人手が不足している小企業の約4割が売上機会を逸失

2 0 1 6 年 3 月 1 0 日
株式会社日本政策金融公庫
総
合
研
究
所
人手が不足している小企業の約4割が売上機会を逸失
小企業の人手不足の影響と対応に関する調査結果
(全国中小企業動向調査(小企業編)2015年10-12月期特別調査)
○ 現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は、小企業では32.6%、中小企業では45.4%となった。
○ 人手不足の影響についてみると、小企業、中小企業ともに、「売上機会を逸失」が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加
し、利益が減少」となっている。
○ 人手不足への対応についてみると、小企業では、「従業員の多能工化(複数業務兼務)」が最も高く、次いで「業務の一部を外注化」と
なっている。中小企業と比べると、「残業を増加」や「設備導入による省力化」の回答割合が低い。
<お問い合わせ先>
日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第二グループ
Tel:03-3270-1691(担当:桑本、清野)
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-4 大手町フィナンシャルシティ ノースタワー
[調査の実施要領]
調
査
時
点
2015年12月中旬
調
査
対
象
当公庫取引先 10,000 企業
数
6,145 企業 [回答率 61.5 %]
有
効
回
答
< 業 種 構 成 >
調 査 対 象
有効回答数
製
造
業
(従業者20人未満)
1,500 企業
992 企業
(構成比 16.1 %)
卸
売
業
( 同 10人未満)
800 企業
505 企業
( 同 小
売
業
( 同 10人未満)
2,450 企業
1,491 企業
( 同 24.3 %)
飲食店・宿泊業
( 同 10人未満)
1,800 企業
1,014 企業
( 同 16.5 %)
サ ー ビ ス 業
( 同 20人未満)
2,000 企業
1,233 企業
( 同 20.1 %)
情 報 通 信 業
( 同 20人未満)
160 企業
88 企業
建
設
業
( 同 20人未満)
1,100 企業
696 企業
( 同 11.3 %)
運
輸
業
( 同 20人未満)
190 企業
126 企業
( 同 ( 同 8.2 %)
1.4 %)
2.1 %)
※中小企業(原則従業員数20人以上)については、「中小企業の雇用・賃金に関する調査結果」(2016年2月29日)より抜粋。
1.人手不足の影響と対応(中小企業との比較)
○ 現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した割合は、小企業では32.6%、中小企業では45.4%となった。
○ 人手不足の影響についてみると、小企業、中小企業ともに、「売上機会を逸失」が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益
が減少」となっている。
○ 人手不足への対応についてみると、小企業では、「従業員の多能工化(複数業務兼務)」が最も高く、次いで「業務の一部を外注化」となってい
る。中小企業と比べると「残業を増加」や「設備導入による省力化」の回答割合が低い。
図-1 従業員過不足
図-2 人手不足の影響
(単位:%)
不足
小企業
(n=5,738)
32.6
適正
60
過剰
50
8.8
40
58.6
(%)
小企業
(n=1,820)
➋28.0
➀40.7
➊36.0
30
45.4
45.1
9.5
➁15.5
10
中小企業
(n=1,630)
25.4
15.8
➌15.0
➂10.5
1.2
0.3
6.74.9
コ残
業
転ス
売嫁ト代
増
上し
、
がた加外
減こ分注
少とを費
で価等
格の
そ
の
他
0
売
上
機
会
を
逸
失
(注)1 現在の従業員数が最近の営業状況と比べて
どうかを尋ねたもの。
(%)
小企業
➀53.5
(n=1,715)
➊44.1
➋42.0
50
中小企業
➁40.0
➂34.3
(n=1,627)
40
➌34.7
24.3
30
19.9
20
11.6
9.5
10
60
20
中小企業
(n=3,208)
図-3 人手不足への対応
2 中小企業は正社員について尋ねたもの。
残
コ業
ス
利ト代
益が、
が増外
減加注
少し費
、等
の
納
遅期
延の
の長
発期
生化
、
(
特
に
な
し
)
4.9
0
従
(
複業
数員
業の
務多
兼能
務工
)化
小企業はパート・アルバイト、派遣社員な
どを含めて尋ねたもの。
9.9
業
外務
注の
一
化部
を
残
業
を
増
加
業
に務
よプ
るロ
効セ
率ス
化改
善
設
備
省導
力入
化に
よ
る
そ
の
他
(注)1 小企業は、従業員について「不足」と回答した企業に尋ねたも
(注)1 複数回答(最大二つまで)のため、合計は100%を超える。
3 中小企業は原則従業員20人以上、小企業は
の。中小企業は、正社員もしくは非正社員が「不足」と回答し
2 丸囲みの数字は、回答割合の順位(上位3項目)。
原則従業者数20人未満。
た企業に対して質問したもの(図-3も同じ)。
2 小企業の回答割合が多い順に並べている(図-3も同じ)。
3 丸囲みの数字は、「特になし」を除いた回答割合の順位(上位
3項目)。
