって、ファンの興味を知り尽くし
だ。﹁ 映 画 秘 宝 ﹂ 誌 の 編 集 部 に よ る も の
一耕助映像読本﹄︵洋泉社・一五〇〇円︶
そんなあれこれをまとめた本が﹃金田
演で製作された金田一シリーズについて
たマニアックな内容となっている。特筆
の記事。一部の作品はフィルムが失われ
いなのかどうなのか、ミステリ映画にひ
今回はそんな﹁ミステリ映画について
幻となってしまっているが、シナリオな
すべきは、昭和二十年代に片岡千恵蔵主
語りたい ! ﹂という思いが詰まった本
どからストーリーの復元を試みる熱の入
とたび﹁名作﹂が現れると、ファンの間
を、ミステリ映画について語りたい担当
では延々と語りつがれることになる。
者が集めてみます。
れるのが横溝正史原作の金田一耕助シ
邦画でミステリといえば、まず挙げら
ンネームでシナリオも書いており、ミス
亭 ﹂︵ ク リ ス テ ィ ー の も じ り ︶ と い う ペ
督のシリーズだろう。市川崑は﹁久里子
親しまれたのが石坂浩二主演、市川崑監
さて、数ある金田一映画の中でも最も
れようだ。
リーズだろう。昭和五十年代に大ブーム
− 10 −
︽金田一耕助︾
となり多くの映画が公開されたが、それ
テリ好きとして知られている。
て い る。 綿 密 な 調 査 と 検 証 を 繰 り 返 し、
思ってしまうが、内容は驚くほど充実し
だ け で 一 冊 の 本 に な る も の な の か、 と
れた活字についての研究本。そんな話題
水曜社・二五〇〇円︶は、ここで使用さ
﹃市川崑のタイポグラフィ﹄︵小谷充著・
プニングクレジットに圧倒される。
うように明朝体の文字を貼りつけたオー
このシリーズではまず、画面全体を覆
以前も以後も、繰り返し映画化、ドラマ
化がされている。
『金田一耕助映像読本』
映画で使われたフォントを特定し、さら
くが中学・高校生時分、角川映画は﹁天
ムは失われている。当時の新聞・雑誌の
直木三十五が脚本を書いて戦前にサイレ
輝男監督は二本の乱歩映画を撮ってお
ント映画になっているが、すでにフィル
に詰め込まれ、店内には角川映画からデ
り、そのうちの﹁江戸川乱歩全集
恐怖
奇形人間﹂はカルト映画としてその筋
と地と﹂や﹁REX﹂などを公開してい
ビューしたアイドルたちの歌声が繰り返
でよく知られている。内容は﹃孤島の鬼﹄
には市川崑の他の作品との比較や当時の
石坂浩二の金田一シリーズ第一作﹁犬
し流れていた。そんなところで全盛期を
﹃ パ ノ ラ マ 島 奇 談 ﹄ ほ か、 乱 歩 の 名 作 か
映画評や乱歩のエッセイなどからこの映
神家の一族﹂は角川書店の当時の社長・
追体験していたわけである。本書﹃角川
て、目に見えて末期だった。しかし、そ
角川春樹が初めてプロデュースした映画
映画﹄を読むと当時を思い出してたまら
ら様々なモチーフを借用した怪奇映画で
のころ入り浸っていた古本屋は時間が十
であり、この作品を皮切りに角川文庫の
なく懐かしい気分に浸ることができる。
一四〇〇円︶にはこの映画のシナリオが
あ る。﹃ 日 本 カ ル ト 映 画 全 集1
江戸川
乱歩全集 恐怖奇形人間﹄︵ワイズ出版・
文化的背景などを手掛かりに、監督の関
小説を原作にした映画を次々と製作して
さて、お題のミステリ映画に話を戻す
与やその意図を推測していく。金田一耕
いくことになる。
と、横溝正史と並ぶミステリの巨匠・江
画の内容を推測しようと試みるなどして
川右介著・KADOKAWA・一五〇〇
戸川乱歩も多くの作品が映画やテレビと
年ほどずれており、色あせた角川文庫の
円︶は角川春樹が製作に関わった映画に
なっている。﹃江戸川乱歩映像読本﹄︵洋
助以上の名探偵ぶりを堪能でき、ファン
ついてまとめたもの。当時の角川文庫は
泉 社・ 一 五 〇 〇 円 ︶ は、﹃ 金 田 一 耕 助 映
﹁網走番外地﹂シリーズで有名な石井
横溝正史や小松左京、森村誠一をはじめ
像読本﹄の姉妹篇で、こちらも安心の映
いる。
とした日本の名作ミステリ・SFをライ
画秘宝ブランド。国民的な人気を博した
森村誠一﹃人間の証明﹄や小松左京﹃復
ンナップする戦略で急成長しており、必
横溝映画に比べると、乱歩の映画は地味
には興味深い一冊だ。
然的に多くのミステリ映画が作られるこ
なものが多く、本書もメインは天知茂が
介となっている。しかし、やはり内容は
− 11 −
活の日﹄などがそれぞれ三十冊ほども棚
と に な っ た。﹁ 角 川 商 法 ﹂ と 揶 揄 も さ れ
明智小五郎を演じた土曜ワイド劇場の紹
マニアック。乱歩の長編﹁一寸法師﹂は
﹃ 角 川 映 画 1 9 7 6 ︲1 9 8 6﹄︵ 中
たが、ミステリやSFの読者に与えた影
余談を承知で個人的な思い入れを書か
収録されている。
響は計り知れないものがある。
せていただくと、一九七五年生まれのぼ
『日本カルト映画全集1
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』
経営しており、映画﹁張込み﹂撮影隊は
る映画評論家だが、佐賀の実家は旅館を
著者はこれまでも何冊も本を出してい
である。
ち﹄︵新潮社・西村雄一郎著・二〇〇〇円︶
を取材したのが﹃清張映画にかけた男た
名作として名高い。この映画の製作過程
み ﹂︵ 一 九 五 八 年 ︶ は、 ミ ス テ リ 映 画 の
村芳太郎監督・橋本忍脚本の映画﹁張込
現在でも頻繁にドラマ化されている。
る一大鉱脈は、松本清張原作映画だろう。
映画の世界で、金田一映画と並び聳え
登場していた岩下志麻や、スタッフへの
介を執筆、さらに野村監督作品に常連で
が入っている。脚本家の桂千穂が作品紹
本書も野村監督作品のコーナーに最も力
ど、 一 時 期 は 蜜 月 関 係 に あ っ た。 自 然、
﹁霧プロダクション﹂を共に設立するな
太郎と松本清張とは映像化企画のため
ドラマについてまとめたムック。野村芳
監督作品を含め、松本清張の映画および
品
サ ス ペ ン ス と 感 動 の 秘 密 ﹄︵ メ デ ィ
アックス・一五〇〇円︶は、野村芳太郎
大 ヒ ッ ト を 記 録 し た。﹃ 松 本 清 張 映 像 作
撮っており、一九七四年の﹁砂の器﹂は
一作として八本の松本清張原作映画を
野村芳太郎監督はこの﹁張込み﹂を第
︵清張以外︶を紹介していこう。
村芳太郎が撮ったミステリ映画の原作
ていないのが残念なのだが、ここでは野
ろう。関連本が前出の二冊くらいしか出
テリ映画監督と言っても差し支えないだ
上では市川崑監督を凌ぎ、日本一のミス
も多くのミステリ映画を撮った。本数の
愛読者であり、松本清張原作映画以外に
野村芳太郎監督はもともとミステリの
︽野村芳太郎︾
表作の本編がDVDに収録されている。
畜 ﹂﹁ 天 城 越 え ﹂ な ど 松 竹 が 製 作 し た 代
というシリーズが出ており、﹁砂の器﹂﹁鬼
& B O O K ﹄︵ 全 十 冊・ 各 三 三 〇 〇 円 ︶
しい。著者はプロダクションのスタッフ
林悦子﹃松本清張映像の世界
霧にかけ
た 夢 ﹄︵ ワ イ ズ 出 版・ 二 二 〇 〇 円 ︶ に 詳
前述の霧プロダクションについては
案なのである。ウールリッチはウィリア
文庫・品切れ︶の舞台を江戸に移した翻
ウ ー ル リ ッ チ﹃ 黒 衣 の 花 嫁 ﹄︵ ハ ヤ カ ワ
