印刷用:PDF - 公益社団法人 埼玉県臨床検査技師会

生化学検査とは
臨床化学初心者の
臨床化学初心者の為の研修会 No.1
日当直時にも役立つ生化学検査の基礎と
データーの読み方
~検体の取扱いから事例まで~
2015年5月21日
上尾中央医科グループ 上尾中央総合病院
柴田 真明
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
生化学検査について理解を深める為に・・
基礎
(採血管関連)
豆知識
・採血管について
・分離剤の作用と特徴
・凝固促進剤入り採血管の転倒混和
・保存条件が与える影響
・再遠心が与える影響
・遠心分離後のヘパリン採血管転倒混和
・溶血,乳ビが与える影響
・体位が与える影響
・NH3の経時的変化
・フッ化ナトリウムの解糖阻止作用
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
採血管について
血清 血漿
尿
髄液
etc
生化学検査
・血液、尿等を採取し、その中に含まれる化学物質
の量を測定すること。
日当直時における生化学検査
・一部の精度管理(コントロール測定等)
・検体測定
多くの技師が関わる
・その他
検査
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
生化学検査について理解を深める為に・・
基礎
(採血管関連)
豆知識
・採血管について
・分離剤の作用と特徴
・凝固促進剤入り採血管の転倒混和
・保存条件が与える影響
・再遠心が与える影響
・遠心分離後のヘパリン採血管転倒混和
・溶血,乳ビが与える影響
・体位が与える影響
・NH3の経時的変化
・フッ化ナトリウムの解糖阻止作用
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
分離剤とは
抗凝固剤の種類と作用
名称
作用
検査項目
EDTA
脱カルシウム作用
末梢血一般検査
ヘパリン
抗トロンビン作用
臨床化学検査
血液ガス検査
クエン酸ナトリウム
脱カルシウム作用
凝固検査
赤血球沈降速度
フッ化ナトリウム
(EDTA-2K)
へキソキナーゼ阻害
脱カルシウム作用
血糖検査
疎水性の有機化合物にシリカ微粉末を混合し、
比重を
チクソトロピー性
比重を約1.05に調節すると同時にチクソトロピー
チクソトロピー性
を持たせた粘性流体(水素結合
水素結合の網目構造を持つ)
水素結合
生化学で使用する採血管
チクソトロピー性
温度を変えずに単に機械的力を与えると粘性の高いゲル状から
粘性の低いゲル状の物質に変わり、この機械的力を取り除くと
元の粘性の高いゲル状の物質に変わる現象
・凝固促進剤 or ヘパリン
・分離剤あり or なし etc
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
分離剤におけるチクソトロピー性
遠心後の採血管
血清比重 :約1.02
血餅比重 :約1.08
約1.05
分離剤比重 :約
プラスチック採血管
遠
心
前
水素結合
<粘性の高いゲル状>
遠
心
中
シリカ凝集間の水素結合
網目構造切断
<粘性の低いゲル状>
遠心操作で分離剤に力が加わ
ると水素結合が切断され粘性
の低いゲル状物質となる。
比重により管底から
比重
血餅・
層となる。
血餅・分離剤・
分離剤・血清の
血清の3層
再び水素結合が形成
網目構造再構築
<粘性の高いゲル状>
遠心力が加わらなくなると再び
水素結合が形成され、元の粘
性の高いゲル状物質となり
血清と
血清と血餅間に
血餅間に隔壁を作る。
隔壁
遠
心
後
血清
プラスチック採血管は材質が
比較的疎水性である為、
分離剤が直接採血管の内壁面
に強固に粘着する。
K+や逸脱酵素等
逸脱酵素等が血餅から
逸脱酵素等
分離剤
血清中に拡散しないので・・・
そのままの状態で
血清保存が可能!!
