低消費電力で高性能の アプリケーションを実現

MSP432TMマイクロコントローラ:
低消費電力で高性能の
アプリケーションを実現
ミオーネ・プラント
MSP432 MCU プロダクト・マーケティング・エンジニア
テキサス・インスツルメンツ
ダン・ダグ
アプリケーション・エンジニア
テキサス・インスツルメンツ
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テキサス・インスツルメンツの新製品である、32ビットのMSP432 MCUプラットフォームは、20年
以上にわたり当社が築き上げてきた、業界をリードする低消費電力で最大限の性能を提供するための
技術を取り入れています。このMSP432 MCUプラットフォームは、高性能ARMR Cortex®-M4F
コアにDSP拡張、浮動小数点エンジンを統合した、現時点で最も電力効率の高いプロセッサです。
テキサス・インスツルメンツは、 低消費電力アプリケーションを設計する組込み製品開発者向けの技術では、 重要な
イノベータです。TI の超低消費電力 MSP430TM マイクロコントローラ(MCU)ファミリは、 現在、 市場にある様々
なアプリケーションのコアとして役立っています。16 ビット・アーキテクチャ、 そしてスリープ時の消費電流が非常に
低いことにより、 バッテリを使用するデバイス、 特にコイン電池やエネルギー・ハーベスティングのアプリケーションに
は理想的な製品です。
市場では、より高い電力効率とともに、より多くの機能がデバイスに求められています。このため現在の開発者は、バッ
テリの動作寿命を維持または向上させつつデバイスの機能を増やさなければならない、という難問に直面しています。
さらには設計上、 バッテリを大きくして多くの電力を得ることはできないという制約があります。多くのデバイスにとっ
て、 バッテリを大きくして容量を増やすことは非現実的です。つまり開発者は、 バッテリ使用時間を妥協することがで
きず、 同じ電力で高性能を実現することが命題となります。
こうした問題に加えて、システム設計が複雑になっている反面、 市場では非常に短期間で新製品を発売することが要
求されています。そのため開発者には、できる限り低消費電力で最大の性能を実現できるような、包括的なハードウェ
アとソフトウェアのツールセットが必要とされます。
また、アプリケーションの機能をさらに追加するために、将来的な拡張の余地も残しておく必要があります。MCU のポー
トフォリオはこうしたニーズに対応するために拡大しているので、 複数のプラットフォームでのドライバ・レベルおよび
アプリケーション・コードの両方でシームレスなポータビリティーも必要になります。
低消費電力、 高性能を目指して設計された
MCU
開発者にとって、 革新的な製品を非常に短期間で市場に
TI は MSP430 MCU プラットフォームの低消費電力機
び エ コ シ ス テ ム の ソリュ ー ション も 提 供 し ま す。
能をさらに高め、 使用電力量を増やすことなくさらに高
MSP432 MCU プラットフォームが加わった MSP MCU
いパフォーマンス・レベルを達成しました。32 ビット
製品ラインは、 今では超低消費電力 16 ビットフラッシュ
ARM Cortex -M4F コアを使用した新しい MSP432
と FRAM ベースの MCU から、 高性能で低消費電力の
MCU プラットフォームは、 TI の低消費電力設計技術を
32 ビット ARM Cortex-M4F デバイスまで、完全なポー
利用して、 最高の電力消費効率で最大の性能を提供す
トフォリオを提供しています。
ることに成功しました。この MCU は現在発売されてい
MSP432 MCU プラットフォー ムは、 高 性 能 ARMR
る中では最も電気効率の高い Cortex-M4F ベースのプ
CortexR-M4F コアを中心に、 DSP 拡張、 浮動小数点
ラットフォームで 1、ULPBench スコアは 167.4 です。
エンジンを統合しています。
また MSP432 MCU プラットフォームは、組込み製品の
この 48MHz コアは、 たとえば CoreMark の性能に基
®
1
®
投入できるような、 完全なシリコン、ソフトウェア、 およ
2015 年 3 月 24 日に発表されたエンベデッド・マイクロプロセッサ・ベンチマーク・コンソーシアム(EEMBC)の超低消費電力ベンチマーク(ULPBench)に基づく。
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づき Cortex-M4F コアが Cortex-M0+ ソリューション
