みずほフィナンシャルグループ社長から みなさまへのご報告 みなさまには、平素より私どもみずほフィナンシャルグループをお引き立ていただき、誠 にありがとうございます 当グループは、平成14年4月に顧客セグメント別・機能別法的分社経営をスタートさせて 以降、一段と厳しさを増す経営環境に対処するため、抜本的な財務処理の実施、1兆円を超 える増資、グループ経営体制の再編等の経営改革を断行してまいりました。平成16年度に ついては、 「みずほの真価を発揮する1年」と位置づけ、財務の健全性のさらなる向上と収 益力の飛躍的な増強に、グループ一丸となって取り組んでまいりました。 不良債権問題を終結させました 財務の健全性向上については、まず不良債権問題において、企業再生への積極的な取り 組みが着実な成果をあげたこと等により、金融再生プログラムで示された不良債権比率の 半減目標を平成16年9月末に達成しました。平成17年3月末には、同比率を前年度末に比 べ半分以下となる2.1%までさらに低下させ、不良債権問題をほぼ終結させました。また、 繰延税金資産の減少に伴い資本の質が向上するとともに、保有株式の削減も引き続き実施 しました。 2 公的資金の約半分を返済いたしました 公的資金については、安定した収益の確保により、残存していた劣後債の完済と公的資金 優先株式の買受けを行い、これまでに合計で、当初受入残高の約半分となる1兆4,826億 円を返済いたしました。公的資金返済後も、平成17年3月末現在のみずほフィナンシャルグ ループの連結自己資本比率(国際統一基準)は、11.91%という高水準を維持し、健全性を 十分に確保しております。 システム統合も完了いたしました 一方、コスト構造改革についても着実に進め、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行およ びその再生専門子会社合算ベースで、平成14年度に比べ約1,350億円の経費削減を実現 しました。なお、当グループの最重要課題の1つとして取り組んだみずほ銀行のシステム統 合は、平成16年12月までに完了しております。 トップライン収益拡大に向けた戦略を展開してまいりました 収益力の飛躍的な増強については、 トップライン収益の拡大に向け経営戦略をフェーズ転 換し、顧客セグメント・事業特性に応じたグループ各社の戦略を展開するとともに、グループ 各社の連携強化によるグループ内シナジーを徹底的に追求してまいりました。加えて、グルー プを超えたさまざまなアライアンス等の施策についても、スピーディーに実施しました 。 具体的には、みずほ銀行では、個人のお客さまに対しては、コンサルティングビジネスと個 人ローン分野を戦略分野と位置づけ、重点的に収益増強に取り組みました。また、お客さま とのお取引を一層拡大するため、年会費無料のクレジットカード機能付きキャッシュカードの 発行や提携会社との交換が可能なポイント制度等を特徴とする新会員制サービス「みずほ マイレージクラブ」をスタートさせました。 一方、中堅・中小企業のお客さまに対しては、スピーディーな無担保融資を実現する戦略 貸出ファンドや無担保貸出商品の投入、小規模法人のお客さま向け融資業務専門子会社で ある「みずほビジネス金融センター」の拡充により、健全な資金需要に対する豊富な資金供 給を行ってまいりました。さらに、グループ各社との連携等によりソリューションビジネスを 強力に展開するとともに、貸出シェアの拡大に取り組みました。 みずほコーポレート銀行では、資産回転型ビジネスモデルへの転換を一層進めるなか、拡大 するシンジケートローン組成マーケットで約4割のシェアを占める等、圧倒的なマーケットリー ダーの地位を確固たるものにする一方で、専門セクションを設置してローントレーディング市 場の拡充に取り組んでおります。また、多様化・高度化するお客さまのニーズに対し、グループ 総合力を発揮してさまざまな金融サービスを連続して複層的に提供する「ディール・アフター・ ディール営業」を展開することで、ソリューションビジネスの強化に努めております。一方、海 外においては、邦銀最大級の拠点網を構築している中国マーケットをはじめとするアジア地域 に重点を置き、お客さまの事業展開に対する専門性の高いサポートを実施してまいりました。 3 みずほフィナンシャルグループ社長からみなさまへのご報告 みずほ証券については、従来から業界トップクラスの実績をあげている債券関連業務およ びインベストメントバンキング業務に加え、重点課題として取り組んだ株式関連業務では、証 券大手3社に次ぐポジションまで躍進する等、業容は順調に拡大しております。 みずほ信託銀行では、年金・資産運用、不動産、資産流動化、証券代行等の財産管理部門 の一層の強化に取り組み、同部門の業務粗利益において、前年度に比べ大幅な増加を実現 しました。