太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度 及び蓄電池搭載邸

太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度
及び蓄電池搭載邸の運転実績調査(2015)について
~ゼロエネルギー住宅の普及強化、エネルギー自給自足型住宅を目指して~
■ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 59%、家電込みゼロエネルギー邸が前年比約 2 倍の 32%に
■「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)
」の終了後を見据えて、蓄電池搭載邸の運転実績も調査
2016 年 3 月 9 日
積水化学工業株式会社
積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)では、このほど太陽光発電
システム(以下、PV)とホームエネルギーマネジメントシステム(以下、HEMS)搭載住宅の
ゼロエネルギー達成度及び蓄電池の運転実績調査を実施しました。
今回は、2014 年 1 月~12 月の間にご入居済みセキスイハイムのうち、3,078 邸の 2015 年1月
~12 月の消費電力量・発電電力量・電力量収支について、設置されているコミュニケーション型
HEMS「スマートハイム・ナビ」のデータを活用し分析。結果として①家電込みゼロエネルギ
ー邸が 32%(前年度 17%)
、②ZEH相当邸が 27%(同 30%)に達していることが判明、PV
搭載邸の 59%(①、②の合計、同 47%)がゼロエネルギーを達成しました。また、FITの買い取
り期間の終了後を見据え、定置型大容量リチウムイオン蓄電池「e‐Pocket(イー・ポケット)
」
の搭載邸 1,368 邸における蓄電池の放電量の実績把握と、電力の自給自足を想定した運転の効果検証
も実施しました。
当社は 1997 年以降PVの搭載を積極的に進め、2003 年に光熱費ゼロハイム、2012 年には大容量
PV・蓄電池・HEMSの 3 点セットを標準搭載した「進・スマートハイム」を発売。2013 年に標準
的な規模の建物でもゼロエネルギー(家電込み)を実現できる「スマートパワーステーション」シリ
ーズ、2014 年には電気自動車と連携した「VtoHeim(ブイ トゥ ハイム)
」シリーズを投入するなど、
スマートハウス分野をリードしてきました。今後もさらなる先進技術の導入により、ゼロエネルギー
住宅の普及強化ならびにエネルギー自給自足型住宅の進化に取り組んでいきます。
調 査 結 果 の ポ イ ン ト
1.ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 59%、家電込み
ゼロエネルギー邸が前年比約 2 倍の 32%に
①「家電込みゼロエネルギー邸」が 32%(前年度
17%)
、②「ZEH相当邸」27%(同 30%)となり、
この結果、PV搭載邸の 59%(①、②の合計、同 47%)
がゼロエネルギーを達成しました。
2.家電込みゼロエネルギー邸の年間光熱費収支は約 17 万 8,500 円のプラス
電力量収支は「家電込みゼロエネルギー邸」でマイナス 2.896 ㎾h/年(前年度 1,312 ㎾h/
年)
、
「ZEH相当以上邸」でマイナス 276 ㎾h/年(同プラス 1,042 ㎾h/年)となりました。年間
光熱費収支では、
「家電込みゼロエネルギー邸」でプラス 17 万 8,530 円(同プラス 11 万 9,676 円)
、
「ZEH相当以上邸」はプラス 8 万 9,061 円(同プラス 5 万 2,551 円)となりました。
1
■今回の調査の背景と狙いについて
2015 年 12 月に「ZEHロードマップ検討委員会」により、国のZEHの定義が明確化され
ました。定義としては「運用時ではなく設計時で評価する」とされ、また、ZEHの判断基
準の条件となる基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量の対象は「暖冷房、
換気、給湯、照明とする」
(=家電消費量は含まない)等となっています。
当社では 2010 年より「PV搭載住宅の電力量収支実邸調査」を実施してきました。これは
PVの運用実績によりその貢献度合いを推し量るものですが、今回明確化された国のZEH
の判断基準の定義とは異なる部分があります。異なる部分とは「運用時の評価」と「家電も
含めたエネルギー収支」(=家電込みのエネルギー収支)ですが、「運用時の評価」には「家