ト処理から 32 ビット処理に移行したことでパフォーマ
を 50%上回ることを可能にする高度な命令などの最適
ンスを高めました。これによってシステムはデータを
化も含めて、 ARM 命令のフルセット(M0+、 M3、 お
2倍の速さで動かすか、またはより少ない命令で複雑
よび M4)をサポートしています。
なアルゴリズムを処理することによって、1つの命令
でより多くの作業を行うことができます。
MSP432 MCU によって開発者は、 電力消費量を増や
すことなく性 能を高 めることができます。MSP432
◦4 倍 の 電 力 効 率:Cortex-M4F コ ア を 採 用 し た
MCU はアクティブ・モードでもわずか 95 μ A/MHz、
MSP432 プラットフォームは、 Cortex-M3 ソリュー
スタンバイ・モードでも 850nA しか消費しません(RTC
ションの2倍の性能を提供しつつ、 電力消費はわずか
を含む)。これは特に効率的なデータ処理と低消費電力
半分です。 つまり MSP432 MCU は、 Cortex-M3
での動作が不可欠な、 産業およびビルディング・オート
ソリューションと同じ電力で4倍の作業を処理できると
メーション、 産業用センシング、 産業用セキュリティ・パ
いうことです。MSP432 MCU は、 ARM が最適な
ネル、アセット・トラッキング、コンシューマ・エレクトロ
実装のスコアとして定義した Coremark スコアで、
ニクスなどの、 漏れ電流がバッテリの寿命に決定的な影
3.41 を達成しています。
響を与える超低消費電力の組込みアプリケーションにお
い て 重 要 で す。 たとえば 850nA と超 低 消 費 電 力 の
◦統合信号処理:MSP432 MCU では DSP エンジンと
MSP432 MCU の LPM3 スタンバイ電流は、 バッテリ
浮動小数点コアを統合したことで、シグナル・コンディ
寿命が 20 年以上でなければならない流量測定のような
ショニングとセンサ処理など、 計算集約型の機能を必
アプリケーションに最適です。また、 既存の MSP430
要とする様々な高性能アプリケーションが可能になりま
MCU を使用してさらなる高性能を求める組込み製品の
した。さらに Cortex-M4F は、 Cortex-M3 の約 10
開発者、 TI の TM4C を使用して低消費電力またはより
倍の速さで浮動小数点コードを実行します。
小型の ARM Cortex-M4F オプションを求める設計者、
そして低消費電力と高性能の間で最適なバランスを求め
◦標準コア:MSP432 MCU が標準コアに移行したこと
る ARM 開発者にも理想的なアーキテクチャを提供し
で、 開発者は大規模な ARM エコシステムでより高い
ます。
柔軟性を得ることができ、 様々な市販ソフトウェアを
利用することができます。
低消費電力と高性能の最適なバランス
MSP432 MCU の優れた電力効率と高い性能は、3つ
TI は数々の高性能ペリフェラル群と豊富な機能(図1)
のイノベーションによって実現しました。まず1つ目は
を内蔵することによって MSP432 MCU の性能と効率
ARM Cortex-M4F コアおよび MSP432 のパフォーマ
を最大化しています。これによって MCU はより少ない
ンスの最適化、2つ目は TI の低消費電力 DNA、そして
サイクルで多くの作業をこなすことができ、 電力消費量
3つ目は最適化されたソフトウェアの提供と包括的なツー
を削減します。
ルセットです。
◦128 ビット・フ ラッシュバッファの プリフェッチ:
ARM Cortex-M4F コアおよび MSP432 の
MSP432 MCU プラットフォームは一度に最大8つの
パフォーマンスの最適化
命令を読み込める述部命令プリフェッチを採用してい
Cortex-M4F コアが MSP MCU ポートフォリオにもたら
ます。この機能は命令をプリフェッチすることによって、
す重要な利点には以下があります。
プログラムコードをロードするためにフラッシュにアク
セスする回数を減らすことができます。フラッシュには
◦ 32 ビット・パフォーマンス:MSP432 MCU は 16 ビッ
48 MHz で2つのウェイト・ステートがあるので、 全
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体のウェイト・ステートの数を減らすことができ、 実行
より、 開発者が個々に SRAM およびレジスタビットに
を高速化することができます。
直接アクセスできるようにします。これによってシング
◦1 MSPS ADC:この高速 14 ビットのアナログ - デ
