イソフルエンザ流行の時間差に関す る研究 − 平均気温,平 均相対湿度を

昭和60年4月20日
355
イ ソ フル エ ンザ流 行 の時 間差 に関す る研 究
−
平 均 気温,平 均 相 対 湿度 を中 心 として −
日本医科大学衛生学公衆衛生学教室
薩
田
清
明
乗
木
秀
夫
東京都立衛生研究所
坂
井
富士子
薮
内
(昭 和59年8月14日
受 付)
(昭 和59年10月16日
受 理)
清
Key words:Influenza,Epidemic,Relative
Temperature
要
1983∼1984年
humidity
旨
に か け て の イ ン フル エ ン ザ の 流 行 は 主 と し てAソ
行 で の 患 者 発 生 の 全 国 的 傾 向 は1984年1月
連 型 ウ イ ル ス に よ る も の で あ り,同 流
下 旬 か ら2月 初 旬 を ピ ー ク期 と して 認 め られ た.し
京 地 域 で の そ の ピ ー ク期 は1983年12月11∼17日
に か け て の 第50週 に 認 め られ,全
か し,東
国 との 間 に 著 し い 流 行
の 時 間 差 が 認 め ら れ た.
そ こ で,著 者 ら は こ の 流 行 の 時 間 差 を 解 明 す るた め に福 岡 地 域 を 対 照 に 気 象 学 的 に検 討 し,次 の よ う
な 成 績 が得 ら れ た.
1)平
均 気 温 の 上 で は両 地 域 と も平 年 に 比 較 して 今 季 は 異 常 低 温 で 流 行 期 を 経 過 し た こ とを 認 め た が,
地 域 間 に 差 は 認 め られ な か っ た.
2)平
均 相 対 湿 度50%以
下 の 日数(1983年11月
∼12月 の 間)を み る と東 京 地 域 は 平 年 同 期 お よ び 福 岡 地
域 の 今 季 と比 較 して も有 意 に そ の 割 合 の 多 い こ とが 認 め られ た.
3)1∼3月
末 の 間 の 平 均 相 対 湿 度60%以
上 の 日数 は 東 京 地 域 で 平 年 に比 べ て 今 季 の ほ うが 有 意 に 多
く認 め られ た.
以 上 の ご と く,今 季 の 全 国 と東 京 地 域 の イ ン フ ル エ ソ ザ 流 行 との 間 に 生 じた ピ ー ク期 の 時 間 差 に,平
均 相 対 湿 度50%以
下 の 日数 を 占 め る割 合 に 強 い 関 連 性 が 考 え られ た.
は じめ に
一般
的 に み て,わ
2回 目の接 種 が 行 なわ れ て い るの が 現 状 で あ る.
が 国 の イ ン フル エ ン ザ の 流 行
従 って,接 種 対 象 集 団 の多 くが11月 中 に接 種 を 完
は 毎 年10月 後 半 か らそ の 兆 しが み られ る.す な わ
了 す る よ うに集 団 予 防 接 種 方 式 で 実 施 され て い る
ち,小
訳 で あ る.
・中 学 校 で の 集 団 かぜ に よ る学 級 閉鎖 や 休
校 な どの 動 き に よ って 認 知 さ れ,同 時 に児 童,生
しか し なが ら,毎 年 実 施 さ れ て い る この イ ン フ
徒 の い わ ゆ るか ぜ 様 疾 患 群 か らの ウ イル ス 分離 に
ルエ ンザ ワクチ ンの予 防効 果 につ いて 疑 問視 さ
よ っ て確 認 され る.
れ,と
そ の た め,現 行 法 で の ワ ク チ ン の接 種 時 期 は初
回 接 種 が10月 に 入 る と開始 され,1∼4週
別 刷 請 求先:(〒113)東
後 に第
田 ら1)2)は1976年以 来7回
の 問題 に 対 して,薩
の 流 行 期 で の 調 査 か ら,
ワク チ ン接 種 の 効 果 を 高 め るた め に は 現 行 の接 種
京都 文 京 区千 駄 木1-1-5
時 期 を約1ヵ
日本 医科 大学 衛 生 学 公 衆衛 生 学教 室
薩田
き に は社 会 的 問 題 を 引 き起 した こ と も事 実
と言 わ な け れ ば な らな い.こ
清明
月 ぐ らい遅 らせ る必 要 性 の あ る こ と
を 指 摘 して い る.
感 染 症 学雑 誌
356
一 方
,
1983∼1984年
に か け て の イ ン フル エ ン ザ
第59巻
表 の 日別 平 均 気 温,日 別 平 均 相 対 湿 度 の1976年11
様 疾 患 の発 生 状 況 を過 去 の7年 間 と比 較 し てみ る
月1日 か ら1983年3月
と,全 国 的 傾 向 と して の ピ ー ク期 は お お む ね 一 致
を示 し,今 季 値 とは1983年11月1日
末 日ま で の7年
して い るが,東 京 地 域 に お け る流 行 の ピ ー ク期 は
月 末 日 まで の 日別 平 均 気 温,日
他 の道 府 県 と著 し く様 相 を 異 に して 認 め られ た.
示 す もの で あ る.
そ こで,著 者 らは この 流 行 の 時 間 差 を 引 き起 こ
した原 因 が,1983年
後 半 か ら1984年 前 半 に か け て
一 方
し,さ
間の平均値
か ら1984年3
別平均 相対湿度 を
ウイ ル ス分 離 は 主 と し て艀 化 鶏 卵 を使 用
,
らにMDCK細
胞 も利 用 し常 法 に 従 っ て 実
の わ が 国 の異 常 気 象 現 象 に求 め られ る の で は な い
施 した.な
か と考 え,イ
られ な い もの を 陰 性 と した.ま
ン フル エ ン ザ流 行 と気 象 との 関 係 を
第4号
お 第3代 継 代 後 も ウイ ル ス 検 出 の 認 め
た,急 性 期,回
復
実 際 の流 行を利 用 してそ の解 析 を試 み た 訳 で あ
期 の ペ ア血 清 の 得 られ た も の に つ い て は血 球 凝 集
る.
