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Title
Tumor-infiltrating Myeloid-derived Suppressor Cells are
Pleiotropic Inflamed Monocytes/Macrophages that Bear M1 and
M2 Type Characteristics( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
梅村, 直己
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第760号
Issue Date
2008-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/23127
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名(本籍)
梅
村
直
学位の種類
博
士(医学)
学位授与番号
甲第
学位授与日付
平成
学位授与要件
学位論文題目
Tumor-infiJtrating
己(岐阜県)
号
760
年
20
月
3
25
日
学位規則第4条第1項該当
Myeloid-derived
Suppressor
Cells
are
Pleiotropic
lnflamedMonocytes/MacrophagesthatBearMlandM2TypeCharacteristics
審
査
委 員
(主査)教授
(副査)教授
柴
高
田
敏
見
之
剛
教授
浦
島
満
論文内容の要旨
【目的,緒言】
腫瘍随伴マクロファージ(TAM)は腫瘍組織内にある単球/マクロファージで
activation(副活性化;M2型)であると言われている。また骨髄球由来抑制細胞(MDSC)は腫瘍患者
の骨髄や末梢血,リンパ器官,腫瘍組織内にみられる免疫抑制細胞で顆粒球と単球の2系統の細胞か
ら構成され近年,MDSCは腫瘍内ではM2型のTAMへ分化している可能性が示されて来ている,しかしな
がら未だ明確な結論には至っていない。
そこで本研究では腫瘍内浸潤単核食細胞(腫瘍内浸潤CDllb陽性細胞)はTAMに分類されるのか,
それともMDSCと分類されるのかを明らかにするために各々の定義に沿って検討した。
【対象と方法】
1)マウス:C57BL/6Jマウス(5週齢,雄)を用いた。
2)腫瘍の接種と腫瘍内浸潤細胞の採取:マウスの皮下にマウス大腸癌株MCA38及びマウス膠細胞腫
瘍(グリオーマ)株GL261を接種した。腫瘍内浸潤細胞回収は腫瘍接種14日目あるいは21日目
に行い,磁気ビーズで標識された抗CDllb抗体で染色後,磁場内のカラムを通し,磁場内に残っ
た細胞を回収して用いた。
3)フローサイトメトリー:細胞表面抗原の染色では,前処理後に蛍光物質で標識された各種細胞表
面抗原に対する抗体で染色し,洗浄後固定して解析した。
4)マルチプルPCR法:細胞のトータルRNAを逆転写しcDNAを調整した後,各種ケモカイン受容体に
対するプライマーの混合液と混ぜ,PCR装置で増幅し解析した。
5)リアルタイムPCR法:トータルRNAを逆転写後,各種プライマーでリアルタイムPCR装置を用い
てPCR反応を行い,サイバーグリーンの蛍光量を測定し増幅されたDNAを半定量した。
6)メイ・ギムザ染色:腫瘍内浸潤単核食細胞を回収直後にメイ・ギムザ染色で染色し観察した。
7)共培養:腫瘍内浸潤単核食細胞と腹腔内容出細胞(PEC)を調整し,それらとあらかじめ抗丁細胞
受容体抗体で24時間刺激した牌のCD8T細胞を共培養し24時間あるいは30時間後に観察した。
8)NO解析:培養上清にGries
9)Western
Reagentを同量混合し,吸光度を測定した。
Blot:細胞の可溶化した蛋白分画をSDS-PEGEで泳動後PVDF膜に転写し,抗iNOS,抗
ArginaseI抗体及びPOD標識ヤギ抗マウスIgGで染色し,化学発光で観察した。
【結果】
①腫瘍内浸潤単核食細胞(腫瘍内浸潤CDllb陽性細胞)はMDSCと言えるのかを検討するため,形態
学的観察,CD8T細胞の抑制機能の有無,表面抗原の解析などで検討した。腫瘍内浸潤単核食細胞は
メイ・ギムザ染色にて単球/マクロファージの形態を示した。CD8T細胞はPECではなく腫瘍内浸潤
単核食細胞との共培養によって増殖が抑制された。さらに腫瘍内浸潤単核食細胞の表面抗原は
