常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)

常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)患者の肝囊胞に
対する球状塞栓物質による治療法開発
北海道大学病院 内科Ⅱ 助教
西尾 妙織
嚢胞性疾患に対する
®
エンボスフィア の適応拡大
研究の背景・目的
多発性肝嚢胞は、嚢胞が肝に多数生じる病気で、嚢胞そのものは良性病変だが、
特 に 常 染 色 体 優 性 多 発 嚢 胞 腎 ( ADPKD : Autosomal Dominant
Polycystic Kidney Disease)に併発した場合には、時間が経つにつれ嚢胞は
徐々に大きくなり、腹部膨満を生じる。進行すると腫大した肝により消化管(胃、
腸)が圧迫され、食物の通過障害を生じ、さらに進行すると体動制限によるADL
低下、肺や心臓の圧迫による呼吸障害を生じる。また、嚢胞の内部に出血や感
染を生じることもあり、これらはしばしば難治性である。既存療法として金属コイルに
よる動脈塞栓治療がすすめられてきたが、末梢領域の細かな血管に対する阻血
効果が低い、塞栓後の再開通が生じるなどの問題点が挙げられており、本物質に
よる改善が期待される。
治験機器
特
対象疾患
エンボスフィア®
多発性肝囊胞
徴
巨大肝嚢胞を有する常染色体優性多発性嚢胞腎患者あるいは多発性肝嚢胞患者に
対しての球状塞栓物質(エンボスフィア® 販売元:日本化薬株式会社)を用いた肝動
脈塞栓術治療の有用性と安全性の検討を目的とした医師主導治験を実施し、嚢胞性
疾患に対する適応拡大を目指す。
巨大肝嚢胞を有する常染色体優性多発性嚢胞腎患者あるいは多
発性肝嚢胞患者に対しての球状塞栓物質を用いた肝動脈塞栓術
治療の有用性と安全性の検討を行う 。
本塞栓物質は、欧米ですでに動静脈奇形、多血性腫瘍、子宮筋
腫に対して承認されている。日本では2013年6月に、多血性腫瘍ま
たは動静脈奇形に対して承認されている。
▲治験機器イメージ
▲嚢胞塞栓イメージ
開発計画
これまでの進捗状況と
今後の予定
2013
PMDA薬事戦略相談を踏まえて、治験実施計画を固めた。2014年12月に北海道大学病院のIRBにて、
承認を取得。2015年1月に治験計画届を提出し、2月より治験を開始する。
2014
2015
2016
2017
2018
医師主導治験(多施設共同臨床試験)
(肝嚢胞)
探索的臨床研究(肝囊胞)
承認申請
探索的臨床研究(囊胞腎)
PMDA薬事戦略相談
厚生労働省 臨床研究中核病院整備事業
<平成26年度成果報告会ポスター>