抑 制 試 験 や 補 体 結 合 反 応 な どを利 用 し て感 染 の 有
材料 お よび方法
無 を血 清 学 的 に検 討 した.
成
本 検 討 に用 い た 材 料 は厚 生 省 公 衆 衛 生 局 保 健 情
報 課 よ り入 手 した1976年11月 か ら1984年3.月 末 ま
1.イ
で のわ が 国 に お け る イ ン フル エ ン ザ様 疾 患 患 者 の
について
,
ン フ ル エ ン ザ様 疾 患 患 者 の 週 別 発 生 状 況
1976∼1984年 に か け て の わ が 国 に お け る イ ン フ
週 別 発 生 状 況 の 資 料 で あ る.
一 方
績
東 京お よび福 岡の各地域 を代表 す る東京
ル エ ンザ 様 疾 患 患 者 の週 別 発 生 状 況 はTable
管 区,福 岡 管 区 の両 気 象 台 発 表 の1976年11月1日
示 す 通 りで あ る.1976∼1983年
か ら1984年3月
期(7回)に
末 日ま で の 日別 の 各気 象 観 測 記 録
イ ル ス 分離 用 材 料 は東 京 都 衛 生 研 究所
ウイ ル ス課 が1983年9月28日
にかけての各流 行
お け る平 均 的 な 週 別 患 者 発 生 状 況 を
み る と,10月 末 よ り患 者 発 生 は認 め られ る もの の,
を気 象 庁 よ り入 手 した 資 料 で あ る.
ま た,ウ
1に
本 格 的 な患 者 発 生 は翌 年 の1月
1月 の第2週,第3週
か ら1984年2月22日
に な って か らで,
ご ろか ら急 激 な 患 者 発 生 が
の 間 に 東 京 地 域 で 集 団 か ぜ の発 生 を 認 めた25校 の
報 告 さ れ,1月
学 校 集 団 か ら病 因 検 査 の た め に採 取 した うが い 液
(27万5千
126検 体 で あ る.さ ら に,血 清 学 的 検 討 の た め に 同
向 を示 して い る.こ の7年 間 の平 均 的 患 者 発 生 数
時 に 採 血(急
は年 間 約137万7千
期)し
性 期)し,約2週
後 に も採 血(回
復
一 方
た もの で あ る.
検討 方法 はわ が 国 の イ ン フルエ ンザ様疾 患 の
1976年11月 か ら1983年3月
まで の7年
間の平均的
な週 別 発 生 状 況 と1983年11月 か ら1984年3月
まで
,
末 か ら2月 初 め に か け て の第5週
人)を ピー ク期 と して,そ
の後 は減 少 傾
人 で あ る.
1983∼1984年
に か け て の 同 疾 患 流 行 の全
国的 な 傾 向 を み る と,1983年11月
末 か ら12月 初 め
の第48週 ご ろ か ら急 激 な患 者 発 生 を示 し,第50週
の 約1万2千
人 を ピ ー ク期 と して 冬 季 休 暇 に 入 っ
の 同疾 患 の 週 別(1984年1月1日(日)-1月7
た.そ
日(土)を
の 報 告 を み て か ら急 激 に増 加 し,22∼28日
第1週
と して)発 生 状 況 との 比 較 に よ
る主 た る 流 行 期 の解 析 で あ る.
さ らに,東 京,福
均 気 温(1日8回
週(18万5千
岡両 地 域 に お け る1976∼1983
年 の各 年 度 の11月1日
か ら3月 末 日 まで の 日別 平
の平 均),日
日4回 の 平 均)の7年
これ ら と1983年11月1日
別 平 均 相 対 湿 度(1
間 の 日別 平 均 値 を算 出 し,
か ら1984年3月
し て,1984年1月
末 日ま で
人)を
の 第2週
に約4千4百
人
の第4
ピ ー ク にそ の後 は 急 激 な減 少
傾 向 で 推 移 した こ とが認 め られ た.
さ らに,今 季 の 同流 行 で2万 人 以 上 の 同疾 患 に
対 す る患 者 発 生 の報 告 を み た5つ
の 都 道 府 県,す
なわ ち,北 海 道(約7万
人),福
島根 県(約3万
京 都(約2万8千
人),東
岡 県(約4万
人),
人),大
の 気 温 お よ び相 対 湿 度 の 日別 平 均 値 との差 を 比 較
阪 府(約2万5千
検 討 した.
く4道 府 県 で は全 国 的 な患 者 発 生 の時 間 的 傾 向 と
な お,以 下 の 本 文 中 で の平 年 値 とは各 気 象 台 発
人)に つ い て み る と東 京 都 を 除
類 似 して い る が,東 京 都 に お け る様 相 は これ らの
昭 和60年4月20日
357
Table
1):Mean
1
Outbreak
of influenza-like
diseases
from
1976 to 1984 in Japan
of seven years,2):1983.Sept.25-Nov.26
地 域 とは著 し く異 った 時 間 差 で 認 め られ た 。 す な
校 集 団 か ら5検 体 の ウ イル ス分 離 用 材 料 の採 取 以
わ ち,患 者 発 生 の ピ ー ク期 は1983年12月11∼17日
来,1984年2月22日
の 第50週 に認 め られ る が,他 の4道 府 県 で の ピー
体 を対 象 に ウイ ル ス分 離 を試 み23株 の18.2%に
ク期 は い ず れ も1984年1月22日
イ ル ス が 分 離 さ れ た.こ
け て の 第4週
∼第6週
ま た,島 根 県,福
か ら2月11日
にか
の間 に 認 め られ て い る.
