第2回大島町議会定例会一般質問 山田忠敬 「発達障害者支援法に

第2回大島町議会定例会一般質問
山田忠敬
「発達障害者支援法に基づく発達障害児への支援の仕組みを大島にも」
私は昨年3月まで第二中学校で通級指導学級を担当していました。通級指導学級というの
は、簡単に言ってしまうと、一中の黒潮学級やつばき小の三原学級と普通学級の間に位置す
る学級で、児童・生徒は普通学級に在籍していて、週に4時間とか8時間とかその子の状況
に応じて決められた時間だけ通ってくる学級です。大島の場合は、さくら小・二中・つつじ
小・三中に設置され、通ってくる子どもは主に情緒に障害を持つ子です。情緒に障害を持つ
子の大多数は発達障害を抱えたこどもたちです。発達障害という言葉は聞き慣れない方もい
らっしゃるかと思いますが、ここ 30 年くらいの間に急速に研究が進み、教育の世界でも大
きな課題として取り上げられるようになった障害です。そして、法律的にも「発達障害者支
援法」という法律が、平成 16 年 12 月に制定され翌年施行されました。その「発達障害者
支援法」の第 2 条に発達障害の定義がされ、「発達障害」とは、自閉症・アスペルガー症候
群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障
害であってその症状が通例低年齢において発現するもの、というふうに書かれています。
発達障害の具体的な症例をいくつかあげてみると、ほとんどに共通するものとしてコミュ
ニケーションがとれない、就学年齢に達しても友達はもちろん親や保育士さんとの子どもら
しい会話ができない、相手の顔を見て会話するということは大の苦手、中には相手や所かま
わず、自分のその瞬間にひらめいたことをしゃべり続けるという子もいます。生活リズムを
作れないで夜中に起きてしまったり、眠りにつくのが親よりもずっと遅い時間になってしま
い昼間はぼんやりしてしまう、という例もあります。また、注意欠陥多動性障害、通称AD
HDと呼ばれる障害では、落ち着きがなく教室で座って授業を受けることができず、飛び出
してしまったり、すぐにかっとなって始終喧嘩騒ぎを起こす、持ち物を整えたり、薬を定期
的に飲むなどもできず、親や教員から叱られ続ける子になってしまいます。こうなると当然、
学校の授業にもついていけず、叱られ続けることで、自信を失い、自己肯定感を低めてしま
い、学校でも居場所を失うことになります。かつてある男の子は、小学校卒業時に「叱られ
ない人になりたいです」という目標をあげて中学に入ってきました。大好きなお母さんにも
学校の先生にも叱られ続けてきた彼のつらい思いを汲んであげたいと思いました。
しかし彼も私たちもがんばりましたが、思うような成果はあげることができませんでした。
そこで思ったのは中学校の3年間では遅すぎる、支援法にあるとおり就学前の段階で発見し、
ケアをする、病気ではないので、治療とは言わず療育と言いますが、この療育が必要だとい
うことです。そこで他の自治体ではどうしているか、いくつか調べてみたところ、大島と同
じように「子ども家庭支援センター」で相談を受け、医師の診断や臨床心理士などとの相談
を受けます。大島でもここまではできますが、ここから先が違ってきます。ケアをしましょ
うということになれば、今度は「療育センター」に通い、そこで作業療法士や言語聴覚士と
いった専門職の人から療育を受けることになります。私が見学に行った北区の療育センター
では、合計70名のお子さんがそれぞれの症状に合わせて必要な日数で通い、かなりの成果
を上げているとのことでした。
大島でもここ4,5年の間に医療センターに発達外来ができ、高橋Dr が見えて診察して
下さっています。今年度からは年3回各保育園を見てまわり、こどもたちの生活の様子も見
ながら対処して下さるようになり、保育現場でも大変喜ばれており、大きな前進だと評価す
るものです。
そこでもう一歩前進させるために、三つのことを実現していただきたいと思い、担当課長、
及び教育長のご答弁をお願いします。
一つ目は、発達障害あるいはグレーゾーンにいる子を対象とした療育活動をするための人的
措置として、作業療法士・言語聴覚士の月1回派遣を東京都にお願いし、大島の子ども家庭
支援センターあるいは医療センターの一室を使って療育活動ができるようにすること。
二つ目は、保育園における発達障害児の発見、ケアを充実させるためにも、町立保育園に看
護師を配置すること。看護師の配置は、発達障害児の問題に限らず、保育現場では熱望され
ていることです。
三つ目は、保育士・教員・保護者・行政の担当者などの意識を高めるため、島内での研修の
機会を増やし、また保育士の島外での研修参加を保障するため、予算措置を手厚くすること。
以上三点は、私が今回の質問をするにあたり、島内五つの保育園をおたずねし、園長先生
をはじめとする保育現場でまさに献身的に努力して下さっている方々から聞き取った声で
