(平成27年11月号)

山形会議
特 集
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議
現場の力で!
2025社会保障大改革(介護新時代)
は、
全国老施協と山形県老施協は 10 月6、7日、「平成 27 年度全国老人福祉施設研究会議(山形会議)
」を山形
市で開催した。メーンテーマは「2025 社会保障大改革(介護新時代)は、現場の力で!」で、全国から約 2,000
人が参加した。 社会保障関係費抑制の渦中にあっても、さまざまな福祉ニーズに応え得る「挑戦型」社会福
石川憲会長
山形県老施協
峯田幸悦会長
祉法人として地域を支え続けるため、福祉・介護のあるべき姿について、参加者全員で共通理解を深めた。
形ビッグウイングで開催さ
日の全体会は、山形市の山
築していかねばならない﹂と、参
ても魅力ある福祉・介護業界を構
厳しい状況に抗して魅力ある
福祉・介護事業を提案
初
康福祉部次長の駒林雅彦氏、山形
支援課長の佐藤守孝氏、山形県健
として、厚生労働省老健局高齢者
悦会長の主催者挨拶に続き、来賓
川憲会長、山形県老施協の峯田幸
言で幕を開けた。全国老施協の石
フォーラム委員会委員長の開会宣
障審議会などを通じた国民各層の
な改革の方向性について、社会保
し、国民福祉の立場から、抜本的
に向けた削減ありきの論調を牽制
して基調報告。次の介護報酬改定
護現場に求められるもの∼﹂と題
﹁ 現 場 の 声 が、 制 度 を つ く る ∼ 介
開会式典後、瀬戸雅嗣副会長が
加者にエールを送った。
市長の佐藤孝弘氏が祝辞を述べ
代表による場で議論されるべきと
れ、全国老施協の小林隆弘大会・
た。そして、来夏の参院選に出馬
強調した。
続いて、プロサッカー指導者の
する全国老施協の園田修光理事
が、﹁ 現 場 の 声 を 国 政 に 伝 え る ﹂
護報酬改定に苦慮する声が届いて
いており、全国各地から今般の介
護従事者にとって厳しい状況が続
石 川 会 長 は 主 催 者 挨 拶 で、﹁ 介
が﹁福祉の魅力を発信する方法∼
︵ ウ ブ ド ベ ︶代 表 理 事 の 岡 勇 樹 氏
次に、NPO法人Ubdobe
∼﹂と題して記念講演を行った。
ロセス∼ソーシャルフットボール
佐々木則夫氏が﹁目標達成へのプ
いる。今後も、これまで以上に厳
本質は現場にある∼﹂と題して講
と挨拶した。
し い 状 況 が 見 通 さ れ る。 一 方 で、
演。福祉職は﹁受信力を磨くべき﹂
翌日は山形市内の各会場で、6
安 倍 内 閣 は﹃ 新 3 本 の 矢 ﹄の 1 つ
を掲げた。このことに、厳しい福
つの分科会が開催され、全体で1
と提言した。
祉・介護業界に光明を与えるもの
25件の実践研究が発表された。
として、安心につながる社会保障
として期待を寄せつつ、我々とし
3 月刊老施協 Vol.540
基調報告 現場の声が、制度をつくる〜介護現場に求められるもの〜
瀬戸雅嗣
どの工程表を策定するとしている。
全国老施協副会長 おかしいものは変えよう
ないものはつくろう
本は、超高齢社会が進展す
必 ず繰り 返し出てくる。 次の介 護
報 酬 改 定に 向 けて、 すでに﹁ 削 減
ありき ﹂の論 調 も 動き 始めている。
だが、 介 護 報 酬 削 減という当 座し
のぎを 繰 り 返すのではなく、 真に
効率的・効果的な介護保険制度の
在り方を求めて、抜本的な改革に
は7163ケースのうち
%が施
設 内︵ 第 8 回 全 国 老 人ホーム基 礎
乗 り 出すべき 時が来ている。﹁これ
だけは国民福祉の立場から譲れな
年 度 介 護 報 酬 改 定 作 業においては
会保障審議会などを通じた、国民
をめざす必要がある。
まで尊 厳ある充 実した生 活の提 供
その 流 れの一環 と して、 平 成
な問題として、①人口急減、②2
﹁ 社 会 福 祉 法 人は儲 け 過 ぎ ﹂、﹁ 内
各 層の代 表による場で議 論される
る危 機 的な現 状である。 主
025年問題、③慢性的疾病の増
部留保が巨額﹂などが議論された。
べきだ。
日
調 査・
加、④地域社会・家族関係の変容
介護老人福祉施設の収支差率、人
年 度 実 績 ︶だった。 最 期
い﹂というボトムラインを 定め、 社
94
が挙げられる。
と負担の均衡がとれた持続可能な
︶年度までに、受益
期 高 齢 者になりはじめる直 前の2
考え方について、 ▽ 団 塊 世 代 が 後
政府は社会保障改革の基本的な
きな差異がある。
支状況等調査結果などとの間に大
営実態調査結果と全国老施協の収
あるが、厚生労働省の介護事業経
調査客体数、回収率などの違いは
件費率などについては、調査年度、
活 支 援に尽きる。 その障 壁と なっ
の目的とは、尊厳の保持と自立生
か。 社 会 福 祉サービス、 介 護 保 険
現 場で求 められている ものは、 何
一方で、我々がすべきこと、介護
人ホームや軽費老人ホーム・ケアハ
求められ、その拠 点が特 別 養 護 老
専 門 性のあるケアを 届 けることが
という ものでは ない。 地 域 住 民 に
括ケアは住まいが地域であればいい
どに取り組むことで抑制していく、
費の伸びを、制度改革や効率化な
巨 額と 報じられたのは﹁ 発 生 源 内
いわゆる﹁内部留保﹂に関しても、
4点だ。
めの機能訓練、④地域生活支援の
看取り介護、③生活機能向上のた
ている 課 題 は、 ① 認 知 症ケア、 ②
しに 結 びつく。 利 用 者の﹁ 尊 厳 あ
ことが必 要。これも尊 厳ある暮ら
域とつながる﹂生活を送ってもらう
ウスである。施設に住んでいても
﹁地
化 などの取 り 組みの効 果と 相 まっ
での改 革などの効 果、 医 療の効 率
み、 経 済 雇 用 情 勢の好 転やこれま
持 す る た めの 制 度 改 革 に 取 り 組
責 任として、3か月 分の運 転 資 金
が 含 まれている。 また、 事 業 者の
崩額や建替えに要する積立金など
などの国庫補助金等特別積立金取
選 択するケア、 内 的 体 験を 聴くこ
点 を 置くケア、 本 人 を 中 心にして
なく、利用者の生き方や生活に重
認 知 症ケアにおいては 病 気では
﹁おかしいものは変えよう、ないも
がる。
ることが、 私 たちの再 評 価につな
る暮らし﹂と﹁自立生活﹂を実現す
護をもっと良くするためにも、﹁現
のはつくろう﹂素晴らしい日本の介
ソン・センタード・ケア﹂でなけれ
を忘れないでいただきたい。
場の声が制度をつくる﹂ということ
看 取り 介 護では、 看 取った場 所
ばならない。
とに原点を置くケア、
いわゆる﹁パー
さらに、いった ん は 見 送 ら れ た
︵粗算約9000万円︶を常に用意
る 伸 び 相 当 の 範 囲 内 と していく、
社 会 福 祉 法 人への課 税 論は、 また
て、今後5年間の社会保障関係費
▽年末に具体的な改革・効率化な
しておかなければならない。
▽
部 留 保 額 ﹂である。こ れには 特 養
020︵平成
制度を構築する、▽社会保障関係
地域生活支援における、地域包
24
年に向けて、国民皆保険を維
32
の伸びを、 少なくとも高 齢 化によ
20
Vol.540 月刊老施協 4
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27
基調報告
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
現場 力
講 演 「福祉の魅力を発信する方法〜本質は現場にある〜」
一組みになって﹁砂漠のなかで〝水を
てもらいたい︵実際に参加者が二人
介護職の約
出 会っていないからである。 毎 年、
のか。こ れらの 職 種に、 子 ど もが
万人が職場を辞めて
くれ〟﹂というやりとりを行う︶。
これまでに、 脳 性 麻 痺で言 語 を
時 間 介 護の必 要 な 高
いる。 そのうちの8万 人が介 護 業
界に再就職している。
皆、﹁人材不足﹂と叫んでいるが、
発せない、
齢 者 のケア を 行った 経 験 が あ る。
人 材 不 足だから若 者に就 職してほ
仕事の面白さが伝われば、
絶対に人は振り向いてくれる
眉 と 首 を 使 うのが、 唯一のコミュニ
しいのか、これは筋が違うのではな
氏
ケーション手段。それだけでも、自
いか。 た と えば﹁ 合コン﹂でも、 頭
岡 勇樹
解 決していこうと 決めた。 何より
立した生活を送っている。
NPO法人Ubdobe
(ウブドベ)
代表理事 も自 分 自 身が音 楽などアートに救
ティブな力で課題を解決していくた
ブドベ︶﹂を 立 ち 上 げ た。クリエイ
いきたいと 思い、﹁Ubdobe
︵ウ
参加できる楽しい世の中をつくって
も、あらゆる人々が積 極 的に社 会
そして、どのような環境であって
思の疎通を図ることができた。
が弱まった状態でも、指を使って意
母の場合、視覚や触覚などの感覚
語る﹂人もいる。がんで亡くなった
とを発見した。このように﹁数字で
数字でコミュニケーションを図れるこ
言葉では意思疎通がとれなくても、
ま た、 A D H Dの 若 者 の 場 合、
る ﹂な ど 説 明し、﹁ だから一緒にや
用 者の選 択 肢を 広げることができ
合、
﹁介護は生活を守る仕事﹂、
﹁利
は、アピールにもならない。私の場
がいないから来てほしい﹂というので
は違うだろう。介護も同じく、
﹁人
だから来てほしい﹂と誘われるので
数合わせで誘われるのと、﹁あなた
われてきたからである。
め、 WEB・ 紙 媒 体・ イベント な
