地域におけるヘルスケアビジネス の創出について

地域におけるヘルスケアビジネス
の創出について
平成27年2月
経済産業省 商務情報政策局
ヘルスケア産業課
目次
Ⅰ.政府全体における検討状況
Ⅱ.次世代ヘルスケア産業協議会
Ⅲ.今後の地域でのヘルスケア産業創出の取組
Ⅳ.地域における先進取組事例の御紹介
Ⅴ.健康投資についての取組
参考資料
1
Ⅰ.政府全体における検討状況
2
国民医療費の3分の1を占める生活習慣病
○少子高齢化が進行する中、国民医療費が毎年増大しており、2012年度には39兆円を突破。2025
年度には約60兆円に達する見込み。
○国民医療費のうち、医科診療医療費の約3分の1(9.8兆円)は生活習慣病関連。この部分は、公
的保険外の予防・健康管理サービス産業を積極的に創出することにより、医療費の適正化につな
がる分野。
【医科診療医療費に占める生活習慣病の割合】
【国民医療費の見通し】
(兆円) 70
1.6
1.57
(平成23年度)
60兆円
60
50
40
医療費の伸び
(右軸)
1.5
8.1
39兆円
(資料公表時の推計値)
(実績値は38.5兆円)
1.4
6.4
24.5
5.8
自己負担
30
1.3
1.26
16.7
14.1
公費
1.2
20
1.15
保険料
27.9
10
19.2
21.6
GDPの伸び
1.06 (右軸)
1.1
1
0
1
2011年度
1
2015年度
2025年度
※1 平成23年6月2日社会保障改革に関する集中検討会議資料で公表している将来推計のバックデータから作成。
※2 医療費の伸び、GDPの伸びは、対2011年度比。
(出所)厚生労働省作成資料
出典: 厚生労働省「平成23年度国民医療費」
3
健康寿命延伸産業の効果
○慢性期医療(生活習慣病関連)にかかる医療費を、公的保険外のサービスを活
用した予防・健康管理にシフトさせること(セルフメディケーションの推進)により、
「国民の健康増進」、「医療費の適正化」、「新産業の創出」を同時に実現。
【予防・健康管理サービスの活用】
医
療
費
公的保険による医療サービスの供給ライン
公的保険外サービスを併用した供給ライン
慢性期
医療
慢性期医療から予防・
健康管理への大胆なシフト
公的保険外の予防・
健康管理サービス
の活用
個人の年齢
4
公的保険外サービスへの期待(糖尿病予防の事例)
○糖尿病の重症化が進んだ場合、年間約500万円の医療費と週3回の透析が必要となり、生活の質も
大幅に低下。
○予防可能な生活習慣病については公的保険外の予防・健康サービスの活用が有効。
健常者・予備軍
対象者数:9千万人
通院フェーズ
対象者数: 200万人
年間医療費:30万円/人
予防・健康管理に
対する投資拡大
健常者や生活習慣病予備軍の
人に対する、生活習慣の改善
や、日常の健康管理のための
支援を拡大
透析フェーズ
対象者数: 10万人
年間医療費:500万円/人
重症化予防サービスの充実
公的保険外
健常者・糖尿病予備群・通院患者等を対象とする、公的保険外の運動・
食事指導サービスの活用
配食事業者による
重症化予防のため
の食事指導サービス
のサービス
フィットネス事業者
による重症化予防
サービス
糖尿病以外に、高血圧性疾患、運動機能障害、摂食障害を合わせると、年間4兆円の市場創出、1兆円
の医療費適正化効果が見込まれる。
5
政府内の検討状況(これまでの流れ)
日本再興戦略(平成25年6月 閣議決定 p59~)
○「効果的な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、おいることができる社会」の
実現を目指す(健康寿命延伸産業の育成、予防・健康管理の推進に関する新たな仕組みづくり)
産業競争力会議 医療・介護等分科会(平成25年10月~(平成25年12月 中間整理 p5~))
○公的保険外のサービス産業の活性化
○健康増進・予防への取組を促すためのインセンティブ措置
次世代ヘルスケア産業協議会(平成25年12月~(平成26年6月 中間とりまとめ))
○国民の健康増進、医療費の適正化、新産業の創出の同時実現を目指す
・「事業環境WG」「品質評価WG」「健康投資WG」を設置し、グレーゾーン解消のための事業者のニーズの把
握や健康製品・サービスの品質評価の仕組みの構築、産業界の健康投資促進に向けた方策等を検討。
日本再興戦略改訂(平成26年6月 閣議決定) p94~)
○ヘルスケア産業協議会での議論を踏まえ、公的保険外サービスの活性化に関する具体的な政策
が盛り込まれる
次世代ヘルスケア産業協議会(平成26年11月)
○「地域でのヘルスケアビジネス創出に向けた取組方針」を決定。
まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成26年12月)
○「地域でのヘルスケアビジネス創出に向けた取組方針」同様の支援施策が盛り込まれる。
6
Ⅱ.「次世代ヘルスケア産業協議会」
7
Ⅱ-1.次世代ヘルスケア産業協議会について
○「日本再興戦略」に基づいて、平成25年12月に「健康・医療戦略推進本部」の下に設
置し、ヘルスケア産業の育成等に関する課題を検討。
○当面の課題に関し、3つのWGを設置して具体的施策を検討。昨年6月に中間とりまと
めを行い、日本再興戦略(改訂版)に反映。
○今後、特に地域におけるヘルスケア産業の創出については、昨年12月に策定された
地域創生の総合戦略とも連携しつつ、日本再興戦略のさらなる改訂(今年6月を目途)
に向けて、具体策を検討。
【現在のWG構成と検討内容】
【これまでの開催実績】
次世代ヘルスケア産業協議会
座長:永井良三 自治医科大学学長
事業環境WG
品質評価WG
座長
座長:武久洋三
洋三
座長:末松誠
日本慢性期医療協会会長
慶應義塾大学医学部長
事業環境の整備に係
る検討
品質評価の在り方に
ついて検討
新事業創出WG
新事業創出に向けたシームレスな支援策の検討
健康投資WG
○第1回
○第1回会合
日時・場所:平成25年12月24日 官邸会議室
日時・場所:平成
議題:
議題:次世代ヘルスケア産業の創出・育成について