ル・ビットを変更するのにリード/モディファイ/ライト・
ジ タ ル・コン バ ー タ(ADC) は、 最 速 MSP430
シーケンスを実行する必要がなく、この動作を一度の
MCU の5倍のサンプリング速度を提供する一方で、
ライトで終了できるので、ビットベースの動作がシンプ
低消費電力での動作を維持しています(フルスピード
ルになって高速化します。さらに SRAM は 48 MHz
でもわずか 375uA)。最大 32 チャネルの同時サンプ
でシングル・サイクルのアクセスを提供します。
リングが可能な MSP432 MCU はデータの読み込み
が素早く、プロセッサのサンプリング時間を最小限に
して、 動作を迅速に終了します。
◦ネスト型ベクタ割り込みコントローラ(NVIC)
:NVIC
は複数の割り込み間での遅延を最適化するためにテー
ルチェインニングを使用しています。
◦8チャネルDMA:8つの DMA チャネルをサポートして
いる MSP432 MCU は、 CPU からより多くのメモリ・
◦最新の暗号化アクセラレータ:ハードウェア・ベース
トランザクションをオフロードすることができます。さら
の AES-256 セキュリティは、 電力消費量を増やすこ
にチャネルが多いことで構成がシンプルになるので、
となくデータ転送を保護します。
組込み製品の開発者はメモリの動作を最適化する方法
において高い柔軟性を得ることができます。
◦ROM ベース・
ドライバ:MSP432 MCU のドライバ・
ライブラリは、 すでに ROM にプログラムされていま
◦ビッド バ ンドSRAM と ペリフェラ ル の ア ク セ ス:
す。MCU は 48 MHz で、フラッシュでの最大3サイ
MSP432 MCU は各 SRAM とレジスタのメモリビット
クルに比べ、 ROM からは 1 サイクルごとに実行でき
にユニークな 32 ビットのアドレスを割り当てることに
ます。これによって利用可能なコードスペースを使わ
*出典:ARM CMSIS Partner Meeting
Embedded World, Reinhard Keil
図1:低消費電力でアプリケーションの性能を最大限に高める、高性能 ARM Cortex-M4F コアを補完する MSP432 MCU の
高性能ペリフェラル群と機能
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MSP432
MCUs
Current
アクティブ
LPM0
95 µA/MHZ (DCDC); 65 µA/MHz (DCDC);
166 µA/MHz (LDO)
100 µA/MHz (LDO)
低周波 LPM0
LPM3
70 µA
850 nA
LMP3.5
LMP4.5
(RTC 有シャットダウン) (RTC 無シャットダウン)
<670 nA
<100 nA
表1:新しい MSP432 MCU プラットフォームの低消費電力モード
ずに、より高速で電力消費の少ない実行が可能になり
力消費を低く抑えています。
ます。ドライバ・ライブラリのソースコードはオープン
ソースの BSD ライセンスでも提供されますが、この
◦90 nm プロセスノード・テクノロジ:TI が開発した 90
場合には開発者がそのアプリケーション特有の要件を
nm のプロセスノード・テクノロジにより、 アクティブ
さらにカスタマイズできるオプションのあることが条件
時の低消費電力とリーク電流の少ない動作が可能に
になります。
なっています。
◦フラッシュメモリの同時リード/ライト:従来、フラッシュ
◦フレキシブルな低消費電力モード:MSP432 MCU
メモリは単一のバンクとして実装されています。これ
は、 低消費電力を可能にする5つの低消費電力モード
は消去時にアプリケーションの実行が停止されること
を備えています。
を意味します。 一方で MSP432 MCU はデュアル・
バンクのフラッシュメモリを提供します。 バンクが2つ
◦ウェイクアップ時間の短縮:MSP432 MCU は通常、
あることで、 CPU は一方のバンクでリード/実行をし
10μs 未満で LPM3 からアクティブ・モードに切り替
ながらもう一方で消去を行うことができるので、ストー
えられます。
ルすることはありません。これは特に、モノのインター
ネット(IoT)でメモリと電力使用量が限られたデバイ
◦広範な電圧範囲:をサポートするMSP432 MCUプラッ
スで有用です。デバイスは、ファームウェアのアップ
トフォームは、 1.62 V ~ 3.7 V と広範な電圧範囲で
デートやデータロギングで必要となるような、消去と実
動作するため、 外付けのレギュレータ無で、 バッテリ