り 日 本になじめず、 高 校 時 代はラ
を 開 催したことがある。 来 場 者の
福 祉と 音 楽 を 結び 付 けたイベント
福 祉 に 触 れる 機 会づく り と して、
た と えば、一般の 若 者 が 介 護・
深 さ を 持っていな け れ ば、 その 言
信しても、 私が受 信 力の大きさや
うこと。いくら一生懸命に相手が発
信力よりも受信力﹂ではないかとい
じたのは、
コミュニケーションとは﹁発
この人たちとの体 験 を 通じて感
ジアップを アピールするのでは な
﹁介護は3Kではない﹂などのイメー
伝えるべき 人 は、 すぐ 隣にいる。
ば、絶対に人は振り向いてくれる。
け 面 白いか、 というこ と が 伝 わ れ
ろうよ﹂と誘う。その仕事がどれだ
どをプロデュースしている。
イブハウスに入り浸り、大学時代は
%が
夢 中で仕 事しているころに祖 父が
という。医療・福祉のイメージを変
﹁医療・福祉のイメージが変わった﹂
信 力を 高めたい、 福 祉 職は受 信 力
葉や思いは伝わってこない。その受
の本質を伝えることができるのは、
く、 介 護の 本 質 を 伝えるべき。 そ
介護・福祉職にとって大切なのは
をみてみると、 介 護 福 祉 士、ホー
一方で、なりたい職 業ランキング
信するイベントは、
地元や自分の
﹁カ
かない。 そして、 福 祉の 魅 力 を 発
たちが自らムーブメントを起こすし
現 場のスタッフしかいない。 その人
り、 数々の障がい児 施 設や小 児 病
﹁ 非 言 語コミュニケーション﹂だ。 そ
ムヘルパー、ケアマネジャーは共に2
ルチャー﹂を使えば、無限にできる。
のプロになるべきだと気がついた。
棟、高齢者施設や作業所に出入り
れを実践するため会場内の参加者
00位以下⋮⋮。なぜ、不人気な
える方法は、無限にある。
するなかで、 医 療・ 福 祉 業 界の課
同 士でミニワークショップを 体 験し
その後、医療・ 福祉の業界に入
認知症になった。
過ごし、中学校時代はあま
クラブ通い。そんなときに母親をが
アンケート 結 果では、 その
は 小 学 校 時 代 を アメリカで
22
んで亡くし、サラリーマンになって
私
24
題 を﹁エンターテインメントの力 ﹂で
5 月刊老施協 Vol.540
93
講演
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
吉川悠貴
東北福祉大学/認知症介護研修・研究仙台センター 主任研究員 分散会① 認知症ケアの実践
特別報告 科学的介護の実践(認知症ケア)
氏
分散会② 自立支援介護の実践①
先駆的特別報告 日 本社会福祉士会/地域包括ケア推進委員会(高齢施設班)委員 福富昌城
氏
家族・地域のつながりの再構築にむけた介護保険
施設相談員の支援のあり方に関する調査研究
という言葉を使うが、そも
調べ、比較してはじめて﹁お祈りの
をしなかった↓治った﹂人の割合を
まだ不十分である。同様に﹁お祈り
が挙げられている。居宅のケアマ
場所の 一 つとして﹁介護保険施設﹂
ながっている。
家族や施設との関係の改善にもつ
の 安 定 は、 家 族 の 負 担 を 軽 減 し、
が必要となる。しかし、それでも
そ も﹁ 科 学 的 ﹂と は 何 か? ﹁ 10
0%の真理﹂は存在せず、﹁100%
効果﹂が検証できる。さらに、その
ネジメントについてはさまざまな
入居者が地域とのつながりを保
々は日常的に﹁科学的介護﹂
の真理と100%の虚偽の間のグ
効果は、通常の治療法とも同様に
研究がなされているが、施設のケ
ちながら生活を送るための組織的
②一時帰宅支援がもたらす効果や、
かを研究。①一時帰宅支援の方法、
行い、
﹁個別のニーズ﹂
、
﹁アセスメ
シャルワーカー︵RSW︶の配置を
ターの設置やレジデンシャル・ソー
ることで認知機能やADLの向上
レーな領域で、少しでもより良い
比較されて、ようやく﹁より良い﹂
アマネジメントに関する研究は十
な取り組みでは、3つの特別養護
まず、①提供するケアについて、﹁な
介護保険施設の地域包括ケアシス
ントの補完﹂
、
﹁アドボガシー︵権利
域包括ケアシステムの構築
仮説を求めていく﹂のが科学という
方法かが判明する︵疫学的手法によ
分に蓄積されているとはいいがた
老人ホームを経営する法人を研究
我
営みの本質である。
﹁科学的﹂であ
る根拠の示し方︶
。介護職も同じ様
い。そこで、施設に住む高齢者に
対象とした。そこでは、相談セン
たとえば、
﹁お祈りをしたら病気
ぜ?﹂という疑問に答えられる根拠
テム構築に対する貢献を明らかに
擁護︶
﹂などの成果をあげている。
も図られることがわかった。本人
るためには、論理性、客観性、実
に﹁科学的介護﹂の根拠を示す方法
どのような支援方法が求められる
が治る﹂ことを確かめたい時、
﹁お
を作っていくこと、次に②完璧な
した。
地域住民を福祉施設の﹁顧客﹂と
において、高齢者の住まう
証性という3条件が不可欠で、こ
をしっかりと吟味しておくべきだ。
地
れらは介護職の日々の実践にも当
祈りをした↓治った﹂人だけ集めて
成功でなければ﹁失敗﹂という認識
﹁一時帰宅﹂を支援した結果、利用
認識して、こうした 一 時帰宅プロ
最 後 に 留 意 点 を 3つ 挙 げ たい。
も根拠にならない。
﹁お祈りをした
ではなく、
﹁より良くなる﹂︵一歩で
者は精神が安定し、帰宅を意識す
てはまる。
↓ 治 ら なかった ﹂人 との 対 比 から
も前進する︶ことを丁寧に評価して
グラムを意図的に活用していくこ
本研究によって、施設入所者の
いくこと、最後に③方法論的には
誤ってい た ら 元 も 子 も な い た め、
一時 帰 宅 を 支 援 す る 取 り 組 み は、
とで、地域住民・地域社会までを
手段の目的化や目的のすりかえが
利用者・家族に満足をもたらすも
科学的であっても、大本の理念・
生じていないか目を配ること、で
のであると考えられる。
視野に収めた実践が可能となる。
ある。
哲学、あるいはケアに望む姿勢が
﹁治った﹂人の﹁割合﹂を調べること
1st Session
Vol.540 月刊老施協 6
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第 1分科会
科学的介護の実践(高品質サービスの追求)〜アウトカム評価の指標づくり〜
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
分散会② 自立支援介護の実践①
特別報告 李 智子
医療福祉学博士 自立支援実現のための体制づくり
岩上広一 氏
老施協総研運営委員会 副委員長/世田谷区立きたざわ苑 施設長 分散会③ 自立支援介護の実践②
特別報告 ﹁経験知﹂
、
いわゆる工夫力が生まれ
的介護﹂だ。ここから﹁実践技術﹂
、
理 論 に 基づく 介 護、
﹁理論
学的介護とは、基礎知識と
べき。記録から分析し、プランの変
適切な内容になっているかを確認す
ない。 介 護 主 任 は 会 議 に 参 加 し、
Aサイクルを 活 用し な け れ ば なら
ア会 議を 設 置し、 各 会 議でPDC
ておくことが大切だ。
ムにあたるのかをきちんと予測し
がアウトプットで、何がアウトカ
展開していくなかでは、何
設で自立支援の取り組みを
ていないことになる。
の健康管理との相関関係が成立し
外しや歩行訓練の結果と、利用者
比べて減っていなければ、おむつ
るのに、全体の入院日数が前年に
氏
﹁自立支援﹂につながる。
更を 検 討する。 個 別ケア会 議で課
護度が変わり、施設の経営状態が
特養施設介護の
アウトプットとアウトカム
おむつ外しを 例に挙 げると、 基
題と 考えられる 要 因 をチェックし、
おむつゼロを達成した。おむつゼ
悪くなるという声を聞く。きちん
科
礎 知 識としての、 腸の機 能と 排 便
介護力向上委員会で解決策を検討
ロはアウトプットであり、おむつ
このような課 題 解 決に向けたも
て、はじめて実践技術に移れる。
大 腸 機 能の正 常 化という理 論を 得
排 便のケア、 排 便リズムの安 定 化、
神 経メカニズムを 学ぶことが必 要。
食 事 摂 取 量が多い、 歩 行に力を 入
催している、 施 設 平 均の水 分 量や
できる 人がいる、 勉 強 会 を 多く開
ている、強いリーダーシップを発揮
介護力向上委員会が正しく機能し
おむつゼロ施 設の共 通 点として、
いて統計をとることが重要だ。
測し、実際にどうなったのかにつ
用者がどう変わるのかを数値で予
アウトプットができた段階で、利
な り 健 康 に な る の が ア ウ ト カ ム。
になり尿路感染による疾病がなく
ゼロにすることで、皮膚がきれい
ベーションも上がるため、離職率
利用者が元気になると職員のモチ
る の で 収 益 は 良 く な る。 さ ら に、
での看取りにつながり、空床も減
ものの、入院日数が減少し、施設
改善されると収益率は若干下がる
と数値を調べていくと、介護度が
当 苑 も 自 立 支 援 に 力 を 入 れ て、
施
の仕 組み、 水の生 理 学、 下 剤の生
する。
のとして、 全 国 老 施 協が主 催する
れているがある。自立支援への取り
よく自立支援を進めると、要介
理作用、歩行と腸の機能、排便の
介 護 力 向 上 講 習 会がある。そこで
も低下する。当施設では、法人内
組みの参考にしてもらいたい。
おむつゼロ、 歩 行 改 善、 入 院ゼロ、
の評価を取り入れていこうとして
厚生労働省は介護サービスの質