CDllb+,CDllc+,Gr-l+,IL-4Ra十でMDSCの定義に則していた。
②腫瘍内浸潤単核食細胞は単球の分類では炎症性単球なのか常在単球なのかを確認するためマルチ
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alternative
プルPCR法とフローサイトメトリーにて検討した。両方の方法にてCCR2+,CX3CRl+であることが確
認できたため,腫瘍内浸潤単核食細胞は炎症性単球由来の細胞であることが示された。
③MCA38及びGL261腫瘍内から採取した腫瘍内浸潤単核食細胞をリアルタイムPCR法にてマクロファ
ージの分類であるMl(古典的活性化),M2(副活性化)に対するマーカーを調べた結果,腫瘍内浸潤
単核食細胞は両方のマーカーを部分的に有していた。さらにフローサイトメトリーでMlマーカーの
CXCLlOとM2マーカーのCD206を同時に染色し解析したところ,腫瘍内浸潤単核食細胞では両方のマ
ーカーが同一細胞に発現されている事が確認された。よって腫瘍内浸潤単核食細胞はMl,M2両方の
特性を有している多面的な細胞であり,M2型を特徴とするTAMには分類できない事が示された。
④リアルタイムPCR法とELISA法により腹腔内港出細胞と腫瘍内浸潤単核食細胞はTGFbを強く発現
していることが認められた。そこでTGFbは腫瘍内浸潤単核食細胞にどのような作用をしているのか
調べるため抗TGFb抗体でTGFbを抑制して2種類の腫瘍内浸潤単核食細胞を培養したところNOがコ
ントロールに比べて優位に増加した。さらにウエスタンブロツティングにおいてもiNOSが増強し
ArginaseIが減弱することが確認されTGFbは腫瘍内浸潤単核食細胞をM2型に誘導している因子の一
つである事が示された。
【考察】
腫瘍内浸潤単核食細胞の表面抗原はCDllb+,CDllc+,Gr-1low,IL-4Ra+,F4/80+で,T細胞抑制機能を
有しておりMDSCの定義に合致していたため,腫瘍内浸潤単核食細胞はMDSCと捉えられた。なお,最
近の分類では腫瘍内のMDSCは,腫瘍に浸潤する前と異なり,Gr-1の発現がなくてもT細胞抑制機能を
有していればMDSCと定義できると報告されている。我々の解析した細胞もGr-1の発現は低かったが,
MDSCに分類することは問題ないと考えられた。
一方,一般的にF4/80は,マクロファージの表面抗原として用いられており,腫瘍内のCDllb+,F4/80+
細胞は,表面抗原だけではMDSCなのかTAMなのか区別できない。よって,MDSCというためにはT細胞
抑制機能の証明が必要で,他方TAMというにはM2型に分化していることを示す必要がある。我々が解
析した腫瘍内浸潤単核食細胞はT細胞抑制機能を有し,Ml,M2両方の特性をもった多面的な細胞であっ
たため,TAMとは分類できず,MDSCと考えられた。
なお,腫瘍内に浸潤する単球/マクロファージを言い表す際,TAMの定義ではM2型に偏りすぎてお
り,定義に当てはめられず,他方MDSCの定義では,元来顆粒球系と単球系を包含するものであるため,
定義が広すぎる。よって,腫瘍内浸潤単核食細胞(MPC)と表現する方が今後は適当なのかもしれない。
【結論】
腫瘍内浸潤単核食細胞は,骨髄球由来抑制細胞の定義に当てはまる炎症性単球/マクロファージに
属する細胞で,マクロファージの活性化の分類では,典型的なM2型と分類されるTAMとは異なり,Ml
とM2の特徴を両方保持する多面的な細胞であることが分かった。
論文審査の結果の要旨
申請者
梅村直己は,マウス腫瘍細胞皮下接種モデルを用いて,腫瘍内浸潤単核食細胞の詳細な検
討を行い,それらが腫瘍随伴マクロファージの定義に合う細胞ではなく,骨髄球由来抑制細胞に分類
できることを示した。本研究は少なからず腫瘍内免疫系の機構解明に寄与し,腫瘍学及び免疫学の発
展に寄与すると認める。
[主論文公表誌]
れ1mOr-in丘1trating
Myeloid-derived
Suppressor
Monocytes/MacrophagesthatBearMlandM2TypeCharacteristics
JLeukocyteBio183,1136・1144(2008).
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Cells
are
Pleiotropic
Inflamed