血餅
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
✽ガラス採血管では内壁に水分子吸着層を作るので保存不可能
プラスチック採血管(分離剤あり)の経時変化
プラスチック採血管(分離剤なし)の経時変化
1日目
日目
2日目
日目
3日目
日目
4日目
日目
5日目
日目
6日目
日目
7日目
日目
単位
1日目
日目
2日目
日目
3日目
日目
4日目
日目
5日目
日目
6日目
日目
7日目
日目
TP
8.0
7.7
7.8
7.8
7.9
7.9
7.9
g/dl
TP
7.8
7.9
7.8
7.8
7.9
7.9
7.8
g/dl
T-Bil
0.4
0.4
0.4
0.3
0.3
0.3
0.2
mg/dl
T-Bil
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
0.4
mg/dl
AST
27
25
27
26
27
27
26
AST
25
25
27
27
28
29
28
ALT
28
29
29
27
26
27
27
ALT
27
29
29
28
27
28
29
LDH
190
188
195
186
186
187
185
LDH
205
201
209
208
211
239
260
U/l
CK
82
78
81
81
78
76
82
CK
83
76
80
79
81
79
82
BUN
13.5
13.6
13.9
13.5
13.5
13.7
13.6
BUN
13.3
13.3
13.4
13.3
13.5
13.4
13.4
CRE
0.56
0.55
0.58
0.56
0.54
0.55
0.53
CRE
0.56
0.58
0.58
0.57
0.56
0.56
0.56
Ca
9.9
9.7
10.2
9.7
9.6
9.6
9.9
Ca
9.6
9.5
9.8
9.8
9.9
9.7
9.7
Na
142
141
143
145
145
144
142
Na
142
142
139
139
137
134
132
K
3.7
3.7
3.8
3.9
4.0
4.2
4.2
K
3.5
3.7
7.2
10.0
11.8
15.9
17.9
Cl
104
105
104
106
106
105
105
Cl
104
106
104
106
105
105
104
mg/dl
mEq/l
✽採血管(分離剤あり)に血液を分注後、遠心した状態で冷蔵保存し7日間測定
分離剤あり
AST
30
分離剤なし
28
250
26
200
24
150
22
2
3
4
経過日数
5
6
20.0
1
2
3
分離剤あり
K
測定値(
)
測定値( mEq/l)
7
分離剤なし
4
経過日数
分離剤なし
5
6
154
7
・ウイルス感染防止や医療廃棄物の縮小化が可能
分離剤なし
欠点
・保存による血中薬物濃度減少の可能性
150
16.0
利点
・血清分離作業が容易
・血清を分取せずそのままの状態で測定,保存が可能
分離剤あり
Na
測定値(
)
測定値( mEq/l)
146
12.0
142
8.0
138
4.0
134
0.0
130
1
2
3
4
経過日数
5
6
7
1
2
3
4
経過日数
mEq/l
分離剤あり
100
1
mg/dl
分離剤の利点と欠点
LDH
測定値(
)
測定値( U/l)
300
U/l
✽採血管(分離剤なし)に血液を分注後、遠心した状態で冷蔵保存し7日間測定
分離剤あり・なし 冷蔵保存の比較
測定値 ( U/l)
)
単位
5
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
6
7
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
分離剤の注意点
分離剤入り採血管 血中薬物濃度測定の経時変化
血中治療薬剤濃度測定において、血液を分離剤入り
血中治療薬剤濃度測定
採血管に採血してそのまま血清
血清を
数日間
血清を保存すると数日間
保存
で薬物濃度が
薬物濃度が減少することがある。
減少
ジゴキシン
測定値 ( ng/ml)
)
28.0
1.2
24.0
1.0
20.0
0.8
16.0
0.6
12.0
0.4
8.0
0.2
治療薬剤が構造上疎水性の強い化合物で
ある場合、比較的疎水性である分離剤やプ
