平成28年度専攻科入学者選抜検査 (学力一次)試験問題 生産工学専攻 (環境材料工学コース) 専 門 科 目 (試験時間 120分) 次の4科目(金属材料学、無機材料学、有機化学、材料加工学) について解答してください。 (注) 1 2 3 4 問題用紙は、表紙を含めて1~5ページです。 電卓は、貸与したものを使用してください。 解答は、全て解答用紙に記入してください。 試験終了後、試験問題は持ち帰ってください。 1 科目名 金属材料学 1. 常圧下での純鉄について、 以下の問いに答えなさい。ただし、鉄の原子直径を 0.248 [nm]、 原子量を 55.85 とする。 (1)常温での理論密度 [g/cm3] を求めなさい。 (2)A3 温度以上での充填率 [%] を求めなさい。 (3)室温から A3 温度以上に加熱した場合、同素変態に伴い体積が膨張するか収縮するか について、体積変化 [%] を求め答えなさい。 2.亜共析鋼の熱処理について、以下の問いに答えなさい。 (1)主要な線名を記した TTT 図を作図しなさい。 (2)図中にフェライト+パーライトが得られる等温変態を含む冷却経路を極太実線で示し なさい。 (3)図中にフェライト+マルテンサイトが得られる等温変態を含む冷却経路を極太破線で 示しなさい。 3.S55C を 830 [℃] から室温まで炉冷した場合、以下の問いに答えなさい。 (1)次の「 」内の文章中(A)に適する組織名、(B)に適する数値を答えなさい。 「標準組織は(A)とパーライトが観察でき、構成比が(A):パーライト=1:(B)である。」 (2)この標準組織を構成するフェライトとセメンタイトの割合 [%] を求めなさい。 2 科目名:無機材料学 1.以下の問いに答えなさい。 (1)以下の文章中の空欄に最も適する用語・数字をあてはめ、文章を完成させなさい。 NaCl は【 ① 】結合により形成され、この結合エネルギーは【 ② 】および【 ③ 】 の和で表わされる。NaCl の結晶構造は【 ④ 】型構造であり、【 ⑤ 】配位の塩化 物イオン(イオン半径:0.181 [nm])によって形成される【 ⑥ 】面体の間隙に、ナト リウム(イオン半径:0.102 [nm])が配置され、pauling の法則を満たしている。また、 NaCl の格子エネルギーは欠陥生成エネルギーより大きく、結晶内部には【 ⑦ 】欠陥 が存在しており、これにより密度は【 ⑧ 】し、電気伝導度は【 ⑨ 】。 (2)NaCl の格子エネルギーを、以下の表1に示す値を用いて答えなさい。 表1 ΔHo /kJ・mol-1 Na(固体)の昇華 108 Na(気体)のイオン化 495 Cl2(気体)の解離 244 Cl(気体)の電子取得 -347 NaCl(固体)の生成 -411 (3)右図1には CuKα線による NaCl の (2 0 0) XRD 回折結果と、同じ結晶構造を有する KCl の XRD 結果を示している。グラフ (2 2 0) より、a,b のいずれが NaCl の XRD 結果 (2 2 2) (4 2 0) (3 1 1) (4 0 0) (1 1 1) であるか答えなさい。また、そのように 考えた理由を明記しなさい。 (2 0 0) (2 2 0) (4)a の XRD 結果より、2θ=31.69 [°] (4 2 0) (2 2 2) (4 2 2) (4 0 0) において( 2 0 0 )面の回折ピークが検出 された。CuKαの波長を 1.5405[Å]とし て、この面間隔 d を求めなさい。また、 結晶 a は立方晶であるとし、格子定数を 図1XRD patterns for NaCl and KCl. 求めなさい。 2.以下に示すセラミックス材料について、それぞれ結晶構造・用途・特徴を説明しなさい。 ①αアルミナ ②酸化亜鉛 ③チタン酸バリウム 3 科目名:有機化学 1.