岡 県 で は1983年 の第44週 ∼第
ま で に合 計25集 団 か らの126検
つ い て既 知 の イ ン フル エ ソ ザA型,B型
い ず れ もA/H、N1型,す
1月 中旬 に 初 め て報 告 され て 以 来,そ
ル ス と同定 され た.ま
週 を ピー ク期 と し て約1ヵ
の後 は急激
∼28日 の 第4
月 間 で流 行 は 推 移 し,
2月 末 に は終 息 を み て い る.
2.東
京地域 におけ るイ ンフル エ ンザ ウイル ス
の分離状況 について
集 団 中7集
な わ ち,Aソ
た,ウ
連型 の ウイ
イ ル ス分 離 陰 性 の9
団 で も ペ ア血 清 で の血 清 学 的 検 討 で い
ず れ もAソ 連 型 の感 染 が 認 め られ た.
以 上 の ご と く,1983年10月
末 か ら12月16日 に か
け て の 東 京 地 域 で 発 生 した 集 団 かぜ はAソ 連 型 ウ
イ ル ス に よ る イ ン フ ル エ ンザ の 流 行 に よ る もの で
東 京 都 の 他 の道 府 県 とは異 った 時 期,す な わ ち,
あ る こ とが 確 認 され た の で あ る.
1983年 の 第50週 を ピ ー ク期 とす る呼 吸 器 系 の 患 者
3.東
発 生 が イ ン フル エ ソザ に よ る もの で あ る か否 か を
につ い て
京 お よび 福 岡 の 両 地 域 に お け る 気 象 状 況
判 別 す るた め に東 京 地 域 の今 季 の ウ イ ル ス 分 離 状
1)平 均 気 温 に つ い て
況 につ い て み た の がTable
Fig.1,Fig.2は
と1983年9月28日
ウ イル ス
の ニ ワ ト リ免 疫 血 清 を 用 い て の 抗 原 分 析 の結 果,
52週 の 間 に は 全 く患 者 発 生 の報 告 は な く,1984年
な 患 者 発 生 を 認 め いず れ も1月22日
ウ
の 分 離 され た ウ イル ス に
2で あ る.こ れ で み る
に今 季 最 初 の集 団 か ぜ 発 生 の学
お け る11月1日
そ れ ぞ れ 東 京 地 域,福 岡 地 域 に
か ら3月 末 日 まで の 日別 平 均 気 温
感 染 症 学 雑誌
358
Table
1)P.S,Primary
2
Isolation
of influenza
school.2)M.S,Middle
viruses
school.3)Not
in Tokyo from Sept.1983
isolated.4)Adeno
第59巻
第4号
to Feb.1984
virus.5)Not
tested.
の 平 年 値 に対 す る今 季 値 の 日別 平 均 気 温 の高 低 を
に 比 較 して 今 季 は平 均 気 温 の低 い 日が 多 く,月 別
示 した もの で あ る.
に そ の 日数 を み る と11月 は19日 間,12月 は20日 間,
東 京 地 域 の 平 均 気 温 に つ い てFig.1で
1976年11月1日
か ら1983年3月
み る と,
末 日ま で の7年 間
の 平 年 値 に 比 較 して,1983年11月1日
か ら1984年
1月 は21日 間,2月
は23日 間,3月
れ ぞ れ 示 し,全 期 間 を 通 じ て152日 間 中111日 間 の
73.0%の
日数 で は平 年 値 を 下 ま わ って い る こ とが
3月 末 日 まで の 今季 値 の 日別 平 均 気 温 の ほ うが 低
同 様 に認 め られ た.さ
い 値 を示 す 日数 の 多 い こ とが 認 め られ た.す
以 上 低 か っ た 日数 は70日 間,以
なわ
は28日 間 を そ
ら に,こ の5ヵ
月 間 で2℃
下 同様 に み る と
ち,月 別 にそ の 日数 を み る と11月 は19日 間,12月
3℃ 以 上 で は51日 間 を,4℃
は21日 間,1月
は
れ ぞ れ 示 し東 京 地 域 と同 様 に福 岡 地 域 に お い て も
29日 間 を そ れ ぞ れ 示 し,こ の5ヵ 月 間 で は152日 間
今 季 は平 年 に 比 べ て異 常 低 温 気 象 の 中 で流 行 期 を
中123日 間 の80.9%の
経 過 した こ とが 認 め られ た.
は27日 間,2月
は27日 間,3月
日数 で 今 季 値 の ほ うが 平 年
値 を 下 まわ って い る こ とが 認 め られ た.さ
この5ヵ
月 間 で2℃
らに,
以上 低 か った 日数 は78日 間,
以 下 同 様 に み る と3℃ 以 上 で は48日 間.4℃
以上
以 上 で は22日 間 を そ
2)平 均 相 対 湿 度 につ い て
Fig.3,Fig.4は
お け る11月1日
そ れ ぞ れ 東 京 地 域,福
岡地 域 に
か ら3.月 末 日 まで の 日別 平 均 相 対
で は22日 間 を そ れ ぞ れ 示 し,今 季 は 平 年 に比 べ て
湿 度 の平 年 値 に対 す る今 季 値 の 日別 平 均 相 対 湿 度
異 常 低 温 気 象 で 流 行 期 を 経 過 した こ とが 認 め られ
の 高 低 を 示 した もの で あ る.