かもしれないが、この作品はコーネル・
潮 文 庫・ 五 五 〇 円 ︶。 山 本 周 五 郎 だ っ た
は山本周五郎の同名時代小説が原作︵新
の一人として数多くの映像化に奔走し
ム・アイリッシュ名義で発表した﹃幻の
ミステリのベストとしてよくあげられ
女 ﹄︵ ハ ヤ カ ワ 文 庫・ 九 四 〇 円 ︶ が 海 外
− 12 −
︽松本清張︾
実はこの旅館に滞在して映画の撮影をし
インタビューなど、とても充実した内容
た。松本清張の側近による生々しい証言
なお、松本清張原作映画は小学館から
らミステリではないのでは、と思われる
である。
﹃松本清張
傑作映画ベスト DVD
10
同タイトルの短編小説を映画化した野
ていたのだそうだ。当時五歳だった著者
の本である。
一九六四年の岩下志麻主演﹁五瓣の椿﹂
の回想も交えながら、スタッフへ取材を
重ねた得がたい内容となっている。
『清張映画に
かけた男たち』
フォー監督によって、フランスで映画化
みに、﹃黒衣の花嫁﹄はフランソワ・トリュ
る、アメリカのサスペンス小説家。ちな
ると言われるほどリアルかつ詳細に裁判
受賞している。法曹界で教科書に使われ
はないが、本書で日本推理作家協会賞を
書 籍 あ り ︶。 大 岡 昇 平 は ミ ス テ リ 作 家 で
てみてほしい。
DVDが出ているので、ぜひ原作と比べ
一九六八年の﹁白昼堂々﹂は結城昌治
スペンスに満ちた小説で、映画も原作の
を描いており、たんたんとしながらもサ
日本の名作ミステリ映画についてまとめ
さて、ここまでで紹介しきれなかった
︽その他の邦画︾
されている。
のユーモアミステリが原作。これまで何
ておこう。
ら電子書籍が販売されている。北九州の
最後に現在はいずれも品切れ。講談社か
イーンの代表作の一つである。原作はア
い 先 日、 越 前 敏 弥 に よ る 新 訳 が 出 た ク
の町﹄︵ハヤカワ文庫・一二〇〇円︶。つ
紙﹂の原作はエラリイ・クイーン﹃災厄
をモデルに、貧困から這い上がった男の
七 一 〇 円 ︶。 実 際 に あ っ た 洞 爺 丸 の 事 故
テ リ が 原 作︵ 新 潮 文 庫・ 全 二 冊・ 各
監督﹃飢餓海峡﹄は水上勉の社会派ミス
東映が一九六五年に製作した内田吐夢
雰囲気をよく再現している。
炭鉱が閉山し、職にあぶれた連中が都会
非情な運命を描いた大長編である。
一九七九年の﹁配達されない三通の手
度もあちこちの文庫に入っているが、五
へ出てきて集団万引きを繰り返す。警備
メリカの架空の田舎町ライツヴィルを舞
年ほど前に光文社文庫に収録されたのを
員や警察官を巻き込む、ドタバタ騒動を
台にしているが、映画は日本の萩に舞台
たのだが、映画で重要な手掛かりとして
こない。あれ、読み落としたのかな、と
印象的に登場するものが、原作には出て
思ったくらいだが、実はこれは脚本家が
を移し、登場人物も全て日本人だが、意
最 後 に 一 九 八 五 年 の﹁ 危 険 な 女 た ち ﹂
考えたもので、絶妙なアイデアに原作者
外と原作に忠実な展開である。
ぼくは原作を読む前に映画を見てい
描いている。
一九七七年の﹁八つ墓村﹂は言わずと
七 六 〇 円 ︶。 謎 解 き よ り も 四 百 年 に わ た
はアガサ・クリスティー﹃ホロー荘の殺
知 れ た 横 溝 正 史 の 原 作︵ 角 川 文 庫・
る 因 縁 話 に 重 点 を 置 い て、﹁ 祟 り じ ゃ
も舌を巻いたという。名画と言われる所
以だろう。鈴木尚之によるそのシナリオ
人﹄︵ハヤカワ文庫・九〇〇円︶が原作。
る。ポアロに該当する名探偵を演じるの
は﹃ 鈴 木 尚 之
人 と シ ナ リ オ ﹄︵ シ ナ リ
オ作家協会・三三九八円︶で読むことが
これも舞台を日本に移して映画化してい
はなんと石坂浩二。着物じゃない金田一
できる。
渥美清演じる金田一をはじめ主要人物は
いずれも影が薄く、山崎努が演じた大量
耕助である。とはいえ、野村芳太郎最後
あ ! ﹂ と い う セ リ フ で 大 ヒ ッ ト し た。
殺人のみが強烈に印象に残るという、野
の監督作品であり、それまでの傑作に比
文庫・五一四円︶は、戦後本格ミステリ
坂 口 安 吾 の﹃ 不 連 続 殺 人 事 件 ﹄︵ 角 川
村芳太郎監督としても、あるいは他の金
野村芳太郎監督の主要作品は松竹から
べるとやや低調であるのは否めない。
田一映画と比べても、異色作と思う。
続く一九七八年の﹁事件﹂は大岡昇平
の長編が原作︵新潮文庫・品切れ・電子
− 13 −
TGで映画化されている。原作の猥雑な
の名作とされているが、一九七二年にA
実 に 惜 し い。 現 在 の 映 像 技 術 が あ れ ば、
われなかった方が馬鹿馬鹿しくも秀逸で
部分に焦点をあてた評論。例えば市川崑
説の映画化に際し、原作から改変された
京創元社・二五〇〇円︶は、ミステリ小
ついての話題で、ぼくなどは見たことが
人による対談集。ほとんどが白黒映画に
は、ミステリ映画・小説に造詣の深い二
ペンス映画﹄︵七つ森書館・二二〇〇円︶
逢坂剛・川本三郎﹃さらば愛しきサス
ている。
など、数々のミステリ映画を俎上に載せ
こに当時のオカルトブームの影響を見る
と登場する。原作にはない要素だが、こ
憑き﹂を連想させるものが画面にチラリ
監督の映画﹁犬神家の一族﹂には﹁犬神
採用されただろうな、と思う。
語っている本をいくつか。
最 後 に、 ミ ス テ リ 映 画 全 般 に つ い て
︽ミステリ映画全般︾
雰囲気をよく再現している。監督の曽根
中生は最近、﹃曽根中生自伝﹄︵文遊社・
三九〇〇円︶を刊行し、その中でこの映
画についても言及している。
映画とかかわりの深いミステリ作家と
いえば、論理的な本格ミステリから荒唐
無稽なアクション小説まで幅広い作風で
活躍した都筑道夫がいる。﹃三重露出﹄︵光
文社文庫・七八一円︶が﹁俺にさわると
危ないぜ﹂というタイトルで小林旭主演
の日活アクション映画になっているな
ど、多くの作品が映画化されている。そ
二〇〇〇円︶の中に、一九六五年に東宝
改 装 さ れ た か?﹄︵ フ リ ー ス タ イ ル・
ラーやウェストレイクなど、ミステリ作
る 若 竹 七 海 と の 共 著 も あ る。 チ ャ ン ド
エッセイを何冊も出しており、夫人であ
した大冊。著者はミステリ関係の評論や
に海外のミステリ映画について語りつく
︵ ア ル フ ァ ベ ー タ・ 三 八 〇 〇 円 ︶ は、 主
けあり、後半のTVムービーについてま
な い が、﹁ 刑 事 コ ロ ン ボ ﹂ の 第 一 人 者 だ
集。特にミステリ映画に限った内容では
テリの評論家として知られる著者の評論
﹃石上三登志映画論集成
私の映画史﹄
︵ 論 創 社・ 三 八 〇 〇 円 ︶ は、 映 画・ ミ ス
の名作を探す手引きとなるだろう。
化なども踏まえて語り合っており、往年
ない映画の話ばかりだが、近年のDVD
が 製 作 し た ア ク シ ョ ン 映 画﹁ 一 〇 〇 発
家別に映像化作品を論じたり、あるいは
とめた章はミステリファンなら非常に楽
小 山 正﹃ ミ ス テ リ 映 画 の 大 海 の 中 で ﹄
一〇〇中﹂のシナリオを執筆した時のエ
ヴァン・ダインが原案を書いたスキー映
れだけでなく、オリジナル脚本もいくつ
ピソードがある。アクション映画は次か