電込みのエネルギー収支」が不可欠のため、今回の当社調査では、国のZEH判断基準の定
義に準拠した評価と、当社独自の「家電込みエネルギー収支(運用時)
」による評価を加えて
実施しました。具体的には「家電込みゼロエネルギー」
、
「ZEH相当」
、
「Nearly ZE
H相当」
、
「非ZEH」の4つの区分でゼロエネルギー達成度を評価しています(下表参照)。
また、2014 年に蓄電池搭載実邸の調査有効母数が年間 1,000 棟を超える規模になりました
ので、今回はそれら実邸の蓄電池運転実績に関する調査結果を初めて報告。昨年までの「P
V搭載住宅の電力量収支実邸調査」を改め、「太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度
及び蓄電池搭載邸の運転実績調査(2015)」としました。
■調査概要
1.太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査(2015)
調査目的:PV搭載住宅の消費電力量、発電電力量、電力量収支の把握
調査対象:セキスイハイムでHEMS設置のオール電化※1&PV搭載邸(2014 年 1 月~12 月の間
に入居)に対して、2015 年 1 月~12 月の消費電力量、発電電力量などを調査
調査地域:全国(有効母数 3,078 邸)
調査手法:HEMSサーバー内のデータを当社で分析
※1 オール電化の定義:調理・給湯・暖房に電気以外(灯油、ガス等)を使わないユーザーで、HEMSにより
全消費電力量が計測されている邸
区分
基準
判定方法
①家電込み
当社独自の区分
発電電力量>家電・調理を含む総消費電力量
ゼロエネルギー
②ZEH相当
※2
国の ZEH 判定に使う計 ZEH達成度=発電量/(総消費電力-家電消費電力 )
算式を準用
が100%以上のものから①を除いたもの
③Nearly
ZEH達成度=発電量/(総消費電力-家電消費電力※2)
ZEH相当
が75%~99%のもの
④非ZEH
①②③に該当しないもの
※2 ZEH 相当、Nearly ZEH 相当とも、国の ZEH 判定に使う計算式を準用しています。また、今回の調査では
家電消費電力を分離して測定できていませんので、省エネルギー基準における家電消費電力相当
(120 ㎡以上の住宅で 2,173kWh/年)を使ってゼロエネルギー達成度を計算しています。
2.蓄電池搭載邸の運転実績調査(2015)
調査目的:①蓄電池搭載邸における放電量の実績把握
②将来の自給自足を想定した運転の効果を試算・検証
調査対象:上記1.のゼロエネルギー達成度調査該当邸の内、蓄電池を搭載している邸に対して
2015 年 1 月~12 月の放電電力量等を調査
調査地域:全国(有効母数 1,368 邸)
調査手法:HEMSサーバー内のデータを当社が分析
2
■調査結果の概要
1.太陽光発電システム搭載邸のゼロエネルギー達成度調査
(1)ZEH相当以上のゼロエネルギー邸が 59%、家電込みゼロエネルギー邸が前年比約2倍
の 32%に
①「家電込みゼロエネルギー邸」が 32%(前年度 17%)
、②「ZEH相当邸」27%(同 30%)
、
③「Nearly ZEH相当邸」20%(同 27%)
、④「非ZEH邸」21%(同 26%)となり、
この結果、PV搭載邸の 59%(①、②の合計、前年度 47%)がゼロエネルギーを達成しました。
(2)家電込みゼロエネルギー邸の年間光熱費収支は約 17 万 8,500 円のプラス
「ZEH相当以上邸」
(上記円グラフ①+②)は 1,826 邸で、家族数 の平均値は 3.4 人(前年と同じ)
、
中央値はPV搭載容量 5.94 ㎾、発電電力量 6,984 ㎾ h/年、消費電力量 6,708 ㎾ h/年となり、電力量収支
はマイナス 276 ㎾h/年でした。このうち、
「家電込みゼロエネルギー邸」
(同①)は978 邸で、家族数の平
均値は 3.4 人(前年は3.1 人)
、中央値はPV搭載容量 7.92 ㎾、発電電力量 9,073 ㎾ h/年、消費電力量6,177
㎾ h/年となり、電力量収支はマイナス 2,896 ㎾h/年でした。
光熱費に換算すると、
「ZEH相当以上邸」の中央値は、売電で電力量 5,363 ㎾ h/年、収入 19 万 8,431
円。また、買電で電力量 5,087 ㎾ h/年、支出 10 万 9,371 円となり、光熱費の収支はプラス 8 万 9,061 円と
なっていました。
「家電込みゼロエネルギー邸」の中央値は、売電で電力量 7,501 ㎾ h/年、収入 27 万 7,537
円。また、買電で電力量 4,605 ㎾ h/年、支出 9 万 9,008 円となり、光熱費の収支はプラス 17 万 8,530 円と