主な政務出席者:菅官房長官、茂木経済産業大臣
○第2回会合
座長:森晃爾
産業医科大学
産業生態科学研究所教授
企業、個人等の健康投
資を促進するための方
策の検討
日時・場所:平成26年6月5日 官邸会議室
日時
議題:次世代ヘルスケア産業協議会中間とりまとめについて
主な政務出席者:菅官房長官、茂木経済産業大臣
○第3回
○第3回会合
日時・場所:平成26年11月26日 中央合同庁舎会議室
日時・場所:平成
議題
議題:中間とりまとめ以降の進捗と今後の取組方針について
主な政務出席者:甘利健康・医療戦略担当大臣、宮沢経済産
業大臣
8
Ⅱ-2.検討の視点① ~新産業創出による一石三鳥の実現~
○予防・健康サービスの産業化
・慢性期医療(生活習慣病関連)にかかる医療費を、公的保険外のサービスを活用した予防・健
康管理にシフトさせること(セルフメディケーションの推進)により、「国民の健康増進」、「医療費
の適正化」、「新産業の創出」を同時に実現。
○地域経済・コミュニティの活性化
・地域において人口減少と医療費増大が進む中、①高齢化に伴う地域の多様な健康ニーズの充足、
②農業・観光等の地域産業との連携による新産業創出(医・農商工連携)により、地域の「経済活性
化と医療費適正化」につなげることが重要。
【地域経済における予防・健康管理サービスの役割】
【予防・健康管理サービスの活用】
医
療
費
公的保険による医療サービスの供給ライン
公的保険外サービスを併用した供給ライン
農業・観光等の地域産業との連携
(医・農商工連携等)
慢性期医療(生活習慣病関連)の
医療費は約9.8兆円。予防・健康
管理サービスにより適正化可能
慢性期医療から予防・
健康管理への大胆なシフト
新産業創出
慢性期
医療
公的保険外の
運動、栄養、保健サービス等
医療・介護
(地域包括ケア)
地域医療・介護
体制の構築
公的保険外の予防・
健康管理サービス
の活用
個人の年齢
地域の経済活性化と医療費適正化
9
Ⅱ-2.検討の視点② ~需給両面での対策~
○ヘルスケア産業を含む健康・医療分野は、成長戦略の重要な柱の一つとして、市場や
雇用の創出が見込まれる分野。このため、「国民の健康増進」、「医療費の適正化」、
「新産業の創出」の一石三鳥の実現を目指すことが重要。
○具体的には、需要と供給の好循環を生み出す視点に基づき、(1)公的保険外のヘル
スケア産業の創出と、(2)企業・健保等による健康投資の促進(保健事業の推進により
医療費の適正化) を推進。
供給面
需要面
(事業環境の整備)
(健康投資の促進)
グレーゾーンの解消
健康投資対効果の見える化
(評価指標の策定)
資金・人材の充実
株価
UP
地域資源の活用
安全
安心
健康投資に対するイン
センティブの措置
企業・健保等による健康
サービスの活用促進
品質の見える化
新たな健康サービスの創出
「健康」に対する支出の拡大
需給一体となった対策
健康長寿社会の実現
国民の健康寿命の延伸
新産業の創出
医療費の適正化
10
Ⅱ-3.中間とりまとめ以降の進捗
(1) グレーゾーンの解消
・9件の具体的事例について解消
(2) 資金供給の充実
・地域ヘルスケア産業支援ファンドを創設
(3) 健康経営・健康投資の推進
・データヘルス計画との連携、健康投資銘柄の設定
(4) サービス品質の見える化
・健康・運動サービスに関する第三者認証を創設
等を中心に、具体的な成果が出始めている。
11
(1) グレーゾーンの解消①(9件の案件について実施済)
具体的な解消事案の内容(合計9件)
1.スポーツクラブにおける運動指導(㈱コナミスポーツ&ライフ)
⇒医師法などに違反しないことを確認(2014年2月26日)
2.自己採血による血液の簡易検査(測定)とその結果に基づく健康関連情報の提供(健康ライフコンパス㈱)
⇒医師法・臨床検査技師法などに違反しないことを確認(2014年2月26日)
3.企業と保険者が連携した健診・レセプトデータの分析結果に基づく受診勧奨サービス(㈱日本医療データセン
ター) ⇒個人情報保護法などに違反しないことを確認(2014年6月20日)
4.医療機関と民間事業者の情報共有による複合的な健康・生活支援サービスの提供(㈱gentlus)
⇒個人情報保護法などに違反しないことを確認(2014年7月30日)
5.スポーツクラブ等における採血健康診断事業の際の代理人による診療所開設届出(㈱メデカルアシスト)
⇒医療法、保健師助産師看護師法などに違反しないことを確認(2014年9月29日)
6.スポーツクラブ等における採血健康診断事業の際の採血時のタブレットによる医師の指示(㈱メデカルアシス
ト)
⇒医療法、保健師助産師看護師法などに違反しないことを確認(2014年9月29日)
7.医師による健診・レセプトデータの分析結果のみに基づく判断による受診勧奨の実施(㈱日本医療データセン
ター) ⇒医師法などに違反しないことを確認(2014年10月30日)
8.治療費補償付予防メインテナンスサービス提供(㈱オーラルケア、98%歯を守る予防共済会)
⇒健康保険法に違反しないことを確認(2015年1月8日)
9.医師による食事箋発行と連動した配食サービス(日清医療食品㈱)
⇒介護保険法などに違反しないことを確認(2015年1月9日)
12
(1) グレーゾーンの解消②(具体的な事例)
○健康ライフコンパスは、自己採血キットを活用して、自己採血した血液による簡易な検査を行うこ
とで、検査結果を通知する健康管理サービスを創出。
○グレーゾーン解消制度を活用し、簡易検査の実施やその検査結果の通知、健康関連情報の提
供が、医師のみに認められている「医行為」に該当しないことを確認。 (平成26年2月26日)
○グレーゾーンが解消されたことにより、大阪や愛知など三大都市圏を含む全国の自治体で展開す
ることが可能となり、申請前(2月末時点)は84店舗だったものが、11月17日には261店舗まで
拡大。
解消後(11月)
261店舗
店舗数の推移
<採血キット>
解消前(2月)
84店舗
グレーゾーン申請後
(2月25日以降)
13
(2) 資金供給の充実①(地域ヘルスケア産業支援ファンドの設立)