画についてなど、ミステリ好きには楽し
か書いている。
ら次へと畳み掛けるようにアイデアが必
評論エッセイ集﹃黄色い部屋はいかに
要となる、という文章の中で、映画で実
︵MJ梅田店・中村育広︶
しめる内容になっている。
い薀蓄が満載の本だ。
千街晶之﹃原作と映像の交叉光線﹄
︵東
際に使ったアイデア、使われなかったア
イデアがそれぞれ披露されているが、使
− 14 −
『黄色い部屋はいか
に改装されたか?』
Effective Ruby
当 た り 前 と な っ た。 今 後 の ア プ リ ケ ー
ど一人で複数の端末を使いこなすことが
著
Michal Levin
大木嘉人他訳
PC、タブレット、スマートフォンな
説明しているのでわかりやすい。初学者
が豊富なうえ、なぜそうするか理由まで
すい Ruby
コードを書くための、ベスト
プラクティスを紹介した書籍。サンプル
著
監修 長尾高弘訳
Peter J.Jones
arton
本書は信頼性が高くメンテナンスしや
シ ョ ン 開 発 は、 複 数 の デ バ イ ス に ま た
は Ruby
言語を深く理解することがで
き、経験を積んだデベロッパーにとって
デザイニング・
マルチデバイス・
エクスペリエンス
ニコラス・G・カー著
篠儀直子訳
ピューリッツァー賞候補作﹃ネット・
がったUXデザインを意識して設計する
かけを与えてくれる。
コンピュータ
ションが人間にもたらす影響について
バカ﹄の著者による最新作で、オートメー
の シ ニ アU X デ
必 要 性 が あ る。 Google
ザイナーである著者が、ウェアラブルや
オートメーション・バカ
語った一冊。著者はオートメーション化
モノのインターネットの時代を見据えた
二九八〇円
翔泳社
マックスむらい、
村井智建を語る。
三二〇〇円
マックスむらい著
倉西誠一構成・文
著 者 は 人 気 の 動 画 投 稿 者 で も あ る が、
本 業 は 主 に Apple
製品のレビューサイ
トの運営などを行う AppBank
株式会社
の CEO
。本書は二〇一四年八月に行わ
れ た ニ コ ニ コ 生 放 送 の 内 容 を も と に、
﹁マックスむらい﹂となる前の村井智建
一二〇〇円
氏の、誕生から AppBank
創設直前まで
の生い立ちをまとめたもの。巻頭には幼
少期のカラー写真も掲載。
KADOKAWA
− 15 −
も、自分のプログラミングを見直すきっ
が仕事を効率化し便利な暮らしを与えて
視点でUXデザインを語る。
詳解
荻原剛志著
解 説 書。
Swift
で
Objective-C
のプログラミング経験者向けに書かれ
SBクリエイティブ
とのデータの受け渡しや連
Objective-C
携についても解説している。
た、 入 門 よ り 少 し 上 の
くは入門者向け。本書は
籍 が す で に 多 数 出 版 さ れ た が、 そ の 多
は Apple
が昨年発表したばかり
Swift
の 新 し い プ ロ グ ラ ミ ン グ 言 語。 関 連 書
Swift
オライリー・ジャパン 三四〇〇円
くれる一方で、人間の技能や思考力など
を退化させているのではないかと主張す
る。専門家の意見も引用しながら具体的
な事例をもとに、行き過ぎた自動化・機
二二〇〇円
『オートメーション・
バカ』
械化に警鐘を鳴らす。
青土社
コンピュータ
自 然 科 学
日本人はどう死ぬべきか?
養老孟司×隈
研吾著
﹁日本人はどう死ぬべきか?﹂
なんだか人生が楽しくなること間違いナ
開いてみてください。読んでいるうちに、
から見えてくる生物進化の理不尽さが私
ドブックにとどまらず、絶滅という観点
二二〇〇円
たちに何を教えてくれるのかを探るもの
となっている。
朝日出版社
石川氏は西麻布の居酒屋﹃権八﹄の設
一三〇〇円
シ!
日経BP社
旧帝国ホテルのクリームソーダ
計者であると言えば興味が湧くのではな
本書は建築家・石川雅英のエッセイ。
石川雅英著
実は本書の中にはっきりとした答えが書
いだろうか。﹃権八﹄は、かつてブッシュ
表題にもなっているこの問いかけだが、
かれているわけではない。書かれている
元大統領と小泉純一郎元首相が会談して
その石川氏がお気に入りの建物を訪ね
話題となった、あの﹃権八﹄である。
のは、今まで日本人がどんな暮らしを営
理不尽な進化
吉川浩満著
んできたかということ。言い換えれば日
本人が﹁死﹂に対してどのようなスタン
スで接してきたか、ということでもある。
その視点は独特で、同じ建物を見たと
歩いた感想がエッセイ風に綴られる。
しても、自分では気づけないであろう美
私 た ち が 進 化 に つ い て 語 る と き、﹁ 適
しさを発見していておもしろい。
長い歴史の中で日本人は、自分たちが
ふ つ う は 生 き 残 り の 観 点 か ら 見 て い る。
載せられているだけなのだが、それも著
者生存﹂や﹁自然淘汰﹂という言葉を使
しかしこの地球上に現れた生物種のうち
者が撮影したものなので、どこに美しさ
う こ と が 多 い こ と か ら も わ か る と お り、
映させてしまった。それが生活から﹁死﹂
九 十 九・九 パ ー セ ン ト は 絶 滅 し て い て、
しまい、それを暮らし︵建物︶の中に反
を遠ざけることになり、結果的に私たち
しかもその多くは劣っていたからという
﹁永遠に生きられる﹂という錯覚をして
は﹁死﹂に恐怖を感じるようになったの
美術出版社
一四〇〇円
一度は行ってみたいと思ってしまう一冊。
旅館・ホテルが中心とあって、どこも
基本的に写真は一箇所に一枚、小さく
だと言う。
を感じたのか、追体験できる。
グールドやドーキンスらの論争にも触
ぎないということらしい。
よりも、運が悪かったから絶滅したにす
では、﹁死﹂の恐怖を和らげるために、
⋮⋮なんて堅苦しい事は考えず、どうか
れながら進む考察は、単なる進化論ガイ
私たちはどう生きるべきなのだろうか?
肩の力を抜いて、リラックスして本書を
− 16 −
自然科学
医
学
クリニカルクエスト
書
未 だ か つ て な い ! 医 学 知 識 修 得R P
横林賢一監修
病患者。糖尿病は自覚症状がないまま進
高齢化社会に伴い増え続けている糖尿
にも手に取って頂きたい一冊である。
く、一般の方やもやしもんのファンの方
く解説されている。医療従事者だけでな
で書かれている箇所もあり、わかりやす
本書は、コーチングセンス︵十の機能︶の
二二〇〇円
行し、放って置くと重大な合併症を引き
具体的な対応例を医師と患者の対話形式
講談社
起こす。治療は医師の力だけでは難しく、
患者が自ら主体的に生活習慣の改善に取
り組めるようにしなければならず、その
ために医療従事者がコミュニケーション
のセンス︵コーチングセンス︶を活用して
臨床問題に挑戦しながら進むゲーム
で紹介する。まずは、十のコーチングセ
行 動 変 容 を 導 き 出 す こ と が 大 切 で あ る。
ブック形式になっており、愉しく学びな
岩田健太郎著
石川雅之絵
感染症に
関連した書籍を多く執筆してきた岩田健
式の本書、副題は﹁薬剤師のための地域
著者がそれぞれ症例を挙げて解説する形
始まっている。別々の立場にある二人の
さあ広大なる医学の世界の冒険の旅
へ!
二五〇〇円
− 17 −
G刊行 !