行を同時に行うことができます。こうした機能の実行
に合わせることができます。 多くの MCU は電圧に合
にかかる時間も少なくて済むので、 電力消費量も削減
わせて性能も変動し、 電圧が下がれば MCU のコアは
できます。さらにMSP432 MCU は、コードとデータの
低い周波数でしか動作できなくなります。 その場合
両方を外部攻撃から守るための安全なメモリ領域も備
MCU は同量の処理をするためにより長い時間、ウェ
えています。
イクアップしている必要があるため、 電力消費量が増
加します。しかし MSP432 MCU なら、コアは低電
MSP の低消費電力 DNA
圧でもフルスピードで動作できます。このように低電
MSP432 MCU は、 最も効率的にコアを実装するため
圧で動作することで電力効率が最大限に改善されま
に、 16 ビット MSP430 MCU と同じ低消費電力 DNA
す。さらにフラッシュにも 1.62V でアクセスできます。
と高度な技術を使用して構成されています。これによっ
て電力効率が非常に高くなり、MSP432 MCU は 32ビッ
◦LDO およびDC/DC:電力効率をさらに高めつつ、
トにおける低消費電力、 高性能の新たな基準を打ち立て
設 計 の 複 雑 度とコストを下げ るために、 MSP432
たのです。
MCU では低損失レギュレータ(LDO)と DC/DC コ
ンバータを内蔵しました。LDO を電力調整に使用する
これらの新しい MSP432 MCU は、 そのシリコンおよ
と、システムはスリープ・モードとアクティブ・モード
びソフトウェア実装の両方で電力消費を最適化しています
の切り替えをより高速で行うことができます。DC/DC
(図2)。以下に説明する様々な機能によって、 全体の電
コンバータを使用する場合には、システムは 95%の
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効率を達成できます。 一般に開発者はすべての使用
の実際の電力効率を知ることは非常に重要です。 現
ケースで LDO を使用するか、 DC/DC コンバータを
代の開発者が、 それぞれの設計に合うベストの超低消
使用するかの選択を迫られます。この2つを統合して
費電力 MCU を見つけるには非常に多くの困難を伴い
電力調整に提供することで、開発者は動作の電流モー
ます。様々な MCU ベンダとその多様な製品からベス
ドが何であるかに基づいて調整を飛躍的に最適化する
トの超低消費電力 MCU を選ぶのは容易なことではあ
ことができます。たとえばシステムの動作がスタンバ
りません。 現在、 マイクロコントローラの電力性能を
イ・モードの時には、 LDO を使用してウェイクアップ
比較する一般的な方法は、 エンベデッド・マイクロプ
時間を最小限にすることができ、 アクティブ電流が電
ロセッサ・ベンチマーク・コンソーシアム(EEMBC)
力消費の大半を占めている動作モードや使用ケースで
の超低消費電力ベンチマーク(ULPBench)によっ
は、 DC/DC コンバータを使用することができます。
て提供されています。
◦選 択 可 能 なRAM 保 持 : 低 消 費 電 力 の MSP432
MCU プラットフォームは、8つの RAM バンクを別々
MSP432 MCU プラットフォームは ULPMarks のスコ
に制御します。これによって開発者は、 その時点で必
アが 167.4 と、 現在入手可能なあらゆる Cortex-M3
要がなく、 データを維持する必要のないバンクをオフ
または Cortex-M4F MCU では最高の ULPBench ス
にすることができます。 たとえばシステムがスリープ
コアを達成しています。 これは Cortex-M0+、 -M3、
状態の時には、スクラッチ・パッドとして使用されてい
-M4、 および -M4F コア、またはその他の特許を持つ 8
る、またはデータをバッファするために使用されてい
ビット、 16 ビット、 32 ビットのコアを含む、 業界のあら
る RAM バンクは、 使用されていないものとしてオフ
ゆるプロセッサの中で電力当たりの性能が最も高いこと
にできます。
を意味します。
◦新たな電力効率基準を確立:設計の初期段階で MCU
最適化されたソフトウェアの提供と包括的なツールセット
*出典:ARM CMSIS Partner Meeting
Embedded World, Reinhard Keil
図2:アーキテクチャとペリフェラル群の両方の消費電力を最適化した MSP432 MCU
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MCU のアーキテクチャ自体がいくら効率的でも、 開発