東 京 地 域 の 平 均 相 対 湿 度 に つ い てFig.3で
た.
一 方
, Fig.2に
示 す ご と く,福 岡 地 域 で も平 年 値
み
る と今 季 値 は平 年 値 と の比 較 の 上 で 著 しい 差 異 が
昭和60年4月20日
Fig.1
359
Comparison
ordinary
of changes
in average
year and the 1983-1984
atmospheric
epidemic
period
temperature
by day in the
Tokyo
area
between
an
of influenza
1)ST:Standard(The
standard value means the average value(the value for the conventional year)of daily
average atomospheric temperature for seven years from 1976 to 1983),2)+:Symbol+indicates
that daily
average atmospheric temperature is higher in the present season than in the same season of the conventional
year,3)-:Symbol-indicates
that daily average atomspheric temperature is lower in the present season than
in the same season of the conventional year.
Fig.2
Comparison
ordinary
year
of change
in average
and the 1983-1984
epidemic
atomspheric
period
temperature
by day in the Fukuoka
area
between
an
of influenza
1)ST:Standard(The
standard value means the average value(the value for the conventional year)of daily
average atomspheric temperature for seven years from 1976 to 1983),2)+:Symbol+indicates
that daily
average temperature is higher in the present season than in the same season of the conventional year,3)-:
Symbol-indicates
that daily average atomspheric temperature is lower in the present season than in the same
season of conventional year.
感 染症 学 雑 誌
360
Fig.3
Comparison
of changes
and 1983-1984
epidemic
in average
period
relative
humidity
by day in the Tokyo
area
between
第59巻
an ordinary
第4号
year
of influenza
1)ST:Standard(The
standard value means the average value(the value for the conventional year)of daily
average relative humidity for seven years from 1976 to 1983),2)+:Symbol
+indicates that daily average
relative humidity is higher in the present season than in the same season of the conventional year, 3)-:
Synbol-indicaftes
that daily average relative humidity is lower in the present season than in the same season
of the conventional year.
Fig.4
Comparison
the 1983-1984
of changes
epidemic
in average
period
relative
humidity
by day in the Fukuoka
area between
an ordinary
and
of influenza
1)ST:Standard(The
standard value means the average value(the value for the conventional year)of daily
average relative humidity for seven years from 1976 to 1983),2)+:Symbol+indicates
that daily average
relative humidity is higher in the present season than in the same season of the conventional year,3)-:
Symbol-indicates
that daily average relative humidity is lower in the present season than in the same season
of the conventional year.
認 め られ る.す
なわ ち,1983年11月1日
か ら12月
末 日 の間 で は 平 年 値 を 下 まわ る 日数 が 多 く61日 間
中39日 間 の63.9%に
認 め られ た.な お,平 年 値 と
26日 間 も認 め られ た.ま
た,1月1日
か ら3月 末
日に か け て み る と平 年 値 を 下 まわ る 日数(44日 間)
と上 まわ る 日数(47日
間)の 上 で は 大 き な差 は 認
今 季 値 の 実 数 の 比 較 の 上 で 平 均 相 対 湿 度 が50%以
め られ な い が,平 年 値 と今 季 値 の実 数 の比 較 の 上
下 の 日数 は 平 年 の7日 間 に対 し今 季 で は約4倍
で 平 均 相 対 湿 度60%以
の
上 の 日数 を み る と平 年 の11
昭 和60年4月20日
361
Fig.5
Comparison
1983-1984
of distribution
epidemic
period
of average
of influenza
日間 に対 し今 季 で は 約2倍 以 上 の25日 間 も認 め ら
れ,さ
らに,同70%以
relative
between
humidity
the Tokyo
by day in the
and Fukuoka
areas .
末 日ま で の61日 間 の前 期 と1984年1月1日
か ら3
上 の 日数 で み る と平 年 で は
月 末 日ま で の91日 間 の後 期 とに 区 分 して 平 均 相 対
全 く認 め られ な い が今 季 の 上 で は14日 間 も認 め ら
湿 度 を 比 較 して み る と,前 期 の 東 京 地 域 の 平 均 相
れ た.
対 湿 度 は53%(標
次 に 福 岡 地 域 の 平 均 相 対 湿 度 に つ い てFig.4
で み る と,1983年11月1日
か ら12月 末 日の 今 季 で
準 偏 差(SD)は12%)に
対 し福
岡地 域 の そ の値 は63%(SDは8%)を
示 し,両 地
域 の この 差 に つ い てt-検 定 し て み る とp<0.001
は 平 年 値 を 下 ま わ る 日数 は61日 間 中36日 間 の
以 下 で有 意 差 が 認 め られ た.す
59.0%で
は福 岡地 域 に比 較 して1983年11∼12月
認 め られ,東 京 地 域 とそ れ ほ ど大 き な差
な わ ち,東 京 地 域
の平 均 相 対
異 は 認 め られ な い.ま た,平 年 値 と今 季 値 の 実 数
湿 度 は低 値 で 認 め られ た.一 方,後
の比 較 の 上 で 平 均 相 対 湿 度 が50%以
同 様 に み る と東 京 地 域 の53%(SDは15%)に
年 で は全 く認 め られず,今
下 の 日数 は 平
季 で もわ ず か2日
間に
福 岡地 域 の そ の 値 は62%(SDは12%)を
認 め る の み で 平 年 とほ と ん ど 差 異 は 認 め られ な
期 と 同 様 に こ の3ヵ
か っ た.一 方,1984年1月1日
(p<0.001)に
か ら3月 末 日に か
けて み る と平 年 値 を下 まわ る 日数(54日
うが 上 ま わ る 日数(36日
間)よ
また,平 均 相 対 湿 度 が60%以
間)の
ほ
り多 く認 め られ,
上 の実 数 を 示 す 日数
は 平 年 で の74日 間 に対 し,今 季 の ほ うが 少 な く47
日間 で あ っ た.し か し,同70%以
に 今 季(26日
間)の
上 の 日数 で は逆
ほ うが平 年(8日
間)よ
り多
く認 め られ た.