○株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)は、2014年9月1日に「地域ヘルスケア産業
支援ファンド」を設置。リスクマネー及び経営人材を供給。
ファンド総額:100億円、存続期間:7年、業務運営:REVIC キャピタル㈱、㈱AGS コンサルティング
構成員(全23社): ㈱みずほ銀行、㈱北海道銀行、㈱秋田銀行、㈱北都銀行、㈱東北銀行、㈱足利銀行、㈱常陽銀
行、㈱千葉銀行、㈱千葉興業銀行、㈱横浜銀行、㈱北陸銀行、㈱静岡銀行、㈱紀陽銀行、㈱中国銀行、㈱福岡
銀行、㈱沖縄銀行、㈱西日本シティ銀行、㈱北日本銀行、㈱栃木銀行、横浜キャピタル㈱、地域経済活性化支
援機構、㈱AGS コンサルティング、REVIC キャピタル㈱
地域金融機関等
出資
地
域
支経
援済
機活
構性
化
出資・運営
協働
次世代
ヘルスケア
産業支援
ファンド
出資
経営人材投入
事業支援
異業種企業
(
医
療
又機
は関
そ・
れ介
ら護
の事
合業
弁者
事・
業周
体辺
)事
業
者
、
新
た
な
ヘ
ル
ス
ケ
ア
事
業
サービス
提供
次世代ヘルスケア産業支援ファンドは、①経営人材投入、②出資、の2大機能を提供
また、異業種企業と協働し、イノベーションを生起する
顧
客
・
患
者
14
(2) 資金供給の充実②(ヘルスケア事業への出資事例)
○平成26年10月3日出資
地域包括ケア
在宅の高齢者・患者・要介護者へのホスピスサービスを創出
 楓の風は、家族による看取りが可能となるよう、在宅療養支援サービスを提供している。
 具体的支援内容は、ニーズの増大に追いついていない、看護師による在宅ホスピスサー
ビスを関東を中心に他店舗展開する新事業に対して、出資及び経営人材を派遣。
地域ヘルスケア
産業支援ファンド
出資
経営人材
の派遣
地域サービスの必要性
 現状の訪問看護
・慢性疾患がほとんど
・がん患者等ターミナル
ケアが少ない
年間8件/施設(H23)の看取り
出所:介護給付費実態調査の概況
株式会社楓の風
リハビリ(介護予
防)、看取りサー
ビスを提供
(神奈川)
・看取り患者
・在宅高齢者
 現状の通所介護
・リハビリ機能を具備
した事業者は少ない
個別機能訓練加算算定事業者 16.4%
口腔機能向上加算算定事業者 0.7%
出所:平成24年介護サービス施設・事業所調査
15
(3) 健康経営・健康投資の推進①(企業の「健康投資」ガイドブックの公表)
○企業と健康保険組合の連携により、「健康経営・健康投資」を推進。
○昨年10月、企業経営層向けに「健康投資ガイドブック」を公表。同時に
健康保険組合向けに「データヘルス計画作成の手引き」を公表。
<企業と健康保険組合の連携> <健康投資ガイドブックのポイント>
【経済産業省】
【厚生労働省】
「健康投資」ガイドブック
(10月14日公表)
理念・方針と組織づくり
実践方法、評価方法
企業
・経営層の理解促進
・円滑な事業開始
・効果的な実践
等
企業経営層に対して下記を解説
データヘルス
計画作成の手引き
(10月14日公表)
○健康投資の意味、メリット
生産性向上等による企業価値向上
健康保険組合
○健康経営・投資の進め方
トップによる理念・方針の設定
社内体制構築(健保との連携)
実践方法
・コラボヘルスの促進
健康投資・健康経営への
取組促進
○取組の評価
データの活用、チェックリスト化
16
(3) 健康経営・健康投資の推進②(健康経営銘柄の設定)
○昨年11月、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に取り組む
企業へのインセンティブとして、「健康経営銘柄」を選定することを公表。
○今年3月をめどに、社員の健康増進に積極的な企業を選定し、「健康経営
銘柄」として公表予定。
<米国における健康経営と株式市場の評価> <銘柄選定のポイント>
ドル
30,000
米国の産業医等の協会から
表彰された企業群
25,000
$24,058.29
・東京証券取引所上場会社
が対象(約3,500社)
20,000
15,000
$15,389.20
・経済産業省が実施する調査
の回答企業から選定
10,000
5,000
・33業種毎に1社を選定
S&P500(米投資会社S&P社が500銘柄
を基に算出した株式指標)
0
1997
2002
2007
2012
(出典)The Link Between Workforce Health and Safety and the Health of the Bottom Line:
Tracking Market Performance of Companies That Nurture a “Culture of Health”
Journal of Occupational and Environmental Medicine Volume55, Number 9, September 2013
・東京証券取引所による財務
スクリーニングによる選定
17
(4) サービス品質の見える化
○今年4月から、日本規格協会が自主事業として、学会・関連団体等と連
携し、「健康・運動サービス事業者」の品質の見える化を行う第三者認証
事業を本格的に開始。
※本年度は、経済産業省の委託事業で試行的に約10社に対して認証を付与する予定。
認証機関
(日本規格協会)
連携・協力
学会等
・日本総合健診医学会
・臨床運動療法学会 等
関連団体
・スポーツ健康産業団体連合会
・健康・体力づくり事業財団
・日本フィットネス産業協会
・日本フィットネス協会
・日本健康運動士会 等
健康・運動サービス
利用者
健康・運動サービス
事業者
認
認
品質認証
の付与
・フィットネス事業者
・介護予防事業者
・スポーツクラブ
・カルチャーセンター
・リゾート施設 など
高品質な
サービス
の提供
個人
自治体
企業・保険者
18
Ⅲ.今後の地域でのヘルスケア産業創出の取組
19
Ⅲ-1.「取組方針」策定の背景
○今後、都道府県は、 「医療介護総合確保推進法」において、平成27年度に、将来の医療提供体