薬物が
ラスチック採血管に薬物
薬物が吸着されて薬物
吸着
の濃度が低下
採血管の
採血管の種類(材質等)によって薬物濃度の減少にかなり
差がみられたとの報告がある為、分離剤入り採血管を使用
事前に
する場合には事前
事前に採血管の
採血管の適性を
適性を検討する必要がある。
検討
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
凝固促進剤入り採血管の転倒混和
転倒混和あり
バンコマイシン
測定値(
測定値( μg/ml)
)
1.4
4.0
0.0
0.0
当日
1
2
3
4
当日
5
1
2
経過日数
測定値 ( μg/ml)
)
3
4
5
4
5
経過日数
フェノバルビタール
バルプロ酸
バルプロ酸
測定値 ( μg/ml)
)
28.0
60.0
24.0
56.0
52.0
20.0
48.0
16.0
44.0
12.0
40.0
36.0
8.0
32.0
4.0
28.0
0.0
24.0
当日
1
2
3
4
当日
5
1
経過日数
2
3
経過日数
✽採血管(分離剤あり)に血液を分注後、遠心した状態で冷蔵保存し5日間測定
転倒混和あり・なし 血清の比較
1
2
3
凝固促進剤均一分散
<均一に凝固>
血清
転倒混和なし
z
凝固促進剤
遠心
凝固促進剤不均一分散
<中央部に凝固の遅れ>
プラスチック採血管は凝固因子(第Ⅻ,Ⅺ因子)への接触活性化
が非常に弱く、短時間で血液凝固が進むようにガラス微粉末等
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
の非生理的な凝固促進剤が塗布されている。
生化学検査について理解を深める為に・・
基礎
(採血管関連)
豆知識
・採血管について
・分離剤の作用と特徴
・凝固促進剤入り採血管の転倒混和
・保存条件が与える影響
・再遠心が与える影響
・遠心分離後のヘパリン採血管転倒混和
・溶血,乳ビが与える影響
・体位が与える影響
・NH3の経時的変化
・フッ化ナトリウムの解糖阻止作用
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
①採血後、直ぐに遠心
②採血後、転倒混和をせずに10分後に遠心
③採血後、転倒混和を行って10分後に遠心
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
保存条件が与える影響
保存条件によって測定値に与える影響が異なる
・全血室温保存
・全血冷蔵保存
・遠心分離後,室温保存(分離剤あり・なし)
・遠心分離後,冷蔵保存(分離剤あり・なし)
・遠心分離後,上清を別容器に保存
etc
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
全血保存について
全血 冷蔵保存
全血を室温保存
室温保存するか冷蔵保存
冷蔵保存するかで
室温保存
冷蔵保存
測定値に与える影響が異なる
室温保存
NH3 : 赤血球からのNH3の遊離、蛋白やアミノ酸からの
NH3生成により濃度上昇
ALP :室温放置によりpHが上昇し、測定値上昇
IP :室温放置することでリン脂質等の有機リンが分解
され測定値上昇
Glu :測定値低下
細胞膜には細胞内のNa+を外側へ、細胞外のK+を内
側へ輸送する仕組みがある。赤血球膜にはこの移送
ナト
に関わるATPaseが働き、膜機能を維持している(ナト
リウムポンプ)。
リウムポンプ
赤血球内のATPは解糖系により生成されるが、全血
を冷蔵庫中に置くとATP生成はほとんど止まり、同時
にATPの消費を伴うNa+,K+-ATPaseの活性が低下し、
Na+,K+の能動輸送が
能動輸送が止まる。
まる
膜
従って赤血球膜は生体膜としての機能がなくなり、膜
内外の
内外のイオンの
イオンの濃度差による
濃度差による拡散
による拡散が始まる。
拡散
冷蔵保存
K
:測定値上昇
Na :測定値低下
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
ナトリウムポンプ
血
漿
血球
K+
K+
ATP
Na+,
K+-ATPase
ADP
Na+
全血 室温保存
細胞膜がATPを使ってイオン濃
度勾配に逆らいNa+を細胞外
に、K+細胞内に取り込む作用。
冷蔵保存する事でナトリウム
ポンプが低下する。
