グリッド間の電力融通を考慮したレジリエントな電力網分割

2015 年 6 月 19 日 統計数理研究所 オープンハウス
グリッド間の電力融通を考慮したレジリエントな電力網分割
丹生 智也
新領域融合研究センター 融合プロジェクト 特任研究員
集権型と分散型電力供給システム
▶
集中型電力供給
▶
▶
目的
以下を同時に満たすような電力網の分割方法の考案
地震等の自然災害に対して脆弱
分散型電力供給に着目
▶
各グリッドは太陽光発電等の発電施設を持ち,またグリッド間は送電線で繋
1. 各グリッドの電力需給量のバランスが取れている
2. 需給量が変わった場合も,できるだけ 1 を満たしてほしい
▶
がれている
▶
アイデア
グリッドの一部が壊れても影響が限定的
▶
Renewable
energy
各頂点と辺に対し,電力需給量および送電量が重みとして与えられる
結果報告書
Microgrid
Microgrid
Node n Edge e
Microgrid
Renewable
energy
Microgrid
Renewable
energy
Renewable
energy
Centralized Power Supply
(Nuclear, Oil etc.)
(a) 集中型
▶
各地域を頂点,各送電線を辺とするグラフを考える
▶
Renewable
energy
Solar
photovoltaic
Pannels (PVs)
Microgrid
Single Large
Power Grid
年間を通して電力需給量は変化する
(b) 分散型
分散型電力供給システムが有望だと考えられるが,マイクログリッ
図 4.2. 横浜市の余剰電力データのカラーマップの右上 2 部分
▶
ドを構成するための電力網の分割方法は自明ではない
元のグラフを部分グラフに分割する問題として定式化できる
15/37
予備実験: 電力融通を行わない分割方法の検証
▶
電力融通を考慮した電力網分割
以下の 2 種類の分割方法の検証を行った
▶
目的 1 を満たしつつより小さなグリッドを生成するため,グリッド
間の電力融通を考慮した分割方法を考案した
▶
RCB の各分割前に最大フローに基づく検証アルゴリズムを追加
検証アルゴリズム
1. 各グリッドを頂点とするグラフを考える
w(G1) = 6
Recursive Coordinate
Geometric Bisection (RCB)
algorithm
w(G3) = -6
s
▶
部分グラフの頂点あたりの需給量が閾値 k 以下になるように分割
▶
また最小化するコスト関数 C は以下の式で表される
n
n
∑
∪
C =α
|N(Gi)|2 + β|E(G) \
E(Gi)|
i=1
6
6
Multi-leveled Graph (MLG)
algorithm
6
6
4
4
6
2. グリッド頂点間の辺の容量を少しずつ増やしながらフローを流す
1/6(6)
i=1
s
1 つのグリッド内の送電線のコスト
▶ 異なるグリッド間を繋ぐ送電線のコスト
5
-­‐5
フロー/辺容量 (残容量)
辺容量
増加
1/1(6)
0/1(4)
0/6(6) 6
予備実験: 評価結果
1/6(6)
t
0/5(5)
2/6(6)
▶
横浜市の 1 月と 5 月の電力需給量 (概算) を入力データとして用いた
▶
1600
120
alpha=1, beta=10, diff=0.1, capacity=1
1400
1200
#divisions
60
60
8x107
800
6x107
600
4x107
400
40
40
40
1x108
1000
80
80
60
1.2x108
100
100
80
2x107
200
0
0
20
20
20
40
60
80
0
0
20
40
60
80
0
0
20
20
RCB
▶
without maxflow
with maxflow
Cost
100
20
4 2/2(4)
1.4x108
without maxflow
with maxflow
120
40
t
通常の RCB と電力融通を考慮した分割アルゴリズムを比較した
alpha=1, beta=10, diff=0.1, capacity=1
120
60
-­‐3
2/5(5)
評価結果
RCB と MLG を用いて電力網分割を行った
80
0/1(5)
0/2(4)
s
0/1(4)
5
3. 電力需給量のバランスが取れれば RCB による分割を進める
▶
100
t
w(G2) = 6
▶
120
6
-­‐6
40
60
80
0
0
0
20
40
60
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
Threshold
0.03
0.035
0.04
0.045
0.05
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
Threshold
0.03
0.035
0.04
0.045
0.05
80
グリッド数
分割後のコスト
MLG
各月で分割結果があまり変わらない RCB の方がより目的 2 を達成
する方法として有効であると考えられる
0
0
▶
提案手法のほうがより多くのグリッドに分割することができた
▶
閾値 k が低い場合には RCB よりも分割後のコストを低く抑えるこ
とができた