制に関する構想(「地域医療構想」)を策定。また、市町村も、平成37年(2025年)の「地域包括ケ
アの構築」に向けて、平成27年度から、新たな「介護保険事業計画」を実施。
○本年度の国の地方創生総合戦略が策定された後、平成27年度には都道府県、市町村がそれぞ
れの総合戦略を策定予定。
平成26年度
平成27年度
平成28年度
平成29年度
平成30年度
※平成27年度から各計画の改定が一斉に実施
医
療
・
介
護
関
連
の
計
画
出典:厚生労働省 第1回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 資料より抜粋
地
方
創
生
の
計
画
国
国の総合戦略
都道府県
都道府県総合戦略
市町村
市町村総合戦略
出典:内閣官房 まち・ひと・しごと創生法案の概要より経済産業省作成
20
Ⅲ-2.地域でのヘルスケアビジネス創出の基本的考え方
○厚労省が進める「地域包括ケアシステム」の構築を踏まえ(①)、さらにこれを補完する
形で、運動・栄養・見守り・買い物支援等の医療・介護周辺サービス等を、グレーゾーン
解消制度等を活用し、「公的保険外サービス」として創出(②)する。
○さらに、農水省や観光庁と協力し、医療・介護関係者や公的保険外サービス提供者が、
農業・観光等との地域産業との連携による新たなヘルスケアビジネスを創出(③)するこ
とを支援する。
③
新産業創出
食・農、観光等の地域産業との連携
(医・農商工連携等)
②
公的保険外の
運動、栄養、保健サービス等
地域医療・介護
体制の構築
①
医療・介護
(地域包括ケア)
地域の経済活性化と医療費適正化
21
Ⅲ-3.食・農、観光等の地域産業との連携のあり方
○我が国の強みである「健康長寿」をブランド化し、国内外に地域発サービスを展開。
○具体的には、「健康×食・農」「健康×観光」の新サービスを、地域外・国外への展開
(アウトバウンド)と地域外・国外の需要の取り込み(インバウンド)の双方を視野に入
れた取組を行うことにより、持続的なビジネス創出と地域コミュニティ活性化を図る。
地
域「
外健
・国 康
長
外寿
へ 」
のブ
サラ
ーン
ビド
スに
展よ
開る
推、
進
【ヘルスツーリズムの例】
<食・農、観光との連携>
・地域における持続的なビジネスの創出
・地域の高齢者の活躍、コミュニティの活性化
地
域「
健
外康
・
国長
外寿
の」
ブ
需ラ
要ン
のド
呼に
びよ
込る
み、
山形県上山市における取組
上山市では、温泉旅館、商工
観光業者、医療関係者が連携
し、地域資源を活用したクアオ
ルト健康ウォーキングを実施。
市民の他、多くの観光客が訪
れている。住民がガイドとして
活躍しており、雇用の場も創出
されている。
長野県松本市における取組
白骨温泉では、温泉旅館と弁
当業者、地元病院・医師会等
が協力し、3泊4日のヘルス
ツーリズムを企画。医師による
健康相談、管理栄養士監修の
食事提供、理学療法士による
運動指導などを行っている。
22
Ⅲ-4.地域のヘルスケアビジネス創出に向けた課題
1.地域における「ヘルスケア産業」の重要性
○「医療・福祉」を中心とした産業は、地域経済の付
加価値額及び雇用者数の10%以上を占める地
域の基幹産業。
○今後は、「公的保険外サービス」を発展させ「産業
化」していくことにより、地域経済・コミュニティの活
性化を図る。
○これらの「ヘルスケア産業」を創出することにより、
国民医療費(39兆円)の適正化にも貢献する。
2.地域での「ヘルスケア産業」の発展に向けた課題と今後の方向性
<課題1 ビジネスモデルの未成熟>
<課題2 担い手及び人材の脆弱性>
○「公的保険外サービス」を創出するには、公的保険との役割分担を規律で
きる、医療・介護事業者、自治体等との連携が必要。
○現状では、地域のビジネスとして成立しうるモデルが共有されておらず、
関係者が集う「場」も少ない。
○現状では、公的保険内の事業者が大宗で、保険外サービスの担い手が
脆弱。新たな事業を立ち上げる地域人材も不足。
○加えて、ヘルスケアビジネスを支える専門人材(保健師、管理栄養士等)
やアクティブシニアの確保・活用も道半ば。
・医療分野等のグレーゾーン解消による新ビジネスの創出
・新たな保険外サービスに対する実証支援と経営支援人材の供
給による「担い手」育成
・自治体、医療・介護関係者、事業者を糾合した「地域版
ヘルスケア産業協議会」でのビジネスモデル開発支援
・保健師・栄養士の専門人材やビジネススキルを持った退職者
の発掘・マッチング支援
<課題3 資金供給経路の不足>
○地域の事業者は中小・零細が多く、これらの者が新たな事業を立ち上げ
るための資金面での供給主体が少ない。
○他方、地域金融機関からの資金供給は必ずしも十分でない。
・地域金融機関からの資金供給の呼び水として、ヘルスケア
ファンドによる出資と政策金融による低利融資制度の創設
<課題4 地域資源活用のための知見不足>
○ヘルスケアサービスとして活用しうる地域資源(食や観光等)の品質の見
極めやその供給体制が不備。
○有望な資源があっても「ビジネスモデル」や「市場」につながっていない。
・「地域版協議会」で医・農商工連携を促進
23
Ⅲ-5.「取組方針」について(1/4)
基本的な考え方
○地域の自発的取組を、国が環境整備を行うことで支援し、成功事例を全国に普及
・地域版協議会の設立による、企業間の連携、自治体との協力の促進
・地域でのビジネスモデルの確立、そのための担い手の発掘、グレーゾーン解消の活発化
地域における住民の健康寿命の延伸、新産業・雇用創出、医療費の適正化
ビジネス創出の基本コンセプト
○「地域包括ケアシステム」 を補完
公的保険外サービスとして、運動・栄養・見守り・買い物支援等の医療・介護周辺ビジネスを
創出。
○地域資源を活用した新たなヘルスケアビジネスの創出
「健康予防サービス」、「食・農」、「観光」の3つの地域資源を活用し、医・農商工連携やヘル
スツーリズムなどの新たなビジネスを創出。
○インバウンド・アウトバウンドの推進
「健康長寿」ブランドを活用し、ヘルスツーリズム等による海外需要の取り込みや、地域発