Na+
血球から
血球からK
から +が遊出
血漿中の
血漿中のNa+は吸収
血球内酵素は機能している為、赤血球外から
Gluを取り込み解糖系でATPを産生している。
従って能動輸送は円滑に行われているので
電解質の
血糖値は
電解質の変動は
変動は少ないが、血糖値
ない
血糖値は著しく
低下する。
低下
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
全血 冷蔵保存と室温保存の変動
凝固促進剤
ヘパリン管
通常測定 室温保存 冷蔵保存 通常測定 室温保存 冷蔵保存
遠心分離後室温・冷蔵保存の変動
遠心分離後室温保存
単位
4日目
遠心分離後冷蔵保存 血清を別容器に分注後保存
単位
1日目
4日目
1日目
7日目
TP
7.4
7.6
7.4
8.0
7.9
7.8
g/dl
TP
6.8
6.7
8.0
7.8
7.4
7.7
g/dl
T-Bil
0.8
0.8
0.8
0.9
0.8
0.8
mg/dl
T-Bil
0.5
0.1
0.4
0.3
0.7
0.6
mg/dl
AST
19
19
18
19
20
19
AST
12
16
27
26
15
17
ALT
16
17
16
17
17
17
ALT
7
7
28
27
16
16
LDH
152
157
154
152
161
160
LDH
138
143
190
186
141
141
U/l
1日目
CK
149
149
144
152
154
149
CK
19
18
82
81
122
134
BUN
14.5
14.8
14.4
14.4
14.6
14.5
BUN
14.2
14.1
13.5
13.5
11.6
12.2
CRE
0.85
0.86
0.86
0.85
0.86
0.85
CRE
0.98
0.97
0.56
0.56
0.81
0.85
Glu
94
30
73
89
7
75
Ca
7.8
7.9
9.9
9.7
10.5
9.8
Na
141
143
134
140
146
138
Na
136
140
142
145
140
142
K
4.1
4.4
10.4
4.0
4.1
9.1
K
3.6
4.1
3.7
3.9
4.2
4.2
Cl
102
98
99
100
99
101
Cl
100
102
104
106
101
101
✽採血後、全血室温・冷蔵で1日保存後、それぞれ遠心分離して測定
mg/dl
mEq/l
✽採血後、遠心分離して室温・冷蔵・別容器に分注した状態で測定
U/l
mg/dl
mEq/l
血清分離検体保存後の再遠心
血清分離後 再遠心
分離検体を保存した後に再遠心を行うと検体
保存の間に血餅が退縮することによって血餅
血餅
より漏出
より漏出した
漏出した血清
した血清が
血清が保存後の
保存後の再遠心によって
再遠心によって
分離剤上に
分離剤上に移動する
移動する為、検査値に影響を与
する
える。
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
通常測定
1日後再遠心
2日後再遠心
3日後再遠心
TP
7.4
7.5
7.6
7.7
単位
g/dl
T-Bil
0.8
0.8
0.8
0.8
mg/dl
AST
19
18
18
19
ALT
16
16
16
17
LDH
152
150
152
150
CK
149
146
152
149
BUN
14.5
14.5
14.9
14.8
CRE
0.85
0.87
0.89
0.88
Glu
94
89
87
89
Na
141
141
140
139
K
4.1
5.8
6.9
6.9
Cl
102
100
101
101
ヘパリン採血管
単位
遠心後
転倒混和
TP
8.0
7.9
g/dl
T-Bil
0.7
0.7
mg/dl
AST
17
18
ALT
18
17
LDH
146
194
129
CK
131
ALP
220
226
CRE
0.81
0.82
Ca
10.5
10.3
Na
140
140
K
4.2
4.1
Cl
101
100
U/l
mg/dl
mEq/l
ヘパリン管を遠心分離後、
転倒混和すると分離剤表面
血小板等の
に付着している血小板等
血小板等の
細胞成分が
細胞成分が血漿中に
血漿中に浮遊し、
浮遊
K+やLDHが高値となる。
ヘパリン管を用いて測定を行
