揖斐川水系支流における イワナとアマゴの属間雑種の解析

揖斐川水系支流における
イワナとアマゴの属間雑種の解析
岐阜県立岐阜高等学校
自然科学部生物班
生態学的解析
形態学的解析
遺伝学的解析
生態学的解析
• 釣獲調査(個体数,分布)
• 砂防堰堤の位置、数、
落差の調査
• 漁協の活動についてのヒアリング
生態学的解析
第2堰堤上流
1 4
21
27
2012年
第2堰堤下流
50
第2堰堤
4
3
2014年
11
2012年
18
2014年
アマゴ発眼卵放流
斑紋異常個体
イワナ
アマゴ
形態学的解析
• 外部形態の主成分分析(PCA)
• 解剖による性判別とGSIの算出
• 精巣組織切片の観察
• 精巣組織のフローサイトメトリー解析
-4
-2
主成分分析(PCA)
0
2
4
4
E
0.0
A
B
○

○

△
△
×
△
-0.2
I
F
ׁ

×
ׁ

×
△

○

×
H

×
D
△

○


△
×

-4
-0.4
-0.2
0.0
サンプル
△ ; 斑紋異常個体 (n=9)
× ; イワナ (n=11)
○ ; アマゴ (n=5)
2
△
0
△


×
×
G
△

-2
0.4
○

0.2
C
-0.4
第2主成分 (13.8%)
×

0.2
第1主成分 (37.8%)
0.4
分散成分
A;頭長/体長(%)
B;体高/体長(%)
C;背鰭基底長/体長(%)
D;尾柄長/体長(%)
E;眼径/頭長(%)
F;両眼間隔/頭長(%)
G;上顎長/頭長(%)
H;背鰭条数
I ;尻鰭条数
9月個体の生殖腺指数(GSI)
オス
2.5
20
2.13
2
0.67
GSI(%)
GSI(%)
14.5
15
1.5
1
メス
0.74
10
5
0.5
0
0
斑紋異常個体
イワナ
アマゴ
(n=5)
(n=6)
(n=7)
0
斑紋異常個体
(n=0)
2.76
イワナ
アマゴ
(n=12)
(n=4)
3月
精巣組織切片像
9月
斑紋異常個体
イワナ
アマゴ
遺伝学的解析
• mtDNA解析
• 核DNA解析(SINE領域の有無)
• 性決定遺伝子(sdY)を用いた性判別解析
mtDNA解析
使用プライマー
解析手法
斑紋異常個体
イワナ
アマゴ
イワナ属用
プライマー
PCR
×
○
×
PCR
○
○
○
配列解析
アマゴ
イワナ
アマゴ
サケ科用
プライマー
核DNA解析(SINE領域の有無)
Hpa -461
斑
500bp
300bp
イ
ア
Hpa -423
斑
イ
ア
Hpa -445
斑
イ
ア
sdY遺伝子による性判別解析
斑紋異常個体
オス 不明
イワナ
オス メス
アマゴ
オス メス
300bp
18S
200bp
sdY
考察
考察
• イワナよりの形質を示す
• イワナとアマゴ両種のSINE領域を検出
• アマゴのmtDNAを検出
斑紋異常個体は
イワナ雄とアマゴ雌の交雑種である
考察
• 外見や重量の面で精巣が発達
• 精子様細胞は形,大きさが不均一
• 卵巣が発達しない
• 2年間の調査中に個体数が激減
斑紋異常個体は精巣のみが発達するが
生殖能力をもつには至らない
一過性の交雑種である
考察
• イワナ生息域へアマゴを放流
• 砂防堰堤が生息域の分断
• 斑紋異常個体は最上流部に生息
生息に適さない最上流域で
少数のアマゴのうちメスがやむを得ず
多数のイワナのオスを選択し交雑した
展望
・調査河川の地質学的調査を行い,産卵行動との
関係を調べ,交雑原因を解明
・河川にあった渓流魚の放流計画の見直しや
堰堤の魚道整備,ゾーニング管理などの提案
・人工受精による交雑種の作成後,発生過程解析
・交雑種の精巣における減数分裂のFCM解析
謝辞
東京大学大学院総合文化研究科の石塚航氏
揖斐川中部漁業協同組合理事の古田隆氏
岐阜大学地域科学部の向井貴彦氏
岐阜大学教育学部の古屋康則氏
岐阜大学応用生物学部の高島康弘氏
岐阜県水産研究所の大原健一氏,岸大弼氏
他多くの方にお世話になりました。