での異動の時期を除けば、離職率
認知症ゼロ、胃ろうゼロによって実
いる。現場から、質の評価とは何
の 反 復 を 行っている。 同 講 習 会の
現する。現在では、おむつゼロ施設
か、どのような点を評価してもら
は一桁台を維持している。
は か所だ。
目的は﹁自立支援﹂であり、これは
たとえば、自立支援を進めてい
は、基礎理論を学習し、事例検討
1st Session
自 立 支 援のための体 制 をつくる
発信していかなければならない。
いたいのかを、改めて国に向けて
75
には、介護力向上委員会と個別ケ
7 月刊老施協 Vol.540
第 1分科会
現場 力
科学的介護の実践(高品質サービスの追求)〜アウトカム評価の指標づくり〜
1st Session
科学的介護の実践(高品質サービスの追求)〜アウトカム評価の指標づくり〜 第 1分科会
分散会④ 看取り介護の実践
﹁無理な延命﹂と言われることもあ
氏
科学的介護を実践する際に、理
るが、胃ろうからのアルコール摂取
川島孝一郎
解しておかな け れ ば なら ないこと
も可能であり、晩酌をして﹁楽しい
仙台往診クリニック 院長 がある。1つは、 そもそも〝 科 学 〟
生活﹂を過ごしている人もいる。物
特別報告 と は 何かということ。 科 学 は 決し
事の世界は解釈によって変わってく
看取りにおける科学的介護の良さと矛盾
て万 能ではなく、 限 界がある。す
る。
がどのようなケアを望んでいるのか
べての物事を解決できるわけではな
も う1つは、 科 学 的 介 護 と は、
について耳を 傾けることが大 切だ。
看 取 りにおいても、 本 人や家 族
何 を 根 拠としているのかも 理 解し
生きている 以 上、 人は自 分 自 身の
い。
ておくべきだ。人は誰しも死を迎え
死を客観的な実体として認識する
用 者が衰えていくなかで、〝より 良
ることについて異論はないと思われ
ない限り、必ず障害者になってから
い生き方〟につなげていくためには、
ことは不 可 能であるが、 患 者や利
死ぬ。ピンピンコロリを 望んでいた
何をすべきかを考えていかなければ
るが、人は急死︵ピンピンコロリ︶し
としても、 急 死の確 率は4・8%
ならない。
こうしたことを踏まえたうえで、
というのが実 態 だ。 毎 年、 平 均 寿
命は延びている一方で、健康寿命と
真の自 立 支 援 を 実 現する﹁ 科 学 的
介護﹂につなげていってもらいたい。
年 間は何
の差に開きがあり、 約
らかの障害を抱えて死を迎える。
その 時 期の 生 活 を 支えていくた
めには、患者や利用者本人の立場
になってケアをすることがポイント
になる。たとえば、本人にとって胃
ろうが 必 要であ れ ば 設 けてもいい
だろう。
胃ろう ﹁=
強制された生活﹂
10
分散会④ 看取り介護の実践
解説&意見交換
全国老施協理事 / 認知症ケア推進戦略本部長
鴻江圭子、仙台往診クリニック院長 川島孝一郎氏、特養みずほの里施設長 阿部美智子氏
看取り介護指針・説明支援ツールの解説と意見交換
全 指針・説明支援ツール[平成27年度介護報酬改定対応版]」を作成
国老施協は今年5月、特別養護老人ホームを対象に「看取り介護
し、各事業所において、総合的な体制整備と看取りの質向上を進める手
引きとして活用されている。
山形会議では、同ツールの作成にかかわった全国老施協の鴻江圭子理
事、仙台往診クリニック院長の川島孝一郎氏、特別養護老人ホームみず
ほの里施設長の阿部美智子氏による解説と、参加者との意見交換が行わ
れた。
鴻江理事は、
「平成18年に看取り介護加算ができて、施設での看取り
が推進されるようになった。看取り需要の増加が予測されるなど、さま
ざまな変化に対応するためにも、
新たに同ツールを作成した」と説明した。
同ツールには、看取り介護指針の作成方法が詳細に解説されているほ
か、入所から看取り後までの支援の流れのなかで、適応期(入所)や安定
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期(半年後・定期的なケアプランの更新時期)
、不安定・低下期(衰弱傾
向の出現)などの時期ごとに使用する書類、説明、確認事項、ワンポイ
ントアドバイスなどをきめ細かく示している。
また、参加者からは、
「新人職員のなかには、死は怖いものという意
識があり、看取り介護の実践に不安を持つ者も少なくない。教育方法を
教えていただきたい」という質問があがった。
それに対して、川島氏は「人は誰もが衰えて亡くなるということを、理
解してもらうことが必要。それを踏まえたうえで、同ツールには具体的
な支援方法をまとめている。しっかり学び、職員間で情報共有を図って
もらいたい」と答えた。
今後も同ツールを活用することで、看取り介護を取り巻く制度やサー
ビスの仕組みを再確認するとともに、各施設の看取り介護の取り組みを
より豊かなものとすることが期待できる。
Vol.540 月刊老施協 8
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
柿沼章子
はばたき福祉事業団 事務局長 分散会⑤ 医行為・リハビリテーションの実践
先駆的 特 別 報 告 医療リスクのある施設利用者の長期療養の
受け入れ体制に関する啓発および調査
氏
川口 徹
青森県立保健大学健康科学部理学療法学科 准教授 分散会⑤ 医行為・リハビリテーションの実践
特別報告
特別養護老人ホームにおける
新しいリハビリテーション
れたらいいかを提言する。
まれる将来、施設ではどう受け入
ニーズのある 利 用 者の 増 加 が 見 込
られるようになった。こうした医療
性疾患化し、感染者も高齢を迎え
かつては死の病だったHIVも慢
炎患者等の相談事業を行っている。
被害者や一般のHIV感染者及び肝
業 団では主に、薬 害HIV
題 などが挙 げられた。こうした 回
識や受け入れ経験の不足、設備問
的な課 題として、病 気に対する知
受け入れに懸念を持っていて、具体
よう、医療や保健・ 福祉、生活に
に、一生安全に生き生きと暮らせる
住みなれたところで、 住 人とと も
られる。これは、﹁障害者や老人が
いものとして、地域リハビリが挙げ
そのなかで住 民にかかわりが深
的︱︱という5つのリハビリがある。
的、③教育的、④職業的、⑤地域
体系としては、①医学的、②社会
ざすこと﹂と考えられている。その
最大限に向上させ、社会復帰をめ
﹁ 障 害 さ れ た 機 能や 能 力 を
ハビ リ テーションの 理 念 は
アプローチ、 自 立 支 援、 他 動 運 動
ハビリテーションでは、生活指向的
特別養護老人ホームでの新しいリ
していく必要がある。
りや、コミュニティへの参加などを促
を高めるだけでなく、生きがいづく
することが目 的になる。 運 動 機 能
ちだが、介護保険では生活を支援
また、医療保険では疾患を見が
に意識していなければならない。
援につながっているかどうかを、常
アプランやリハビリの提供が自立支
ビリは 自 立 支 援と は 呼 ばない。ケ
ただ 単に﹁してあげる ﹂だけのリハ
氏
当事業団では昨年、全国老施協
答から 見えてきたのは、どの施 設
かかわる人々が、リハビリの立場か
より 自 動 運 動 などがポイントにな
―血友病・HIV/HCV重複感染事例から―
に加 盟する 全 施 設のうち1000
も職員不足やコスト面から受け入れ
ら行うすべての活動﹂を指し、地域
るだろう。従来、各事業所が提供
リ
施 設をランダムサンプリングして意
たくない気持ちを少なからず持って
包括ケアシステムと同一の概念だ。
してきたケアプランやリハビリの提
間に医 療 的リスクのある 方 を 受 け
が寄せてくれたことは心強い。
が所属するはばたき福祉事
識 調 査を 行った。 最 終 的に回 答を
いるということ。だが、受け入れが
地 域 リハビリの実 践の際に重 視
供の考え方を見直し、高齢者の自
私
得た268施 設のうち、 過 去5年
重 要であるという声 を 多 くの施 設
すべきことは、﹁自立支援﹂である。
入れたのは 施設だった。
1st Session
お、回 答を 得た施 設の半 数ほどが
ぐための研修の開催などだった。な
染症を持つ利用者の風評被害を防
本 的な情 報 提 供や、HIVなど 感
な項 目としては、職 員に対する基
今 後、受け入れるにあたり必要
かけていきたい。
者 を 受 け 入れてもらえるよう働き
展 開も図ることで、そうした利 用
を 行っている。 今 後 は、 その 全 国
機関と連携して、無料で出前研修
現在、当事業団では全国の医療
等の質的向上を進めていきたい。
ムなどの改善を図り、理学療法士
リキュラムや職能団体の教育システ
くことが大 切だ。 今 後、 大 学のカ
立 を 支 援し 活 動 参 加につな げてい
9 月刊老施協 Vol.540
61
第2
1分科会
分科会
現場 力
科学的介護の実践(高品質サービスの追求)〜アウトカム評価の指標づくり〜
また、 同シートの専 門 職 版と 介
だ。
科衛生士をはじめとする専門職が
護 職 版 をセットで使えば、より 綿
腔評価を行った。まず、私たち歯
評価し、その後で介護職が評価し
密 な デー タ を 徳 島 大 学 は 入 手 で
分散会⑥ 口腔ケアの実践
特別報告 徳 島大学大学院 医歯薬学研究部 口腔保健福祉学分野 講師 柳沢志津子
た。その結果、専門職同士の評価
き、 施 設に効 果 的 な 個 別アドバイ
氏
常食化に向けた食物形態と口腔評価との関連に関す