サービスの国際展開も視野。
24
Ⅲ-5.「取組方針」について(2/4)
ビジネス創出の方向性
~成長段階毎の取組促進~
③ビジネス立ち上げ期
②ビジネス実証期
(全国で展開可能性のある事業を想定)
①地域課題・担い手育成期
(各地域毎に検討)
地域のヘ
ルスケア課
題の発掘・
発信期
こ
れ
か
ら
の
検
討
事
項
の
例
地域の事
業者の発
掘・育成
○自治体による課題把握・発信
○地域の実情に応じたビジネス
創出に向けた各事業者のマッ
チング
○地域キーパーソンの巻き込み
○地域版協議会の設置と事業
者の発掘・育成
ビジネス
コンセプ
ト設計期
ビジネス
モデル策
定・実証
期
○新規ビジネスモデルに対する実
証の場の提供
○ビジネスモデル鍛錬のための専
門家によるアドバイス
○専門人材(保健師・管理栄養士
等)とのマッチング
○上記を一体的に提供するイン
キュベーション機能の提供
事業戦略
ビジネス
詳細策定
期
展開着手
期
成長期
○地域金融機関等の民間資金の
呼び水としての政府系ファンドに
よる出資や政策金融による資金
供給、及びノウハウ共有
○成長に向けた経営人材の派遣
25
Ⅲ-5.「取組方針」について(3/4)
ビジネス創出に向けた6つの政策の柱
(1)ビジネスモデルの確立
○多様な関係者が参画する地域版協議会の設立と
保険外サービス創出のビジョン策定の促進
○ビジネスモデル確立のための担い手発掘・育成
(4)地域資源の活用(健康長寿ブランド)
○地域の「食・農」とヘルスケア事業者の連携促進
○温泉や自然等の観光資源を活用したヘルスツーリ
ズム等の促進
○地域事業者と大企業との連携促進
(2)人材育成・活用
(5)インバンド・アウトバンド推進
○事業者に対するビジネスコンセプトへの助言指導
○ヘルスツーリズムによる海外需要の呼込み
○専門人材やアクティブシニアなどの活用促進
○地域発「健康・予防サービス」の国際展開
(3)資金供給の円滑化
(6)事業環境整備(グレーゾーン解消等)
○地域金融機関等の積極的な対応
○地域発新ビジネスのためのグレーゾーンの解消
○地域版協議会と政府系ファンドの連携による案件
組成
○ヘルスケアサービスの品質の見える化
○健康関連情報の集約化と活用
26
Ⅲ-5.「取組方針」について(4/4)
地域における具体的な展開のあり方
(1)「地域版」協議会の成功事例を全国に展開
・ヘルスケアビジネス創出に積極的な先進自治体と連携して、地域版協議会を活用した
具体的情報交換や協力関係の構築を行い、それらの成功事例を全国に展開していく。
・今後各地自治体で策定する地域版「総合戦略」に、ヘルスケアビジネスを位置づける。
(2)地域の関係機関との協力体制構築
・地域金融機関、経済団体、医師や管理栄養士等の専門人材との協力体制を構築する。
(3)住民・地元企業の巻き込みによる需要喚起
・供給側の事業環境整備と同時に、地元企業の健康投資の促進や、一般住民の参画促進方策
を検討し、地域でのヘルスケアビジネスの需要を喚起する。
(4)「新事業創出WG」の設置と具体策の検討
・超高齢化社会にかかる地域の課題を解決する公的保険外サービス創出のための「新事業創
出WG」を新たに設置。
※これまでの事業環境WGと品質評価WGを発展的に統合
27
Ⅲ-6.今後のスケジュール
○1月以降
・各省と地方自治体や事業者等との検討促進
○4月以降
・都道府県版・市町村版
「まち・ひと・しごと総合戦略」
○6月頃
・成長戦略改定
28
Ⅳ.地域における先進取組事例の御紹介
1.群馬県次世代ヘルスケア産業協議会
2.松本地域健康産業推進協議会(松本市)
29
1.群馬県での取組概要
○群馬県では、健康増進・予防サービスを含む幅広いヘルスケア産業の育成・集積を
目指し、平成25年に設置した総合特区の地域協議会「群馬がん治療技術地域活
性化総合特区地域協議会」にヘルスケア分野への取組を追加。(平成26年11月1
1日)
平成25年9月 がん治療技術総合特区に指定。
平成25年10月 群馬がん治療技術地域活性化総合特区地域協議会発足
平成26年11月 群馬県次世代ヘルスケア産業協議会 発足
・地域協議会の規約に「「健康サービス活用による健康増進、予防・健康増進による
社会的コストの適正化及び新産業創出による地域経済の活性化に関する事項」を追
加
目的
当面の活動
○健康サービス活用による
健康増進
○予防・健康増進による社
会的コストの適正化
○新産業創出による地域
経済の活性化
〇健康増進サービス・予防サービス事業に係る地
域の課題・ニーズの収集及び発信。
〇産学官金・医療機関の連携強化によるヘルスケ
ア産業の創出支援。
(例)健康寿命の向上を図るシニアトレーニング、
観光資源を活用したヘルスツーリズム
30
2-1.長野県松本市での取組概要
○松本市では、首長のコミットすることにより、ヘルスケア産業の創出・育成の仕組み
づくりが加速。市民の健康づくり・QOL向上と産業創出の両面で、試行錯誤が続い
ている。
ステップ1
首長・行政によるコミット
ステップ2
プラットフォーム構築
平成20年6月に、「健康寿
命延伸都市」構想を表明。
まちづくりの基本方針とし
て、市総合計画に反映。
平成23年7月に、「松本地域
健康産業推進協議会」を設置
産業創出のための関係者を
集結したプラットフォームの構
築。
○産業ビジョン等への反映
○協議会発足に向けて、先進
的な事例の収集、地元企業
や大学との意見交換を実施
○ビジネスモデル鍛錬のための
コーディネーターによるアドバイ
ス
○会員企業や行政とのマッチング
○企業向けセミナーや市民フォー
ラムの開催
○実証・検証に関する補助金
○企業との協働による市民向けイ
ベント等の開催
ステップ3
ビジネスの実証フィールド
の展開
平成26年度 「松本ヘルス・
ラボ」整備
平成27年度 実証事業受
入れ(予定)
○登録された市民のネットワー
クを活用し、新規ビジネスモデ
ルに対して市民参加による実
証の場を提供
○市民のアイデアや意見を取り
込む形で、製品・サービスをブ
ラッシュアップ
31
2-2.課題認識と都市ビジョンへの反映~長野県松本市の事例~
