米国特許訴訟と カルテル調査の法的リスク

 日本企業の製品が世界各地で販
売され、
成功を収めている一方で、
米
国をはじめとする諸外国において、
知的財産権訴訟やカルテル調査の
対象とされるケースが増えている。
あらゆる日本の製造業にとって、
訴
訟・調査対象となり得るリスクへの
対応は喫緊の課題となっている。
なぜ、
日本のメーカーは
ターゲットになりやすいのか?
に除外するのに有用であり、そうし
ディスカバリー分野で多様な
ソリューションを提供するエピッ
ク・ソリューションの早期導入を強
の重要性と、
デジタルフォレンジッ
関する二つの判例を受け、
相手方へ
条︵弁護士費用負担条件︶に
年 月に米
さ ら に 、﹁
国最高裁で示された米国特許法
況に陥るケースなどです﹂
たがために、
訴訟や調査で不利な状
ドキュメントを保全していなかっ
も高いといえます。例えば、適切に
らずのうちに間違いを犯す可能性
ないため、そのプロセスで知らず知
らに、 ディカバリーにも慣れてい
訟が身近ではなかったことです。さ
﹁ 日 本 企 業 が 抱 え る〝 脆 弱 性 〟の
原因の一つは、
日本では歴史的に訴
の特許非侵害を主張するなど、
被告
のうえで、
NPEの特許無効や自社
カバリーを行うことが重要です。そ
御方法を組み立てて、
適切なディス
するには、まず早い段階で自社の防
れています。そこで、多角的にデー
ストの
﹁一般に、データをレビューする
フェーズが、 ディスカバリーのコ
のコストは軽減可能だという。
に関与することで、 ディカバリー
島大輔氏によれば、
企業側が積極的
れるが、
エピックシステムズ社の中
﹁ ディカバリーは高コスト﹂と
いう日本企業の声がしばしば聞か
﹁米国からの引渡しを拒否し得
る 事 由 と し て﹃ 時 効 の 成 立 ﹄﹃ 当 該
士は以下のように解説した。
あった場合について、
藤かえで弁護
ラスト法違反で身柄の引渡請求が
ているという現状を踏まえて、
反ト
えるには、
eディスカバリーの効率
弁護士費用請求の増加
PTAB案件の急増と
することが重要と話す。その一例と
して、
トライアルを行う機関である
PTAB︵米国特許商標庁審判部︶
の利用を挙げた。
割を占めると言わ
米国特許訴訟の最新傾向の一つ
に、﹁損害賠償額の低下﹂がある。そ
19
フォックス弁護士は、
訴訟費用を抑
な理由の欠如﹄そして﹃双罪性の欠
如﹄の三つが考えられます。現時点
では、
反トラスト法違反による日本
人の引渡しの前例はありません。し
かし、もし引渡請求があった場合に
は、
被告人個人の状況や引渡しリス
クなども考慮しながら、
米国当局と
の司法取引などを見据えて解決し
ていくべきでしょう﹂
さらに、藤弁護士は、日本人被告
の減刑実現のために、
アムネスティ
プラスの利用などを視野に入れた
ディスカバリーの必要性を説き、
セ
ミナーは幕を閉じた。
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2015.10
タを絞り込む技術の有効活用やレ
ビュー前のキーワード検索をいか
に効率良く行うかが、 ディスカバ
リー全体の効率化のポイントにな
ります﹂
社内用語やメールの定型
例えば、
文 な ど を 、企 業 側 が 法 律 事 務 所 や
フォレンジック企業と事前に共有
するといった小さな工夫であって
また、同氏は、リニエンシーの活
用など、
カルテル案件における刑罰
た積み重ねが訴訟費用の軽減につ
も無関係なドキュメントを効率的
軽減の実例も紹介。日本企業に対し
クシステムズ社のスコット・ウォー
ディスカバリーを効率化
企業の積極的関与が
調した。
経 験 も 踏 ま え て 、日 本 の メ ー カ ー
が米国特許訴訟や当局調査のター
ゲットになりやすい理由を次のよ
の弁護士費用の支払要求が認めら
側が積極的なディフェンス策を講
犯罪を行ったと疑うに足りる相当
年の America Invents
