印刷用PDFはこちら

www.monex.co.jp
2015/8/6
日本株 銘柄フォーカス
フィナンシャル・インテリジェンス部
個別銘柄
益嶋
裕
追い風吹く沖縄経済と関連銘柄サンエー(2659)
魅力あふれる沖縄県
本日のレポートでは訪日外国人の増加による恩恵はもちろん、人口の増加など様々な追い風が吹い
ている沖縄県と関連銘柄についてご紹介いたします。
まず沖縄経済に吹く追い風の 1 つ目は、観光客の増加です。エメラルドブルーの海と独特の文化
という観光資源を持つ沖縄には、観光客の来訪が加速しており、平成 26 年度は観光客総数・外国人
観光客数とも過去最高を更新しました(グラフ 1 参照)
。外国人観光客全体の増加ペースから考える
と、今年度も前年度を上回るペースで外国人観光客が沖縄を訪れているとみられます。観光客の増加
は沖縄県内の消費の増加という形で、沖縄経済にプラスに作用します。
グラフ1:過去最高を更新した沖縄県の観光客数
(万人)
(万人)
750
観光客総数(左軸)
外国人観光客数(右軸)
717 700
100
658 650
600
120
80
569 572 592 60
553 550
40
500
20
450
400
0
平成21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
(出所)沖縄県発表「入域観光客数統計概況」よりマネックス証券作成
沖縄経済に吹く追い風の 2 つ目は、人口減少が進む日本において数少ない人口増加県であるとい
うことです。総務省発表の人口推計によれば平成 25 年から 26 年にかけて人口が増加したのは全国
に 7 都道府県しかありません。その中で沖縄県は前年比 0.4%増と 0.68%増の東京都に次いで全国
で 2 番目に高い人口増加率となりました(グラフ 2 参照)
。
–1–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.
グラフ2:都道府県別の人口増加率(平成25年→26年)
(万人)
(万人)
1.0
0.68
0.5
0.4
0.23
0.19
0.17
0.08
0.03
0.0
東京都
沖縄県
埼玉県 神奈川県 愛知県
千葉県
福岡県
全国
秋田県
‐0.17
‐0.5
‐1.0
‐1.26
‐1.5
(出所)総務省統計局の発表よりマネックス証券作成
さらに、沖縄県は 40 歳以下の若年層が総人口に占める比率が、日本で 1 番高い県であり、今後
の経済成長にもプラスに働く可能性が高い魅力的な人口構成となっています(グラフ 3 参照)。
グラフ3:人口に占める0-39歳の割合の高い都道府県
48.0%
47.0%
46.7%
46.0%
45.0%
44.0%
43.1%
43.0%
43.0%
42.2%
42.0%
41.4%
40.9%
41.0%
40.8%
40.7%
40.0%
40.0%
39.0%
38.0%
沖縄県
滋賀県
愛知県
東京都 神奈川県 福岡県
埼玉県
宮城県
京都府
(出所)国立社会保障・人口問題研究所 の発表よりマネックス証券作成
消費の増加は既に現れている
これまで見てきたように、沖縄県には観光客の増加と人口増という追い風が吹いています。そし
てその追い風は既にある統計に結果が現れています。グラフ 4 に示したのは経済産業省が発表して
–2–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.
いる「商業動態統計調査」で都道府県別の小売販売金額の前年比の増加率を見たものです。平成 24
~26 年度の 3 年間の伸びを平均すると、沖縄県は 7.8%と全国で群を抜いた伸びを見せています。
この統計を見ると、沖縄の小売業には期待を寄せても良さそうです。
グラフ 4:小売販売金額の前年比増加率が上位の都道府県
(%)
9.0
8.0
7.8
7.0
6.0
4.9
5.0
4.0
4.0
2.6
3.0
1.9
2.0
0.8
1.0
0.0
沖縄
沖縄
福島
徳島
宮城
大阪
全国
(出所)経済産業省「商業動態統計調査」よりマネックス証券作成
沖縄小売業の覇者
サンエー(2659)
沖縄で小売業を展開している企業の代表がサンエー(2659)です。サンエーは沖縄県で地域密
着型ビジネスを手がける総合小売業で、食料品、日用雑貨、衣料品、大型家電、レストラン、ホテル、
コンビニエンスストアなど幅広く事業を展開しています。サンエーは、その名の通り「サンエー」と
いうスーパーマーケットを沖縄県内に数多く展開しているだけでなく、ローソン、良品計画、マツモ
トキヨシ、大阪王将、タリーズコーヒー、東急ハンズなどを沖縄県内で FC 展開しています。サンエ
ーは沖縄小売業の覇者とも呼べるような存在というわけです。サンエーの沖縄での存在感を示してい
るのが、以下の表です。
上場
◯
◯
◯
会社名
南西石油㈱
沖縄電力㈱
㈱サンエー
医療法人沖縄徳洲会
イオン琉球㈱
金秀商事㈱
㈱りゅうせき
沖縄セルラー電話㈱
㈱沖縄ファミリーマート
日本トランスオーシャン航空㈱
売上高
224,967
172,059
153,369
103,671
67,604
65,940
64,480
53,245
49,443
38,945
業種
石油精製
電気
スーパー
病院
スーパー
スーパー
石油類卸売
携帯電話サービス
コンビニエンスストア
航空輸送
(出所)サンエー平成27年2月期決算説明資料よりマネックス証券作成 売上高の単位は100万円
–3–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.
