八頭町教育ビジョン

八頭町教育ビジョン
第1章
将来像
ともに学び、ともに育てあうまち「やず」
1 .策定の趣旨
急速な少子・高齢化の進展や産業構造など社会経済情勢の大きな変化の中で、家庭・地域の教
育力の低下、個々の価値観の多様化やこれらに伴う社会的問題の複雑化が指摘されるようになっ
ています。
このような中、八頭町では平成17年に「八頭町総合計画」を策定し、町の将来像として『人
が輝き・集い・夢広がるまち』を掲げていますが、実現のためには先に触れたような諸課題を解
決していかなければなりません。
これは単に行政の努力によってのみ解決されるものではなく、住民と行政が連携・協働するこ
とによって解決されるものと考えます。
お互いを尊重しあい、支えあいながら自分たちの町を住み良くしていく、そんな「人づくり」
が求められているのではないでしょうか。
また「人づくり」にあたっては、町民一人ひとりが自己を磨き、自立し、自分の将来を切り拓
くことのできる力を身につけられる環境を整えることも必要です。
八頭町教育ビジョンは、このような考えに基づき、今後目指すべき教育、教育改革の方針を示
すものとして策定するものです。
2 .位置付け及び目標期間
このビジョンによってこれからの八頭町の目指す教育の方針を明らかにし、学校等教育に関係
する各機関は、これに基づいた具体的な施策の検討や実施を行うものとします。
また、このビジョンは平成33年度を目標とし、今後5年間に重点的に取り組む施策の方向を
示すものとします。
第2章
基本目標
将来像を踏まえ、以下の3点を基本目標とします。
1.未来を切り拓く、明るく元気なやずっ子づくり
一人ひとりが自分の「夢」や「希望」を持ちながら、国際化・情報化などの社会の変化に
対応し多少の困難があってもたくましくその実現に向かって努力していく、これからの八頭
町を担っていく「やずっ子」を育てます。
2.一人ひとりが生きがいを実感できる学びの場づくり
様々な今日的課題や町民のニーズに合った学習機会、スポーツ、芸術活動の場を提供する
ことにより、町民一人ひとりが生涯を通じて学習や活動に取り組み、生きがいを感じること
が出来る環境を整備します。
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3.豊かな学びを支援するつながりづくり
単に学ぶだけなく、多くの人と出会い、話しあい、理解しあうことでその学びはより豊か
なものとなります。豊かな学びが行えるよう、学校・家庭・地域や各種関係団体が互いにつ
ながっていける仕組みづくりを行います。
第3章
基本施策
この教育ビジョンを実現するため、≪学校教育≫・≪家庭・地域・社会教育≫・≪教育行政≫の
3つの分野において総合的な施策を行っていきます。
≪学校教育≫
1.一人
1.一人ひとり
一人ひとりの確かな学力
ひとりの確かな学力と学習意欲
の確かな学力と学習意欲の向上
と学習意欲の向上
学習の基礎・基本を重視し、学年の発達に応じた確かな学力の向上を図ります。子どもたちが
「学ぶ楽しさ・わかる喜び」を実感できる授業づくりに努め、自ら学ぶ力と意欲を高めます。
そのためにも、子どもたち一人ひとりの生活や学力の実態を把握し、個々に応じた指導方法の
工夫と改善を図ります。また、外部講師等を招いて校内研修の充実を図ることにより、教師の授
業力を高めます。
また、一人ひとりの力をしっかりと育てるために、障がいや特性に応じた指導を充実させると
ともに、全職員の共通理解を図り、関係者・関係機関との連携を密にしながら、学校全体で取り
組む支援体制の整備と推進に努めます。
◇ポイント
①学ぶ楽しさや学習意欲を引き出す授業の創造
②自ら学び、考える力を育てる授業づくり
③「聞く・話す」を重点にした言語活動の充実
④個別の障がいや特性に応じた支援会議の定期的な開催
◆主な事業
・「やずっ子いきいき学びプラン(生活習慣改善と授業力向上)」の推進
・少人数学級(小学校30人・中学校33人)の実施、複式学級の解消
・小中合同研究会・中学校区研修会等、校種を越えた研究会の開催による教員の授業力・
指導力の向上
・「まなびの教室」による通級指導、特別支援教育の推進
※「まなびの教室」:平成18年度より郡家西小学校に開設している八頭町通級指導教室。小学
生を対象とする。通常学級に在籍する児童の中で、特別な教育的支援を必要とする児童に対
して、一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細やかな支援や指導を行う。
2.豊かな心を育む教育活動の充実
2.豊かな心を育む教育活動の充実
体験活動等との関連を図りながら、心に響く道徳の時間の指導法について工夫改善に努めると