では約9割が一致したが、介護職
スを届けられるようになるだろう。
口 腔 ケ ア・ ア セ ス メ ン ト シ ー ト ﹂
でも使いやすい﹁介護者のための
診断方法のなかで、介護職
年、咀嚼嚥下機能の検査・
こる施設運営上の要因︱︱の3つ
因、③食形態決定プロセスから起
②口腔評価を構成する項目の要
の 評 価 技 術 の 不 慣 れ な ど の 要 因、
外れた要因としては、①介護職員
門職が介護職にアドバイスするこ
これらは同シートを用いて、専
す人が多かったためだ。
の噛み合わせ、汚れの付着を見逃
る人が多かった半面、乾燥や奥歯
は、舌突や口臭をしっかり指摘す
―口腔評価の精度向上と「不適合」要因の解明―
を用いて、高齢者の食形態を予測
が挙げられた。今回は、①の調査
と に よ り 改 善 で き る。 そ の た め、
とでは約7割となった。介護職で
る研究
昨
できるか、110施設にアンケー
について紹介する。
専門職が観察の技術や判断のポイ
ト調査を行った。その結果、約7
人の介護職に
四国の施設で、
ントを指導する場を設けるべき
ユニットケアにおけるバーンア
ウトの発生は職務の不安との関連
が深く、十分な賃金の支給や夜勤
職員の不安解消などが図られれ
ば、バーンアウトの防止になると
遇を改善するとともに、老施協が
考えられる。
員 の レ ベ ル ア ッ プ も 期 待 で き る。
法 人 約 250 人の 職 員 を 対 象に、
中心となって﹁介護職が専門職で
介護が提供できるだけでなく、職
ユニットケアによって、従
一方で、ユニットケアの実施によ
ユニットケアが職 員にどれくらいス
ある﹂ことを世間にアピールして
年に特養に導入された
来の大規模なケアから個別ケアへ
り人材面や経営面で余裕がなくな
トレスをかけているのか調査した。
成
と舵が切られた。現在、改築型も
り、ケアの質を悪化させてしまう
月から今年2月にかけて、ユニッ
こうした 状 況 を 踏 まえて、 昨 年
ないことがわかった。
やバーンアウトが高まるわけでは
施することによって特にストレス
調査の結果、ユニットケアを実
有効に働くはずだ。
し、職員のストレスへの対処にも
ユニットケアの定着につながる
ほしい。それが結果的に質の高い
今後、各施設では介護職員の待
含めると半分以上がユニットケア
という意見もある。
技術の研鑽が求められ、こうした
ユニットケアの実施には知識や
になっている。
平
特 別 養 護 老 人ホームにおけるユニットケア
実施要因とバーンアウトの関連の研究
氏
入所者とペアになってもらい、口
45
先駆的特別報告 北
星学園大学文学部心理・応用コミュニケーション学科教授 田辺毅彦
り、 3 割 が 予 測 の 範 囲 を 外 れ た。
割の事例で予測できることがわか
1st Session
取り組みにより利用者に質の高い
トケアを 実 施している 北 海 道の2
12
Vol.540 月刊老施協 10
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17
科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
第 1分科会
〜アウトカム評価の指標づくり〜
第 2 分科会
特別養護老人ホームの
更なる取組
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
現場 力
特別報告 れない点などが問題だ。
である 半 面、 サービスの 質 が 問 わ
や面 積ではなく、どれだけ成 果を
はいい評価をすべき。介護も職員数
あげたかが重 要な時 代になるだろ
第一は 介 護 保 険 制 度の創 設 だ。 要
ソーシャル・イノベーションの
域 包 括 ケ ア 時 代 にお け る
先を新しくする、④仕入れ先を新
②生産方法を新しくする、③販売
すには ① 新しいサービスをつくる、
ンペーターは、イノベーションを起こ
起こすのは皆さんだ。経済学者シュ
目は﹁ 利 益は手 段・ 目 的は貢 献 ﹂、
向き発想から外向き発想へ﹂、2つ
り 組むべき課 題は3つ。1つは﹁ 内
に 応 えていくこ と だ。 皆 さ んが 取
括ケアなど 多 様 化 する 地 域ニーズ
社会福祉法人の使命は、地域包
氏
第二のソーシャル・イノベーション
介護認定やケアマネジメント、サー
しくする、 ⑤ 組 織を 新しくする︱
3つ目 は﹁ 施 設 運 営 から 法 人 経 営
青木正人
株式会社ウエルビー代表取締役 特別養護老人ホームの更なる取組
ビス提供の仕組みはストラクチャー
︱のうち、どれかを 実 現する必 要
へ﹂。今ある施設を守るのではなく、
う。
とプロセスで評価され、これに基づ
フ数や面積ではなく、食事がおいし
があると指摘する。
は地 域 包 括ケアの構 築で、これを
いて介 護 報 酬が支 払 われるが、こ
いかど うかで決 まる。しかし、 介
おいしい料理にはそれに見合った
地
のこと を 当 た り 前のこと だと 思っ
護 はサービスの中 身では 評 価 され
される法人を目指すべきだ。
地域や市民、国から本当に必要と
てはいけない。たとえば、レストラ
対価があるように、いいサービスに
括ケアを 支える 専 門 性の高い人 材
格 制 度を 見 直すべきだ。 介 護 福 祉
本来、介護労働市場というのは、
として、医療職と同水準の賃金体
ると有効求人倍率が上昇し、逆に
経済状況や雇用情勢の影響を受け
系を設定して介護報酬に反映させ
士とそれ以外の介護職の役割分担
にくい﹁ 専 門 職 労 働 市 場 ﹂であるべ
ていくことも一案である。
景気が回復すると人材が確保しに
打ち出され、介護分野は雇用創出
きだが、 政 府の政 策により、 失 業
氏
ない。 介 護 保 険 はす ばらしい制 度
宮本恭子
島根大学法文学部法経学科准教授 ンで払うお金は、その厨房のスタッ
先駆的特別報告 ブル崩壊後、製造業や土木・
力 の 非 常 に 大 きい優 良 な 成 長 産
者や無資格者、未経験者の雇用の
を明確にし、介護福祉士を地域包
建築業から多くの失業者が
業、日本の主力産業として期待さ
受 け 皿として位 置づけられたこと
くい傾向が見られるようになった。
発 生し、 政 府はこれらの部 門の労
れた。
雇用政策としての介護人材確保政策と
介護労働市場の関係に関する研究
働 者を 第 三 次 産 業にシフトするこ
し、 雇 用 創 出 産 業となった。 平 成
行で介 護 労 働 需 要 が 大 幅 に 増 加
野が選ばれた。介護保険制度の施
と を 考え、 そのシフト 先に介 護 分
も積極的に求職を促進した。これ
め、 無 資 格 者や未 経 験 者に対して
人 材 分 野 の 雇 用 政 策 を 進 める た
材不足が課題となり、政府は介護
介護需要が高まっていくなかで人
まず、介護福祉士の業務方針や資
門職労働市場﹂にする必要がある。
いくた めは、 介 護 労 働 市 場 を﹁ 専
今 後、 質の高い人 材 を 確 保して
20
景となったと考えられる。
が、慢性的な労働力不足発生の背
年のリーマンショック後には﹁ 緊
により介護分野は、景気が低迷す
3rd Session
急雇用対策﹂と﹁緊急経済対策﹂が
11 月刊老施協 Vol.540
バ
介護人材の定着・
第 3 分科会
確保・処遇改善に関する取組
2nd Session
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
稲田大学人間科学研究科緩和医療学・臨床死生学研究室
先駆的特別報告 早
塚本恵里香
社
会福祉法人愛信芳主会事務局長
感情労働尺度―日本語版―の作成
氏
〜介護職員の情動的労働の数値化を目指して〜
特別報告 大関晃一 氏
神奈川県社会福祉協議会福祉サービス推進部課長 年度ごろ
る仕事であると伝えた。
人材確保に関する取り組み報告
奈川県では平成
し て い る 各 大 学 の O B・ O G に、
3つ目は、県内の各施設に勤務
要課題となっている。福祉系以外
介護の魅力を伝える新たなメッセ
か ら﹁ 介 護 人 材 難 ﹂が 最 重
情的不協和・ネガティブ感情など
の学生にもこの業界に目を向けて
ンジャーとなってもらった。
神
4因子から構成されるこの尺度は
もらおうと、次の取り組みを行っ
指して評価尺度の開発を行った。感
日本語版がないことから、本研究で
た。
さ ら に、 学 内 の 就 職 面 接 会 の
は、日本語版感情労働尺度の開発
複数の社会福祉法人・施設の方々
ブ ー ス へ 参 加 す る に あ た っ て は、
後の若者に対し、福祉についてど
にチームになって、どのようにP
歳前
同研究は予備調査と本調査で構
う考えているのかインターネット
Rしていくかなどを考え実践して
1つ目は、学生や一般の
成され、予備調査は東京都A市の
調査を実施した。 %の若者が﹁介
を目的とした調査研究を行った。
通所介護153事業所に在籍して
20
る仕事﹂と定義されている。
必要とし、他者の感情に働きかけ
唱した概念で、
﹁自己の感情管理を
会 学 者ホックシールドが提
情労働﹂とは、アメリカの社
が確認され、日本語版感情労働尺
結果、日本語版の信頼性と妥当性
いる職員を対象に実施した。その
ア内の6事業所の特養に在籍して
いる職員を対象に、本調査は同エリ
年度から一
多い。介護についての正しい情報
ガティブなイメージを抱く若者が
者は、わずか5・1%。介護にネ
い る が、﹁ 介 護 業 界 で 働 き た い ﹂
護は社会にとって必要﹂と答えて