(参考)業種別人手不足の影響(「特になし」を除いた上位3項目)
(1)小企業
(2)中小企業
①製造業
(参考)業種別人手不足への対応(上位3項目)
(1)小企業
①製造業
(2)中小企業
①製造業
①製造業
売上機会を逸失
納期の長期化、遅延の発生
コストが増加し、利益が減少
26.9%
23.0%
21.2%
コストが増加し、利益が減少
納期の長期化、遅延の発生
売上機会を逸失
36.3%
24.5%
21.1%
業務の一部を外注化
従業員の多能工化(兼務)
残業を増加
51.6%
49.8%
46.9%
残業を増加
従業員の多能工化(兼務)
業務の一部を外注化
54.3%
42.3%
29.1%
②非製造業
売上機会を逸失
コストが増加し、利益が減少
納期の長期化、遅延の発生
43.2%
14.4%
8.2%
②非製造業
売上機会を逸失
コストが増加し、利益が減少
納期の長期化、遅延の発生
46.5%
22.2%
8.3%
②非製造業
従業員の多能工化(兼務)
業務の一部を外注化
残業を増加
54.2%
37.8%
31.8%
②非製造業
従業員の多能工化(兼務)
業務の一部を外注化
残業を増加
45.4%
38.7%
33.3%
- 1 -
2.小企業の従業員の属性
○ 従業員に占める女性の割合は、44.1%となっている。また、高齢者(65歳以上)は14.7%、若者(35歳未満)は22.1%を占めている。
○ 定年制度を導入している企業の割合は、25.1%となっている。従業員規模が小さいほど、定年制度を導入している割合は低い。
図-4 小企業の従業員に占める女性・高齢者・若者の割合
(参考)企業規模別の比較
(1)従業員に占める女性の割合
60
(%)
50
80
67.1
64.8
60
小企業
35.9 中小企業
24.2 大企業
21.3
50
30
40
22.1
30
14.7
20
20
10
10
0
女性
高齢者
(65歳以上)
0
若者
(35歳未満)
正社員
図-5 定年制度を導入している小企業の割合
40 (%)
70
非正社員
(2)従業員に占める高齢者と若者の割合
(%)
32.7 33.8
27.6
30
62.5
60
中小企業
小企業
20
50
10
37.6
40
33.4
28.1
27.2
14.112.2 大企業
7.7
5.5
1.8 0.4
0
25.1
65歳以上
20
10
68.8
70
44.1
40
30
(%)
35歳未満
正社員
10.2
0
65歳以上
35歳未満
非正社員
資料:総務省「平成24年就業構造基本調査」
1~4人
5~9人 10人以上
<うち従業員規模別>
(注)大企業は従業員規模300人以上、中小企業は20人以上300人未満、
小企業は20人未満として算出したもの。
- 2 -
○
○
○
○
従業員に占める女性の割合は、非耐久消費財小売業や個人向けサービス業などでは高く、運輸業では低くなっている。
従業員に占める高齢者の割合は、道路旅客運送業では高く、情報通信業や道路貨物運送業などでは低くなっている。
従業員に占める若者の割合は、情報通信業や飲食店・宿泊業では高く、道路旅客運送業では低くなっている。
定年制度を導入している企業の割合は、道路貨物運送業や情報通信業では高く、飲食店・宿泊業や個人向けサービス業では低くなってい
(参考)業種別にみた小企業の従業員の属性
(単位:%)
小企業の従業員に占める割合
高齢者
若者
女性
(65歳以上)
(35歳未満)
全業種計
製造業
金属・機械製造業
その他の製造業
非製造業
卸売業
繊・衣・食卸売業
機械・建材卸売業
小売業
耐久消費財小売業
非耐久消費財小売業
飲食店・宿泊業
サービス業
事業所向けサービス業
個人向けサービス業
情報通信業
建設業
運輸業
道路貨物運送
道路旅客運送
44.1
38.0
24.3
47.2
45.5
37.3
44.0
27.8
59.9
32.8
62.6
58.7
46.4
25.4
61.5
27.5
18.0
9.6
8.9
12.9
14.7
14.7
12.7
16.1
14.7
15.0
16.1
13.6
15.1
19.1
14.7
15.2
15.9
20.5
12.7
2.8
14.0
14.5
8.2
41.6
定年制度を
導入している
小企業の割合
22.1
17.6
21.7
14.8
23.1
17.4
18.5
15.7
22.8
21.0
23.0
31.4
21.2
15.4
25.4
33.6
19.4
14.0
16.4
3.9
25.1
39.4
47.1
34.6
22.3
34.6
28.5
42.0
18.5
25.6
17.3
8.9
22.2
41.7
15.7
51.1
32.6
47.6
52.1
38.2
(注)網掛けは、全業種計よりも割合が高い業種。
- 3 -
(1)従業員に占める女性の割合
上位業種
下位業種
①非耐久消費財小売
①道路貨物運送業
②個人向けサービス業
②道路旅客運送業
③飲食店・宿泊業
③建設業
(2)従業員に占める高齢者の割合
上位業種
下位業種
①道路旅客運送業
①情報通信業
②事業所向けサービス業
②道路貨物運送業
③耐久消費財小売業
③金属・機械製造業/個人向けサービス業
(3)従業員に占める若者の割合
上位業種
下位業種
①情報通信業
①道路旅客運送業
②飲食店・宿泊業
②その他の製造業
③個人向けサービス業
③事業所向けサービス業
(4)定年制度を導入している企業割合
上位業種
下位業種
①道路貨物運送業
①飲食店・宿泊業
②情報通信業
②個人向けサービス業
③金属・機械製造業
③非耐久消費財小売業