○松本市では、超少子高齢型人口減少社会におけるまちづくりの都市戦略
として、平成20年に「健康寿命延伸都市」構想を掲げ、「人、生活、地域、環境、経
済、教育・文化の『健康』」を目指して、総合計画を策定。
○超高齢化と少子化が同時に進む「課題先進国」である日本が先陣を切って解決を
目指すことが求められており、新たな成長産業を生むチャンスと捉え、住民の健康と
産業創出の両面から、市長主導で医療・介護周辺産業の創出に取り組んでいる。
健康寿命の延伸を下支えする産業化による
持続可能な社会システムの構築
医療・介護周辺サービスの
イメージ
+
「健康」を切り口に、健康・医療周辺サービス
における内需志向の強い産業の育成・集積
住民の健康、QOLの向上と産業振興の
実現を目指す
②医療・介護周辺サービ
ス、健康サービス
ロコモ
予防
①保険制度内の
医療・介護サービス
ヘルスツーリズム /行政サービス
買物援助 サービス付き
運動指導
配食サービス
高齢者住宅
32
2-3.松本地域健康産業推進協議会の活動
○産業育成・集積のためのプラットフォーム機能の構築のため、平成23年7月に「松本地域健
康産業推進協議会」を設立。県、周辺自治体、大学、商工会議所、事業者、金融機関、医
療・介護関連機関など、114企業・団体が参加。
○ヘルスケア産業の創出に向けて、セミナー等の開催や市民ニーズ調査の実施、個別企業
の実証事業の支援、企業や行政とのマッチングなどを実施。
協議会の事業内容
1 健康産業フォーラムの開催
・先端的な健康・医療情報の共有化を図るとともに、ビジネス化の可能性を検討
2 現場ニーズの調査研究
・要介護者・介護者のニーズ、病院・介護施設・高齢者関連施設のニーズを把
握し、会員への情報提供
3 実用化検証の実施
・会員企業の提案に基づいて製品・サービスの実用化検証を実施
・事業費100万円上限(会員企業負担1/4相当額)に助成
4 国、県の補助事業への申請支援、相談業務
・経済産業省等国、長野県などへの補助事業申請を支援する
・認証、薬事関係情報、販路など担当コーディネータが支援
5 「健康経営」に関する地元企業への普及啓発
6 世界健康首都会議の開催
・産業面、健康基盤面から「健康寿命延伸都市・松本」構想を世界に向けて
発信
会員企業と市施設での実証事業
コンビニでの健康相談
33
2-4.市民との協働によるサービス・製品化:松本ヘルス・ラボ
○健康に関心のある多くの市民を募り、市民ニーズの視点から新製品・サービスの提案
やモニターに参加する仕組みを検討。健康に対する市民意識の醸成とヘルスケア産業
の振興の実現を目指している。
松本ヘルス・ラボ
Matsumoto Health-Lab
松本ヘルス・ラボとは?
市民の健康づくりの機会の増大と健康産業の創
出の両立を実現するためのリビング・ラボ
機能①
健康増進活動の
促進
機能②
健康産業の創出
促進・支援
・新サービス・新製品の
商品化・ 事業化の促進
松本ヘルス・ラボの概要
金融
事業者
団体
事業の提案・評価
アイディア・企画
意見の聴取・参加依頼
補助金・場所・人員提供
有識者
松本地域健康産業
推進協議会
医療
自治体
企業
介護
患者
(事業主体)
モニタ参加
事業化サポート
ラボの運営コストは、機能②の充実により、対価の獲得を目
指し、最小限の公的負担による運営を目指す。
新サービス
事業の実施
事業化
市民参加による新商品
・健康意識の醸成
・健康産業創出への貢献
・ソーシャルキャピタルの形成
新製品
34
(参考) 地域における保険外サービス創出に向けた動き
群馬県次世代ヘル
スケア産業協議会
新ヘルスケア産業フォーラム
(中部)
○イベント、セミナーの会員への
提供。新事業展開・参入等の支援
○部会活動により、新たなモデ
ル・事業を創出 等
○“あづましい”の拠点(もう
一つの居場所)の提供
○道産食材を活用した医・農
商工連携 等
九州ヘルスケア産業推進協
議会
○ヘルスケアサービスの創出(参
入促進セミナー等)
○医療機器関連産業の高度化、
他産業からの参入促進 等
長崎県の介護周辺・健康
サービスを考える会
北海道ヘルスケアサー
ビス創造研究会
松本地域健康産業推進
協議会(長野県)
四国の医療介護周辺産業を
考える会
○情報交流支援、情報提供
フォーラムの開催など
○マッチングサイト”switch”
の利用 等
大阪市都市型産業
振興センター
35
Ⅴ.健康投資についての取組
36
Ⅴ-1.需給両面からのアプローチによる産業創出
○ヘルスケア産業を含む健康・医療分野は、成長戦略の重要な柱の一つとして、市場や
雇用の創出が見込まれる分野。このため、「国民の健康増進」、「医療費の適正化」、
「新産業の創出」の一石三鳥の実現を目指すことが重要。
○具体的には、需要と供給の好循環を生み出す視点に基づき、(1)公的保険外のヘル
スケア産業の創出と、(2)企業・健保等による健康投資の促進(保健事業の推進により
医療費の適正化) を推進。
供給面
需要面
(事業環境の整備)
(健康投資の促進)
グレーゾーンの解消
健康投資対効果の見える化
(評価指標の策定)
資金・人材の充実
株価
UP
地域資源の活用
安全
安心
健康投資に対するイン
センティブの措置
企業・健保等による健康
サービスの活用促進
品質の見える化
新たな健康サービスの創出
「健康」に対する支出の拡大
需給一体となった対策
健康長寿社会の実現
国民の健康寿命の延伸
新産業の創出
医療費の適正化
37
Ⅴ-2.健康経営・健康投資の促進
○健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める
投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践するこ
と。
○健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組
○企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員