3)東
京お よび福 岡両地域 の今 季 の平均 相対 湿
度 の比較につ いて
減 につ い て も
対し
示 し,前
月間 で も統 計 学 的 に有 意
東 京 地 域 の ほ うが 低 値 で 認 め ら れ
た.
さ ら に,平 均 相 対 湿 度50%以
下 の 日数 を み る と
前 期 で は 東 京 地 域 の26日 間 に 対 し福 岡地 域 で はわ
ず か2日
間 で 明 ら か に 東 京 地 域 の ほ うが 有 意
(x2=26.68,p<0.001)に
認 め られ た.逆
そ の 日数 の 多 い こ とが
に平 均 相 対 湿 度60%以
上 の 日数 で
は福 岡地 域 の ほ うが 有 意(x2=20.56)に
その割合
の多 い こ とが 認 め られ た.ま
た,後 期 で も前 期 と
ほ ぼ 同様 の 傾 向 を示 して い る.次 に,平 均 相 対 湿
Fig.5は 今 季 の 両 地 域 の 平 均 相 対 湿 度 の 日別 分
度70%以
上 の 日数 に つ い て み る と両 地 域 と も前 期
布 を 比 較 した もの で あ る.こ れ で み る と東 京 地 域
で は平 年 との 間 に有 意 差 は 認 め られ な い が,後 期
の ほ うが 福 岡 地 域 に比 較 し て そ の 分 布 は一 般 に 低
で は 明 らか に 両 地 域 と も今 季 の ほ うが 有 意 に そ の
値 で認 め られ る.そ
割 合 の多 い こ とが 認 め られ た.
こで1983年11月1日
か ら12月
感 染症 学 雑 誌
362
考
第59巻
第4号
原 体 を媒 介 す る ハ エ や そ の他 の衛 生 害 虫 の 繁 殖 や
案
イ ン フル エ ン ザ は学 校 保 健 法 の 上 で は学 校 伝 染
活 動 が 激 し くな る こ とが,ま
た後 者 で は 冬 季 の 気
病 の 第2類 に分 類 さ れ て い る3).こ れ は イ ン フル
エ ンザ に 児 童 ・生 徒 が 感 染 す る機 会 が多 い こ と,
候 は 必 ず し も病 原 体 の 増 殖 に好 適 で は な い が,低
ま た,流 行 を増 幅 させ る可 能 性 の 高 い こ とな どに
咽 喉 の 粘 膜 が炎 症 を 起 こ しや す く病 原 体 の 侵 入 が
よ る もの で あ る.こ の こ とは1957年 の ア ジ アか ぜ
容 易 で あ る こ とな どが あ げ られ る.
流 行 時 の全 国 的 な 疫 学 的 調 査 で も 確 認 さ れ て い
温 で 長 く生 存 す る こ と,ヒ
ト側 で は寒 気 の た め 鼻
この 季 節 的 変 動 か らみ る とわ が 国 の イ ン フル エ
ンザ の流 行 期 は10月 後 半 か ら3月 末 の 間 で,最
る4).
こ の イ ン フル エ ン ザ の場 合 も他 の ウ イル ス性 疾
7年 間 の 同 疾 患 の 患 者 発 生 の ピ ー ク 期 が,1月
患 と同 様 に み るべ き化 学 療 法 剤 の な い5)現状 で は,
下 旬 か ら の 約1ヵ
そ の予 防 対 策 の 唯 一 の 手 段 と して従 来 か らの ワ ク
1983∼1984年
チ ン接 種 に よ る免 疫 附 上 に頼 らな け れ ば な らな い
傾 向 は1984年1月
月 の 間 に 認 め ら れ て い る.
に か け て の 同 疾 患 の 流 行 も全 国 的 な
下 旬 か ら2月 初 旬 を ピ ー ク期 と
し,お お む ね 近 年 の傾 向 と同 じ期 間 中 に 認 め られ
訳 で あ る4).
従 って,わ
近
が 国 の イ ン フ ル エ ンザ ワク チ ンの 主
な接 種 対 象 は5∼14歳
の児 童 ・生 徒 を 中心 と した
た.
し か しな が ら東 京 地 域 に お け る今 季 の 同流 行 は
学 校 集 団 で あ る.ま た,高 校 生 や 職 場 集 団 に もそ
全 国 的 傾 向 とは全 く一 致 せ ず,1983年12月11∼17
の 対 象 が 拡 が り,さ らに5歳 未 満 の乳 幼 児 に も積
日に か け て の第50週 を ピ ー ク期 と して 認 め られ,
極 的 に ワ クチ ン接 種 が実 施 され る現 状 で は 接 種 後
また ウ イル ス学 的 に も血 清 学 的 に も 同流 行 はAソ
の 副 反 応 出 現頻 度 の よ り少 な い ワク チ ンの 登 場 が
連 型 の 流 行 で あ る こ とが 確 認 され た.以
望 まれ て い た6)∼12).幸い1960年 代 初 期 に結 成 さ れ
く今 季 の 東 京 地 域 に お け る 同 疾 患 の流 行 は 他 の 道
た イ ン フル エ ン ザ ワ クチ ン研 究 会(会
府 県 と の 間 に 著 しい 時 間 差 で 認 め ら れ た の で あ
雄,現 長 崎 大 学 学 長)に
たHAワ
長:福
見秀
よ っ て1972年 に開 発 され
ク チ ン は そ の 目的 を 満 し て い る こ とか
ら,1977年
よ り市 販 のHAワ
クチ ソ と して登 場 し
中学 生 で も成 人 の 接 種 量 と同 じ0.5m1ず
つ2回
接
上の ご と
る.