損害賠償額低下の一方で
て訴訟コストが低く、
判決に至るス
の要因について、
萩原弘之弁護士は
NPE対策が必須に
ピードが早いことが挙げられます。
﹁CAFC︵合衆国連邦巡回区控訴
近 年 、米 国 司 法 省 に よ る 国 際 カ
ルテルの取り締まりが強化されて
る。その一方で、同容疑で起訴され
名以上が渡米を拒否し
法を次のように語った。
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ロープス&グレー外国法事務
弁 護 士 事 務 所 の マ ッ ク ス ウ ェ ル・
れるケースが増加傾向にあります﹂
じることが成功の必須条件になり
﹁
件へ
被告の立場に立つ可能性がある日
でしょう﹂
と指摘する。
い る 。多 く の 日 本 企 業 が 摘 発 さ れ
月までに日本企業の
幹部 名弱が有罪を認め、
米国内の
年
にも触れ、自身の訴訟・交渉の経験
刑務所で服役中だと報じられてい
5
に基づいて、
NPEに対する防御方
しているNPE︵特許不実施主体︶
た自動車部品カルテル事件では、
告側の証拠査定〟
を厳格化したため
︵EMVR︶の運用〟と〝原告側・被
日本人引渡しのリスクと
割∼
と米国特許訴訟のトレンドを紹介。
ます﹂
年の統計データでは、
PT
件から
ABにおけるトライアルの件数は、
前年の
と 倍以上急増しています。その理
e
裁判所︶
や最高裁が損害賠償額を算
由として、
PTABは他機関に比べ
e
9
本企業にとって、
PTABは非常に
7
日本企業を含めた多くの
さらに、
メーカーを相手に特許訴訟を提起
萩原弘之 氏
4
拒否の可能性
マックスウェル・フォックス 氏
定する際に、〝全体市場価値ルール
う﹂
ロープス&グレー外国法事務弁護士事務所 パートナー
カリフォルニア州弁護士
有効な選択肢の一つになるでしょ
ロープス&グレー外国法事務弁護士事務所 パートナー
東京オフィス 共同マネジングパートナー
ニューヨーク州弁護士・米国特許弁護士
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た日本人
藤 かえで 氏
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7
e
﹁彼らの巧妙な訴訟戦略に対峙
ロープス&グレー外国法事務弁護士事務所 カウンセル
ニューヨーク州弁護士
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化に加えて、
米国特許法を深く理解
この新たな潮流を認識し、
対応する
中島大輔 氏
︵米国特許改正法︶の下、PTA
Act
Bにおける特許の有効性に対する
うに語る。
e
ながるという。
スコット・ウォーレン 氏
て、
米国訴訟での ディスカバリー
エピックシステムズ日本支社代表
カリフォルニア州弁護士
ことの必要性を日本企業に呼びか
e
異議申立ての新制度が確立され、
同
エピックシステムズ日本支社
グローバル eディスカバリーソリューション 日本統括部長
e
レン氏は、
日本企業での社内弁護士
e
けた。
2015年5月、
「日本の製造業を対象とする訴訟及びカルテル調査について ∼成功へのベストプラクティス∼」と題するセミ
ナーが開催された(エピックシステムズ社主催)
。
e ディスカバリーの専門家と弁護士の計5名が講師となり、
日本の製造業を取り巻く最新状況の報告と、日本企業が国外での
制作/レクシスネクシス・ジャパン企画制作部
特許訴訟や行政調査に対して取るべき準備・対応策に関するレクチャーが行われた。
制度の利用者は年々増加しており、
米国特許訴訟と
カルテル調査の法的リスク
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日本の製造業が直面する
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