が ら 自 分 の レ ベ ル を チ ェ ッ ク で き る。
絶対使える ! 臨床検査値
病院薬剤師と保険薬局薬剤師の間で患
菅野
彊・井上映子著
太郎先生と、
菌漫画﹃もやしもん﹄の著者・
医 療 連 携 ス タ ー トB O O K ﹂。 丸 み の あ
者 さ ん の 薬 物 療 法︵ 臨 床 検 査 値 を 含 む ︶
石川雅之先生の夢のコラボが実現。私達
る フ ォ ン ト や 多 く の か わ い い イ ラ ス ト、
南山堂
に関する情報を共有する〝薬薬連携〟が
が生活している中で最も関わりがあるの
やさしい色使いで全体的に絵本のような
一六〇〇円
ンスを一つひとつ実践しセンスを磨こう。
絵でわかる感染症
クリエイツかもがわ
ゲームと侮るなかれ。内科九領域にちな
んだ四十五のクエストは、生半可な知識
経験の浅い勇者たちはどこかで聞き覚え
w it hもやしもん
で は 太 刀 打 ち で き ず、 医 学 生 や 研 修 医、
のある台詞でたしなめられてしまうだろ
が感染症だが、日本の教科書で取り扱わ
とだ ! ﹂
れることは少ないのが現状である。本書
二八〇〇円
生活習慣病診療に役立つ
南山堂
受容と和みのコーチング
ろしのイラストやボケとツッコミの口調
仕上がりになっている。
う。﹁おお ! まけてしまうとはなにご
『絵でわかる感染症
with もやしもん』
は数少ない感染症学の入門書で、描きお
岸
英光監修
山本美保・深尾篤嗣著
医学書
社 会 科 学
な意味でプロのための雑誌だった。兜町
という雑誌があった。値段が高く、色々
か つ て 月 に 二 回 発 行 の﹁ 現 代 産 業 情 報 ﹂
る。その上で、構造政策の必要性を訴え
タルフライトが発生する懸念を示してい
が失敗した場合による財政破綻やキャピ
よる国債の購入などの財政ファイナンス
クルート事件等、世間を騒がせた事件の
一七〇〇円
の石原と異名を持つ石原俊介氏が発行
裏には必ず彼の存在があった。今ITが
日本経済新聞出版社
ている。
右翼・総会屋に人脈を持ち、大手メディ
人。この本は彼の物語である。暴力団・
イスラム国
アには決して出ないような記事が書かれ
ではない。著者は、彼らのことをグロー
進歩し、無料で情報を調べることのでき
政界・財界・警察から一目おかれ、リ
ていた。
テロリストが国家をつくる時
ロレッタ・ナポリオーニ著
バリゼーションと最新テクノロジーに
る時代になったが、まだそういう手段が
女性たちの貧困
一一四万未満である。衝撃的なコピーを
一八〇〇円
野口悠紀雄著
うたう本書は﹁クローズアップ現代﹂
﹁N
働く単身女性の三人に一人が年収
NHK女性の貧困取材班著
参入を志願した話題が出た通り、彼らの
﹃19 40 年 体 制 ﹄ や﹃﹁ 超 ﹂ 整 理 法 ﹄
た。本書の中には、様々な苦労をする女
HKスペシャル﹂の特集番組から誕生し
経済や財政の政策や経済現象を分析して
めながら、後半では量的金融緩和などの
金利や自然利子率の概念を前半でまと
高校から進学を目指す十九歳。彼女たち
バイト。家事を担い家計を支え、通信制
五〇〇万の借金を背負った二十四歳アル
フェで暮らす姉妹と母親。奨学金返済で
性 た ち が 登 場 す る。 二 年 以 上 ネ ッ ト カ
− 18 −
イスラム国は、単なる過激な集団組織
よ っ て 成 長 し た﹁ 国 家 ﹂ だ と 指 摘 す る。
小学館
無かった頃の、闇社会の大物だ。
そ の 証 拠 に 彼 ら は 経 済 的 な 基 盤 を 持 ち、
都市のインフラを整備し、住民のための
政策を実施しており、その様子はかつて
名を轟かせたタリバンとは異なる。日本
活動は今世界中の若者から注目を集めて
で著名な経済学者による﹁金利﹂を視点
金融政策の死
いる。本書は、イスラム国という新しい
に据えた経済評論である。
いる。また、年金制度の欠陥についても
一三五〇円
黒幕
言及している。加えて、日本でも日銀に
年 額 法 人 十 二 万 円、 個 人 三 万 六 千 円。
伊藤博敏著
文藝春秋
国家の内実を紐解く貴重な一冊である。
の大学生が就職難の末にイスラム国への
『女性たちの貧困』
社会科学
ベ ス ト セ ラ ー﹃ ヤ バ い 経 済 学 ﹄︵ 東 洋
制度が生んだ歪みであることに気づく。
の生活から、貧困環境は現代社会の救済
翻訳の際二つ削られている︶とあり、商
敗を探る﹁十の物語﹂﹂
︵原著では十二で、
を浴び、翻訳された。副題に﹁成功と失
が本書を昨年紹介したことで、再び脚光
氏から薦められたとしてビル・ゲイツ氏
ものであるが、ウォーレン・バフェット
作家。原著は一九六〇年代に刊行された
年 に 他 界 し た ア メ リ カ 人 の 記 者 で あ り、
著者は一九二〇年生まれで、一九九三
伝わってくる一冊だ。
きこまれる本で、観光産業の奥の深さが
争いがあったのかという具合に、つい引
も多いと思われる。西武と東急でこんな
ている所ばかりで、訪れた経験を持つ方
大規模に整備され、全国的な人気を誇っ
内容。とりあげられた観光地はいずれも
マリナ・アドシェイド著
セックスと恋愛の経済学
一四〇〇円
経済新報社・二〇〇〇円︶をはじめとし
品開発の失敗談や金融事件の話などが詰
幻冬舎
て、身近な事象を経済学というフィルタ
め込まれており、現代にも通じるテーマ
からの時代に求められる姿だと著者は論
な耐えることに長けた企業こそが、これ
危機に強く、回復力のある会社。そん
ピーター・D・ピーダーセン著
レジリエント・カンパニー
一九〇〇円
を通して解析した書籍が人気を集めてい
がある。
彩流社
る。本書が扱っているのは、セックスと
一八〇〇円
− 19 −
恋 愛。 美 し い 装 丁 と 扇 情 的 な コ ピ ー で、
ダイヤモンド社
じる。P&Gやナイキなど、グローバル
な舞台で成功をおさめた二十社をとりあ
げ、それぞれの特徴に言及している。英
語で錨を意味するアンカリング︵組織の
拠り所、顧客を惹きつける魅力のこと︶、
自 己 変 革 力、 社 会 性 の 三 つ の 要 素 か ら、
各社を分析。登場する会社の多くは創業
百年を超える老舗だが、古さの反面、機
かり、感心した。
一六〇〇円
敏性と革新力も併せ持っていることがわ
著者は鉄道・航空評論家。本書は軽井
東洋経済新報社
鉄道会社間における闘いの歴史を綴った
沢 や 箱 根 と い っ た リ ゾ ー ト 地 を め ぐ る、
広岡友紀著
リゾート開発と鉄道財閥秘史
『人と企業はどこで
間違えるのか?』
思わず手に取りたくなる本だ。
ロマンティックでしばしば非合理なは
ずのセックスや恋愛。だが統計をみると
しっかり経済的影響を受けていることが
見て取れる。実にシビアである。
コロンビア大学の授業がもとになって
いるだけあって、軽そうに見えてなかな
かにマジメ。政策に役立ちそうなエビデ
ンスも多い。ただ、個人の恋愛に本書が
一八〇〇円
役に立つかは、まぁ、その人次第。
ジョン・ブルックス著
人と企業はどこで間違えるのか?
