全国一般福岡地方本部ニュース 発行日 2015年5月27日 夏季闘争方針 闘争体制を継続・強化し、夏季闘争の前進を! Ⅰ.一時金年間6ヵ月以上、夏季一時金3ヵ月以上また は75万円以上の獲得 (2)要求基準と闘いの日程 要求基準と闘いの日程 夏季一時金の要求基準と闘争戦術日程は次の通りとする。 夏季一時金要求 統 一 要 求 日 統一回答指定日 支給日 闘いのヤマ場 3カ月以上 (業種別部会は前年同額75万円) 6月17日(水)まで 6月26日(金)まで 7月10日(遅くても月末) 6月中・下旬にかけて支部単位で設定 (1) 夏季一時金闘争で生活向上・格差是正をはかる年収の確保を かちとろう! 2015春闘は、マスコミが「過去最高」と表現しているが、あく までも2002年以降との比較であり、連合の平均ベア(昨年と同一 職場での比較・873組合)は0.75%(2,294円)で、物価上昇分を 1.主要製造業の主な産別構成組織の回答状況 大きく下回っている。今回のベア水準では物価上昇分さえもクリ アできず、2014年の物価上昇率は2.9%と予測されるなかで、実質 (年間一時金・加重平均) 賃金はマイナス傾向がつづいている。 ≪月数集計≫ (2015回答) (昨年実績) 4月16日に公表した2015春闘の連合集計では、平均賃金方式で、 ●連合全体 4.97ヵ月 5.19ヵ月 2,587組合(昨年同時期2,510組合)が回答を引き出し、回答額は ●UAゼンセン 4.02ヵ月 4.13ヵ月 加重平均で6,670円、2.24%(昨年同時期より289円、0.07%増) ●自動車総連 5.55ヵ月 5.35ヵ月 であり、300人未満の中小においても、1,688組合(昨年同時期よ ●電機連合 5.27ヵ月 5.35ヵ月 り65組合増)が回答を引き出し、回答額も4,928円、2.01%(昨年 ●J A M 4.88ヵ月 4.86ヵ月 同時期より277円、0.10%増)となるなど、賃金引き上げは進んで ●基幹労連 5.48ヵ月 5.14ヵ月 いる。 一定の奮闘はありつつも、業種・地域によっては昨年よりも厳 ≪額 集 計≫ (2015回答) (昨年実績) しい職場も散見される。中小企業においては、多くが定昇制度は ●連合全体 1,609,746円 1,636,441円 なく、回答を引き出した職場でも大手に比べて低い賃金の伸びで ●UAゼンセン 1,368,657円 1,277,581円 あり、結果として大手と中小の格差は拡大し、加えて物価上昇や ●自動車総連 1,818,130円 1,999,459円 社会保障の切り下げ等によって全体として実質賃金は減少傾向が ●電機連合 1,618,072円 1,600,450円 つづいている。 ●J A M 1,519,730円 1,471,535円 一方、公務職場においては「給与制度の総合的な見直し」と称 ●基幹労連 1,619,353円 1,514,757円 する賃金水準の引き下げを国が各自治体に強制などしてきている。 これに対し、公務部隊の仲間は粘り強い交渉を展開するなかで、 (夏冬型の夏分一時金・加重平均) 見直しの実施見送りを含め6割以上の単組で国と同様の措置とな ≪月数集計≫ (2015回答) (昨年実績) ることを阻止させるなど奮闘してきている。こうした動きは単に ●連合全体 2.37ヵ月 2.47ヵ月 公務員の人件費削減にとどまらず、地域に働く労働者の賃金や労 ●UAゼンセン 2.33ヵ月 1.71ヵ月 働条件にも波及していくこととなり、地域経済に及ぼす影響は大 ●自動車総連 2.70ヵ月 2.62ヵ月 きい。 ●電機連合 2.92ヵ月 2.11ヵ月 したがって、全国一般は民間と公務とが一体となった地域労働 ●J A M 2.40ヵ月 2.37ヵ月 運動強化によって2015春闘、夏季一時金闘争を粘り強く闘ってい ●基幹労連 2.73ヵ月 2.55ヵ月 く。 ≪額 集 計≫ ●連合全体 ●UAゼンセン ●自動車総連 ●電機連合 ●J A M ●基幹労連 (2015回答) 770,085円 795,241円 886,765円 843,020円 737,569円 806,780円 (昨年実績) 723,800円 496.762円 902,911円 613,404円 709,241円 750,736円 Ⅱ.情勢の特徴と一時金闘争の対応 1.2015春闘と結合し夏季闘争の前進をはかろう (1)2015春闘は、大手を中心に現行要求方式となった2002年以降で は過去最高のベースアップの実施が相次ぎ、年間一時金も昨年を 上回る前進回答が相次いだ。 