なっていました。
A:母集団
①~④合計
電力量収支
<中央値>
PV搭載容量
発電量
内自家消費量
消費電力量
電力収支
家族数<平均値>
売電電力量 買電電力量 売電単価 買電単価 C:家電込みゼロエネルギー
①
2015年
2014年
2013年
2015年
2014年
2013年
2015年
2014年
2013年
5.33
6210
1795
7887
1677
3.6
4.8
5877
1739
8123
2246
3.6
4.99
5999
1811
8850
2851
3.7
5.94
6984
1621
6708
-276
3.4
4.88
6078
1569
7120
1042
3.4
5.12
6297
1618
7563
1266
3.4
7.92
9073
1572
6177
-2896
3.4
5.51
6794
1276
5482
-1312
3.1
5.55
6986
1349
5733
-1253
3.1
A:母集団
①~④合計
料金収支
<中央値>
B:ZEH相当以上
①+②
B:ZEH相当以上
①+②
kW
kWh/年
kWh/年
kWh/年
kWh/年
人
C:家電込みゼロエネルギー
①
2015年
2014年
2013年
2015年
2014年
2013年
2015年
2014年
2013年
4415
6092
-37
21.5
4138
6384
-38
21.4
4188
7039
-42
20.3
5363
5087
-37
21.5
4509
5551
-38
21.4
4679
5945
-42
20.3
7501
4605
-37
21.5
5518
4206
-38
21.4
5637
4384
-42
20.3
kWh/年
kWh/年
円/kWh
円/kWh
売電金額
-163,355 -157,244 -175,896 -198,431 -171,342 -196,518 -277,537 -209,684 -236,754
円/年
買電金額
130,978
136,618
142,892
109,371
118,791
120,684
円/年
年間光熱費収支
-32,377
-20,626
-33,004
-89,061
-52,551
-75,835
3
99,008
90,008
88,995
-178,530 -119,676 -147,759
円/年
2.蓄電池搭載邸の運転実績調査~FIT終了後を見据えて蓄電池搭載邸の運用実績も調査
今回の調査では、蓄電池搭載邸の放電量の実績把握と将来の電力の自給自足を想定した運転の効
果検証のため、
「蓄電池搭載実邸の運転実績調査」も実施しました。当社の搭載している蓄電池は
グリーンモード(自立優先モード)
、経済モード(経済優先モード)
、非常運転モード(停電時モー
ド)の 3 つのモードで運転ができますが、今回は経済モードとグリーンモードの 2 つを対象に調査
しています(経済モードは実際の運転実績値を、グリーンモードは消費電力量、発電量の年間実績
に基づく試算値にて分析を行っています)
。
蓄電池の経済モード運転の場合、年間の放電量実績は中央値で 1,310 ㎾h/年、消費電力が多い
冬と夏に放電量が多くなっていました。深夜電力を充電し、PVが売電していない時間(通常は朝、
夜)に放電することになりますが、結果、放電時間帯が朝および夜に限定されることになります。
一方、グリーンモード運転の場合は夕方から翌朝までの長時間放電が可能となるため、経済モー
ドよりも放電量が増加し中央値が1,590 ㎾h/年と、
より蓄電池を活用できることが分かりました。
グリーンモード運転では系統に流出する電力を 24%抑制でき、さらに電力自給率も 42%(PV直
接 23%+蓄電池利用 19%)となり、PVから直接自家消費するのに比べ、自給率がほぼ倍増する
ことも分かりました。これらのことから、当社では、将来的にFITの買い取り期間が終了した際、
蓄電池搭載住宅の有効性が高まると考えており、蓄電池の搭載をさらに推進していきます。
蓄電池の放電量 (kWh/年)
経済モード運転(深夜電力充電)
グリーンモード運転(PVから充電)
中央値は 1,310 ㎾h/年
中央値は 1,590 ㎾h/年
この件に関するお問い合わせは下記までお願いします。
積水化学工業株式会社 〒105‐8450 東京都港区虎ノ門 2-3-17 虎ノ門 2 丁目タワー
■住宅カンパニー 商品開発部
塩 ℡:03‐5521‐0572
■住宅カンパニー 広報・渉外部 辻、岩本 ℡:03‐5521‐0584
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