1983年 後 半 か ら1984年 前 半 に か け て 日本 列 島 は
異 常 低 温 気 象 現 象 で 経 過 した こ とは 周 知 の 通 りで
あ る.そ
こで著 者 ら は東 京 地 域 で 認 め られ た 流 行
種 法 で 実 施 さ れ る よ うに な り現 在 に 至 って い
の 時 間 差 が 今 季 の 異 常 気 象 に起 因 して い る の で は
る13)∼15).
な い か と考 え,福 岡地 域 を 対 照 に検 討 し て み た.
一 般 に,感 染 症 が 流 行 す る と きそ の現 象 に は集
まず,両 地 域 の1983年11月 か ら1984年3月
の152
団 の年 齢 分 布 や 気 候,社 会 環 境,免 疫 の程 度 な ど
日間 の 日別 平 均 気 温 に い て み る と,東 京 地 域 で 今
の 多 くの要 因 に 支 配 さ れ,ま た,こ
季 の平 均 気 温 が 同期 間 の 平 年 値 を 下 まわ った 日数
れ らの 要 因 が
複 雑 に相 互 作 用 して 多 様 な 流 行 様 式 を 示 す.従
っ
は123日 間 に対 し,福 岡地 域 で は111日 間 を 示 し両
て,感 染 症 の 疫 学 的 解 析 に 当 っ て は 生 物 学 的,時
地 域 間 に 大 き な差 異 は 認 め られ な か っ た.さ らに,
間 的,地 理 的,社 会 的 な 各 現 象 な どに つ い て検 討
平 年 値 に 比 較 して2℃ 以 上 低 か った 日数 は 前 者 の
し な け れ ば な ら な い.
78日 間 に対 し後 者 は70日 間,3℃
時 間 的 現 象 の1つ
で あ る季 節 的 変 動 を 検 討 す る
こ と も流 行 を 把 握 す る上 で 重 要 視 され て い る.こ
れ48日 間,51日
間,4℃
以上 ではそれ ぞ
以 上 で は いず れ も22日 間
を示 し ほ とん ど差 異 は認 め られ な か った.
起 こ しや す い 季 節 的 因子 が あ
この よ うな 平 均 気 温 の 上 か らみ て 両 地 域 と も今
えば 一 般 に 消 化 器 系 伝 染 病 は 夏
季 は 異 常 低 温 で 流 行 期 を 経 過 した こ と は 明 らか で
季 に,呼 吸 器 系 伝 染 病 は冬 季 に 流 行 を み る こ とが
あ り,イ ン フル エ ン ザ の 流 行 を拡 大 させ る要 因 の
れ は感 染(流
行)を
る か らで あ る.例
多 い.前 者 は 夏季 の 高 温 多 湿 とい う気 候 が そ の病
原 体 が 食 品 中 で増 殖 す る の に 好 適 で あ り,か つ 病
一 つ
で あ る ヒ トの多 く集 合 す る場(学
校,会
社,
乗 り物 な ど)を 平 年 よ り強 力 に 閉 鎖 的 環 境 に 導 い
昭和60年4月20日
363
た.ことは 明 らか で あ る.ま た,1983年11月
初 旬か
は14%)に
対 し福 岡 地 域 の そ の 値 は約63%(SDは
ら東 京 地 域 で 流 行 したAソ 連 型 の ウ イル ス が 交通
11%)を
機 関 や 人 的 交 流 を 介 して 短 期 間 に福 岡 地 域 へ 侵 入
め られ た.
した こ とは 本 ウ イル ス の 伝 播 速 度 か らみ て 疑 問 の
示 し,前 者 の ほ うが 有 意 に低 い こ とが認
以 上 の ご と く,平 均 相 対 湿 度 が50%以
下,ま
た
な い と ころ で あ ろ う.し か し な が ら福 岡 地 域 で は
は,60%以
11∼12月 の 間 に は 全 く同疾 患 の流 行 は ウ イル ス学
合 に有 意 差 が 認 め られ た.す
的 に も,疫 学 的 に も認 知 され な か った.す なわ ち,
今 季(1983年11月
平 均 気 温 の上 で は 両 地 域 の流 行 の 時 間 差 を 解 明 す
(50%以 下)の
る こ とが で きな か った.
また 福 岡地 域 の 今 季 の 同 期 間 に比 較 して も有 意 に .
一 般 に,空
気 中 に 浮 遊 して い る イ ン フル エ ンザ
ウイ ル ス は高 湿 度 に 対 す る抵 抗 力 が 弱 く,相 対 湿
度 が50%以
化,す
上 で は 時 間 の 経 過 と と も に急 速 に 不 活
な わ ち,感 染 力 を 失 い や す く,逆 に50%以
下 で は 生 存 期 間 の 長 い こ と がHarper16)に
よ って
指 摘 され て い る.
そ こで,両 地 域 の流 行 の 時 間 差 を 平 均 相 対 湿 度
下 の 日数 に つ い て11月1日
か ら12月 末 日
な わ ち,東 京 地 域 の
か ら12月 末)の
平均相対湿 度
ほ うが 平 年 の 同 期 間 に比 較 して も,
低 い こ とが判 明 した の で あ る.