また、信託業法の改正を背景とした信託マーケットの拡大を新たなビジネスチャ ンスと位置づけ、個人・法人のお客さまに対し、高度な信託商品・サービス、ソリューション を提供するための体制作りに努めました。 このように、収益力の改善や与信関係費用の減少、さらには、住専訴訟判決に伴う還付金 等3,084億円を背景に、将来リスクを軽減する観点から、減損会計の前倒し適用等、保守的 な財務処理を実施しました。この結果、平成16年度の業績については、連結決算ベースで 経常利益6,574億円、当期純利益6,273億円となり、当グループの最高益を確保しまし た。平成16年度の普通株式の期末配当金は、前年度に比べ500円の増配となる3,500円 とさせていただくとともに、各種優先株式の配当金については、それぞれ所定の配当を実施 しました。 当グループは、本年4月、これまでの経営改革の成果をふまえ、お客さまの支持獲得を目 指す「未来志向・顧客志向」のフェーズへの転換期を迎えたとの認識に立ち、世界をリードす るフィナンシャルグループへ飛翔すべく、事業戦略『 “Channel to Discovery”Plan』を発 表しました。 そのアクションプログラムとして、 「お客さまニーズを“Key”とした3つのグローバルグ ループ」というストラクチャーに転換し、それぞれの特色を活かした収益モデルを構築する 「ビジネスポートフォリオ戦略」と、 「コーポレートマネジメント戦略」を新たに展開するととも に、具体的戦略施策に基づく中期経営計画を策定しました。 お客さまのニーズにお応えするため3つのグローバルグループに再編いたします 「ビジネスポートフォリオ戦略」においては、お客さまのニーズに基づき、当グループを「グ ローバルコーポレート」、 「グローバルリテール」、 「グローバルアセット&ウェルスマネジメン ト」の3つのグローバルグループに再編いたします。 「グローバルコーポレートグループ」では、大企業・グローバル企業のお客さまのニーズに お応えするため、グローバルコーポレートバンキング業務とホールセール証券業務の連携を 図り、総合金融力を活かした専門性の高い最先端の商品・サービスを提供します。 4 「グローバルリテールグループ」では、個人および中堅・中小企業のお客さまのニーズに お応えするため、国内外のトップブランド各社との連携を活用し、グローバルレベルの商品・ サービスを提供します。その施策として、本年4月にみずほ銀行は、全米屈指のスーパー リージョナルバンクであるワコビア銀行およびウェルズファーゴ銀行とそれぞれ業務提携契 約を締結し、ネットワークの米国全域への拡大およびグローバルな商品・サービスの提供を 早期かつ効率的に実現します。 「グローバルアセット&ウェルスマネジメントグループ」では、 トラスト&カストディ分野やプ ライベートバンキング分野においてお客さまの多様かつ高度なニーズにお応えするため、グ ローバルレベルの商品・サービスを提供します。その施策として、本年4月にみずほ信託銀 行は、信託部門における世界的なリーディングバンクとしての地位を確立しているバンク・ オブ・ニューヨークと業務提携契約を締結し、グローバルレベルの運用手法の確立、執行ノ ウハウと資産管理マネジメントの高度化等をスピーディーに実現します。 また、わが国初の本格的プライベートバンキング会社を設立して、日本の法制度のもとで 欧米金融機関と同様の包括的・一元的サービスを提供できる体制を構築します。 こうしたビジネスポートフォリオ戦略の着実な推進を通じて安定した収益基盤を確立し、剰 余金を着実に積みあげることにより、公的資金の残額について、平成18年度中の完済を目 指してまいります。 「お客さまのより良い未来の創造に貢献するフィナンシャル・パートナー」を 目指してまいります 「コーポレートマネジメント戦略」としては、 コーポレートガバナンスの透明性の確保と投資 家のみなさまからの信頼を高めるため、ニューヨーク証券取引所への上場を目指します。ま た、活動基盤である社会とのかかわりにおいて責任を十分に果たすことが経済の発展に寄与 するものと考え、 CSR (企業の社会的責任)活動を一層推進します。さらに、 グローバルに通 用するフィナンシャルグループにふさわしいブランドの確立に向け、 ブランド戦略を強化して まいります。新ブランド戦略では、 「 Channel to Discovery」というスローガンのもと、 「お 客さまのより良い未来の創造に貢献するフィナンシャル・パートナー」を目指してまいります。 当グループは、こうした事業戦略を着実に推進し、競争力・収益力の強化を図り、企業価値 のさらなる向上に邁進してまいります。みなさまにおかれましては、引き続き一層のご支援 を賜りますようお願い申しあげます。 平成17年7月 株式会社みずほフィナンシャルグループ 取締役社長 5
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