「ホームセンターK&S」 「ホームセンターK&S」

「ホームセンターK&S」
1.建物概要
建物名称
K&Sホームセンター
所在地
愛知県春日井市篠木町
建物階数
地上2階
空調面積
627㎡
新築・リニューアル区分
主要用途
リニューアル
店
舗
図1.建 物 外 観
2.蓄熱式空調設備概要/システム
空調システム
個別分散型
(エコ・アイスmini)
容量(型式)
・5馬力相当
<室外機>
×台数
(RAS-J112T)×7台
<蓄熱槽>
(RT-J90T)×7台
<室内機>
(RCI-140K1)×7台
空調機器メ-カ(株)日立空調システム
蓄熱導入年月
平成11年7月
設備施工会社
協和電業(株)
(株)川村商会
東朋テクノロジー
その他
補助金制度利用
図3.室外機(リニューアル前)
図2.空調機器(室外機&蓄熱槽)
図4.室内機
3.リニューアルの概要
3.1 リニューアルに至った経緯
平成元年の現店舗への改装時において現状使用している「空調設備」を導入したが、
導入後11年が経過し、「非蓄熱式空調システム」(GHP;5馬力相当×7台+電
気式:8馬力相当×1台)が老朽化し、修理頻度が増加していることから、空調設備
のリニューアルについて、検討依頼を受けた。
表1. リニューアル前の空調設備
空調システム
相当馬力
台数
室内機タイプ
6
2
天井埋込カセット型
8
1
天井吊り型
5
7
天井埋込カセット型
「非蓄熱式パッケージ」(電気式)
「非蓄熱式パッケージ」(GHP)
3.2 リニューアルにあたっての要望事項
「空調システム」の選定にあたっては、リニューアル前における空調設備の問題点
も踏まえて、下記に示す主な要望を受けた。
① ランニングコストが低減できること。
② 電気設備容量の抑制ができること(低圧受電のままとしたい)。
③ メンテナス頻度が少ないこと。
④ 「室外機」の設置スペースは、リニューアル前と同等のこと。
⑤ 開店中の工事となるため、工期が短期のこと。
⑥ 安全で、信頼性の高いシステムであること。
以上の主な要望を踏まえ、「空調システム」の検討に入った。
4.「空調システム」の検討
前項のご要求を満足しうる「空調システム」を、多方面から検討した結果、電気
式の「非蓄熱式パッケージ」では、電気設備容量が“低圧受電”の範囲を超えて、“業
務用6KV”の受電となり、「受電設備」の新設はもとより、電気料金も増額となるた
め、リニューアル前と同システムである「非蓄熱式パッケージ」(電気式&GHP)及
び、「受電設備」の容量が抑制できる「氷蓄熱式パッケージ」の2方式に絞って検討を
進めた。
5.非蓄熱方式とのランニングコスト比較検討(試算)
「空調設備」のリニューアルにおけるランニングコストの比較を実施した。(表2参照)
「氷蓄熱式空調システム」については、「室外機」及び、「蓄熱槽」の設置スペースの
関係から、「蓄熱槽」が薄型である「エコ・アイスmini」とした。
表2. ランニングコスト比較検討結果(試算)
[千円]
「氷蓄熱式空調システム」 「非蓄熱式空調システム」
(エコアイス・mini)
(電気式&GHP)
電気料金
基本料金
従量料金
定額割引
電気料金合計
333.6
637.0
▲77.0
893.6
893.6
53.8
81.0
−
134.8
134.8
ガス料金
基本料金
−
581.3
従量料金
−
341.2
ガス料金合計
−
922.5
ガス料金合計
ランニングコスト合計
893.6
1,057.3
893.6
1,057.3
ランニングコスト差
▲163.7
163.7
注記)1.メンテナンス費用は除いていております。
2.上記表の数値は試算したものであり実測に基づくものではありません。
5.2 ランニングコスト比較検討(試算)条件
① 電気料金
表3.中部電力㈱低圧蓄熱調整契約料金による電気料金
契約種別 供給電圧 基本料金 電力量料金(円/kW) 蓄熱料金(円/kW)
(円/kW)
夏期 その他季
夏期 その他季
低圧
200V
1,055
11.78
10.71
4.81
4.81
② ガス料金
表4.東邦ガス㈱空調用夏期契約第一種契約料金(13A)によるガス料金
ガス料金(13Aの場合)
定額基本料金(円) 流量基本料金(円) 従量料金
(円/Nm3)
