平成27年度 第三種電気主任技術者(電験三種) 『理 論』の解答及び解説 中央工科デザイン専門学校 電験三種研究会 A問題(記号は問題文に従い、必要に応じて定義する) 問1.解答(2) 平行平板コンデンサの定番の公式として 𝜀S ①Q=CV、 ②C= d 、③V=Ed がある。Sは極板面積、εは誘電率であり、問題中では一定とする。 各選択肢の内(2)についてQを一定としてdを大きくすると、上①、②式より 𝜀S 𝜀S d d Q=CV= ×V= ×Ed=εSE となり、したがって E= Q 𝜀S となり、Qが一定のもとでは、ε、S共に題意より一定なのでdを変化させてもEは変 動しない。したがって(2)が誤り。 問2.解答(2) 平行平板コンデンサの公式より(前問の解説参照) 𝜀0 A (ア) ℓ また、前問①、②、③の式を組み合わせて (イ) Q 𝜀0 A 1 2 静電エネルギーの公式よりW= ×QV及び(イ)より 2 Q ℓ 2𝜀 0 A (ウ) 電極間には (エ)引力 が働く 問3.解答(1) 強磁性体の比透磁率は1よりも非常に大きい(ア) 。 B H 透磁率μ= で表されるので、グラフ原点から、曲線上の任意の点を結んだ直線の傾 きが透磁率になる。この内、透磁率が最大(直線の傾きが最大)となるのは曲線が飽和 する前の「肩」の部分なので、そこに直線を引き、傾きを求めると、おおよそ 1.5(T) μMAX= =7.5×10-3(イ) 2 2×10 (A⁄m) この時の比透磁率μrは上記値を真空の透磁率で割ればよいので μr≒6.0×103(ウ) (エ)は磁気飽和 問4.解答(5) 問題の回路図は以下のようになる。①より順に説明すると 60Ω 60Ω 60Ω ①60V ③15V ②1A ⑤5V 15 90V R1 ④ A 30V 15 ⑦1- 60 5 ⑥ R2 60 A 60 15V 15 5 60 60 ⑧ A - R3 10V A ①60Vは電源電圧90Vと抵抗R1の電圧30Vの差になるので 90V―30V=60Vとなる。また①60Vは抵抗60Ωに掛るので、流れる 電流はオームの法則よりI=V/R=60V/60Ω=1A、従って②1A。 以下、同様に③15V、④ 15 5 60 60 A、⑤5V、⑥ Aとなる。 15 次にR1に流れる電流は②から④を引いて⑦1- 60 A=0.75Aとなり、従っ て抵抗R1は R1=30V/0.75A=40Ω 以下、同様に⑧を求め抵抗値R2=90Ω、R3=120Ωとなる。 問5.解答(5) 一様磁界中を動く導体に発生する起電力Eは、磁束密度B、導体の長さℓ、導体の 移動速さuとすると E=Buℓ (但し、各成分は互いに直交成分とする) まず、初めに三角形の導体が一様磁界に途中まで入っている場合は 起電力の方向 B(T) 起電力に寄与する導体 e(t) の長さℓ 三角導体の速度u 上図の様になり、誘導電圧 e(t)は次の様になる。 (上図 2 つの赤い起電力の矢印と 黒の矢印で表された誘導電圧の向きが逆向きなので、値はマイナスとなる。) e(t)=-Buℓ となり、ℓは三角導体の移動に伴い、定速度なので時間に比例して値は(マイナス方 向へ)大きくなる。 次に、一様磁界中に三角導体が全て入ってしまった場合は まず、初めに三角形の導体が一様磁界に途中まで入っている場合は B(T) 起電力の方向 e(t) 起電力に寄与する導体 の長さℓ 三角導体の速度u 三角形の垂直線に発生した起電力の方向 上図の様になり、「三角形の垂直線に発生した起電力」と三角形の斜め線で発生し た起電力の方向が互いに逆向きで、大きさが同じ(B、uが同じで、起電力に寄与す る長さも同じになるので)なので、打消しあってしまうので、 e(t)=0V となる。したがってグラフは(5)になる。 問6.解答(2) 回路図はブリッジ回路とみなすことが出来、またスイッチのオン‐オフに関わらず 流れる電流に変化がないので、平衡条件が成立しているとみなせる。