東洋経済新報社
社会科学
人 文 科 学
デリダ伝
無縁社会のゆくえ
日本心理協会監修
高木
修ほか編
急速に進行する少子高齢化、都市部へ
ブノワ・ペータース著
の人口流入、ネットの発展に伴うコミュ
本書はさまざまな資料を駆使して、無
とにかく、まずは店頭で手に取って見
縁社会の実態について非常に具体的に述
ニケーションの減少など、現在の日本で
デリダの著作の中にあってもひときわ
ていただきたい。約八〇〇ページの分厚
目を引く真っ赤なカバーの表紙には、デ
は誰もが無縁化するリスクを内包してい
べている。恐ろしいことに、今の社会で
深刻化している〝無縁化〟。
リダの微笑がうっすらと浮かぶ。凄い迫
さ、 直 角 に 角 度 を と る 角 背 の 背 表 紙、
ウィリアム・モリスといえば、民衆文
ウィリアム・モリス・E・B・バックス著
力である。装丁からしてフランス現代思
一万円ぴったりという本体価格。数ある
化に基本を置き、生活と芸術の一致を目
社会主義
その成長と帰結
指したアーツ&クラフツ運動の主導者と
想の雄、ジャック・デルダにふさわしい
誠信書房
二〇〇〇円
る。他人事ではないのである。
してよく知られている。それは純粋な芸
一〇〇〇〇円
一冊。
胡椒はちっぽけな、ごくありふれた植
胡椒
暴虐の世界史
マージョリー・シェファー著
物だ。ただひとつ、熱帯にしか自生しな
単なるエリート教育ではない、本質的
う文科省の発表で、注目が集まっている。
ログラム。日本でも認定校を増やすとい
危険な航海へ乗り出し、大航海時代を後
で高騰したという。人々は胡椒を求めて
夢中になって、胡椒は金と同じ価値にま
ようになり、西洋の人びとはその風味に
交易によって世界中の品物が手に入る
いという点を除いて。
な探究心を必要とした総合的な学びであ
押しした。食文化は世界史を動かす原動
な視野を持った人材育成のための教育プ
IB︵国際バカロレア︶とは、国際的
江里口歡人著
IB教育がやってくる !
白水社
術運動ではなく、社会主義運動を志した
ものだった。
マルクス・レーニン主義の系譜とは異
なるモリスの社会主義は、ポスト資本主
二三〇〇円
義の道を探る現代においても重要な思想
であるといえよう。
晶文社
るIBを、玉川大学でIB教員養成コー
二四〇〇円
スをいち早く立ち上げた専門家である著
白水社
力となったのである。
一五〇〇円
者が、現場の視点から明快に解説する。
松柏社
− 20 −
人文科学
賢者の愛
文学・文芸
本年二〇一五年は文豪・谷崎潤一郎氏
山田詠美著
の 没 後 五 十 年・ 生 誕 一 三 〇 年 に あ た る、
メモリアルイヤー。
このメモリアルイヤーの幕開けに、谷
そして、最後に迎える結末とは?
込み、やがて徳山は初美以外との関係を
逆に物語はどんどんと破滅に向かって重
とができる。けれど、軽快なテンポとは
読みやすく、テンポよく読み進めるこ
断ち切るようになっていく。
一五〇〇円
﹁ 痴 人 ﹂ も﹁ 賢 者 ﹂ も 両 方 読 み 比 べ な
がら読むのもおすすめ。
中央公論新社
﹁ あ あ、 こ ん な と こ ろ ま で き て し ま っ
くなっていく。
た⋮⋮﹂
一〇〇〇円
最後まで読んで、後悔しても、もう遅
いのだ。
河出書房新社
キャロリング
有川
浩著
緊迫した場面から始まる
物語に、最初の一ページから一体どうな
一四〇〇円
− 21 −
崎潤一郎氏の著作﹃痴人の愛﹄に真っ向
から挑んだ本作品。
死にたくなったら電話して
るのか?と引き込まれた。児童虐待やD
﹃ 痴 人 の 愛 ﹄ は、 と あ る 男 が ま だ あ ど
李
龍徳著
フリーター兼浪人生の徳山は、バイト
であるが、過酷なだけでは終わらず、き
Vといった、重いテーマを扱った本作品
けなさの残る少女・ナオミを見出し、育
て、ゆくゆくは己の妻にしようと考える
先の仲間に連れられて訪れたキャバクラ
初対面で、徳山と顔を合わせた初美は、
も出てくるけれど、信じて最後まで読み
で、キャバ嬢の初美と出会う。
徳山に﹁わたしたちはよく似ている﹂と
通して欲しい。登場人物たちの強い意思
のだが、やがて美しく育つナオミに翻弄
その﹃痴人の愛﹄をオマージュとした
告げる。その発言の意味もわからない徳
され破滅の道を辿っていく物語である。
﹃ 賢 者 の 愛 ﹄ は、 あ る 復 讐 の た め に 主 人
山だったが、その日から初美から猛烈な
幻冬舎
暖かな気持ちになれる。
読むと、魔法がかかったような優しい、
途中、悲しい気持ちになるような場面
公の高中真由子が親友の朝倉百合の息
ちんと救いがある。
子・直巳を調教するというストーリー。
を感じて欲しい。
に彼女の意外な内面にずぶずぶとはまり
徳山だったが、初美と関わりを持つうち
初めは謎のアプローチに困惑していた
アプローチを受けることになる。
物語が進むにつれ明かされていく登場
なし。
じる文章に引き摺りこまれること間違い
人物の秘密の数々、微細で美しさをも感
文学 ・ 文芸
文庫・新書
プラントハンター
を育てるということの難しさ。花と植木
洋介と春菜を巻き込んで、事態は意外な
さてこの奇妙な同居生活はどうなるの
文春文庫
五九〇円
だろうか。良太と信也、そして同級生の
の卸問屋﹁株式会社
花宇﹂を継ぐこと
の厳しさ。そして、ただただまっすぐに
方向へ転がっていく。柳刃の目的とは?
七六〇円
向けられる花への情熱が詰まった一冊。
徳間文庫
侠 飯
サウンド・オブ・ミュージック
の秘密
を超えて愛されるミュージカル映画の傑
植物を育てるのはどうも苦手なよう
西畠清順著
作﹁サウンド・オブ・ミュージック﹂は、
一九六五年の公開以来、現在でも世代
瀬川裕司著
主人公は四年生の十二月になっても就
福澤徹三著
グ ル メ 小 説 は 数 あ れ ど、
今まで﹁任侠×グルメ﹂という組み合わ
職活動をしている大学生・良太。模擬面
なぜここまで愛される映画になったのか。
せはなかったのではないだろうか。
長 く 生 き た 樹、 不 思 議 な 形 を し た 花、
接を受けたりしながら、オタクの友人・
で、世話を忘れたり、逆に水をあげすぎ
そういうものをみると、無条件で、感嘆
信也とさえない毎日を送っている。
ては枯らしてしまう。けれど、好きだ。
する。ため息がでる。自らよりずっと大
そんな大学生と任侠、そしてグルメが
からこの映画を愛してきた著者が、あら
ならなかった。しかし今回、中学生の頃
との理由から特に研究や考察の対象とは
これまでこの映画については﹁通俗的﹂
きいあり方への憧れが心を満たす。
どう結びつくのか? なんと良太は、近
プラントハンター西畠清順さんは、﹁こ
の 世 界 に 生 え て い る 植 物、 す べ て を 花 ﹂
オブ・ミュージック﹂の魅力の理由を明
ゆる角度からの検証を行い、﹁サウンド・
らかにしたのが本書である。偉大なる娯
所で発生した銃撃戦に巻き込まれ、﹁組長﹂
樹齢千年のオリーブ、世界最大の食虫
この柳刃、良太の部屋に居座り、台所
楽映画の条件とはどのようなものなの
柳刃をかくまう羽目になってしまうのだ。
植物、サイザルの農場にそびえるバオバ
を占拠し、お取り寄せした食材や調味料
と表現する。
ブ、まるで仏さまを拝んでいる手のよう
見 て か ら 読 ん で も よ し、 読 ん で か ら
か、細部まで丁寧に考察されている。
見 て も よ し。 ロ ケ 地 巡 礼 に 役 立 つ ガ イ
で料理を始めるのである。良太は恐ろし
いく。その料理の描写は、実際に作って
く思いながらも柳刃の料理に魅了されて
本著で紹介されている花たちの写真を
みることができるように細かい。ちょっ
にも見える仏芭蕉というバナナ。
み る だ け で も、 体 が う ず う ず し て き て、
七八〇円
なんだかもうたまらなくなってくる。
平凡社新書
ド付き。
が満載である。
とした工夫で手際よく美味しく作るコツ
植物の魅力だけでなく、実際にそれを
海外から日本へと運びだし、そしてそれ
− 22 −
文庫・新書
芸
浅葉克己デザイン日記
浅葉克己著