料金種別
夏期
冬期
夏期
冬期
空調用夏期契約第一種
18,000
2,850
29.50
③ 空調設備使用条件
表5.空調設備の使用条件
冷房運転期間
5月∼10月(6ヶ月間)
暖房運転期間
12月∼2月(3ヶ月間)
1日の運転時間
10時間
1ケ月の稼動日数
30日(年中無休)
以上により、ランニングコスト面での「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイス
mini)のメリットをご理解頂き、設置工事面での具体的検討に入った。
6.設置工事面で配慮した点
6.1 「室外機」,「蓄熱槽」の設置スペースについて
リニューアル前の「非蓄熱式空調システム」(電気式&GHP)の「室外機」は、建屋
と隣地境界線との約1mの間のスペースに設置されていたため、このスペースを利
用して「室外機」と「蓄熱槽」を設置しなければならなく、リニューアル前の「非蓄熱式
空調システム」(電気式&GHP)の「室外機」を撤去した後のスペースに、架台を活用
して、「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイスmini)の「室外機」と「蓄熱槽」を2段に設
置することにより、「室外機」と「蓄熱槽」の設置スペース面での問題を解消した。
「氷蓄熱式空調システム(エコ・アイスmini)」の「蓄熱槽」は、幅寸法が620mm
と薄型で、本事例のような狭いスペースでの設置も可能であり、「エコ・アイスmini」
なくして設置スペースの問題は解決できなかったものと考える (図2,3参照)。
6.2 工期の短縮について
本事例における「空調設備」のリニューアル工事では、店舗が開店中での工事とな
るうえ、隣接地を借用しての「室外機」の撤去及び据付工事となるため、工期を如何
に短縮して施工するかが、最大の問題点と言えた。
隣接地の借用は1日が限界のとのことで、大型クレーン(35トン)を使用して「室外
機」の撤去及び、据付を短時間で施工したばかりでなく、「室内機」の取り替え工事に
ついて店舗が開店中での工事であり、短時間で施工するために「室内機」の据え付け
場所は、リニューアル前の「室内機」の据え付け場所をそのまま利用し、冷媒配管・
ドレーン配管についても既設の配管を利用することにより、工期の短縮を図った。
7.安全性・信頼性
「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイスmini)は、「非蓄熱式空調システム」(GHP)
と比べて、設置場所での燃焼を伴わない安全・クリーンで、定期的なメンテナンス
の少ない空調システムなため、メンテナンス頻度を大幅に減少させることができる
点についても評価を頂いた。
8.おわりに
リニューアル時には、リニューアル前の「空調システム」の問題点を改善する要望
はもとより、更なる快適性・安全性・ランニングコストの低減等の要望に加え、工
期の短縮・設置スペースの問題など多くの課題を抱えるのが常である。
今回のリニューアル事例では、「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイスmini)の特長
を最大限に活用することにより、お客様のご要求を満足できたものと確信する。
ランニングコストの低減については、平成11年7月の施工のため、今後の状況
を確認することになるが、「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイスmini)では、基本電
気料金の低減に加えて使用電気料金においても電気料金の定額割引制度が準備され
ており、この制度を活用することにより大きなメリットがでるものと考える。
最後に今回のリニューアル事例では、「氷蓄熱式空調システム」(エコ・アイスmini)
と、「非蓄熱式空調システム」(電気式&GHP)の比較となり、イニシャルコストの
増加分(電気工事を含む)をいかに押さえるかに苦慮したが、国の「設置補助金制度」
を利用することにより、イニシャルコストの増加分が大幅に改善できたことを申し
添えたい。
(株)日立空調システム 中部支店 課長 中田 雅巳
(電話:052-251-0376, FAX:052-264-0146)