う際には遠心分離後、混和す
ることなく速やかに測定する
必要がある。
mEq/l
溶血
血液中の赤血球が何
何らかの原因
らかの原因で壊れ、
原因
赤血球中に含まれるヘモグロビン
ヘモグロビンが血清・血漿
ヘモグロビン
にでること。
赤血球内分布と血清
赤血球内分布 血清・
血清・血漿内分布に
血漿内分布に大きな差
きな差が
ヘモグロビンの
ある物質を測定するときやヘモグロビン
ヘモグロビンの極大
(540nmと570nm)で測定する項目
吸収波長付近
吸収波長
に影響を与える。
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
✽遠心測定後、2~3回転倒混和し再度測定
血漿と赤血球における各種成分の濃度
赤血球
mg/dl
✽血清分離後、3日目まで再遠心を行って測定
遠心分離後のヘパリン採血管 転倒混和
遠心後
U/l
赤血球/血漿
血漿
LDH
58,000.0
360.0
160.00
ACP
200.0
3.0
67.0
K
100.0
4.4
22.73
AST
500.0
25.0
20.00
ALT
150.0
30.0
5.00
Cre
1.8
1.1
1.64
Glu
74.0
90.0
0.82
BUN
14.0
17.0
0.82
IP
2.5
3.2
0.78
UA
2.5
4.6
0.54
Na
16.0
140.0
0.11
単為
U/l
物理的衝撃が及ぼす影響
採血後(真空採血6本)、30分間放置
全血状態で約1mの高さから1~5回まで落下
mEq/l
U/l
約1m
mg/dl
採血管①:1回落下
採血管②:2回落下
採血管③:3回落下
採血管④:4回落下
採血管⑤:5回落下
採血管⑥:落下なし
採血管⑥を対象として
採血管①~⑤とそれぞれ比較
mEq/l
✽第42回埼玉県医学検査学会 遠心温度及び落下による衝撃が測定値に及ぼす影響より
検体落下 肉眼的溶血
TP,AST,LDH,Kの変動
g/dl
落下 回 落下2回
落下 回 落下3回
落下 回 落下4回
落下 回 落下5回
落下 回
負荷なし
負荷なし 落下1回
TP
8.5
AST
U/l
38
34
8.0
30
A
-
-
-
-
±
-
A
B
7.5
C
D
B
-
1+
1+
1+
3+
2+
-
1+
1+
3+
3+
C
D
14
10
負荷なし
-
B
22
18
7.0
6.5
C
A
26
落下1回
落下2回
落下3回
落下4回
落下5回
負荷なし
LDH
U/l
620
落下1回
落下2回
落下3回
落下4回
落下5回
K
mEq/l
5.5
5.3
560
5.1
500
D
-
1+
1+
2+
3+
3+
4.9
440
A
B
380
4.7
A
B
4.5
C
D
320
採血が適切に行われていても検体に
物理的衝撃が加わると溶血
溶血する
物理的衝撃
溶血する可能性
する可能性がある
可能性
C
4.3
D
4.1
260
3.9
200
3.7
140
3.5
負荷なし
落下1回
落下2回
落下3回
落下4回
落下5回
負荷なし
落下1回
落下2回
落下3回
落下4回
落下5回
✽第42回埼玉県医学検査学会 遠心温度及び落下による衝撃が測定値に及ぼす影響より
✽第42回埼玉県医学検査学会 遠心温度及び落下による衝撃が測定値に及ぼす影響より
溶血が測定に与える影響 総蛋白
溶血が測定に与える影響 総蛋白
1試薬系(23施設)
正常 □
□: 溶血
◇ : 正常 Hb濃度:300mg/dl
1試薬系
7.3
2試薬系
正常試料:平均 6.1 g/dl
試料間の差: 0.7 g/dl
溶血試料:平均 6.8 g/dl
7.1
6.9
6.7
2試薬系(14施設)
6.5
6.3
正常試料:平均 6.1 g/dl
試料間の差: 0.2 g/dl
溶血試料:平均 6.3 g/dl
6.1
5.9
5.7
5.5
5.3
5.1
溶血試料において試薬系
試薬系による
試薬系による差
による差が見られた
4.9
3
4
9 12 14 15 16 19 20 21 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 34 35 37 1
2 5
7
8 10 11 13 17 22 33 36 38 39
✽埼玉県技師会臨床化学研究班 第18回脂質ミニサーベイ
✽埼玉県技師会臨床化学研究班 第18回脂質ミニサーベイ