く機会が増え、各施設に就職を希
果、各大学からオファーをいただ
これらの取り組みを行った結
た。
ことでつながりを持ってもらっ
もらうとともに、大学を訪問する
労働、利用者個々に対しより良い
ると、介護職員は介護という肉体
員の感情労働の全国標準値の算出
今後は全国調査を行い、介護職
年度から県内
般大学へのアプローチを進めた。
2つ目は、平成
大学を訪問するうちに、い
しかし、このセルフコントロール
情労働﹂を行っている。
適切な感情の状態をつくり出す﹁感
自己感情をコントロールし利用者の
置づけを確認するとともに、介護
介護職員の感情労働の社会的な位
の 対 人 援 助 職 との 比 較 検 討 を し、
を把握する必要がある。さらに、他
種別・施設別・地域別などの特徴
り、地域とのつながりや、個々の
様子を写真を交えながら紹介した
イメージを払拭するため、施設の
は学生の介護に対するネガティブ
する流れとなった。ガイダンスで
くつかの大学でガイダンスを開催
の全
は、時として当人の負担となること
労働の負荷に対する正当な評価が
を検討することで、感情労働の職
もある。そこでドイツの社会学 者
スキル、パーソナリティを活かせ
ケアを日々考える頭脳労働に加え、
22
なされる一材料としたい。
ザップは、感情労働の定量化を目
望する学生も増加傾向にある。
を伝えるべく、平成
感
18
度が確定した。
85
24
これに基づき介護業務を検討す
3rd Session
Vol.540 月刊老施協 12
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26
第3
1分科会
分科会
介護人材の定着・確保・処遇改善に関する取組
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
先駆的特別報告 大澤理沙
釧路公立大学経済学部講師 月
日から
月
氏
日にかけて実施
介護施設の複合化・多機能化が地域包括
ケアの推進に果たす役割に関する研究
在、 医 療、 介 護、 住 ま い、
特別報告 内藤佳津雄
日本大学文理学部教授 で要支援者向けであった﹁目標志向
氏
域 包 括ケアは英 語では、コ
性﹂が適用され、地域や自宅で暮ら
在宅限界点を引き上げる
ミュニティにおける﹁インテ
た。本研究は、同システムの中核
定もその考え方に基づき実施され
年度の介護報酬改
アシステム﹂の確立が急務となっ
は拡大が多い。複合化している事
た。特に複合化している事業所で
が﹁ 現 状 維 持 ﹂よ り も や や 多 か っ
らかといえば拡大﹂と答えたほう
サ ー ビ ス 規 模 に つ い て は、﹁ ど ち
調査結果によると、今後の介護
とは、多様な支援において目標や方
いくことが求められている。
﹁統合﹂
さまざまな要素をパワーアップして
療との連携、看取りへの対応など、
ワードに、生活機能の向上、地域医
で暮らし続ける﹂という視点をキー
る。現在、我が国の介護は、
﹁在 宅
グレイテッド 統( 合された ・)ケア﹂
あるいは﹁パッケージド・ケア﹂であ
援は、パーソン・センタード・ ケア
一方、中重度者や認知症者への支
うまくいかない。
の事業所との連携・包括化なしでは
らに今後、訪問介護、訪問看護等
況のアセスメントが必須であり、さ
応じて居宅訪問し、利用者の生活状
も、生活相談員や看護師が必要に
向上が支援される。通所サービスで
地
と 位 置 づ け ら れ る﹁ 定 期 巡 回・ 随
業所はまた、前年より収入増のと
針を共有すること、
﹁パッケージ化﹂
がますます重視されるなか、事業所
し続けるための具体的な生活機能の
時対応型訪問介護看護﹂サービス
ころが多いという結果が出た。﹁定
とは、必要な支援が一体的に行われ
内にエキスパートを養 成するため
し、495事業所から回答を得た。
の実態を把握し、その供給拡大や
期巡回・随時対応型訪問介護看護﹂
ることであり、これまで以上に強く
に、担当者グループを形成したチー
ており、平成
%︶
安定したサービス提供を可能にす
サービス事業者は、それ以外の事
連携していくことが必要である。
ア ン ケ ー ト 調 査 票 の 配 付 先 は、
・
る要件を明らかにしていくことを
業者と比べて提供するサービスの
要支援者への介護予防は、平成
支援が必要で、包括化を図るための
︵有効回答率
目的としている。
種類が多く、特に同一法人内に医
年4月までに総合事業に移行し、今
れ目なく提供される﹁地域包括ケ
WAMNET﹁介護保険事業者名
療施設を有する場合は経営が安定
今後は、事業所属性と事業規模
の見通しや人件費の割合などがど
のように関連しているのかをもう
少し詳細に分析するとともに、同
サービスをすでに実施している事
業所とそうでない事業所の差異が
護には生活相談員が地域の活動に
界点を引き上げることになる。
全力で取り組むことが在宅介護の限
組みはすでに始まっており、それに
さまざまな分野の包括化への取り
核になることが期待されている。
図ったりする役割を担うことで、中
参加したり、他事業所との連携を
そして、軽度要介護者には、これま
29
5
どこにあるのかについても考察を
ムケアが不可欠。中重度者は多様な
簿﹂に記載されている事業者のう
地域連携の拠点として、特に通所介
生活支援サービスなどが切
20
までより活動や参加が重視される。
現
3
する傾向がみられた。
00事業所で、その属性やサービ
ス提供状況などを調べた。今年
2
16
深めていきたいと思っている。
13 月刊老施協 Vol.540
27
ちから層化抽出法で抽出した30
4th Session
現場 力
27
第4
1分科会
分科会
在宅限界点の向上に向けて
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
特別報告 で生活する高齢者も地域の一員で
域の中にある住まいの一つ。そこ
ような取り組みを行っていく必要
活動など、地域住民も参加できる
や入居者のサークル活動、サロン
具体的には、従来のように低所
氏
あり、彼らの生活は施設の中だけ
があるだろう。こうした取り組み
坂本俊英
では完結しない。だから、地域の
を進め、最終的には地域の活性化
日本総合研究所調査研究部長 いろいろな資源を巻き込みなが
といったところにまで視点を広げ
軽費老人ホーム・ケアハウスが支える
生活と安心
ロントランナーとして中心的な役
ら、その生活を支えていくことが
おいて軽費老人ホーム・ケ
得高齢者への生活支援や介護予
軽費老人ホーム・ケアハウスは専
軽費老人ホーム・ケアハウスは
点のはずだ。本当にそう思っても
てほしい。
割を担ってほしい。
アハウスに求められる役割とし
防、生きがいづくりなどを主な役
門職がおり、入浴や食事の提供と
域包括ケアシステム時代に
て、従来の居住支援や生活支援に
割としながら、要介護度の高い高
いった機能を有するので、本来な
必要だ。
加え、ソーシャルワーク、専門的
齢者や社会的援護を必要とする高
らいざというときに頼りになる拠
地
な 支 援 機 能 の 強 化 を 提 案 し た い。
齢者への支援を行うべきだ。
ず、 地 域 で 暮 ら す 人 も 含 ま れ る。
は、何よりもまず地域にどのよう
な社会資源があるかを把握し、必
要に応じて引き出していくことが
できなければならない。
加えて、自治体を巻き込んでい
か否かが問われるソーシャルワー
ペレーションの手腕に長けている
しっかりと伝えてきたであろう
たとえば、地域に養護老人ホー
クの仕事に対し、今後ますます注
域包括ケアシステムの中で
き役割を考えたとき、まず自分た
ムに入所すべき人がいれば、きち
もとりわけ重要なのがソーシャル
くような視点も必要。つまり、コー
ちの施設を内向きから外向きに転
んと入所できるように支援を行う
か。
換していかなければならないだろ
そのためにはソーシャルワーク
目と期待が寄せられるはずだ。
この場合で主に指すソーシャル
の価値と倫理を理解した人材をい
ワークの担う役割だ。
ワークというのは、アウトリーチ
か に 育 て て い く の か は、 我 々 に
など、私たちの存在・役割を社会
を駆使し、地域に対してどういう
とって大きな課題となるだろう。
に広くアピールしていかなければ
地域包括ケアシステムを実現す
支援が必要か、その手がかりを探
確かに、養護老人ホームに精通
なっているという現状は否定でき
るためには、地域の社会資源と連
していくことである。そのために
ならない。
ないが、私たちはこれまで行政に
携することが不可欠だが、なかで
している行政の担当者が少なく
対して自らの役割や取り組みを
う。
養護老人ホームの果たすべ
氏
らうためにも、普段から相談活動
清水正美
城西国際大学福祉総合学部准教授 社会福祉施設であると同時に、地
地
養護老人ホームで支える地域福祉と介護
特別報告 彼らにも目を向け、地域福祉のフ
一 方 で、 地 域 住 民 か ら す れ ば、
その対象には入居者にとどまら
5th Session
6th Session
Vol.540 月刊老施協 14
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第 5 分科会
軽費老人ホーム・ケアハウスが
支える生活と安心
第 6 分科会
養護老人ホームで支える
地域福祉と介護
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
特集 2025 社会保障大改革(介護新時代)は、
の
で!