変態少女
手がけたグラフィック界の重鎮、浅葉克
大森靖子写真集
金子山撮影
二 〇 一 〇 年 代 を テ ン 年
代、と巷では言うそうだが、テン年代最
たオードリー・ヘップバーン﹁ティファ
黒いドレスを身にまとい猫を肩に乗せ
ロバート・マッギニス・アート・スコット著
ことばにひたすら圧倒されてしまう。
つとその指、その唇からあふれ出す音と
ように見える彼女だが、一旦ギターをも
せた大森靖子。黒髪であどけない少女の
ングライターとしての活動をスタートさ
イブステージがきっかけで、シンガーソ
武蔵野美大在学中に立った高円寺のラ
を恨みがましく書きつけたり。浅葉克己
輩に﹁打倒、浅葉克己﹂と言われたこと
木のイベントに出演した日のことや、後
とても読みごたえがある。アントニオ猪
日々の出来事を書き留めた自筆日記が
も 素 晴 ら し い が、 ち ょ っ と し た 興 味 や
有名な作品が沢山収録されていて、それ
と グ ラ フ ィ ッ ク 作 品 を ま と め た 作 品 集。
﹁ お い し い 生 活 ﹂ や﹁ 夢 街 道 ﹂ な ど を
も注目されているミュージシャンは大
己の二〇〇二∼二〇一四年の自筆日記
ニーで朝食を﹂のポスターを目にしたこ
ストに、天才の思考がかいま見える気が
術
森靖子であると思う。
とがある人は多いのではないだろうか。
﹁あの街を歩く才能がなかったから
する。
三八〇〇円
− 23 −
アート オブ
ロバート・マッギニス
そのポスターを描いたのはアメリカ映
あたし新宿が好き
汚れてもいいの﹂と
いう歌詞の切実さに思わず泣いたことが
グラフィック社
のキュートな字と、たまに出てくるイラ
画黄金時代のポスターデザインを支えた
ある。
彼は一九七四年から七○年経った今も
﹁ロバート・マッギニス﹂。
社 会 に 孤 独 な 人 が 増 え る こ と が 怖 い、
パワフルなライブステージを展開する彼
自 身 が そ う で あ っ た か ら。以 前 イ ン タ
なお第一線で活躍し、カバーが本を売る
女、夜の高円寺でやわらかく笑う彼女を見
ビューでそう答えていた彼女。本書の中で
彼の描くセクシーな女性を﹁マッギニ
ていると、彼女の圧倒的な強さと優しさを
といわれるペーパーバック市場において
スウーマン﹂と呼ぶのだが、彼女たちの
感じ、この世界も彼女がいるなら良くなっ
千冊を超えるカバーを手掛けている。
魅力は肉体的なセクシーさだけではな
て行くはずだと信じたくなってしまう。
スペースシャワーネットワーク
三〇〇〇円
目があったら視線を外すのは容易では
ニニ〇〇円
くそのまなざしにある。一度、彼女達と
マール社
ない。
芸術
実
用
書
地図・旅行書
若返ったゾ!
ファスティング
船瀬俊介著
近頃、薬などに頼らず食事を改善する
ことで病気や体の不調を治す方法が注目
さ れ つ つ あ る。 で は﹁ フ ァ ス テ ィ ン グ ﹂
を得てから判断することがどれほど大事
とだ。何でも鵜呑みにせず、自分で知識
る。日本のグルメガイドには珍しいので
に従った食品︶対応についても記載があ
いためか、ハラル食材︵イスラム教戒律
この本を片手にウイグルレストランへ
はないだろうか。
かも考えさせられる一冊となっている。
まずは気楽に、楽しんで。二〇一五年
行ってみた。ゴシナンというウイグル風
に入って一段落ついたところで、新しい
ことに挑戦し、若返りを目指してみるの
を問わない、
ボーダーレスな食材なのだ。
歴史に思いを馳せる。羊肉は宗教や民族
ら、シルクロードワインを片手に悠久の
やかで気さくな店長さんの話を聞きなが
は讃岐うどんのルーツであるとか、にこ
になったとか、ラグメンという手打ち麺
タリアへ伝えられ、それが変化してピザ
ミートパイは、マルコポーロによってイ
一二〇〇円
も悪くないかもしれない。
三五館
東京ラムストーリー
羊 齧 協会編
の あ る 題 名、﹁ あ の 日 あ の 時 あ の 店 で
アラフォーの人間なら誰しも聞き覚え
か。これは﹁少食、断食﹂を意味する言
ジンギスカンといえば北海道を思い出
という言葉を聞いたことはあるだろう
葉 で、 本 書 は 若 返 り を テ ー マ に フ ァ ス
すが、実は柳田國男でおなじみの岩手県
家で作る全日本パクチー協会という好き
もし羊を食べなかったら
僕らはいつま
でも食わず嫌いのままだった﹂と小田和
嫌いの分かれる食材愛好家同士で﹁パ羊
ティングがもたらすメリットやそのやり
京 で 誕 生 し、 現 在 の 会 員 数 は 約 五 百 人、
不可侵条約﹂を締結したとか、コラムも
遠野市でも焼肉といえばジンギスカンで
私達にとって一日三食食事をとること
文化の表象である料理を通じて相互理解
ま た 楽 し い。 羊 肉 は 苦 手 と い う 人 で も、
正の声で再生される帯の文。キワモノ本
が普通で、断食は体に良くないというイ
の推進を図っている。本書に登場するの
き っ と 興 味 を 引 く 店 が 見 つ か る だ ろ う。
方について、様々なファスティング体験
メージがある。確かにダイエットなどで
は 中 国︵ 延 辺 か ら 河 南 ま で ︶、 イ ン ド、
未年である二〇一五年、ぜひ手に取って
あるとか、パクチーマニアとパクチー農
知識もなくいきなり断食をするのは危険
スコットランド、チュニジア、ギリシャ、
かと思いきや、さにあらず。監修の羊齧
な行為だ。しかし本書では初心者が一人
ミャンマー、アフガニスタン等々。この
協会は母体となる団体が一九九七年に北
でファスティングを始め、成功するため
頂きたい。
談を交えつつ解説している。
の方法や心構えを丁寧に示している。
多様な地名をみると単なるお題目ではな
一五〇〇円
食事や薬が私達の体にどんな影響を与
いと分かるだろう。中央アジアの国が多
実業之日本社
えるのか、知らずにいるのが一番怖いこ
− 24 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
一五〇〇円
式のものはなかったので興味深い。
ベレ出版
私はこうして英語を学んだ 増補改訂版
と考える人は多いだろう。しかし、改め
て日本語というものを見つめ直してみる
と、感覚では分かりつつも言葉では説明
できないことが多々思い当たる。
になりがちだ。しかし、その疎かになり
に、感覚で理解し、論理的な理解が疎か
日本語は一番身近な言葉であるがゆえ
同時通訳者でもある著者は、英語の達
がちな部分にも日本語の魅力が隠されて
松本道弘著
人になるためのノウハウをちょっと変
辞書編集部を舞台に、新入り見習いの
ら気付かせてくれる。
いることを、本書は身近な例をあげなが
わったアプローチで示してくれる。
自身の経験も交えながら、実直で急が
ば回れ的な英語への接し方が展開され
主 人 公 が 言 葉 オ タ ク た ち と の 会 話 か ら、
で あ る と 感 じ る だ ろ う。 そ れ は 同 時 に、
− 25 −
る。それは、所々に出てくる宮本武蔵の
キャラクター性を自身になぞらえている
日本語の魅力に気づき学んでていく。
今まで気づくことのなかった日本語の魅
本 書 で 多 く の 読 者 も 自 分 が﹁ 見 習 い ﹂
ところからもうかがえる。
習得をという人にはお勧めしない。むし
ちょっと英語を話したいとか、最短で
ろこの著者の考え方に共感を持ち、自身
力との出会いでもあるのだ。
チェック&チャレンジ1800
の今の英語力を過信せず、いま自分のい
英語の常識力
英語辞典を長年作り続けてきた著者が
るレベルを附属の﹁英語道測定表﹂で確
大井光隆著
作った本。雑学や薀蓄などが満載なので、
認しながら真摯にこの本と向き合えると
一〇〇〇円
特 に 英 語 と 日 本 語 が 好 き な 方 に お 勧 め。
いう人に、ぜひとも読んでほしい。
学研
例えば﹁ジェスチャー﹂という項目では、
二二〇〇円
ふじいまさこ著
日 本 人 な ら 日 本 語 が 出 来 て 当 た り 前、
日本人ですが、ただいま
日本語見習い中です !