こ の こ とは,東 京 地 域 で は1983年11∼12月
末に
か けて の間 が イ ン フ ル エ ンザ ウ イ ル ス の 流 行 拡 大
に 相 対 湿 度 の 面 で は 好 条 件 を 呈 した こ と に な り,
ま た 他 の道 府 県 との 間 に流 行 の 時 間 差 を 生-じさ せ
た誘 因 の1つ
の 方 向 か ら検 討 して み た.東 京 地 域 の 平 均 相 対 湿
度50%以
上 を境 に 両 地 域 の そ の 日数 の 占 め る割
と して 作 用 した もの と強 く推 測 さ れ
る.
一 方
,
東 京 地 域 の1984年1∼3月
均 相 対 湿 度60%以
末 にかけて平
上 の 日数 が 平年 よ り も多 く認 め
の 間 で み る と,平 年 の7日 間 に対 し今 季 は 約4倍
られ た こ と は 同期 間 の 流 行 が 今 季 の 前 期 間 に 比 べ
の26日 間 も認 め られ,明
て小 さ く経 過 した こ と と深 い 関連 性 の 存 在 が 考 え
らか に今 季 の ほ うが 有 意
(x2=14.97)に
そ の 日数 の 多 い こ とが 認 め られ
た.一 方,福
岡 地 域 で 同様 に み る とそ の 日数 は平
年 で は 全 く認 め られ ず,今
季 で もわ ず か2日 間 を
られ る.
結
1983∼1984年
論
に か け て の イ ン フル エ ンザ の流 行
認 め るの み で有 意 差 は認 め られ な か っ た.さ らに,
につ い て全 国 と東 京 地 域 の 患 者 発 生 状 況 を比 較 検
今 季 の 同 期 間 の 両 地 域 の そ の 日数 を比 較 して み る
討 し,次 の よ うな成 績 が得 られ た.
と,東 京 地 域(26日
間)の
間)よ り有 意(x2=26.68)に
ほ うが 福 岡地 域(2日
平 均 相 対 湿 度(50%)
の 低 い 日数 の 明 らか に多 か った こ とが 認 め られ た
の で あ る.
国 の 患 者 発 生 の ピ ー ク 期 は1984年1月
旬 か ら2月 初 旬 に 認 め られ,お
下
お む ね 最 近 の傾 向
と一 致 し て い た.
2)し か し,東 京 地 域 で の そ の ピ ー ク期 は1983年
次 に,1月1日
湿 度60%以
1)全
か ら3月 末 日に か けて 平 均 相 対
上 の 日数 に つ い て み る と,東 京 地 域 で
は 平 年 の11日 間 に対 し今 季 は約2倍
め られ た.一 方,福
の25日 間 も認
岡 地 域 で は平 年 の74日 間 に対
12月 の 第50週 に 認 め られ,全
国 的 傾 向 との 間 に著
しい 時 間 差 で 認 め られ た.
3)1)お
よび2)の 流 行 は ウ イル ス学 的,血 清 学 的
にAソ 連 型 ウイ ル ス に よ る流 行 で あ っ た.
し今 季 は47日 間 で あ り,両 地 域 の そ れ ぞ れ の そ の
1)と2)の 流 行 の 時 間 差 につ い て 福 岡地 域 を 対 照
日数 を 比 較 して み る と,い ず れ も有 意(東 京 地 域
に気 象 学 的 に検 討 し,次 の よ うな成 績 が 得 られ た.
差 が 認 め られ
4)平 均 気 温 の 上 で は 両 地 域 と も平 年 に 比 較 し
なわ ち,東 京 地 域 で は 今 季 の ほ うが 平 年 に
て今 季 は 異 常 低 温 で 流 行 期 を経 過 した こ とが 認 め
x2=6.78,福
た.す
岡 地 域x2=17.96)の
比 べ て そ の 日数 が 多 く認 め られ,逆
に福岡地域 で
は 少 な か った こ とが 明 らか に され た の で あ る.
ま た,全 期 間(1983年11月
か ら1984年3月 末)を
通 じ て の 平 均 相 対 湿 度 は 東 京 地 域 の 約53%(SD
られ た が,地 域 間 に 差 は 認 め られ な か っ た.
5)平 均 相 対 湿 度50%以
下 の 日数(11∼12月
末)
をみ る と東 京 地 域 は平 年 同 期 お よ び福 岡地 域 の 今
季 と比 較 して も有 意 に そ の 割 合 の 多 い こ とが 認 め
感 染 症 学 雑誌
364
ら れ た.
6)平
均 相 対 湿 度60%以
上 の 日数(1∼3月
末)
は東 京 地 域 で平 年 に 比 べ て 今季 の ほ うが 有 意 に多
く 認 め られ た が,逆
G.G., Dawkins,
response
に 福 岡 地 域 で は 少 な か っ た.
い た小 川 眞利 子,眞 壁 明子 両研 究 技 術 員 に深 く感 謝致 し ま
9)Davenport,
な お,本 論文 の 内 容 の要 旨は第59回 日本感 染 症 学会 総 会
文
1) 薩 田 清 明,
長 谷 川 昭 久,
熊 谷 長 慶:
イ
in nasal
administration
vaccine.
on
の 関 係 に つ い て −.感
epidemics
of
1032,
H. & Hasebe,
A.:
Studies
or rate
−
Inf. D., 58: 1025
12)
菌 製剤 協 会, 1984.
4) 小 島三 郎, 福 見秀 雄, 後藤 敏 夫, 平 山
13)
雄, 草 野
treat-
14)
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Respiratory
virus
vanines.
Some
biological
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inactivated
of
of elder-
parcenteral
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1969.