ロ ー ン チ パ ッド 開 発 プ ラ ット フ ォ ー ム に
者がその高い効率を達成するのが非常に困難であれば、
EnergyTrace+ ™ テクノロジを組み込むことで、 ア
システムの実際の電力消費量と動作寿命は容易には最
プリケーションの電力消費量を正確に把握することが
適化できません。 そのため TI は、 電力効率の改善を目
できます。
指す開発者がよりシンプルに開発を進め、システムを設
計できるようにするために、 電力消費を念頭においてソ
フトウェアとツールを最適化しています。
◦ULP Advisor ™:TI は ULP Advisor ソフトウェア
を拡張して、 MSP432 MCU プラットフォームの特定
機能をサポートしています。ULP Advisor は、 20
◦ラピッド・プロトタイピング:開発者は、ローンチパッド
年以上にわたる TI の超低消費電力技術に基づき、 開
開発キットで MSP432 MCU のパフォーマンスと電力
発者にアプリケーション・コードを調整して電力効率を
効率を評価することができます。このラピッド・プロト
改善する方法を提案します。
タイピング・キットは 12.99ドルで、 MSP432 MCU
アーキテクチャの利点を実際に経験できる費用効率の
◦MSPWare ™ ソフトウェア:MSP432 MCU の発売
高い方法です。ディスプレイ、ワイヤレス、MicroSD、
に合わせて、 TI は新バージョンの MSPWare ソフト
センサハブを含む BoosterPack と呼ばれるアドオン・
ウェアをリリースしました。MSPWare は、MSP ベー
ドーターボードのフル・ソフトウェア・パッケージにより、
スの設計(図3)を高速化するための“これさえあれ
開発者は MSP432 MCUをある特定のアプリケーショ
ば十分”という包括的な技術資料として役立ち、 詳細
ンに使用する場合の評価を広範な項目にわたって行う
なアプリケーション・ノート、コード例、 研修、ビデオ
ことができます。
を含んでいます。設計をさらにシンプルにするために、
MSPWare ソフトウェアは CCS クラウドによってお客
◦EnergyTrace+ ™ テクノロジ:EnergyTrace+ ™
様のブラウザでも、TI の Code Composer Studio ™、
テクノロジは、 開発者がアプリケーションのリアルタイ
IAR の Embedded Workbench、 お よ び Keil μ
ムでの電力消費量を誤差±2%の精度で算出できる、
Vision の統合開発環境(IDE)の使用準備ができた
強力な設計ツールです。 全体の電力効率を評価する
デスクトップでも利用可能です。これには Energia の
だけでなく、 電力消費量とその電力を使用している実
サポートも含まれます。
際のコードを相関づけることができます。これによって
◦ TI のクラウド開発エコシステムにより、 開発者はブラ
開発者はどこでどの程
度電力が消費されてい
るかを判断できるので、
最も効率よく電力消費
を節約できるエリアに
最適化の作業を集中さ
せ ることが できます。
図3:MSPWare の最新リリースでは MSP432 MCU プラットフォームをサポートし、包括的な技術資料とコード例を提供して、
設計を高速化します。
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ウザで TI の Code Composer Studio と Resource
を開拓するためには、心拍数モニタリング、アクティビティ
Explorer を実行できます。ローンチパッド・キットは
検出、 位置特定のための GPS、ワイヤレス接続のため
USB ケーブルでコンピュータに接続され、TI のクラウ
の Bluetooth® Smart、 様々な色や図形をサポートした
ド web サイトはボードにアクセスするために必要なド
より複雑なディスプレイなどが必要となるかもしれません。
ライバを自動的にインストールします。 わずか数分で
そのためには追加の処理能力が必要になりますが、これ
デモアプリケーションと example code にアクセスで
を今では、 ARM Cortex-M4F コアを採用した 32 ビット
き、また開発ボードへのダウンロードが可能なので、 MSP432 MCU プラットフォームで手に入れることができ
瞬時にして実用的な体験ができます。組込み製品の開
ます。
発者は、クラウドでソフトウェアを作成できるようにな
るだけでなく、オンラインで2万以上のサンプル・アプ