平衡条件成立か ら 8×R4=4×R3 即ち2R4=R3 一方、上記値を反映させつつスイッチオフ時の回路から合成抵抗を求めると (2R4 + 8)(R4 + 4) 2R4 + 8 + R4 + 4 = 100V 30A との式が出てくる。この式をまとめると 2 R4 + 3R4 − 4=0 となり、これを因数分解すると (R4 + 4) (R4 − 1) =0 となり、抵抗値はプラスなのでR4 =1Ω となる。 問7.解答(4) (4)並列抵抗の合成抵抗は「R1、R2の抵抗値の逆数の和」の逆数となるので、 誤り 問8.解答(1) 有効電力は抵抗での消費電力に一致するのでP=RI2なので P=10Ω×(5A)2=250W 問9.解答(1) 10μF 100μF 900μF 900μF ②合成容量=990μF ①合成容量=90μF 前頁の図のように合成容量を求めると、①の合成容量が90μF、②の合成容量が 990μFとなる。したがって、回路は10μFの容量と②の990μFの容量が直 列になった回路となる。 ここで仮に電源電圧が1000Vとすると(変数を設定して求めても良いが煩雑に なるので1000Vと仮定する)、10μFと990μFの直列の場合、コンデンサ の場合はそれぞれの容量値と逆比例して電圧が分圧されるので、990μFの容量に 10𝜇F 倍の電圧が分圧されるので、10Vとなる。 990𝜇F+10𝜇F は この10Vは①の合成容量90μFに掛ることになるので、同様にコンデンサ容量 に逆比例して分圧されることとなり、②の領域の2つのコンデンサの内900μFの 100𝜇F =1Vの電圧がかかることとなる。 100𝜇F+900𝜇F コンデンサには10V× 従って、ここでVIN=1000Vと仮定したところVOUT=1Vとなったので 答えは 1 1000 となる。 問10.解答(2) 過渡現象の基本形なので各参考書を参照 問11.解答(4) (ア)半導体レーザのn層とp層に挟まれる層を「活性層」と言う。 (イ)レーザダイオードが発光するためには「順電流」を流す。 (ウ)レーザダイオードでの光(レーザ)の発光を「誘導放出」と言う。 問12.解答(5) 図は問題図を参照のこと。 始めに、電子が偏光板を通過する時間t1を求める。 横方向速度はvで偏光板の長さℓなので、通過時間t1は ℓ v t1= である。この期間に縦方向(偏向方向)に電子は静電力eEの力で加速される。電 子の質量mとすると加速度aは eE a= m となり、偏光板を脱する際の縦方向速度uは eE u= m eEℓ × t1 = mv となる(uの答え)。一方、ℓ≪dなので、横方向距離はdとみなして良く、従って、 横方向速度vでブラン管の横方向距離dを走行する時間t2は d v t2= となり、従って蛍光面での変更距離Xは X=u×t2= eEℓ mv d v × = eEℓd 2 mv となる(Xの答え) 。 よって答えは(5) 問13.解答(1) (1)コレクタ損失はコレクタ電流とコレクタ・エミッタ間電圧の積なので誤り 問14.解答(2) 全波整流型の電圧計の場合の指示値は、波形の平均値との関係から 平均値=0.9×指示値(実効値) となる。 波形の平均値は 8V×10ms+0V×10ms 20ms 平均値= =4V となるので、指示値は 指示値=4V/0.9≒4.44V B問題 問15. (a)解答(4) 実験1より、電源電圧E0はa-b間すべり抵抗30Ωに掛り、電流200mAより E0=30Ω×200mA=6V 実験2より、a-b間のすべり抵抗値をRabとすると、すべり抵抗値と長さが比例 するので、 15cm:30Ω=4.5cm:Rabより Rab=9Ω また、検流計の指示値が0Aなので、すべり抵抗に流れ込む(出る)電流は0A となり、従って抵抗Rabに流れる電流は200mA均一となり両端の電圧は a-b間電圧=9Ω×200mA=1.8V この1.8Vが電池電圧Exと等しい電圧値となる(検流計=0Aなので)ので 電池電圧Ex=1.8V よって解答(4) (b)図2の回路では、実験3より電流計の指示値が50mAで、a-b間のすべ り抵抗値が30Ωなので、すべり抵抗での電圧降下は