終点分析法(エンドポイント法)
1ポイント-二波長法
乳ビ
2ポイント-二波長法
A-B
吸光度の変化量
吸光度の変化量
(検体の色調含む)
R2試薬分注前(検
体ブランク)
検体と試薬反応
(1試薬系)
血清等の検体が乳白色
乳白色を示す所見。
乳白色
食事として摂取される脂肪の大部分は中性脂肪
(主にカイロミクロン
カイロミクロン)
カイロミクロン である為、食後に時間を空け
ずに採血を行うと脂肪があまり分解されず血液
中に残り、その脂肪分が白く見える。
(2試薬系)
1試薬系
試薬系の場合、
試薬系
溶血の
溶血の影響で
影響で正誤差となる可能性がある
正誤差
✽埼玉県技師会臨床化学研究班 第18回脂質ミニサーベイ
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
乳ビの与える影響
体位が与える影響
ビリルビン
ヘモグロビン
安静時(臥位) 低値
細胞間質から血管内に水分が移動して循環
循環
血漿量が
血漿量が増加し、見かけ上希釈される。
増加
濁り
濁りによる波長への影響
全ての波長
ての波長に
影響
濁りは全
波長に影響を与える
2ポイント -2波長法(2試薬系)や希釈測定
希釈測定等で回避
希釈測定
電解質(間接法)への影響
血中では溶媒中(水分)にのみ存在する為、溶質成分(リポ蛋白)が多い
容積置換)
検体をサンプリングすると電解質成分が相対的に減少(容積置換
容積置換
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
活動時(立位) 高値
重力により血液が下肢に溜まり水分や小分子
成分が血管外に漏出し、血管内
血管内の
血管内の水分が
水分が減少
して血液
血液が
血液が濃縮。
濃縮
外来時(活動・立位)と入院時
入院時(安静・臥位)とで
測定値が異なる可能性がある
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
TP,Albの変動
NH3の経時的変化
TP
TP,Alb 経時的変化
測定値(g/dl)
Alb
8.0
7.5
7.0
6.5
6.0
5.5
5.0
4.5
4.0
安静時(立位)
30分後(臥位)
経過時間
60分後(臥位)
✽採血後、ベッドで安静にした状態で30分後、60分後に採血
✽採血後、室温・ふ卵器・氷冷にそれぞれ保存し、5時間後まで測定
フッ化ナトリウムの解糖阻止作用
フッ化ナトリウム採血管の血糖値経時的変化
解糖系酵素のエノラーゼ
エノラーゼを
エノラーゼを阻害し、血糖低下
阻害 血糖低下を
血糖低下を阻害
マンノース
グルコース
測定値 ( mg/dl)
)
121
ヘキソキナーゼ
グルコースグルコース-6-リン酸
リン酸
ピルビン酸
ピルビン酸
イソメラーゼ
フルクトースフルクトース-6-リン酸
リン酸
ホスホフルクトキナーゼ
フルクトースフルクトース-1,61,6-二リン酸
リン酸
アルドラーゼ
ジヒドロキシアセトンリン酸
ジヒドロキシアセトンリン酸
イソメラーゼ
グリセルアルデヒドグリセルアルデヒド-3-リン酸
リン酸
ホスホエノールピルビン酸
ホスホエノールピルビン酸
エノラーゼ
冷蔵保存
室温保存
119
ピルビン酸キナーゼ
クエン酸
血糖値経時的変化
フッ化ナトリウ
ム
2-ホスホグリセリン酸
ホスホグリセリン酸
ムターゼ
3-ホスホグリセリン酸
ホスホグリセリン酸
ホスホグリセリン酸キナーゼ
1,31,3-ビスホスホグリセリン酸
ビスホスホグリセリン酸
117
115
113
約6%
111
109
約8%
107
0 1 2 3 4 5
10
放置時間
グリセロアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
✽採血後、室温・冷蔵保存し、24時間後まで測定
24
フッ化ナトリウム採血管 室温保存
再検査について
フッ化ナトリウムはエノラーゼを阻害して解糖系を阻
止するが、エノラーゼ
エノラーゼは
エノラーゼは解糖系の
解糖系の後半に
後半に位置する為
位置
フッ化ナトリウムが血球内に入りエノラーゼを阻害す
るまで(約2時間)、血糖値
血糖値が
血糖値が徐々に低下する
低下する(約10%)。
クエン酸
フッ化ナトリウムの他にクエン
クエン
酸(添加し血液のpHを下
「再検査」という言葉を良く耳にするが・・・
再検査って?