MSP432 MCU によって、組込み製品の開発者はますま
リケーションにアクセスすることにより、 設計を迅速に
す複雑化する製品ラインをサポートすることができます。
進めることができます。
たとえば IoT の出現により、 工場やその他の産業アプリ
ケーションで使用されるセンサ・ネットワークはより複雑に
◦ARM エコシステム:開発者は、 TI と ARM のサード・ なっています。アグリゲータは(たとえば sub-1 GHz コ
パーティー・エコシステムの両方で使用できるツール
ネクティビティ)センサに接続して、(Wi-Fi などを経由し
群と設計支援を利用して、開発スピードを高めることが
て)中央の管理パネルにまでデータを送信できる必要が
できます。MSP432 MCU プラットフォームは、 いく
あります。このためアグリゲータは複数のプロトコルをサ
つかのフル機能の開発環境、 ARM CMSIS ソフトウェ
ポートするために、より多くのメモリと高い性能を必要と
ア・ ラ イブ ラ リ、 TI RTOS、 freeRTOS、 お よ び
します。さらにアグリゲータには高度な機能を追加するこ
Micrium μC/OS にサポートされています。これらリ
ともできます。このようにして、 アグリゲータはデータを
アルタイムの OS は、 開発者がマルチスレッド・アプリ
処理して評価し、しきい値を超えた場合にはアラームをト
ケーションのパフォーマンスを最大限に高めつつ、 全
リガするなどの決定を下すこともできます。
体の電力消費量を削減することに役立っています。
16 および 32 ビットの MSP MCU ポートフォリオは、こ
製品ライン全体のアーキテクチャ
の製品ライン全体をサポートできます。バッテリで動作す
MSP432 MCU プ ラ ット フ ォ ー ム は、 16 ビ ット
る個々のセンサ・ノードには、 様々な MSP430 MCU が
MSP430 MCU を中心に構成されるアプリケーションを
理想的です。MSP432 プラットフォームは高い処理能力
システムの再設計をすることなくよりパフォーマンスのレ
と電力効率を提供して、コントロール・パネル、 ユーザ・
ベルを高めることができ、 TI の低消費電力 MSP MCU
インタフェース、 ディスプレイを備えたインテリジェント・
のポートフォリオを拡大します。また MSP432 MCU プ
ハブをサポートします。
ラットフォームは、 電力消費を低く抑えなければならない
既存の ARM Cortex-M の開発者に対しても、 電力消費
MSP430 から MSP432 MCU へのポーティング
を最適化する手段を提供しています。
MSPWare ソフトウェア・パッケージの一部として、 開発
者は『MSP432 MCU プラットフォーム・ポーティング・
スケーラブルなポートフォリオを必要とする
ガイド』も利用することができます。このガイドでは、 既
アプリケーション
存 の MSP430 MCU の 設 計 を ポ ー テ ィン グ し て、
MSP432 MCU を使用すれば、MCU の低電力 MSP ファ
MSP432 MCU の 32 ビットバスとペリフェラル群の利点
ミリはさらに広範な製品ラインや、センサ・ネットワークな
を利用する方法について説明しています。この利用およ
どの階層型アプリケーションをサポートすることができま
びポーティング・ガイドは、32 ビットに移行する際に検討
す。たとえば MSP430 MCUを使用した第一世代のフィッ
すべきアプリケーション・コードの領域を示しています。
トネス・ウォッチは、 運動した時間とカロリーを記録でき
ます。しかし次世代ウォッチが競争力を保ち、新しい市場
MSP432 MCU は MSP430 MCU アーキテクチャの重
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MSP432
1.62V – 3.7V Operation
ARM®
Cortex™ M4F
48 MHz
NVIC
FPU
WIC
ITM
MPU
SWD
Temperature
85°C
Memory
Power & Clocking
Up to 256 KB Flash
Up to 64 KB SRAM
Driver Libraries
DMA (8 ch)
Bootstrap Loader
Programmable DCO
Low-Power OSC
Real-Time Clock
Power & Clocking
Real-time JTAG
4× 16-bit Timer/PWM/CCP
2× 32-bit GP Timers
Systick Timer
CRC32
Watchdog Timer