敏, 伊 東 義仁, 時 岡 正十 郎, 杉
博, 平
準 哉, 大 橋 常 安, 池 田燈
7-14,
第1回
∼ 第16回
1969.
イ ン フル エ ソザ ワク チ ンに 関す る
社 団 法 人,細
薩 田 清 明,
菌 製 剤 協 会,
吉 本 達 雄,
乗 木 秀 夫:
石 橋 祥 男,
1961∼1976.
安 永 孝 高,
丹羽
イ ン フ ル エるン ザ に 関 す る 血 清 疫 学
に よ る 抗 体 上 昇 に つ い て −.
5) Varis, L.P., Bettes, R.F., Hayden, F.G., ChristSuccessful
or
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6) Webster,
of
local
Antibody
自衛 隊 の研 究 を 中心 として −. 日本 医 事新 報,
明,
信 男, 中村 兼 次, 佐 野 一 郎, 園 口忠 男, 高 部益 男:
R.G.:
R.B.:
and serum
恒, 永 友勇 夫, 高 野敏 夫, 清 水利 雄:
2383:
討 論 会.
享編: 最 新 予防 接 種 の知 識. 社 団法 人,細
mas, W.A. & Douglas,
by
香 港 イ ン フル エ ンザ の流 行 と ワク チ ンの 予防 効 果
of inoculation
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Hormick,
J. Immunol.,
生,鵜 飼
influenza-Relationship
vaccine-.J.J.A.
vaccines
secretion
following
原 俊 明,藤 岡
of some or whole classes of
and the time
with influenza
persons
11) 園 口忠 男, 服 部
the closure
the school
3) 有 本
57:
1983.
between
-
染 症 誌,
&
M.
response
鎖(休
K., Noriki,
Antigenicenhancementof
influenza virus
Huber,
ザ 様 疾 患 の 発 生 お よ び ワ ク チ ソ 接 種 時 期 と学 級 閉
2) Satsuta,
100:
590,1968.
-
ly
862-870,
Antibody
Proc. Soc. Exptl. Biol. Med., 127: 587
ン フ ル エ ソ ザ の 流 行 に 関 す る研 究 − イ ン フル エ ン
校)と
IA.:
10) Ksel, J.A., Hume, E.B., Fulk, R.V., Togo, Y.,
献
乗 木 秀 夫,
F.M.:
ether-extracted
AIPO4.
て 発表 予 定 で あ る.
& Kasel,
A.T.
in respiratory secretion of volunteers
give and dead influenza virus. J. Immuno1.,
726-735, 1968.
す.
(1985年4月)に
第4号
sephadex purified ether-extracted
influenza
virus antigens. J. Immunol., 98: 800-805, 1967.
8) Mann, J.J., Waldman, R.H., Togo, T., Heinen,
稿 を 終 る にあ た り,本 研 究資 料 を提 供 して い た だ いた 厚
生省 保 健 情報 課 な らび に本 研究 資 料 の 整理 に ご協 力 いた だ
第59巻
252-259,
1983.
加 地 正 郎,
薩 田 清 明:
15)
第19回
チ ン に 関 す る 討 論 会,
11-15,
第17回
イ ン フル エ ソザ ワ ク
社 団 法 人,
細 菌製
1981.
∼ 第22回
討 論 会.
57:
イ ンフル エ ソザ ワクチ ンの
副 作 用 に 関 す る報 告.
剤 協 会,
感 染 症 誌,
イ ソ フル エ ン ザ ワ クチ ン に関 す る
社 団 法 人,
細 菌 製 剤 協 会,
1977-1983.
16) Harper, G.J.: The influence of environment
on the survival of airborne virus particles in
the laboratory. Arch. Ges. Virusforsch., 13. 64
-
71,1963.
365
昭和60年4月20日
Studies
-
With
on
the
Special
Chronological
Reference
and
Average
Difference
to Average
Relative
in
Influenza
atmospheric
Humidity
Epidemics
Temperature
-
Kiyoaki SATSUTA&Hideo
NORIKI
Department of Hygiene and Public Health,Nippon Medical School
Fujiko SAKAI&Kiyoshi YABUUCHI
Tokyo Metropolitan Research Laboratory of Public Health
The epidemic of influenza in 1983-1984 was mainly caused by Russian A type virus.In it,a peak of
occurrence of patients throughout the country was noticed over a period from the end of January to the
beginning of February,1984.Such
peak of occurrence of patients,however,was
found in Tokyo area in
the 50th week of 1983,or over a period from 11 to 17,December.Therefore,there
is a large difference
in the time of appearance of a peak of epidemic between this area and the whole country.
To interpret the chronological difference in the appearance of such peak,the authors carried out
meteorological studies on the epidemic of influenza with the Fukuoka area as a control.The following
results were obtained from these studies.
1)Judging from the average atmospheric temperature in the passed years,it was unusually low in
both Tokyo and Fukuoka areas in the present epidemic period.There was no significant difference in the
average temperature in this period between the two areas.
2)A comparison was made on the number of days(in November and December,1983)when
the
average relative humidity was less than 50% between the two areas.As a result,the number was
significantly larger in the Tokyo area in these months than in the same area in both months of any other
year free from an epidemic of influenza or in the Fukuoka area in the winter of 1983.
3)The
number of days in January,February,and
March when the average relative humidity exceeded 60% was significantly larger in Tokyo area in the 1983-1984 epidemic period than in any ordinary year.
In conclusion,it was indicated that there was a remarkable relationship between the number of days
in November and December,1983,when
the average relative humidity was less than 50% and the
chronological difference in the appearance of a peak of prevalence of unfluenza in the 1983-1984
epidemic period between Tokyo area and the whole country.