第6節 避難応急体制の整備(129)

震災対策編
第2章
災害予防計画
第3部
災害応急対策への備え
第6節
避難応急体制の整備
第6節 避難応急体制の整備
(一般災害については,一般災害対策編第2章第6節を参照のこと)
計画の目的
地震等の大規模な災害時には,火災の延焼拡大や二次災害から市民の身の安全を確保するため,多数の
市民を安全な空間に避難させる必要があるが,行政機関による避難誘導を迅速に実施することが困難な状
況が想定される。
そのため,普段から市民に対し指定緊急避難場所,指定避難所,避難方法等について周知徹底を図り,
地域住民相互の連携による避難体制の確立を図る。
■
■
基本方針
地震時における大火災の発生等によって避難を要する事態が発生した場合,京都市は,迅速な避難勧告・
指示の発令,伝達を行い,的確な避難誘導や避難行動を行うため,防災関係機関や自主防災組織等と連携
し,訓練の実施や指導等を通じて避難体制の確立を図る。
また,自主防災組織等は,災害発生時に迅速な避難活動が実施できるよう,平常時から指定緊急避難場
所,指定避難所,避難方法等についての理解を図るとともに,訓練の実施や指導等を通じて地元住民を中
心とした避難体制の確立を図る。
1
避難誘導体制の整備
⑴ 避難勧告・指示の発令体制の整備(行財政局,区役所,消防局等)
行財政局,区役所,消防局等は,地震時における大火災等によって避難を要する事態の発生を想定し,
避難勧告・指示の発令計画を基に,時期を逸しない避難勧告・指示のための情報収集,分析,判断等の
体制を整備する。
⑵ 避難勧告・指示の発令伝達体制の整備(行財政局,総合企画局,区役所)
行財政局,総合企画局は,地震発生後において避難勧告・指示が発令された場合を想定し,放送機関,
電気通信事業者,ポータルサイト・サーバ事業者,ソーシャル・ネットワーキング・サービス事業者等
の協力を得て,多様な手段で迅速に情報伝達を実施する体制を整備する。
また,区役所は,消防署,警察署,自主防災組織,自治会,社会福祉協議会等と連携して,現地にお
ける避難勧告・指示の伝達体制,特に,避難行動要支援者や一人暮らしの高齢者,乳幼児,傷病者,妊
産婦,日本語を解することが困難な外国人等の要配慮者に対する伝達体制を整備する。
⑶ 警戒区域の設定体制の整備(消防局,区役所)
消防局,区役所は,地震発生後において広範囲の区域で立入りを制限,禁止する必要が発生する場合
を想定し,関係機関と連携した警戒区域の設定体制を整備し,区総合防災訓練等によって習熟を図る。
⇒ 第3章 6.1 避難の勧告・指示を発令する
⇒ 第3章 6.2 避難の勧告・指示を伝達する
⇒ 第3章 6.3 警戒区域を設定する
2
広域避難場所(指定緊急避難場所)
⑴
広域避難場所
広域避難場所とは,広域避難地域内において,地震に伴う大火災等の二次災害の危険などから地域住
民の生命の安全を確保できる場所をいい,地震時の指定緊急避難場所として災害対策基本法に基づき指
定する。
⑵ 広域避難場所の条件
ア 公園,緑地,グラウンド(校庭を含む。)その他公共的な空地帯等で,大火災の輻射熱に対して安
全面積が1ヘクタール以上の場所
イ 広域避難場所における避難者1人当たりの必要面積
2㎡
※ 資料2-3-6-1 指定避難所及び指定緊急避難場所一覧表
※ 資料2-3-6-2 避難地区割り計画表
※ 広域避難場所の指定(行財政局)
○ 広域避難場所 69箇所(平成27年10月1日現在)
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震災対策編