しかしながら、厚生労働省が4月3日発表した2月の毎月勤労 統計調査(速報)によると、物価の変動を考慮した実質賃金は前 年比2.0%減と22ヵ月連続で減少しており、行き過ぎた円安政策に よる原材料費の高騰などによる物価上昇、昨年4月からの消費税 増税により国民の多くは“景気回復”とはほど遠い現状にもある。 こうしたなか、安倍政権は昨年に引き続き政労使会議の場にお いて異例の賃上げを要請し、国民の期待を寄せつけながら、その 一方でアベノミクスの3本目の矢となる成長戦略の柱の1つであ る雇用労働の規制緩和を推し進め、低賃金・不安定雇用労働者を さらに増大させようとしている。 その一つとして、派遣労働者の受け入れ期間の制限を実質的に 撤廃し、「生涯ハケン」の労働者を拡大させる労働者派遣法の 「改正」案と、「成果報酬制」をうたい文句に新たな労働時間制 度を導入する「高度プロフェッショナル労働制」及び裁量労働制 を拡大させることで、いくら残業しても残業代は支払われず、長 時間労働をさらに助長させる労働基準法「改正」案を第189回通常 国会で成立させようとしている。 また政府は、規制改革会議での、裁判で解雇無効判決が出され た労働者に対し、職場復帰ではなく金銭の支払いで決着させる 「解決金制度」を導入すべきとの提言まとめを踏まえ、その具体 化を進めてきている。 全国一般は、これらの労働者保護ルールの改悪の動きに強く反 対し、撤回を求め、連合に結集し、職場・地域で奮闘していく。 (2)全国一般や他の中小産別の2015春闘集計結果に見られるように、 総体として厳しい現状にありつつも、昨年を上回る回答額を引き 出す職場もあるなど、引き続き粘り強い交渉、取り組みが求めら れている。今後は未解決職場での早期解決にむけて、賃金カーブ 維持分(4,500円)を確保し、格差是正・生活向上につながる賃金 引き上げと処遇改善をはかる取り組みを強化していく。 また、一方的な賃下げ、ゼロ回答や昨年実績を下回る職場に対 しては、スト配置を背景に全組合員参加による抗議行動・職場集 会、腕章・ワッペン闘争、組合旗掲揚、時間外拒否、労働委員会 の活用など、具体的な行動配置を行い、早期回答引き出しをはか っていく。 (3)リーマンショックに端を発した世界不況の後、2009年には業績 悪化を理由として多くの産業で一時金が大幅に減少し、組合員の 生活にも大きな影響を与えてきた。その後も、企業業績が景気の 波や為替、円安による原料高で変動するなか、一時金を業績と連 動した調整弁として考える動きが一層強められてきた。その考え はいまでも経営側には根強く存在する。一時金は賃金の後払いで あり、生活給そのものであり、業績に連動して減額することなど 許されるものではない。 さらに2015春闘での交渉でも「賃金改善は、ベアだけでなく一 時金や手当で」と主張する企業も多くある。 連合集計による2015春闘の一時金の回答状況は、輸出依存によ る円安効果や公共事業の拡大などによって大手組合では年間で満 額回答を引き出す一方で、中小企業の改善、波及には至っておら ず、大手との格差はより拡大している現状にある。個人消費の6 割を占める労働者、とりわけ中小企業労働者と非正規雇用労働者 の賃金改善なくして職場も経済の改善もはかれない。 したがって、全国一般は2015春闘の未解決対策と合わせて、夏 季一時金闘争においては、安心して生活できる年収の確保、労働 条件の維持・向上、格差是正をはかる立場から全組合員参加のも とで闘い抜いていく。 悪反対の諸行動に積極的に参加し、断固反対、撤回させていくため に奮闘していく。 ⑶ また、安倍政権は憲法違反の「集団的自衛権」行使容認を実体 化させるため、18本にものぼる個別法「改正」案を、今通常国会に 提出した。この法案は戦争法案、そのものである。国民の十分な また沖縄辺野古への米軍基地建設は、「戦争のできる国」をます ます強めるものであり、不屈に闘う沖縄の労働者、住民との連帯を 強化しながら、反対の闘いを全国各地でつくらなければならない。 さらには、憲法議論を進めることは立憲主義の観点から到底認める ものではない。 したがって、全国一般は平和と民主主義を守るため、自治労とと もに、平和フォーラムや1000人委員会など、各地で開催する集会や 学習会に積極的に参加し、大衆闘争を力にした取り組みを進めてい く。 Ⅲ.夏季闘争を統一闘争として取り組もう 1.組織拡大・強化の取り組み 組織拡大の取り組みについては、通年の全国一般ホームページや メールを活用した労働相談活動に加え、春闘の一環として2月21日 (土)~23日(月)に全国一斉労働相談活動を実施してきた。 福岡地本は、組織拡大では、現有組織人員の5%以上の組織拡 大を目標とし、労働相談・組織拡大の統一チラシを作成し、ホー ムページの開設・更新など広報活動を強化するなど運動を展開し てきた。