現場 力
Column
初
ポスターセッション認定状授与式
3 施設が地域の拠点として
東日本大震災を乗り越えた経験を発表
日の全体会議では、ポスターセッション認定
状授与式も行われ、6 施設に認定状が贈られ
た。授与式の壇上で石川憲会長は、こう激励した。
「今回も、優れた実践をもとにする取り組みが発表
された。全国の各施設からの創意工夫が報告された
このセッションから、発表者同士がお互いに優れた
実践を持ち帰り、『科学的介護』としての研究をさ
らに深めていただきたい」
いずれも評価されたのは、現場で培った科学的介
泉尾特別養護老人ホーム
大正園
特別養護老人ホーム
春圃苑
特別養護老人ホーム
万葉園
特別養護老人ホーム
水泉荘
特別養護老人ホーム
あかしあ荘
護への取り組みだ。その試みは、食事状況改善によ
る利用者の満足度向上や、リスクの減少などにつな
がっている。また、印象的だったのは、認定施設の
半分が、東日本大震災における経験を活かした発表
(岩手、宮城、福島)だったこと。震災から4年が経
ち、発表した3施設からは、地域の拠点として震災
を乗り越えてきた、自信と決意が感じられた。
認定されたのは、次のとおり(タイトル・法人名・
施設・発表者)
。
「東日本大震災の経験を踏まえた今
後の社会福祉法人のリスクマネジメントと地域への
発信 地域の中で果たした役割と未来へつなげる意
志」
(岩手県 社会福祉法人堤福祉会 特別養護老
人ホーム三陸園の施設管理者・東谷輝一さん)
、
「イ
ンフルエンザ感染拡大防止対策としてのタミフルの
予防投与効果について」
(仙台市 社会福祉法人幸
生会 特別養護老人ホーム水泉荘の看護課長・高橋
里美さん)
、
「災害時の人的物的支援や入居者の避難
受入れといった施設間の広域連携」
(福島県 社会福
祉法人南相馬福祉会 特別養護老人ホーム万葉園の
施設長・菅原武さん)
、
「ソフト食改善への取り組み」
(石川県 社会福祉法人相生会 特別養護老人ホー
ムあかしあ荘の管理栄養士・坪田千鶴子さん)
、
「地
各事業の発表者に認定状が授与され、
あちらこちらで笑顔がこぼれていた
域拠点としての災害福祉∼東日本大震災を経て∼」
(宮城県 社会福祉法人春圃会 特別養護老人ホー
ム春圃苑の事業推進課長・成瀬武さん)
、
「口腔ケア
を充実し肺炎での入院者の減少を目指す」
(大阪府
恩賜
社会福祉法人財団大阪府済生会 泉尾特別養護老
人ホーム大正園の事業二係副主任・三浦亮一郎さ
ん)
。
参加者の多くが、ポスターを熱心に見入っていた
15 月刊老施協 Vol.540
特別養護老人ホーム
三陸園
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会① 認知症ケアの実践
特別養護老人ホーム逅里苑
(香川県)
もある。そこで、 認 知 症 発 症 者に
ついて症 状と 薬 剤の関 係 を 調 査し
たうえで、 薬 剤 を 中 止 あるいは減
らして症 状 を 緩 和させる取 り組み
を昨年4~ 月に行った。
人を対象に
具 体 的には、 認 知 症を発 症して
いる利用者・ 入居者
まず、 処 方 薬を調 査。その後、 ▽
十分なアセスメントの実施、▽症状
家族や主治医と協議しながら服薬
の表出と処方薬の関係の考察、▽
を中 止する( 減らす)︱︱というサ
イクルを繰り返し実践した。
人が向 精
神 薬や認 知 症 薬 を 服 用していたが
特別養護老人ホームサンアップルホーム
(青森県)
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会② 自立支援介護の実践①
歳 )は、 退 院 後 に 階 段 の 上
折 で 入 院 し て い た K・ K さ
年1月に右大腿骨転子下骨
佐藤加奈 さん(介護職員)
昨
ん(
で在 宅 復 帰 を 目 標にケアプランを
りのケアを考える﹁ 個 別ケア会 議 ﹂
夜間ともに上がった。家族も、K・
よって、排泄ケアの成功率が日中、
テーテルの抜 去、 ⑤ 認 知 症の改 善
食 事 の 自 力 摂 取、 ④ 膀 胱 留 置 カ
レベルの向上、②車いすの撤廃、③
外出も行った。
回 数も 増えて、この9月には自 宅
回になるとともに、 家 族との外 出
1回ほど だった 面 会が現 在では
歩みを 進めていること を 実 感。 月
Kさんが在 宅 復 帰に向けて着 実に
︱︱の5つが挙 げられた。 特に ④
具体的な課題としては、①覚醒
作成した。
との希 望があ り、 利 用 者一人ひと
家族から
﹁自宅に帰ってきてほしい﹂
ど は、 ほ と んど が 全 介 助 だった。
活気もなく、食事・排泄・移動な
日 中 はボーっと 過 ごし、 傾 眠で
開始した。
行が難しくなり、当施設の利用を
り下りや手すりを使いながらの歩
88
医 師に相 談 後、 抜 去してトイレ排
かったので、入院していた際の担当
よ りトイレ排 泄 を 全 く 行っていな
は、 膀 胱 留 置カテーテルの挿 入に
援していきたい。
一日でも 早い在 宅 復 帰の実 現 を 支
栄 養 量 ・ 活 動 量の増 加 等に 努め、
排泄を訴えられるよう、水分量 ・
今 後は、K・ Kさんが自 発 的な
への排 尿がなく、パッドへの失 禁が
泄の実施を開始。当初は、便器内
11
処 方 薬の調 査では、
知 症 高 齢 者 の 暴 言 や 暴 力、
同 サイクルの 実 践 によって、
・
徘徊、不安や妄想などのB
なアセスメントによる適切なケア
〜在宅復帰へ向けて〜
野上貴史 さん(施設長)
認
症状)は、本人の役割の喪失や生
が提供できれば、服薬を中止して
%の利用者が処方を中止。十分
活意欲の低下等を招き、それらは
も症状は改善する。介護現場では
の理解を広く地域に浸透させるこ
すぎない認知症ケアの実践と、そ
﹁生活﹂に視点をおき、医療に頼り
況などさまざまな点を考 慮しなが
とが大切だ。
当 施 設では環 境やケア、 身 体 状
も変えてしまう。
本人のみならず、周囲の人の生活
P S D( 認 知 症 に 伴 う 行 動・ 心 理
69
ら、
認知症高齢者と共に
﹁生活する﹂
という視 点 を 持ち、かかわ り続け
続いていたが、 ①で水 分
量 の 増 加 を 図 ら れ たの
特別養護老人ホーム
福寿荘
(岩手県)
黒澤優子さん
る 必 要 があると 考 え
野々山峰史さん
優秀賞
大好きなご家族と共に
佐藤加奈さん
稲垣拓也さん
87
52
特別養護老人ホーム
高浜安立荘
(愛知県)
Vol.540 月刊老施協 16
© yspbqh14 - Fotolia.com
た。BPSDの緩 和を
尿 ・ 排便が見られるよう
で、 次 第 に 便 器 内 に 排
になった。
こ う し た 取 り 組 みに
奨励賞
11
佐々木要さん
特別養護老人ホーム
偕楽園ホーム
(東京都)
〜 BPSD 改善と処方薬〜
優秀賞
認知症高齢者の自立支援について
野上貴史さん
図るためには薬 剤の使
用が挙げられるが、 過
剰に摂取すると病状を
悪 化させてしまうこと
特別養護老人ホーム
愛知たいようの杜
(愛知県)
2
奨励賞
2 日目 分科会
実践研究発表(優秀賞・奨励賞)の紹介
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会③ 自立支援介護の実践②
年度に日中おむつ
特別養護老人ホーム春緑苑
(愛知県)
、
2つ目に、年間の計画を実施す
化と職員への周知徹底を行った。
まず、施設としての方針の具体
者 の 生 活 に は メ リ ハ リ が 生 ま れ、
施設の活気が増した。また、利用
り、利用者や職員の笑顔が広がり、
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会④ 看取り介護の実践
な姿勢の確保と看取りの受容﹂を
)
特別養護老人ホームアルメゾンみづほ
(愛知県)
多発性脳梗塞で終末期宣告を受
目標に、口腔内湿潤、頻回の面会
榊原瑞恵 さん(生活相談員
けて昨年5月に入所されたNさん
日、家
聞き、夏祭り参加をめざして科学
な 状 況 だ っ た。
﹁ お 祭 り 好 き ﹂と
設し、入所時は意思疎通も不明瞭
経口摂取が不可能で胃ろうを造
を基に、終末期ケアを考えてみた。
ランを作るには利用者のサインを
ためのプランナーであり、良いプ
は、最期まで輝いて生きてもらう
新たなニーズを引き出す。私たち
と は 本 人 の 生 き る 原 動 力 に な り、
短期目標を利用者と共有するこ
族に見守られながら永眠された。
と状態報告を続け、3月
的介護を実践。水分量と食事カロ
見逃さない受信力が必要だ。
歳・ 要 介 護 4)の 事 例
リーの見直しから始め、排泄訓練、
月の文化祭で模擬店メ
今年3月、機能低下が見られ支
能となり、文化祭にも参加できた。
みを実施した結果、経口摂取が可
手法による食事形態向上の取り組
ニューが食べられるように、QC
に参加。
能になり、夏祭りには家族ととも
による意思疎通、トイレ排泄が可
立排泄環境の整備を行った。筆談
スカイリフト活用による移乗・自
方針の見直し、寝具類の機能確認、
さらに福祉用具の使用によるケア
( 男 性・
〜普段の積み重ねからエンディングプランを考える〜
伊藤真人 さん(介護係長)和
・ 田将典 さん(ユニットリーダー)
成
ゼロを達成したものの、そ
るための行動内容と毎月の行動目
今後は、さらに知識・技術をつ
職員間では仕事へのやりがいや
け専門性を高めて利用者の要介護
チーム意識の向上が得られた。
動計画書﹂を作成した。
度の軽減を図るとともに、自立支
安を示す﹁目標管理シート﹂と﹁行
つのプロセスになっている。
ざすというものだ。具体的には
用者のADLとQOLの向上をめ
のレクリエーションを通じて、利
それは、アクティビティとして
回の取り組みのきっかけである。
はないかと疑問視したことが、今
してもQOLが伴っていないので
用者の負担となり、ADLは向上
た。
﹁水分ケア﹂
﹁ 歩 行 ケ ア ﹂が 利
き合うことがおろそかになってい
れにとらわれるあまり利用者と向
平
伊藤真人さん
3 つ 目 に、 プ ロ セ ス
杉浦文昭さん
に重点をおいてアク
17 月刊老施協 Vol.540
28
特別養護老人ホーム
安立荘
(愛知県)
援方針を変更。ニーズの聞き取り
矢倉 遥さん
を頻回に行うとともに、食事は嗜
好 品 に 変 え た。 ベ ッ ド 上 の ポ ジ
ショニングを見直し、室内BGM
を好きな歌謡曲に変
奨励賞
援から在宅復帰を見据えた体制の
小林 徹さん
優秀賞
最後の望みを叶える看取り
榊原瑞恵さん
え、 ア ル バ ム を 見 な が
ら家族と過ごす時間を
特別養護老人ホーム
恵信ロジェ山梨
(山梨県)
ティビティを実施した。
確立をめざしていきたい。
特別養護老人ホーム
南生苑
(千葉県)
4つ目として、コミュ
ニケーションロボット
﹁パルロ﹂を導入した。
最 後 に、 介 護 力 向 上
鈴木由佳さん
「これで良いのか?」
からの脱却の過程
優秀賞
科学的介護とアクティビティの実践
和田将典さん
の取り組みの継続の重
要性を職員に呼びかけ
日 以 降 は﹁ 楽
増やした。
3月
21
5
94
26
た。
特別養護老人ホーム
福寿園
(石川県)
11
25
これらの活動によ
奨励賞
現場の力で!