前年比
△5.4
8.3
5.8
4.3
3.5
△1.1
13.7
5.6
7.8
△2.0
表の通り、サンエーの売上は 1500 億円を超え沖縄県の企業の中で第 3 位、上場企業に限れば
沖縄電力に次いで第 2 位、小売業ではイオン琉球に大きく差をつけて首位となっています。上述し
たように沖縄県は観光客増と人口増で消費が増えやすい構図にあるとみられ、そして消費が増えた際
に恩恵を受けやすいのがサンエーというわけです。
長期にわたって好調なサンエーの業績
サンエーの過去 20 年間の売上と営業利益の推移をグラフにしてみました(グラフ 5)。1996
年 2 月期から 2015 年 2 月期までの 20 期で、売上高はすべての期で前期比増収を達成、営業利益
を 20 期中 18 期で増益達成と、業績の安定度はかなり高いと言えます。
グラフ5:サンエーの過去20期の売上と営業利益の推移
(百万円)
(百万円)
180,000
14,000
売上高(左軸)
160,000
営業利益(右軸)
12,000
140,000
10,000
120,000
100,000
8,000
80,000
6,000
60,000
4,000
40,000
2,000
20,000
0
0
1996/02 1999/02 2002/02 2005/02 2008/02 2011/02 2014/02
(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成
また、直近発表された平成 28 年第 1 四半期(3-5 月期)の決算も売上高が 422.9 億円で前年
同期比 5%増、営業利益が 35.8 億円で同 13.2%増と好調でした。会社予想では今期の売上高が
1675 億円(前期比 1.8%増)、営業利益が 129 億円(前期比 0.7%増)となっていますが、かな
り保守的な予想に見受けられます。
過去 5 期分のサンエーの売上高の 3 ヶ月ごとの偏りの平均を見ると、第 1 四半期から順に、
24.2%・26.3%・23.7%・25.8%、となります。今期の売上高が過去の平均と同様に偏ると仮定
して計算すると、第 2 四半期は 459.5 億円、第 3 四半期は 414.1 億円、第 4 四半期は 450.8 億
円となり、今期の売上高は 1747.5 億円(前期比 6.1%増)、会社予想から上振れを期待することが
–4–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.
できます。そして、過去 4 四半期の営業利益率の平均 7.95%から計算すると、今期の営業利益は
138.9 億円(前期比 7.4%増)とこちらも会社予想からの上振れを期待することができます。沖縄
県がおかれた好マクロ経済環境を背景に、サンエーの堅調な業績は継続するのではないかと見ていま
す。
<企業情報>
サンエー(2659)
株価(売買単位):6,220 円(100 株)
時価総額:約 1989 億円
予想 PER:24.9 倍
PBR:2.3 倍
ROE:9.4%
今期予想 1 株配当(会社予想):36 円
予想配当利回り(会社予想から計算):0.58%
自己資本比率:69.0%
(出所)8 月 6 日時点の QUICK データよりマネックス証券作成
<サンエーの株価推移>
(出所)マネックス証券ウェブサイト
–5–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.
利益相反に関する開示事項
マネックス証券株式会社は、契約に基づき、オリジナルレポートの提供を継続的に行うことに対する対価を
契約先証券会社より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありま
せん。レポート対象企業の選定はマネックス証券が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先証
券会社を含む第三者からの指定は一切受けておりません。レポート執筆者、並びにマネックス証券と本レ
ポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。
・当社は、本レポートの内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではご
ざいません。
・記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧
誘するものではございません。
・過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
・提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
・当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
・投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
・本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・
複製・配布することはできません。
マネックス証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第165号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
–6–
Copyright (C) 2015 Monex, Inc. All rights reserved.