以下に示す名称の有機化合物の構造式を書きなさい。 (a)2,4-ジメチルヘキサン (b)エチルメチルエーテル (c)酢酸エチル (d)メチルアセチレン(e)trans-2-ペンテン (f)アセトン (g)o -キシレン (h)2-メチル-1-ヘキセン-4-イン ( i )安息香酸 2.構造未知のアルケンをオゾン、それから亜鉛と水で処理したとき、アセトンとホルムア ルデヒドが等量生成した。このアルケンの構造式と IUPAC 名を書きなさい。 3.プロペンと臭化水素との反応では、理論的に2つの生成物 A と B が生じると考えら れる。A と B の構造式と IUPAC 名を書きなさい。また、どちらが主生成物か答えな さい。 4.ベンゼンから m-ブロモ安息香酸を合成する反応経路(化学反応式)を書きなさい。 反応試薬もすべて記述すること。 5.次の化合物の電子式(ルイス構造式)を書き、各窒素原子の形式電荷を答えなさい。 ①硝酸 ②アセトニトリル 6.2-クロロ-2-メチルブタンをメタノールに溶解すると SN1 反応生成物と E1 反応生成 物が生じる。ただし、E1 反応生成物は一種類ではない。考えられる全ての構造式を書きな さい。また、E1 反応生成物では主生成物を区別して書き、その IUPAC 名も書きなさい。 7.以下の設問に答えなさい。 (1)成分元素が炭素・水素・酸素からなる化合物 1.68 [g]を採取し、元素分析を行った。 その結果、水:1.44 [g]、二酸化炭素:4.40 [g]が生成した。また、この化合物 0.25 [mol] の 質量は 42 [g]であった。この化合物の組成式と分子式を求めなさい。必要ならば、以下の 数値を用いること。(水素の原子量=1、炭素の原子量=12、酸素の原子量=16) (2)次の官能基(置換基)の名称とその置換基のベンゼン誘導体が o,p- 配向性か、m-配 向性かについての区別をつけなさい(解答に o,p-、m-配向性のどちらかを選択して○ で囲むこと)。 -CHO: -CN: -OCH3: -Br: 4 科目名:材料加工学 1. 次の語句について、説明しなさい。 (1)デッドメタル (2)ダイカスト法 (3)バウジンガー効果 (4)ストレッチャーストレイン (5)スプリング・バック 2. 直径20 [mm]、長さ50 [mm]のアルミニウム合金の丸棒を15 [t]の加圧でプレス加工を行 い、塑性変形させたところ、丸棒の長さは40 [mm]となった。このときの塑性変形後の 丸棒の公称ひずみN [%]、対数ひずみ [%]、公称応力N [MPa]、真応力 [MPa] をそ れぞれ有効数字3桁で答えなさい。また、解答には単位を明記しなさい。 3. 変形抵抗曲線がa = 250a +250 [MPa]で与えられる材料がある。材料の元の大きさが 直径10 [mm]、長さ30 [mm] の円柱形であったとき、次の問いに答えなさい。但しa は 変形抵抗の絶対値、a は塑性ひずみの絶対値とする。 (1) 圧縮方向に20 [%]の公称ひずみを与えた後、その状態から引張方向に伸ばし、長さを 35 [mm]とした。この変形における塑性ひずみの絶対値a [%]大きさは幾らか答えな さい。 (2) (1)の加工を行った際の平均変形抵抗 [MPa]は幾らか答えなさい。 (3) (1)の変形に必要なエネルギーE [N・m] は幾らか答えなさい。 4. ある材料の単軸降伏応力はY = 350 [MPa]である。この材料に下記の主応力が作用した とき、材料は塑性変形を生じるかどうか、トレスカとミーゼスの降伏条件から推測しな さい。主応力1 =320 [MPa]、2 = 230 [MPa]、3 = -50 [MPa] とする。 5
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