中村堂
左側のページにある五∼六つのジェス
チャーの意味と解説が右ページに掲載さ
れている。設問に取り組むことで、自分
テーマでまとめた本はあるが、Q &A形
こ う い っ た 類 の も の は、 そ れ ぞ れ の
後の学習の足がかりにすることができる。
の知識の盲点や英語の奥深さを知り、今
語学・辞典
児
おもちのおふろ
童
書
苅田澄子作
植垣歩子絵
おもちのもーちゃんとちーちゃんが
な場面で象徴的に用いられたり、一度は
耳にした事のある人名や名言など、読ん
でみたいと思われる方も多いのではない
本書では聖書を読む前段階として、聖
でしょうか。
書に登場する重要なキーワードを章ごと
に分けて説明しています。他宗教の聖典
との違い、例えば聖書は翻訳した言語で
も聖書︵神の言葉︶ですが、イスラム教
いう事実も驚きでした。聖書という神の
の聖典コーランはアラビア語以外に翻訳
マリゴールドの願いごと
言 葉 を 受 け て、 人 々 が ど の よ う に 考 え、
ジェーン・フェリス作
お風呂屋さんへ。しょうゆの足湯に、き
クリスチャンは気のいいトロルのエド
行動していったのかというキリスト教の
な こ の 砂 風 呂、 ト ー ス タ ー の サ ウ ナ に
と森で暮らしていました。望遠鏡でお城
してしまうと聖典として認められないと
お風呂に入ります。登場人物たちから細
を観察しているうちに、マリゴールドと
ないとうふみこ・池上小湖訳
かな背景まで、作者の遊び心が感じられ
入って、最後はぽかぽかの温かい素敵な
ます。
一三〇〇円
歴史も知る事ができます。
河出書房新社
三人寄れば、物語のことを
一二〇〇円
を使い心を通わせるうち、互いに惹かれ
いうお姫様の存在を知ります。伝書バト
学研教育出版
ルドは命の危険にさらされます。お互い
上橋菜穂子・荻原規子・佐藤多佳子著
合いますが、王妃の陰謀によりマリゴー
を想う気持ちの強さに運命は変わってい
こぶたのぶーぷ
西内ミナミ作
真島節子絵
森の中にあるおうちでこぶたのぶーぷ
き、そして最後の一文には新たな展開の
青土社
楽しい会話です。
一四〇〇円
くなるような勢いがあります。とにかく
かい解釈に、読んでいない作品は読みた
でもあり、作品に対してのするどくも温
いて語り合います。お互いの作品の読者
当代きっての三人の作家が、物語につ
はひとりで暮らしています。とてもきち
一六〇〇円
気配が漂ってきます。
永遠のベストセラーである聖書。色々
橋爪大三郎著
はじめての聖書
小峰書店
んと暮らしていましたが、早とちりで少
しだけ忘れっぽい性格のぶーぷは、つぎ
つぎに騒ぎを起こします。毎日、いろん
な こ と を 思 い つ い て は 失 敗 す る ぶ ー ぷ。
一五〇〇円
働き者のかわいいこぶたの物語です。
福音館書店
− 26 −
児童書
のパンセ﹄をはじめとする山岳書のいくつかを読むと
し、 若 き 日 に 串 田 孫 一 の﹁ 人 生 論 ﹂ め い た 随 想 や﹃ 山
学 的 な も の に 親 し ん で き た と い う わ け で は な い。 し か
私はそれ程深く山登りをしてきたわけではないし、文
﹃山の文芸誌﹁アルプ﹂と串田孫一﹄
関 係 を 保 と う と 模 索 し た の が﹁ ア ル プ ﹂ の 面 々 だ っ た
が ち に な る の が 昨 今 の 風 潮 の よ う で あ る が、 そ の 拮 抗
た 雑 誌 で あ る。 行 為 と 思 索 が 分 離 し、 ど ち ら か に 偏 り
章や絵画などの芸術で表現しようとした人たちが集っ
プ ﹂ は 単 に 山 に 登 る だ け で は な く、 そ の 登 山 体 験 を 文
秋田
敏幸
孫 一 だ っ た が、 串 田 孫 一 の 根 底 に は 筋 の 通 っ た 頑 固 さ
清純さとある種の甘さの感触がまといついていた串田
ように思う。今日に生かすべきスタンスであろう。
いうことはあった。
懐 か し い 名 前 に 惹 か れ て 手 に し た 本 書 だ っ た が、 そ
た。 串 田 孫 一 の 登 山、 詩 業、﹁ 博 物 誌 ﹂。 そ し て、 緻 密
のようなものが存在していたということを教えてくれ
こには登山と文学をめぐる豊穣な世界が展開されてい
に 資 料 を 分 析 し た 山 岳 文 学 に 関 す る 論 考、 尾 崎 喜 八 の
た一書だった。
誠著・三〇〇〇円
*﹃山 の 文 芸 誌﹁ ア ル プ ﹂ と 串 田 孫 一 ﹄︵ 青 弓 社・ 中 村
︵六十歳・公務員︶
詩、 辻 ま こ と の 登 山 や 画 業 ⋮⋮。 ま さ に カ バ ー に 書 か
れ て い た よ う に、 串 田 孫 一 と﹁ ア ル プ ﹂ の 周 辺 を︿ 多
角的に扱った一大パノラマ﹀と言うべき幅広い内容で
あった。
この本は私たちのような世代の者以上に、むしろ若い
人たちにこそ読んでもらいたいものだと感じた。﹁アル
− 27 −
最近とくにコミックが原作のメディア化が
高 生・ 大 和 凛 子 を 救 っ た こ と で、 大 和 を 好 き
あ る 朝、 通 学 電 車 の 中 で 痴 漢 に あ っ た 女 子
コミック
フロアより
増 え て き ま し た。 コ ミ ッ ク の 売 り 場 に い る と
になってしまった猛男だけど⋮⋮。
につかわしくない猛男のビジュアル ! でも
こ の 作 品 の す ご い と こ ろ は、 少 女 マ ン ガ に
単行本の帯やポップに、ドラマ化決定 ! アニ
メ化します ! 映画公開 ! などの文字があっ
て、とても目立ちます。
こ の ビ ジ ュ ア ル だ か ら こ そ、 猛 男 の い い 奴 っ
﹂、
ダ マ さ れ た と 思 っ て 読 ん で ほ し い、 必 ず あ
ぷりがすごく発揮されるのです。
笑って、泣けて、胸キュン満載の﹁俺物語
なたも猛男に惚れます !
若 き ヴ ァ イ オ リ ニ ス ト・ 香 坂 の 元 に 舞 い 込
集められた場所は廃工場、謎のジジイ・指揮
んだ話は、解散した名門交響楽団再結成。
﹁ワシがこの指揮台の上でやることはただひ
者の天道のもとに集まった負け組楽団員たち。
とーつ
一 ヵ 月 後 の 演 奏 会 ま で に、 君 ら を ゼ
ニとれるオーケストラにすることや﹂とジジ
これまた強烈なキャラのジジイが出てきま
イ天道は楽団員たちに言い放つ。
す が、 こ の ジ ジ イ 破 天 荒 な が ら、 負 け 組 楽 団
員 た ち を 翻 弄 し て い き ま す。 そ し て 香 坂 は じ
この天道役を西田敏行さんが実写で演じる
め、楽団員の成長ぶりも注目です。
と い う の が 楽 し み な﹁ マ エ ス ト ロ ﹂
、一月
三十一日から映画公開です。
﹃マエストロ﹄
父の訃報が届いた。
佳 乃、 三 女・ 千 佳 の も と に、 幼 い 頃 離 婚 し た
この春アニメ化です。
﹃海街diary ﹄
︵ 双葉社アクションコミックス・さそうあきら著︶
鎌倉で暮らす三姉妹、長女・幸田幸、次女・
︵小学館フラワーズコミックス・吉田秋生著︶
きになった女子はみんな幼馴染のイケメン砂
− 28 −
しかしコミックって、すごく幅の広いジャン
ルなんですよね、親子で楽しめるものもあれば、
大人だけで楽しむものもたくさんあります。
そこで今回はメディア化がすでに決定して
い て 親 子 で 楽 し め る、 読 ん で ほ し い、 見 て ほ
﹄
しい作品をいくつかご紹介します。
﹃俺物語
和音・作画/アルコ︶
︵集 英 社 マ ー ガ レ ッ ト コ ミ ッ ク ス ・ 原 作 / 河 原
主人公の剛田猛男は高校一年生。身長二メー
トル︵推定︶・体重一二〇キロ︵推定︶。
ま っ す ぐ で 不 器 用 で 鈍 感 な 猛 男 は、 女 子 に
川誠の方を好きになってしまう。
モ テ な い け れ ど 男 子 に は モ テ モ テ。 今 ま で 好
『マエストロ』
―第7回―
!