Security
Comms Peripherals
Analog
AES-256
4× UART or SPI
4× I2C or SPI
24ch, 14-bit 1 MSPS SAR ADC
2× Analog Comparators
Voltage Reference
Temperature Sensor
Capacitive Touch I/O
32KB ROM
Debug
16ビットMSP430 MCUと同じ
図4:MSP432 MCU が MSP430 MCU アーキテクチャの重要なペリフェラル群の多く(図の黄色の部分)を維持しているため、MSP430 ベース
の設計から MSP432 プラットフォームへのポーティングは簡単になっています。
要なペリフェラル群の多くを維持しているので(図4の黄
コアで最高の性能
色で示されているペリフェラルは2つのアーキテクチャで
開発者は、 電力効率を下げることなく、 演算とアナログ・
共通のもの)、 ペリフェラル・コードのポーティングはかな
パフォーマンスを高いレベルにスケールアップできるアー
り簡単になっています。また TI はレジスタと低消費電力
キテクチャを求めています。 また同時に、 これまでの
ペリフェラルの名前を統一しているので、 450 以上の低
MCU への開発投資費用と技術を無駄にせず、 利用した
消費電力 MSP MCU の間ではデザインのポーティングが
いとも考えて います。 世 界 で 最も消 費 電 力 の 少ない
簡単になっています。
ARM Cortex-M4F MCU とし て、 MSP432 MCU は
高性能と 50%以上の消費電力削減を同時に実現してい
新しい設計では、 開発者は性能証明済みで、 そのまま使
ます。 開発者はこれまでの MSP430 MCU への投資と
用可能なドライバで MSPWareドライバ・ライブラリを使
技術を利用して、 簡単にアプリケーションのパフォーマン
用できるため、開発を大幅にスピードアップできます。す
スを高めることができます。拡張された開発エコシステム
でにレジスタ・レベルのドライバを独自に開発している組
により、 開発者は 16 ビットから 32 ビットの MSP432
込み製品の開発者は、 MSPWare でレジスタ・レベルと
MCU 設計へシームレスなポーティングができます。さら
ライブラリの両方のドライバをカプセル化できます。経験
に TI が提供する広範な種類の、 簡単に使用できる MSP
豊富な ARM 開発者は、ARM の Cortex-M ソフトウェア・ および ARM ハードウェア、 およびソフトウェアのツール
インタフェース規格(CMSIS)機能の知識を利用して、コー
群によって、 電力効率を最適化し、 パフォーマンスを最
ドを開発することも可能です。
大限に高めることができます。
MSP432 MCU:最高の低消費電力、
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MSP432 MCU が加わることにより、 低電力 MSP マイ
クロコントローラ・ポートフォリオではプロセッサの選択の
幅が広がり、 開発者は消費電力を最小限に抑えて最高の
性能を実現することができ、 かつ 16 ビットから 32 ビッ
トのアーキテクチャへのポーティングも簡単になるという
柔軟性が得られます。拡大する MSP の低電力 32 ビット
ARM プロセッサ・ポートフォリオのフラッグシップ・デバ
イスとして、MSP432 MCUファミリは、新たなアプリケー
ション分野に対応するための、さらに高度なアナログとメ
モリの統合を提供します。
www.ti.com/msp432 で、 MSP432 ローンチパッ
ドおよび MSPWare ソフトウェアによる、 新しい 32 ビッ
ト低消費電力 MCU プラットフォームの評価をぜひお試し
ください。
*プラットフォームのバーとMSP430はテキサス・インスツルメンツの登録商標です。
その他すべての商標は、
それぞれの所有者に帰属します。
c 2015テキサス・インスツルメンツ・インコーポレイテッド
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March 2015
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2015 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
Printed in Japan 2015.5
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