特集 2025 社会保障大改革
(介護新時代)は、
介護老人福祉施設みどりの園
(鹿児島県)
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会⑤ 医行為・リハビリテーションの実践
施設では個別的リハビリを
実施しているが、入所者の
この取り組みの結果、現在では歩
行車を使えば自力歩行ができるよ
たいという希望を持っており、A
本人は、できるだけ夫の側にい
うになった。
イレ、静養、アクティビティなど
DLが向上したことで外出や外泊
んは長期入院による廃用性の筋力
の重要性を理解したうえで、毎日
を養いながら、こうした取り組み
右田 大さん
特別養護老人ホーム
みかんの丘
(熊本県)
特別養護老人ホームアテーナ
(愛媛県)
第1分科会 科学的介護の実践(高品質サービスの追求)
〜アウトカム評価の指標づくり〜
●分散会⑥ 口腔ケアの実践
護 職 を は じ め 看 護 職、 機 能
しており、家族も喜んでいる。
でゼリーを食べる時間を楽しみに
木内 泉 さん(介護支援専門員)
訓 練 指 導 員、 管 理 栄 養 士、
喜びに直接触れることで、介護職
このように入所者やその家族の
なる経口摂取委員会で取り組んだ
えで経口維持を続けたものの、今
向により、誤嚥リスクを承知のう
は難しいと指摘された。家族の意
聴覚士から経口摂取を継続するの
いきたい。
るよう、多職種協働で取り組んで
が再び口から食べる喜びを得られ
し、経口移行できていない入所者
今後も同委員会の活動を継続
清潔にすることや口腔内マッサー
の確認、口腔用ガーゼで口腔内を
食事前の準備では、ベッド角度
の経口摂取に向けて取り組んだ。
り、1日1回、嚥下訓練用ゼリー
う程度の経口摂取なら可能とな
に多少の問題が見られたが、味わ
準等を確認したところ、嚥下機能
け、同委員会を開催。経口移行基
みはなくしたくないとの希望を受
家族からの、口から味わう楽し
ていた。
戻れたときは胃ろう造設者となっ
院。危険な状態を脱して当施設に
年5月に急性肺炎と心不全で入
性が浸透している。
員の中に口から食べることの重要
歳の入所者は昨年8月、言語
事例を紹介する。
介護支援専門員、言語聴覚士から
介
経口摂取委員会の取り組み Vol. 2
箕浦知世 さん(理学療法士)
当
生活の一部として動作練習ができ
ないかを検討した。
まず、入所者の身体機能面、A
DL、認知機能面、転倒・転落の
リスクなどを各専門職で評価。リ
ハビリテーションサポートチーム
( R S T )を 立 ち 上 げ、 現 状 の 把
握と情報共有を図った。次に、過
介助にならないためのケア方法の
検討と周知、活動性アップにつな
がる移動手段の検討を行った。
その後、入所者が起きてから寝
の動作のなかから訓練士が会得す
るまでの間に行っている食事やト
べ き 動 作 を 抽 出 す る と と も に、
今後も、全職員が入所者の日々
が実現した。
けて必要な動作の抽出を行った。
の様子を観察し、変化に気づく目
ニーズを聞き出し、その実現に向
歳女性のW・Tさ
低下があり、トイレ介助に介護職
実践し続ける必要がある。
たとえば、
が二人必要だった。日常的に車イ
新谷龍一さん
97
ジのみならず、日光浴による外部
刺激も行った。開始当初
新谷みゆきさん
岡 司さん
スを使っていたが、移動以外はイ
特別養護
広島原爆養護ホーム
神田山やすらぎ園
(広島県)
優秀賞
口から食べるということ
木内泉さん
特別養護老人ホーム
三陸園
(岩手県)
佐藤 彩さん
スに移ってもらうようにし、立ち
奨励賞
Vol.540 月刊老施協 18
© yspbqh14 - Fotolia.com
上がりの機会を増や
は一口で吐き出していた
ものが、今では完食でき
るようになった。入所者
は、1日1回、自らの口
奨励賞
〜自然にできる機能訓練導入への取り組み〜
優秀賞
生活の中にこそ機能訓練を!
箕浦知世さん
し、 足 の 筋 力 ア ッ プ
を め ざ し た。 イ ス に
座 る こ と で、 座 位 が
安 定 し 体 幹 も 安 定。
特別養護老人ホーム
黒潮園
(和歌山県)
80
2 日目 分科会
実践研究発表(優秀賞・奨励賞)の紹介
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
未来を信じて種をまく 優秀賞
第2分科会 特別養護老人ホームの更なる取組
地域密着型特別養護老人ホームなの花
(愛媛県)
施設長や介護長による施設での看
職種の参加があった。
勉強会では、
の参加も可能であり、さまざまな
グ を 実 施 し た。 こ う し た 活 動 が、
使って回想法や再記憶トレーニン
せ て D V D 作 成。 こ の D V D を
想中に出た発言と写真を組み合わ
た、看取りケアと認知症ケアのノ
洲本特別養護老人ホームラガール
(兵庫県)
第3分科会 介護人材の定着・確保・処遇改善に関する取組
年度から
上野由美 さん(介護福祉士)
施設では、平成
高校卒業者を介護職員とし
年度は、経験者用の
心構え、指導方法の統一を図った。
践的な研修をマンツーマンで行った。
高卒・未経験者は、既存職員が
からないことはその場で聞くこと﹂
職 者からは﹁ 先 輩 職 員から注 意 さ
思っている 以 上に技 術・ 知 識 不 足
入 職 員 を 迎 え 入 れるにあ たっての
れても判断基準がわからない﹂など
また、既存職員研修も実施し、新
の戸惑いが聞かれたほか、一般常識
ゆえに不 安 な気 持ちで業 務 を 行っ
がないまま業 務に入るため、 新 入
不 足や責 任 感の弱さなどの課 題も
ている。これからも、 職 員 同 士 が
担当指導者が半日の介護技術の研
経 験 者 用のものに変え、 業 務 前に
が快適に過ごせる﹁より良い施設づ
のなかで、ともに成 長し、 利 用 者
連 携し新 入 職 員が働きやすい環 境
残った。 翌
年 度はマニュアルを未
で対 応した。しかし、 知 識や技 術
実践的な指導マニュアルを使い、
﹁わ
まず平成
成長することができた。
容を毎年変更することで、ともに
向き合い、考え悩みながら指導内
で新入職者と既存職員とが互いに
初、期待と戸惑いがあった。そこ
1年生の彼らの受け入れには当
経験者の入職はあったが、社会人
て迎え入れている。それまでも未
当
〜共に成長するために〜
矢野健吾 さん(施設長)
域包括ケアシステムの中核
施設である当施設は、住み
やすい地域づくりのために高齢者
福祉への理解とその魅力を地域へ
発 信 す る。 そ の 取 り 組 み と し て、
①﹁看取りをご家族﹂と、②﹁認知
症を高専生﹂とそれぞれ共有する
ことを行った。
①では
﹁家族合同看取り勉強会﹂
を開催した。特養やグループホー
取 り の 基 本 方 針、 考 え 方 の 説 明、
学生の認知症への理解促進や高齢
ムの入所者の家族を中心に、一般
看取りの実践事例報告、看取った
者施設へのイメージアップにつな
ま た、
﹁小中学校教員の初任者
がった。
士が感想や考えを共有する活動を
研修の受け入れ﹂も行っている。
家 族 か ら の 感 想 の 発 表、 そ し て、
行っている。この活動により、家
これからの 年は、当施設で培っ
その後グループワークで参加者同
族をはじめ参加者の看取りへの不
修 や、 言 葉づかい、 責 任 感 等の一
19 月刊老施協 Vol.540
くり﹂をめざしたい。
髙村龍一さん
般 常 識の指 導 を 行った。さらに
年 度には、 新 人 研 修 プログラムを
作 成して2日 間の研 修を実 施。1
日 目 は 社 会 人 としての心
特別養護老人ホーム
龍生園
(熊本県)
優秀賞
高卒・未経験者を迎えて
上野由美さん
構 えや高 齢 者、 認 知 症に
ついての 研 修、 2 日 目 は
松田香織さん
安が軽減でき、職員の説明力の向
山田 優さん
25
シーツ交 換、 移 乗、 排 泄
奨励賞
ウハウを地域に展開する仕組みづ
くり、人材育成に取り組みたい。
特別養護老人ホーム
みかんの丘
(熊本県)
25
介 助、 更 衣 介 助 などの実
特別養護老人ホーム
静苑ホーム
(北海道)
上も図られた。
点を使
中村純也さん
27
10
特別養護老人ホーム
旭ヶ丘園
(鹿児島県)
②では、
新居浜高専生と一緒に、
アナログ写真を使ってのデジタル
~
回想を行った。利用者の幼少期か
らの写真
の 写 真 を 見 な が ら、 本
人が往時を回想してい
く も の だ。 学 生 は、 回
奨励賞
26
地
〜 3500日後の実りのある生活のために〜
矢野健吾さん
50
用 し、 学 生 や 家 族 と そ
30
現場の力で!