の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や
企業価値向上へ繋がることが期待される。
38
Ⅴ-3.株価向上効果を期待できる健康投資
○健康投資に積極的な企業の株価は全体に比べ高い値を示してお
り、健康投資は企業の株価向上(市場の判断)に寄与していること
が示唆される。
○健康投資に積極的な企業のインデックスは、全体に比べ高い値で
推移している。
【健康投資に積極的な国内企業のインデックス比較】
220
200
TOPIX
アワード+格付
180
160
140
120
100
80
健康投資に積極的な企業(厚生労働省「健康寿命を伸ばそうアワード受賞企業」、日本政策投資銀行「健康経営格付
融資先企業」における東証一部上場企業)のインデックスと、 2009年4月~2014年9月の5.5年間のTOPIX推移とを、
2009年4月1日終値を100として比較を行った。
(出所)日本総合研究所作成
39
Ⅴ-4.高リターンを期待できる健康投資
○ジョンソン&ジョンソンがグループ世界250社、約11万4000人に健
康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算。
○健康投資1ドルに対して、3ドル分の投資リターンがあったとされて
いる。
【健康投資に対するリターン】
(出所)「儲かる『健康経営』最前線」ニューズウィーク誌2011年3月号を基に作成
40
Ⅴ-5.健康経営・健康投資を促進するための経済産業省の取組
○健康経営銘柄の設定
• 従業員の健康に関する取組について優れた企業を「健康経営銘柄」として
選定し、中長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅
力ある企業として紹介
• 平成27年3月に選定・公表の予定
○企業による情報開示の促進
• 企業の健康投資を促すとともに、投資家に中長期的観点に基づいた投資の
判断材料を提供
• 平成23年3月に報告書をとりまとめる予定
○企業の「健康投資」ガイドブックの策定・公表
• 企業の経営者が自ら「健康経営」の理念を考え、それを「健康投資」として実
践することを促す
41
Ⅴ-6.健康経営銘柄の設定
○健康経営企業へのインセンティブとして、市場からプラス評価を受ける
枠組みが重要。
○社員の健康増進に積極的な企業を対象とした、株式市場における新た
なテーマ銘柄(健康経営銘柄)を今年3月に選定・公表予定。
「健康経営銘柄」
③財務指標スクリーニングによる「健康経営銘柄」の選定
• ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均 * が、業種平均以上の銘柄を
「健康経営銘柄」とする。
* 2014年3月末を起点とする
• 33業種毎に1社選定(該当企業がない場合、その業種からは非選定)
「健康経営」に優れた企業
②調査結果に基づく、「健康経営」に優れた企業の選定
「従業員の健康に関する取り組みについての調査」による分析・評価結
果を利用し、「健康経営」に優れた企業を33業種毎に数社ずつ選定*
「従業員の健康に関する取り組みに
ついての調査
ついての調査」に回答した企業
東京証券取引所上場会社
※外国会社及びTOKYO PRO Market上場会社を除く
* 重大な法令違反等がある場合には選定しない。
①「従業員の健康に関する取り組みについての調査」への回答
東証上場会社のうち、経済産業省が実施する「従業員の健康に関す
る取り組みについての調査*」に回答した企業が選定対象
* 企業の従業員の健康に対する取組や成果について、実態を把握することを目
的として東証上場会社以外も含む全上場会社に対してアンケート調査を実施
42
Ⅴ-7.企業による情報開示の促進
○日本再興戦略においてコーポレート・ガバナンス報告書やCSR報告書等に従業員等の
健康管理や疾病予防などに関する取組の記載を検討することとされている。
○企業の健康投資を促すとともに、投資家に中長期的観点に基づいた投資の判断材料
を提供するため、健康投資に関する事項についての情報開示を促進する。
「健康投資」の情報開示の目的
健康投資に関する情報開示の促進
(コーポレート・ガバナンス報告書やCSR報告書等)
投資判断
材料提供
健康投資
促進
政府内の検討状況
次世代ヘルスケア産業協議会
中間とりまとめ(抜粋)[平成26年6月]
3.新産業の創出に向けた課題とアクションプラン
Ⅱ. 健康経営(※)・健康投資の促進
②健康経営が評価される枠組みの構築
○CSR報告書などによる企業の積極的な情
報発信を促進する。
日本再興戦略2014(抜粋)
[平成26年6月 閣議決定]
投資家
企業
積極的な健康投資を行う企業への
中長期的な投資の促進
第二 3つのアクションプラン
二.戦略市場創造プラン
テーマ1:国民の「健康寿命」の延伸
(3)新たに講ずべき具体的施策
ⅱ)公的保険外のサービス産業の活性化
・「コーポレート・ガバナンス報告書」やCSR報
告書等に「従業員等の健康管理や疾病予
防などに関する取組」を記載
43
Ⅴ-8.企業の「健康投資」ガイドブックの策定・公表
○「健康投資」の目指すものとその効果について、企業経営者に理解をしていだくこと
○企業経営者が、自ら「健康経営」の理念を考え、発信していただくこと
○「健康経営」が組織の中にしっかり浸透していくよう、企業として組織体制を整備して
いただくこと
○企業と健康保険組合が理念や方法論等を共有して連携し、「企業の取組」と「国の取組
(データヘルス計画)」が、一体となって進められていくこと
企業の「健康投資」
拡大に対する課題
ガイドブック作成方針
記載項目
•
•
企業の「健康投資」が必要な社会状況
(企業・健保)
健康投資の概略
企業業績へのメリット等の提
示により、訴求力を高めるこ
と
•
•
生産性向上(先進企業事例を通じて)
企業業績への効果(インデックス等)
社内環境整備や全体枠組み
としての実践方法等を提示
すること
•
•
•
理念・方針策定(トップの関与)
組織体制の構築・整備
健保組合との連携(コラボヘルス)
「健康投資」の浸透度の低
さ
