4 浮遊粒子状物質調査(ローボリウムエア

4 浮遊粒子状物質調査(ローボリウムエアサンプラー法)
粒径が10μm以下の粉じん(以下「浮遊粒子状物質」という)については、人体に対する影響があるとされており、県
では昭和49年度からローボリウムエアサンプラー法により、実態調査を継続して実施している。
4-1 概要
千葉県3地点及び千葉市、船橋市、松戸市、柏市各1地点の合計7地点で行った浮遊粒子状物質調査の結果を取り
まとめた。調査結果の概要は表4-1に示したとおりであり、各調査地点の年平均値は17.3μg/m3で25年度とほぼ同じで
あった。年平均値の最高濃度は22.1μg/m3、最低濃度9.9μg/m3であった。
4-2 調査方法
(1) 調査地点 表4-1に示す7地点(政令市実施分4地点を含む。)
(2) 調査期間 平成25年4月~平成26年3月(通年各月調査)
(3) 調査方法
①浮遊粒子状物質 ローボリウムエアサンプラーにより捕集後、重量測定。
②金属成分分析 捕集された浮遊粒子状物質について、金属成分10項目(アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、クロム
(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、鉛(Pb))をICP-AES、あるいはICP-MS
で分析。
4-3 調査結果
(1)浮遊粒子状物質
平成26年度の各調査地点における浮遊粒子状物質濃度の年平均値は、表4-1に示した。各調査地点の年平均値
は17.3μg/m3で、年平均値の最高濃度地点は船橋市湊の22.1μg/m3、最低濃度地点は松戸市根本の9.9μg/m3で
あった。経月変化は、図4-1に示すとおりで、地点によって傾向は異なり、一定の傾向は見られない。
全調査地点の年平均値の推移は、図4-2に示すとおりで、昭和53年度から58年度にかけて大きく減少したが、その後
平成8年度ごろまでは概ね横ばいで推移した。平成8年度以降は緩やかな減少傾向を 示し、近年は20μg/m3以下で推
移している。
(2)金属成分
浮遊粒子状物質中の金属成分の年平均値は、表4-1に示すとおりである。図4-3に各地点における金属成分の割
合を示した。松戸根本はアルミニウム、鉄の割合が高く、両者で93.3%を占めた。君津市はアルミニウムの割合が他
地点と比べ低く、鉄の割合が61.4%と高くなっていた。また、千葉市と館山市の成分割合が類似していた。
(μg/m3)
表4-1 浮遊粒子状物質調査結果
調査地 浮遊粒子
NO. 市名
点
状物質
1 千葉市 幸町
18.3
2 船橋市 湊
22.1
3 館山市 北条
17.9
4 松戸市 根本
9.9
5 柏市
柏
17.1
6 君津市 久保
14.8
7 富津市 下飯野
21.0
平均値
17.3
0.48
0.21
0.19
0.18
0.17
0.15
0.34
0.25
V
0.012
0.007
0.006
0.002
0.003
0.006
0.010
0.007
湊
Cr
0.0096
0.0013
0.0012
0.0005
0.0015
0.0017
0.0018
0.0025
北条
Mn
0.015
0.019
0.008
0.007
0.014
0.011
0.024
0.014
根本
Fe
0.622
0.406
0.243
0.304
0.355
0.357
0.709
0.428
柏
Ni
0.0036
0.0028
0.0017
0.0016
0.0022
0.0034
0.0025
Cu
0.0068
0.0092
0.0039
0.0066
0.0151
0.0086
0.0053
0.0079
久保
Zn
0.046
0.082
0.022
0.017
0.049
0.033
0.049
0.043
Cd
0.0003
0.0002
0.0002
0.0002
0.0002
下飯野
図4-1 浮遊粒子状物濃度の経月変化
69
3月
2月
1月
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
35
30
25
20
15
10
5
0
4月
μg/m3
幸町
Al
Pb
0.017
0.011
0.007
0.009
0.006
0.011
0.010
50
40
30
20
10
0
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
元
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
浮遊粒子状物質濃度 (μ g/m3 )
60
年度
図4-2 浮遊粒子状物質濃度年平均値の推移
Zn, 0.017 , 松戸市
3.2%
Cu, 0.0066 ,
1.3%
Cu, 0.0151 ,
2.4%
Zn, 0.049 ,
7.9%
Ni, 0.0016 ,
0.3%
Al, 0.18 ,
35.0%
Ni, 0.0028 ,
0.4%
V, 0.003 ,
0.5%
Fe, 0.355 ,
57.4%
Cr, 0.0005 ,
Mn,0.1%
0.007 ,
1.4%
Cu, 0.0092 ,
1.2%
Pb, 0.009 ,
1.4%
Al, 0.17 ,
27.6%
V, 0.002 ,
0.3%
Fe, 0.304 ,
58.7%
Zn, 0.082 , 船橋市
11.0%
柏市
Cr, 0.0015 ,
0.2%
Mn, 0.014 ,
2.2%
Pb, 0.011 ,
1.5%
Al, 0.21 ,
27.9%
V, 0.007 ,
0.9%
Fe, 0.406 ,
54.4%
Cr, 0.0013 ,
0.2%
Mn, 0.019 ,
2.6%
Zn, 0.046 ,
Cu, 0.0068 ,
3.8%
0.6%
Ni, 0.0036 ,
0.3%
千葉市 Cd, 0.0003 ,
0.0%
Pb, 0.017 ,
1.4%
Al, 0.48 ,
39.4%
Fe, 0.622 ,
51.4%
V, 0.012 ,
1.0%
Mn, 0.015 ,
1.3%
Cu, 0.0086 ,
1.5%
Zn, 0.033 , 君津市
5.7%
Ni, 0.0022 ,
0.4%
Cr,
0.0096 ,
0.8%
Cd, 0.0002 ,
0.0%
Pb, 0.006 ,
1.0%
Al, 0.15 ,
26.7%
Fe, 0.357 ,
61.4%
V, 0.006 ,
1.1%
Cr, 0.0017 ,
0.3%
円グラフの表記は、
物質名、濃度(μ g/m3)、%
Mn, 0.0112 ,
1.9%
Cu, 0.0053 ,
0.5%
Zn, 0.049 , 富津市
4.2%
Cu, 0.0039 ,
0.8%
Cd, 0.0002 ,
0.0%
Pb, 0.011 ,
0.9%
Ni, 0.0034 ,
0.3%
Al, 0.34 ,
29.7%
Fe, 0.709 ,
61.3%
Zn, 0.022 , 館山市
4.6%
Ni, 0.0017 ,
0.4%
Cd, 0.0002 ,
0.0%
Pb, 0.007 ,
1.4%
Al, 0.19 ,
39.3%
V, 0.010 ,
0.9%
Fe, 0.243 ,
50.2%
Cr, 0.0018 ,
0.2%
V, 0.006 ,
1.3%
Mn, 0.008 ,
1.7%
Mn, 0.024 ,
2.1%
図4-3 浮遊粒子状物金属成分分析結果
70
Cr, 0.0012 ,
0.2%