3
第2章
災害予防計画
第3部
災害応急対策への備え
第6節
避難応急体制の整備
避難救助拠点(指定緊急避難場所)
避難救助拠点とは,任意避難地域内において,地震に伴う大火災等の二次災害が発生した場合,山間部,
都市周辺部の住民に対し災害情報の伝達,収集,応急救護活動などを行う場所をいい,地震時の指定緊急
避難場所として災害対策基本法に基づき指定する。
※ 資料2-3-6-1 指定避難所及び指定緊急避難場所一覧表
※ 資料2-3-6-2 避難地区割り計画表
※ 避難救助拠点の指定(行財政局)
○ 避難救助拠点 23箇所(平成27年10月1日現在)
4 地域の集合場所(地域で定める地震時の集合場所)
⑴
地域の集合場所
地域の集合場所とは,地域住民が,近隣の安否や周辺被災状況の確認,消火,避難誘導等の災害に対
処するために集合する場所をいう。
⑵ 地域の集合場所の条件
地域住民が集合できる広さがあり,集合が容易で,地域住民によく知られている場所
(例 公園,寺院,神社その他地域行事を行う場所)
5
指定避難所
指定避難所とは,円滑な救援活動の実施,一定の生活環境確保の観点から,被災者等が一定期間滞在す
る場として,災害対策基本法施行令で定める基準に適合する公共施設その他の施設をいい,災害対策基本
法に基づき指定する。
なお,指定避難所と指定緊急避難場所とは,相互に兼ねることができる。
⇒ 第3部 7 避難所運営体制の整備
※ 資料2-3-6-1 指定避難所及び指定緊急避難場所一覧表
※ 指定避難所の指定(行財政局)
○ 指定避難所 421箇所(平成27年10月1日現在)
6
避難路
避難路とは,広域避難場所,避難救助拠点に通じる道路,緑地,緑道等をいい,住民避難の安全確保等
を図るうえで特に重要な役割を担う主要避難路は,原則として幅員15m以上,緑道等は 10m以上とする。
7
避難システムの整備
⑴
避難体制の周知
災害発生時に住民の避難行動が迅速,的確に実施できるよう,次の取組を実施し,指定緊急避難場所,
指定避難所,避難方法等の周知徹底や避難行動についての必要な指導,啓発を実施する。
ア 避難誘導標識の整備
イ 広域避難場所等の表示板の設置
ウ 避難行動に関する資料等の作成,配付(パンフレット,防災マップ)
エ 避難訓練等の実施
オ 地域ごとの避難計画の策定指導
※
避難誘導標識等の整備(行財政局)
○ 避難誘導標識
252基(平成27年10月1日現在)
○ 広域避難場所表示板 169基(平成27年10月1日現在)
⑵ 自主防災組織等による避難体制の整備(自主防災組織等)
自主防災組織や自治会,町内会等は,地震後に火災が発生して避難を要する事態が起こることを想定
して,近隣の人々が組織的に避難する体制を整備し,自主的な防災訓練等を通じて住民への徹底を図る。
特に,高齢者や体の不自由な方等の要配慮者が被災した家屋に取り残されることがないよう,要配慮
者の援助に留意した体制を整備する。
⇒ 第3章 6.4 避難を行う
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震災対策編
第2章
災害予防計画
第3部
災害応急対策への備え
第6節
避難応急体制の整備
⑶
避難システム
大地震が発生し,避難が必要となった場合,地域住民を早期かつ安全に避難させるための避難計画は,
次のとおりとする。
(避難システム)
大地震発生!
小火災発生!
要救助者発生!
負傷者発生!
各家庭・職場での対応
自己の安全確保
家族・同僚の安否確認
出火防止・周囲の状況確認
地域で集合
大火災
発生!