わかりやすく、「健康投資」の
概念を提示すること
「健康投資」によって得られ
る効果が見えない(投資対
象と認識されない)
何をしたらよいかわからな
い
44
参考資料
(来年度予算事業の御紹介)
45
(参考1)新興国での我が国の健康・予防サービスの認知度向上の取組
○健康・予防サービスは、生活習慣病対策の重要性が増す新興国においても重要。
○JETROと協力し、新興国でのセミナー・展示会の開催を通じた我が国の健康・予防サービスの
認知度向上、本邦企業と海外ニーズのマッチング機会提供等を実施し、海外展開を推進。
「日本型健康長寿社会ビジネス」広報事業
日中高齢者産業交流会
アジア等に比して競争力ある「健康長寿」を切り口とした様々
なビジネスを、複合的に紹介・広報するイベントを実施し新興
国における「健康長寿」に関する本邦企業のビジネス基盤を
確立し、双方のビジネス促進を図る。
今後急速な高齢化が見込まれている中国では、市場全体は
まだ未成熟な状況。セミナー及びミッション派遣を実施し、中
国の現状把握、政府関連部門との関係構築、ビジネスパート
ナーの発掘を通じて、本邦企業による中国展開をサポート。
 本年度は、ミャンマー国ヤンゴン市内で開催。
 開催時期:2015年3月22日(日)~23日(月)
(例)日中(大連市)高齢者産業交流会、商談会
セミナー会場の様子
 セミナーの参加者は201社。
 日中双方の著名人よる講演
等を実施。
商談会の様子
 商談会に日本企業16社、
中国企業17社が参加。
 商談件数72件中、「今後
も継続してコンタクトした
い」というものは42件。
(参考2)
健康寿命延伸産業創出推進事業
平成27年度予算案額 8.2億円(8.7億円)
商務情報政策局 ヘルスケア産業課
03-3501-1790
事業の内容
事業イメージ
事業目的・概要
 経済産業省では、「健康寿命延伸産業」の創出・育成を通じ、国民
の健康増進、国民医療費の適正化を図ることを目指しております。
 そのためには、企業、個人による健康投資の促進など需要側からの取
組に加え、産業の発展に資する事業環境整備など供給側からの取組
を併せて進めることが重要であると考えております。
 本事業においては、①供給拡大のための「事業環境の整備(地域で
のビジネスモデルの確立、サービス品質の見える化等)」、②需要創
出のための「健康投資の促進(比較可能な評価指標を用いた企業
や保険者の取組の効果検証、取組促進のためのインセンティブの設計
等)」について実証事業を行い、課題の抽出や事業化の推進に取り
組んでいきます。
 本事業を通じて、関連省庁とも連携しながら、「健康寿命延伸産業」
需要創出
(健康投資の促進)
健康投資対効果の見える化
企業
価値
向上
供給拡大
(事業環境の整備)
グレーゾーンの解消
地域版ヘルスケア
産業協議会の活
用
健康投資に対する
インセンティブの措置
企業・健保等による健
康サービスの
活用促進
実証事業を通じた
具体的な課題・解決策の検討
地域資源の活用
安全
安心
品質の見える化
実証事業を通じた
具体的な課題・解決策の検討
の創出・育成を図ります。
「健康」に対する需要の拡大
成果目標
 平成26年から平成28年までの3年間の事業であり、最終的には平成
新たな健康サービスの創出
需給一体となった対策
32年に健康寿命延伸産業の市場規模を10兆円を目指します。
条件(対象者、対象行為、補助率等)
委託
国
民間企業等
健康長寿社会の実現(一石三鳥の実現)
① 健康サービス活用による国民の健康増進
② 予防・健康増進による医療費の適正化
③ 新産業創出による(地域)経済の活性化
47
(参考3)
農水(ヘルスケア×食)と厚労(ヘルスケア×観光)から、予算資料を一枚ずつもらう
48
働く世代の女性支援のためのがん検診未受診者緊急支援事業
宿泊型新保健指導試行事業
(参考4)
平成27年度概算要求額:64百万円
(平成27年度予算(案):63,548千円)
趣旨・目的
○日本再興戦略のアクションプランの一つである戦略市場創造プランにおける、ヘルスケア産業を担う民間事業者等が創意工夫を発揮できる市場環境
の整備として、「糖尿病が疑われる者等を対象として、ホテル、旅館などの地元観光資源等を活用して行う宿泊型新保健指導 プログラムを平成26年
度内に開発し、試行事業等を経た上で、その普及促進を図る」とされている。
○また、健康日本21(第二次)においては、循環器疾患、糖尿病、高血圧等の生活習慣病の一次予防に重点を置きつつ、合併症の発症や
症状進展などの重症化の予防を重視した取組を進めるとともに、健康づくりに取り組もうとする個人を社会全体で支援するため、社会環境
の改善を通じた働きかけなどを推進していくこととしている。
※健康日本21(第二次)における目標例
・【糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数の減少】 現状:16,247人(H22)→ 目標:15,000人(H34)
・【糖尿病有病者の増加の抑制】 現状:890万人 (平成19年)→ 目標:1,000万人(平成34年度)
○平成26年度に開発する宿泊型新保健指導プログラムを平成27年度に試行することで効果検証を行い、プログラムの改訂等を行った上で、
生活習慣病予防に効果的で、汎用的な保健指導として、ヘルスケア産業等で活用されることを目指す。
事業概要
○ 平成26年度に研究班で開発する宿泊型新保健指導プログラムを医療保険者等(公募)で試行するための事業費を補助し、事業結果・効果の検証を
反映してプログラムの改訂を実施する。
【補助率】国10/10
【補助先】医療保険者等(公募)
健康増進施設・保養所・ホテル・旅館等で実施
(健保組合や企業の保養所、都心部・保養地のホテ
補助先(公募)
10/10
ル・旅館など)
国庫補助
医療
保険者等
国
事業結果
(データ)の
報告
被保険者に対して
宿泊型保健指導を
実施
結果(データ)の
提供
事業結果を反映してプログラムを改訂
保健指導プログラム
医師,保健師,管理栄養士,健康運動指導士 etc
旅館
スポーツなどのオプション
49