具体的な組織拡大の取り組みは、北九州支部で50,000 枚、他の支部は6,000枚の労働相談チラシ配布行動を展開し、93 名の組織拡大につながっています。 また一昨年4月に発足した「NPO法人労働相談センター・雇用 アクション福岡」は、現在350名の会員が結集し、地域での未組 織労働者の相談に応える体制を確立している。 今後も、労働相談・組織化ビラを使った街宣、住宅への一斉配布 や、テレビ、ラジオ、新聞などマスコミを活用した取り組みなどを 進め、組織拡大の取り組みにつなげて行くこととする。 2.政治をめぐる情勢と地域共闘について ⑴ 4月に実施された第18回統一自治体選挙は、中小で働く労働 者にとっても安倍政権の労働法制改悪への闘いとして極めて重要 な闘いであった。福岡地本としては、福岡県議会議員選挙(田川 郡選挙区)に「藤中寛之」(自治労一般推薦)、大牟田市議会議 員選挙に地本副委員長の「阿具根真哉」(自治労協力候補)、大 野城市議会議員選挙に「清水純子」(自治労一般推薦)、直方市 議会議員選挙に「澄田和昭」(自治労一般推薦)、みやこ町議会 議員選挙に「中尾文俊」(自治労一般推薦)の全国一般組織内候 補を中心に自治労推薦候補の全員当選に向け、選挙戦を闘ってき 2.争議組合支援 た。結果、「清水純子」「澄田和昭」「中尾文俊」の現職3名は 残業代を支払わない違法な長時間労働や暴言を浴びせるといった 厳しい闘いの中ではあったが議席を確保することが出来た。しか パワーハラスメントが恒常的に行われ若者を使い捨てるような「ブ し、大牟田市議選新人「阿具根真哉」は、わずか49票差で惜敗、 ラック企業」の実態に加え、中小・零細企業においては、円安に伴 同じく新人の「藤中寛之」も立候補表明から短期間の闘いで知名 う原材料費の高止まりや内需低迷の影響などにより、厳しい経営状 度を広げることが出来ず、惜敗となった。引き続き、安倍の憲法 況が続いている。そうしたなかで、職場では「何でもありの攻撃」 改悪阻止に向け、来参議院選挙での江崎再選に向け、政治活動を が吹き荒れている。 前進させなければならない。 福岡地本は、解雇・合理化による争議については、不当解雇で筑 ⑵ 労働法制の改悪に反対し、連合は統一行動を展開することとし 豊支部のサクラ物流分会、ショウエイ分会、北九州支部のホテ ており、街宣行動や国会前の座り込み集会や院内集会、各地方にお ルニュータガワ分会、太郎運輸分会、再雇用拒否では北九州支 いてもキャラバン隊を編成し、都道府県内での街宣活動など大衆行 部の岡野バルブ分会製造分会、九州惣菜分会、希望ヶ丘高校分 動を行うこととしている。 会、残業代未払いでは筑豊支部サクラ物流分会、ショウエイ分 全国一般は、職場闘争に加え、連合・自治労の取り組む労働法制改 会、北九州支部のオク分会、ドンキホーテ分会など13分会で 裁判や労働審判、労働委員会闘争が行われている。 それぞれ組合員に優位な判決や命令も出ており、争議分会の要 請を踏まえて、抗議打電や署名活動、物販・カンパ活動など、あ らゆる支援活動を積極的に取り組むなどし、争議支援を強化して いく。 北九州市に公契約条例を 230名が結集し学習会を開催! 5月23日14時より、北九州市小倉北区で「安全で豊かな公共サービ スを、北九州市に公契約条例を」と題した講演会が230名の参加者で 盛大に開催された。まず、直方市公契約審議会会長の服部弁護士よ り主催者を代表して挨拶があり、引き続き、多摩市公契約審議会会 長で弁護士の古川景一さんより2時間にわたって、いかに公契約条例 が必要なのか熱く語られた。 アメリカでは、1931年からディビス・ベーコン法として、公共工 事予算の労務費部分のピンハネを禁止し、末端労働者に予算組みさ れた労務費が行きわたる仕組みが出来上がっていること、フランス でも公共工事の入札書に労働条項を挿入することを定め、低賃金を 背景としたダンピン受注を排除している公契約条例が1888年から既 に取り組まれていることなど、海外の事例が報告され日本の取り組 みが遅れていることがわかった。多摩市の公契約条例としては、労 務報酬下限額として、公共工事設計労務単価の9割を設定しているこ と、条例導入後は平均落札率が90.6%から95.0%に改善し経営側にも 大きなメリットがあったことなど、地域の経済、雇用にとって公契 約条例の必要性がよく分かる講演であった。集会では、多くの参加 者より活発な質問・意見も出された。 公契約条例を県下各地の地方自治体に制定させるため共に頑張ろう。
© Copyright 2024 ExpyDoc