広域避難
地域(町内)での対応
状況確認・安否確認
負傷者一時救護
【地域の集合場所】
例:集会所の前
活動応援
市民による
活動が必要
な災害現場
共 助
消防団
事業所
消火活動
救出活動
救護活動
搬送活動
先行避難・集結
負傷者搬送
大火災から避難
【広域避難場所】
【避難救助拠点】
広域避難
避難勧告等
区役所等
例:小学校
避難所開設
医療
機関
公 助
消火活動
救出活動
救護活動
搬送活動
公的
災害対応
防災
関係
機関
避難生活への移行
公的救援
8
地域(学区)での対応
活動応援
自主防災会の拠点
地域住民の避難・集結
状況確認・情報収集
行政機関との連絡調整
住民集結
災害避難生活の運営
【指定避難所】
民間支援・ボランティア
地域の集合場所の周知(自主防災組織等)
自主防災組織等の地元組織は,地域の集合場所を地元住民に周知するとともに,地域の集合場所におい
て近隣の人々の安否確認や高齢者など要配慮者への介護など実践的かつ自主的な防災訓練等を実施する。
⇒ 第3章 6.5 地域の集合場所において対応する
9
広域避難場所の防災機能の整備
地震に伴う大火災等が発生した場合の延焼危険から避難住民を守るため,地震時の指定緊急避難場所で
ある広域避難場所やその周辺において,消防水利の確保をはじめとする消防機能の整備や避難者に必要な
情報を提供するための情報伝達設備などの機能の整備を図っていく。また,広域避難場所については,指
定緊急避難場所としての活用のほか,大規模な災害時には,重要なオープンスペースとして,災害応急活
動に係る多目的な活用について検討を図るとともに,必要に応じて複合的な防災機能の整備を図っていく。
⑴ 消防水利の確保(消防局)
広域避難場所等の安全性を確保するため,耐震型防火水槽等の整備や防災用倉庫(消火用器材等の格
納庫)等の整備を図る。
⑵ 通信手段の確保(行財政局,区役所)
避難住民に対し必要な情報を伝達するため,NTTと連携して,災害時に特設公衆電話の配備が迅速
に実施できるよう,回線の事前布設等について検討を進める。
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震災対策編
第2章
災害予防計画
第3部
災害応急対策への備え
第6節
避難応急体制の整備
⑶
複合的な防災機能の整備(行財政局,消防局)
広域避難場所等は,大火災が発生した場合の指定緊急避難場所としての機能だけでなく,災害応急対
策の活動拠点や応急復旧に必要な用地としての活用が想定される(臨時ヘリポート,復旧・復興の拠点,
がれき仮置場,応急仮設住宅用地等)ため,形態や規模等に応じて,事前に利用計画を検討するととも
に,消火機能,情報通信機能,備蓄機能,ライフライン等の必要な機能の確保に向けた整備の促進を図
る。
⑷ 情報対策チームの体制整備(警察署,消防署,区役所)
警察署,消防署,区役所は,地震発生後に火災が発生し多数の市民が広域避難場所へ避難する状況を
想定し,自主防災組織等と連携した総合防災訓練や区総合防災訓練などを通じて,警察・消防・区職員
による情報対策チームによる初期情報収集,区本部への急報,広域避難場所の運営等の活動を検証し,
より実効的な情報対策チームの体制を整備する。
⇒ 第3章 6.6 広域避難場所において対応する
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施設の避難体制の整備(施設管理者)
市庁舎,学校,社会教育施設,社会福祉施設,医療施設等京都市の所管する施設,駅舎,地下街,大規
模小売店舗,その他民間の不特定多数の者が利用する施設の管理者は,災害発生時において施設利用者や
職員を安全に避難誘導するための体制を具体的に整備する。
⇒ 第3章 6.7 庁舎等施設で避難誘導を行う
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移送体制の整備(区役所)
地震発生後,山間部などにおいて道路の寸断等により孤立するおそれのある地域を有する区は,住民を
緊急的に移送することを想定し,移送手段の確保のための応援要請体制を整備する。
⇒ 第3章 6.8 移送を行う
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