通常、前回値と異なる場合や施設の基準を外れた
場合に再検査を行っているが・・・・・
げることによってホスホフルクトキナーゼの酵素反応を阻止)
分析終了後の検体をそのまま再測定・・
やマンノース
マンノース(ヘキソキナーゼを阻害)等、速効性のある
阻害剤と併用すると血糖値低下を防ぐ事ができる。
これって再検査??
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
再検査とは
検体確認≒再検査
分析終了後の検体をそのまま再測定しても
結果が変わることはほとんどない
再検査
・再採血して再度測定する
・異なる分析器,測定方法を用いる
・検体を希釈して測定する
・同時に提出された別の採血管で測定する etc
毎回再採血したり希釈測定することは不可能・・・
日当直時には限られた分析器しかない・・・
再検査ってどうするの?
基本的に分析器の精密度は保たれている為、
検体に異常がなければ結果が変わる要素がない
検体確認することがある意味、再検査
施設の基準を外れたとしても、検体確認をして特に問
題がなければそのまま臨床側へ報告でいいのでは?
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
検体確認+α
検体確認に加え、
サンプリング順番の把握
反応曲線の確認(分析器エラーの確認)
項目の特徴(変動しやすい等)
関連項目との比較
等も必要
再検査の有無の判断は施設基準があるものの、
技術・知識・経験により異なる
不安な時、判断に困った時は再測定でもOK
自分にあった再検査を(検体確認は必須)!!
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
各種採血管による生化学項目の測定値
凝固促進剤
ヘパリン管
ヘパリン管
TP
7.4
-
8.0
△
7.8
△
7.9
△
g/dl
T-Bil
0.7
-
0.7
○
0.7
○
0.7
○
mg/dl
AST
15
-
17
○
17
○
18
○
ALT
16
-
18
○
17
○
17
○
LDH
141
-
146
○
137
○
151
○
EDTA-2Na
EDTA-2K
CK
122
-
131
○
130
○
129
○
ALP
220
-
226
○
27
×
75
×
CRE
0.81
-
0.83
○
0.80
○
0.78
○
Ca
10.5
-
10.3
○
-0.3
×
-0.4
×
Na
140
-
140
○
166
×
139
○
K
4.2
-
4.1
○
4.2
○
21.5
×
Cl
101
-
100
○
98
△
96
△
✽同一血を真空採血にて各採血管に採血後、測定
単位
U/l
mg/dl
mEq/l
最後に
精密さ+正確さ=精確さ
我々が普段行っている測定は検体の採取から運搬や遠心、
保存に至るまで様々な影響を受ける。
精確な測定値を臨床側に報告するためには自動分析装置
だけに注目するだけでなく、測定至るまでの過程についても
意識することが重要。
迅速に結果を報告する為にも、日頃から項目の関連性に目
を向け、再検査についても意識することが必要。
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL
ご清聴、
ありがとうございました。
Ageo Medical Group AGEO CENTRAL GENERAL HOSPITAL