もあり、ぜひ実現していただけるよう、よろしくお願いいたします。
「住民が主人公、住民参加の復興、被災者に寄り添った復興の推進・継続を」
あの台風災害からの復興については、今回の選挙でも町長はもちろん議員の誰もが課題と
して取り上げて下さったと思います。私も取り上げました。私のこの課題にいどむスタンス
は、「住民が主人公、住民参加の復興、被災者に寄り添った復興」です。その観点から質問
を行わせていただきます。
私は、昨年4月から9月まで復興町民会議の一員として活動してきました。この会議が設
けられたこと自体、大きな価値があったと思います。当初、この会議は住民の不満のガス抜
きではないかという声も聞こえていましたが、毎回夜の会議を交通費の保障すらないのに十
数回も行い熱心に討議し、復興計画に私たちの意見を反映させることができました。中越地
震からの復興を調査した稲垣文彦氏の指摘によれば、「復興活動への住民参加度が高い地域
ほど復興感も高く、一方で中央に近くなければとか、行政が指導してくれればと述べる集落
の住民は喪失感が高い。」ということでした。つまり自分たちの手で復興を遂げたという思
いが復興感であり、それが強い地域はその後も元気だということであり、そうではなく、国
や県などにお任せ、頼り切りの地域は災害で失ったものをいつまでもひきずり地域が本当に
崩壊してしまうということであります。この指摘に即して考えるならば、大島の復興町民会
議はまさに住民参加度を高くした活動でした。
しかし今、復興町民会議はその役目を終えました。後を引き継いだ組織として「大島町復
興計画推進委員会」と「元町地区復興まちづくり連絡会」という二つの会議が設けられてい
ます。特に推進委員会は委員の公募も行われそれなりに高い位置づけがされたと思われます
が、この会議は町当局とのつながりはないことになっており、町や都が進めている復興活動
がどこまで進展しているかを報告されチェックする機関だとされています。つまり復興活動
について住民が意見を述べそれを町や都の計画に取り入れてもらうという復興町民会議の
ような性格は持っていないということです。しかし、例えば今、元町の住民の中には、メモ
リアルパークについて、こんなものをつくってほしい、こういう場所にしてほしい、という
声が多く聞かれます。こうした声を聞き取る場が必要ではないかと思います。復興計画策定
に参加して下さった首都大学の饗場先生は「メモリアルパーク作りは急ぐ必要はない。」と
アドバイスして下さいましたが、あの意味は、急ぐ必要はないから、住民の意見をよく聞い
てみんなが作って良かったと思えるものを作ることが大切だということだと私は理解して
います。民主的に進めようとすれば時間を必要とするのですが、そこでのロスは決して最後
まで続くロスではなく、住民の元気となって、いつかおつりがくるものだと私は考えます。
「住民参加の復興の推進・継続」について町長のお考えと、今後どんな課題で住民参加の場
を作っていくかプランがあればお聞かせ願います。
復興に関してもう一つおねがいします。3月17日付けの朝日新聞に慶応大学教授の小熊
英二という方が「復興どうあるべきか 生きる意欲の回復こそ」と題して寄稿していました。
その中に「高度成長期には災害で破壊された道路などの公共インフラを整備改良すれば地域
社会は自動的に再生したが、現代では同様の復興事業をやっても人口流出と産業基盤衰退は
むしろ加速する。そこで大切なのは被災者の直接支援を増やすことである。何よりも住民の
生きる意欲を回復させることだ。復興事業は生きる意欲の回復を目標にすべきだ。」とあり
ました。かつての元町大火からの復興を思い出します。私は当時中学生でしたが、大胆な区
画整理がなされ今日の16㍍道路ができたわけですが、あの後大島は離島ブームに乗るよう
な形でまさに自動的に再生した感があります。しかし今回は違います。あの時と同じ公共イ
ンフラに頼った復興だけでは復興にはならないだろうと思います。道路を整備したり、沢を
改修したりすることはもちろん必要なことだと思いますが、被災された方々の生活の再建、
生きる意欲の回復をはかることがまず第一だと考えます。そこでは当然一人一人の抱える生
活現実、そこに基づく生活感覚が異なるので、ていねいに対応することが求められます。例
えば、沢の改修のために立ち退きや移転を迫られる方に対してわかりやすくていねいな説明
をすること、被災して物理的にも精神的にも負担を強いられているわけですから、これ以上
のいかなる負担もおかけしないということをしっかりとお伝えすることがまずは必要なこ
とだと考えます。いかなる負担、とりわけ経済的負担について最も心配なさるわけですから、
これをどうクリヤーしていくか、予算の使い方の問題にもなろうかと思いますので、担当者、
町長の腕の見せどころになると思います。ご答弁をよろしくお願いして、壇上での質問を終
わらせていただきます。