特集 2025 社会保障大改革
(介護新時代)は、
第4分科会 在宅限界点の向上に向けて
小規模多機能型居宅介護事業所よみたんふれあいの里
(沖縄県)
年度から、読谷村役場
同センターや保 健 師、 当 事 業 所
縛られた生活はしたくないという。
た。 本 人 は 喫 煙 や飲 酒 を 希 望し、
できないかという問い合わせがあっ
した。 余 命 告 知から か月 後、A
や納骨の手はずなどについても相談
認、自治会長による死亡後の葬儀
や 地 域 住 民の 力 を 借 り た 安 否 確
確化。医療と連携した緊急時対応
ていた だ くことで、 今 まで
日は訪問や希望時は宿泊を利用し
と告 知されたが、 週4回 通 所、3
入れを決 定。その後、 余 命3か月
を送ってもらえたのか、職員の不安
できたのか、本当に望んでいた最期
は、 Aさんの心に 寄 り 添 うケアが
さんは永 眠。 残された課 題として
やストレスへのケアはどうすればよ
第
分科会 軽費老人ホーム・ケアハウスが支える生活と安心
歳・ 女 性 )
と家族の
﹁歩ける生活に戻る﹂
用 者のNさん(
村山真一 さん(介護職員)下
・ 條寛美 さん(介護支援専門員)
ケアハウスケアプラザ而今
(栃木県)
5
助活動により、﹁歩ける生活に戻る﹂
た行 動が始まり、Nさんも機 能 訓
るNさんへの見 守 りや声かけといっ
がった。ここから、他の利用者によ
者は、地域の保育園や小学校、併
できた。オレンジリングを持つ利用
贈呈し﹁役割意識﹂を見出すことが
自につくった︽而今ピンクリング︾を
活 動 をしたいという利 用 者には独
設の特 養 などへのボランティアへ積
極 的に参 加するなど、 地 域との繋
思 考し地 域 貢 献に取 り組んでいき
今 後 もケアハウスの 存 在 意 義 を
がりが深まった。
利 用 者に向けた 認 知 症サポーター
たい。
が困難であるが、ケアハウスの中で
講 座 を 開 催。 地 域へ出て行くこと
厳ある共 生 ﹄という課 題に対して、
自立・要支援・要介護利用者の﹃尊
この互 助 活 動から、 施 設 内での
という目標を達成した。
練に励むようになる。Nさんへの互
とはあるかという声が自 発 的にあ
化が見られ、 自 分 たちにできるこ
果 はなかったが、 他の利 用 者に 変
境 を 整えてみた。Nさん自 体に効
他の利 用 者と 交 流の図 りやすい環
進 ま なかった。 そこで、 施 設 内の
てていたが、取り組みは思うように
当初は実現可能な短期目標を立
効果が生まれたことを報告する。
程で、当 施 設 内にさまざまな相 乗
という目標を達成する取り組みの過
利
〜ケアハウスと地域をつなぐオレンジリング〜
栄門千夏 さん(介護職)嘉
・ 数いく子 さん(管理者)
成
や 地 域 包 括 支 援センターか
歳 男 性のA
の看護職や管理者と相談し、受け
に帰 すことができ ず、 宿 泊 利 用が
るが、 自 宅は衛 生 状 態が悪いため
首に腫 瘍があ り、 検 査 を 受けてい
見兼ねた同センターから、Aさんの
そうな状 態でゴミに囲まれている。
気ガスが通っておらず、天井が崩れ
寄 りがない。 自 宅は9年 前から電
Aさんは要 支 援1で、 独 居で身
さんを支援した事例を紹介する。
受けている。 今 回、
ら高 齢 者の緊 急 受け入れの依 頼を
平
栄門千夏さん
と 変わらない生 活 を 送れる
いのか、ということが挙げられる。
途中で無断外出が続き、自
ように支援することとした。
坂﨑 亘さん
84
下條寛美さん
石田博嗣さん
10
サンアップルホーム
デイサービスセンター
(青森県)
〜その人らしい生活のお手伝い〜
優秀賞
混合型ケアハウスとしての特徴を生かした互助と地域交流
村山真一さん
山下富士子さん
ケアハウス寿楽荘
(佐賀県)
分のストレスを職員にぶつけ
武藤理紗さん
棚橋明子さん
Vol.540 月刊老施協 20
© yspbqh14 - Fotolia.com
ることもあったが、そのつど
特別養護老人ホーム
椿野苑
(岐阜県)
優秀賞
地域や行政と関って
嘉数いく子さん
本 人と向き合い、 延 命や生
活に対する本人の意向を受
奨励賞
70
け止めるようにした。
広島県済生会
ケアハウス安芸
(広島県)
21
さらに具体的な対応を明
奨励賞
2 日目 分科会
実践研究発表(優秀賞・奨励賞)の紹介
平成 27 年度 全国老人福祉施設研究会議 山形会議
各地からの毎年800人を超える
きない活動である。それは、全国
行う平和学習は、被爆者にしかで
ことが困難な方の施設だ。ここで
において日常生活の養護を受ける
神上または環境上の理由で、居宅
ある被爆者で、身体上や精
施設は、広島県内に住所が
に 渡 して
した生 徒
れを来 園
く り、 そ
り 紙 をつ
作品や折
めて陶 芸
持ちを込
和への 気
んは、 平
(群馬県桐生市)
ーム梅の郷
特別養護老人ホ
当施設では機能訓練に力を入れたいと考え
ており、他の施設の取り組みを参考にしよう
と、今回初めて参加しました。分科会では拘
縮への対応方法などを学ぶことができまし
た。学んだことを現場に持ち帰って、日々の
ケアの実践に活かしたいですね。
広島原爆養護ホーム舟入むつみ園
(広島県)
来園生徒に対し、入園者が自主的
いる。 喜
護職員)
●小幡正一さん(介
第6分科会 養護老人ホームで支える地域福祉と介護
に 被 爆 体 験 を 話 す と い う も の で、
年が経った 今で
看取りの取り組みはストレスがかかります
が、各発表者の「ご家族から感謝の言葉をい
ただく機会が多い」という声を聞き、 やり
がい のある取り組みだとあらためて感じま
した。もっと長い時間、聴講していたかった
です。
分科会では看取りに関する事例発表が参考
になりました。自宅で安らかに最期を迎えて
いただくための知識や方法を習得でき、自ら
の現場でも参考にしたいと思います。
川﨑良恵 さん(生活指導主任)小
・ 鷹狩聡 さん(生活指導員)
その具体的な事例を紹介する。
んで くれ
る生 徒の笑 顔や生 徒からの手 紙が
入 園 者のOさんは 常にイライラ
した 様 子で、 同 室 者 とのトラブル
の心の負 担を軽 減する効 果がある
つらい体 験 を 話 すことは入 園 者
生活への活力につながっている。
参加への促しを行った。助けられな
礼の手紙から﹁人の役に立っている﹂
し、 平 和 学 習での生 徒の表 情やお
だったと 聞き、 Oさんに平 和 学 習
が続いていた。 家 族から高 校 教 師
かった人への罪の意識など、被爆体
ただ、 被 爆から
という気 持ちを持つこともできる。
験が心に及ぼす影 響に配 慮しなが
ら取り組んだ。
まず、 平 和 学 習の会 場
入 園 者一人ひと り異 なり、 職 員に
も、その体 験による精 神 的 影 響は
●五瓶葉子さん(介護員コーチングリーダ
ー)
特別養護老人ホームかみじ荘
(山形県鶴岡市)
●山口敬介さん(計画作成責任者)
富山中央サポートセンター
(富山県富山市)
当
川﨑良恵さん
た後、 適 宜 職 員がサポー
で雰 囲 気 を 感じてもらっ
は個々の心に寄 り添 う支 援が求め
佐藤宏紀さん
平田久仁子さん
トをしながら、 生 徒を前
養護老人ホーム
名古屋市寿荘
(愛知県)
られる。
21 月刊老施協 Vol.540
70
廣津亮輔さん
に 被 爆 体 験 を 話 し ても
Oさんにしかできないこと
らった。 体 験 を 話 すのは
だと 伝 えることで、 Oさ
養護老人ホーム
浜美荘
(熊本県)
優秀賞
今、私に出来ること、私でなければできないこと。
「平和学習」による生活意欲の向上
小鷹狩聡さん
参 加し、 手づくりの資 料
んは積 極 的に平 和 学 習に
も用意するようになった。
入 園 者のBさんやKさ
奨励賞
現場の力で!
特集 2025 社会保障大改革
(介護新時代)は、
山形会議 参加者コ メ ン ト
t
Commen
2日目は、山形国際ホテル、ホテルメトロポリタン山形、ホテルキャッスルの各会場に
分かれ、計 11 会場で分科会と分散会が開催された。どの会場にも多くの参加者が詰め
かけ、各発表に熱心に耳を傾ける姿が見られた。ここでは参加者の声を紹介する。