!
『俺物語 !!』
!
!
十五年以上会っていない父の死になんの感
ク ラ ス メ イ ト の 亜 豆 美 保︵ ア ズ キ ︶ へ の 恋
そこに現れたのは耳の聞こえない転校生の
明るく楽しくがモットー。
望 す る 硝 子 だ が、 将 也 を 中 心 に ク ラ ス の い じ
少 女・ 西 宮 硝 子。 筆 談 で 仲 良 く な る こ と を 希
め の 対 象 に な っ て し ま う。 エ ス カ レ ー ト す る
心 を キ ッ カ ケ に、 コ ン ビ を 組 ん で 漫 画 家 に な
編集の服部に見出されたサイコーとシュー
慨 も 湧 か な い 佳 乃。 千 佳 も 同 じ 思 い だ が、 長
ジ ン は 次 々 作 品 を 生 み だ し て い く が、 そ こ へ
り、週刊少年ジャンプの頂点を目指す。
向 か う。 そ こ で 姉 妹 が 出 会 っ た の は、 年 の わ
ずっと無関心だった担任教師が名指しで将也
いじめは硝子の母親の通報で明るみに出るが、
女 の 幸 か ら の 頼 み で 葬 式 に 出 る た め、 山 形 に
り に は し っ か り し た 異 母 姉 妹 の 中 学 生・ 浅 野
立 ち は だ か る ラ イ バ ル た ち。 一 握 り の も の に
は硝子よりさらに苛烈ないじめを受けること
を 糾 弾 し、 ク ラ ス メ イ ト も そ れ に 便 乗、 将 也
すずだった。
す で に こ の 作 品 はN H K で ア ニ メ 化 も し て
は険しい〝マンガ道〟を歩む。
し か 得 ら れ な い 栄 光 を 手 に す る た め、 ふ た り
既に母も亡くしていたすずは父の再再婚相
手 と 暮 ら し て い て、 気 丈 だ が 感 情 を 見 せ な い
い る の で ご 存 知 の 方 も 多 い と 思 い ま す が、
に、 反 発 し た 将 也 は 暴 言 を 吐 き、 取 っ 組 み 合
す ず と は 逆 に 亡 父 の 再 再 婚 相 手 は 頼 り な く、
二 〇 一 五 年 十 月 に 実 写 映 画 化 が 決 ま り、 サ イ
いの喧嘩をする。それが原因で転校した硝子。
それから五年、ふたりは再会する。
そんな将也に対して優しく接してきた硝子
幸はすずに鎌倉で一緒に暮らさないかと提案
コ ー 役 を 佐 藤 健 さ ん、 シ ュ ー ジ ン 役 を 神 木 隆
になる。
す る。 鎌 倉 を 舞 台 に し た、 四 姉 妹 の 優 し く て
之 介 さ ん が 演 じ る こ と で、 さ ら に 話 題 に な っ
こ ち ら は 六 月 十 三 日 か ら 映 画 公 開。 是 枝 裕
て い ま す。 漫 画 家 さ ん を 描 い た マ ン ガ は 他 に
こ の 事 件 が な け れ ば、 こ の 痛 み が な け れ ば、
− 29 −
せつない物語。
和 監 督 の 最 新 作 で、 豪 華 キ ャ ス ト に も 大 注 目
も あ り ま す が、 そ の 中 で も と て も リ ア ル で、
マンガをあまり読まない方にもぜひ漫画家さ
一度読んでもらいたい作品です。
『聲の形』
す。 ア ニ メ が 始 ま る 前 ま で に、 ぜ ひ 単 行 本 で
この作品もすでにアニメ化が決まっていま
この話は前には進みません。
﹃聲の形﹄
んの世界を知ってもらいたい作品です。
一巻目はなかなか強烈なストーリーですが、
です。
﹃バクマン﹄
み・作画/小畑健︶
『バクマン』
小学生のガキ大将・石田将也、退屈が大嫌い、
︵講談社マガジンコミック・大今良時著︶
と文才に長けた秀才・高木秋人︵シュージン︶。
高 い 絵 の 才 能 を 持 つ 真 城 最 高︵ サ イ コ ー︶
︵集英社ジャンプコミックス・原作/大場つぐ
『海街diary』
A
A TT II O
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− 30 −
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定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
〔営業時間〕10時∼ 19時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
http://www.junkudo.co.jp/
QR コード
い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
年間一二三〇円︵送料込︶
現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
│
お申し込み先
しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
日逝去された。
中国を舞台にした歴史小説
を数多く発表された陳先生は
神戸出身で、同じく神戸で創
業したジュンク堂のPR誌で
ある﹁書標﹂の題字も書いて
いただくなど、大変お世話に
︵緒︶
なった。謹んでご冥福をお祈
りしたい。
− 32 −
│
│
│
陳舜臣さんが、一月二十一
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
﹁仙台地区の
ジュンク堂事情﹂
した。
くのもすぐ近く、という利便性がありま
支店に確認、お客様に足を運んでいただ
り、自店で在庫がないものはすぐに近隣
た話題書やコミックなどに力を入れてお
の丸善と連携して相互に在庫確認をする
変わらず取り揃えておりますし、AER
ジャンルもありますが、新刊や話題書は
のなくなったジャンルや在庫の減った
門書を増床しました。その分、取り扱い
代わる形でその年の七月にオープン。今
震災で営業のできなかった元仙台店に
レジが遠い ! と言われるくらいの広さ
ん。L 字 の 長 い 長 い 中 央 通 路 が 特 徴 で、
らもすぐで、雨に濡れることもありませ
がっている仙台市営地下鉄の地下通路か
今年いよいよ開業する東西線で盛り上
こともできます。
年で丸四年目になりますが、ついこの間
はあります︵申し訳ありません。その分
現在唯一営業しているのは、仙台TR
二〇一四年、仙台ロフト店と仙台本店
も﹁こんなとこにジュンク堂あったんだ
たくさん本を置いているのです︶。
仙台駅前周辺にジュンク堂が三店舗
が相次いで閉店することとなり、残念だ
∼﹂という通りすがりのお客様の声が聞
ビルの地下一階にある仙台TR店です。
と 惜 し む お 言 葉 を た く さ ん 頂 き ま し た。
こえました。むしろもうここしかないん
あったことは、仙台にお住まいのお客様
私自身、震災前は元仙台店に、震災後は
はご存知かと思います。
一時仙台ロフト店に、仙台TR店の開業
ですが⋮⋮。
いまや仙台唯一のジュンク堂だという
方、そして出張などで仙台にお越しの方、
が、今これを読んで場所を知ったという
い場所だよなぁとは思っているのです
仙台本店の閉店に伴い、仙台TR店も
非お立ち寄りください !
653- 1600013 0008
︵ふ︶
仙台TR店が末永く営業できるよう、是
のに、地下にあるせいか、いまいち認知
改装を行い、理工、社会、人文などの専
くないか
されていないようなんです。これはまず
働いている私たちも正直、分かりづら
を経て、仙台本店の閉店に立ち会った者
なのでそのお言葉を本当にありがたく感
じました。
営業している間は、何故こんなに近く
も多々ありましたが、仙台本店は専門書、
にと出版社さんなどに突っ込まれること
仙台ロフト店はお客様のニーズに合わせ
?!
二〇一五年二月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
435