すべり抵抗の電圧降下=30Ω×50mA=1.5V この1.5Vと電池電圧1.8Vとの差=0.3V分が、電池の内部抵抗での電 圧降下分に相当し、電流50mAより、 電池の内部抵抗=0.3V/50mA=6Ω よって解答(5) 問16. (a)解答(5) コンデンサCの場合のΔ-Y変換では、通常のインピーダンスZ場合の変換式と 逆になり、 インピーダンスの場合:ZΔ=3×ZY コンデンサの場合 :CY=3×CΔ したがって、C=×3μF=9μF よって解答(5) (b)解答(3) 図 1 の回路図の右側部分を(a)の変換式に則って変換すると 9μF 9μF 9μF 9μF 18μF 上図の様になる。ここから、合成容量を計算すると4.84μFとなり解答は(3) 問17. (a)解答(2) 線間電圧ea=100√6 sin (100𝜋t)なので、 線間電圧の実効値は振幅を√2で割って、100√3 V、 また、周波数は100πtを2πtで割って50Hzとなる。 問題の回路は三相平衡負荷のY型結線(コンデンサがない場合)なので、線間電圧より 相電圧の実効値=100Vとなる。 一方、一相分の負荷では、16mHのコイルのリアクタンスXℓは周波数が50Hzな のでXℓ=2πfL=2×3.14×50×16×10-3≒5Ωとなり、合成インピー ダンスZ=5√2 Ωとなる。したがって相電流=100V/5√2 Ω=14.14Aと なる。 三相電力Pは有効電力なので抵抗(R=5Ω)での消費電力を求めればよいので 三相電力P=3×RI2=3×5Ω×(14.14A)2=3000W=3kW よって解答は(2) (b)解答(2) 三相平衡回路の線間電圧ea、eb、ec、相電圧va、vb、vc、としベクトル図で 表すと下図のように、線間電圧に対し、相電圧が30°遅れる。 ec vc ea 30°付加後のⅰa va 45° Cによる進み電流 ⅰ=14.14A×cos 45° vb 付加前のⅰa=14.14A eb また、コンデンサ付加前の線電流は、前問(a)にあるように抵抗R=5Ω、リアク タンスXℓ=5Ωとなるため、遅れ位相が45°となり、緑色の矢印のようになる。 一方、問題文より、コンデンサ付加により進み位相の線電流が重畳され、線電流ⅰa は線間電圧eaより30°位相が遅れるとされているので、図中の赤矢印の様になり、 線電流ⅰaは結果的として相電圧Vaと同相になる。したがって、コンデンサによる進み 位相の線電流(緑色の矢印の電流に重畳され、ベクトル的に合成される)は、全図の紫 矢印のような電流にならなければならず、その電流値は ⅰ=14.14A×cos 45°=10A となる。 今回付加されるコンデンサC(F)はΔ結線であるので、これをY結線に変換し 3C(F)とし、1相分の回路で回路図を描くと 5Ω 100V 50Hz 3C(F) 5Ω 10A となるので、V=Xc×Iより 1 ×10A 2𝜋×50Hz×3C 100V= よりコンデンサ容量Cを求めると C=1.06×10-4(F)≒1.1×10-4(F) となり、よって解答は(2) 問18. (a)解答(1) (ア)差動成分、 (イ)大きい、(ウ)ほぼ零、 (エ)小さい、 (オ)受けにくい よって解答は(1) (b)解答(5) この問題のオペアンプは理想的なOPなので、1段目、2段目を分離して考えるこ とが出来る。またいずれのOPも反転増幅回路なので、 100k𝛺 =5倍 20k𝛺 一段目増幅率=- 90k𝛺 =3倍 30k𝛺 二段目増幅率=- したがって入力から出力までの全増幅率は5×3=15倍となる。 入力電圧が0.5Vの場合、出力電圧は 0.5V×15=7.5V また電圧利得Av(dB)をデシベルで表すと Av=20Log7.5=20Log(10×3÷2) =20×(Log10+Log3-Log2) =20×(1+0.477-0.301) =23.52(dB)≒24(dB) よって解答は(5)
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