ともに、教育活動全体を通して道徳性を育む教育活動を推進します。
さらに、図書の読み聞かせや読書活動、また芸術や伝統文化等に直接触れる機会や体験の場を
計画的に教育活動に盛り込むことにより豊かな情操の醸成に努めていきます。
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また、発達段階に応じた集団形成や望ましい人間関係を育むさまざまな体験活動を通して、社
会生活の基盤となる協調性や社会性の育成を図ります。
◇ポイント
①家庭や地域社会と連携した豊かな自然体験や社会体験の充実
②自他の生命を大切にする心や人を思いやる心、感謝の心の育成
③図書館・図書室を活用した教育の充実
◆主な事業
・道徳推進教員を中心とする道徳の時間の充実
・行事や掲示板の工夫
・学校図書館司書の配置による読書活動、学習活動の推進
・公民館活動や地域ボランティア活動への積極的な参加促進
・青少年劇場、次代を担う子どもの文化芸術体験事業
3.健康・体力づくり・食育の推進
3.健康・体力づくり・食育の推進
近年、子どもたちの体力・運動能力が低下傾向を見せるなか、偏食や睡眠不足など生活習慣
の乱れやストレスなどを原因とする心身の健康問題が深刻化しています。
昔から「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言われているように、子どもたちに自分自身の
健康を管理できる力や生涯にわたって運動やスポーツに親しむ習慣を身につけさせることが大
切です。
また、学校給食や家庭科・総合的な学習の時間等を通して、健康や体力づくりの源となる食に
関する教育を積極的に推進します。
家庭においても、偏食や欠食のない食生活や健康的な生活リズム、適度な運動などの習慣づく
りが必要です。
◇ポイント
①悩みや不安を持つ子どもたちが、学校内で相談ができる体制の充実
②遊びやスポーツの奨励、部活動の充実
③望ましい食習慣や好ましい人間関係の育成
④挨拶や礼儀作法も含めた基本的生活習慣の習得及び励行
◆主な事業
・学校栄養教諭・学校栄養職員の配置、食育の取り組みや地産地消の推進
・全国体力・運動能力調査への参加、課題把握と取組の重点化
・「いきいきやずっ子の日」の取組、「いきいき学びプラン」の推進
4.学びと育ちの一貫性を重視した教育の推進
4.学びと育ちの一貫性を重視した教育の推進
保育所・小学校・中学校を中心に協働を進め、関係機関とも連携して基本的生活習慣の定着や
学習規律の定着、家庭学習の習慣化を図ることを通じて、保育所と小学校の連携の一層の充実に
努めます。
また、0歳~15歳までの子どもの発達の連続性に留意しながら、保・小・中を通して一貫性
のある教育計画や教育活動の工夫・改善を図り、自己肯定感を高めるための児童生徒の積極的な
交流や体験活動の工夫と充実に努めます。
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◇ポイント
①保・小連絡会、小・中連絡会、交流活動、保育体験等の計画的な実施
②校種間の連携による、小1プロブレムや中1ギャップの解消
◆主な事業
・保・小連携事業の推進、アプローチカリキュラム・スタートカリキュラムの開発
・保育所・小学校・保健課が連携して取り組む就学指導、5歳児健診のデータ活用
・小・中連絡会、小・中連携研究会による校種を越えた連携の充実
※「小1プロブレム」:小学校に入学した1年生が、教室で集団行動ができない状態が長く
続く現象。入学前のしつけや教育が原因と言われている。
「中1ギャップ」:中学生になったとたん、学習や生活の変化になじめずに不登校となった
り、いじめが急増するという現象。
5.人権教育の推進
学校教育における人権教育の推進は、子どもたちの人格の形成に大きな影響を与えるとともに、
人権尊重の社会を築くための中心的役割を担っています。人権尊重の意義や重要性について理解
を深めるとともに、その精神が生活の中で行動や態度となって現れるような学級・学校づくりを
進め、豊かな人間性を育てていきます。
また、教職員は自らが啓発者であるという認識に立ち、様々な今日的課題や歴史的な経緯に
ついての正しい知識の習得、参加体験型学習等の多様な学習方法の取り組みを通じて、指導力の
向上に努めます。
◇ポイント
①自他の生命を大切にする心や自尊感情と寛容の精神の育成
②基本的人権の認識と正しい歴史についての理解を深めることを通した、差別を見抜く力・
差別に負けない力と差別解消へ向けた実践力の育成
③互いの個性や能力を認め、いきいきと自己を表現し、人権を尊重する学級・学校づくり
④発達段階を考慮した全体計画の作成と子どもの実態に合わせた教材化の工夫
◆主な事業
・八頭町人権教育主任研修会(全体計画の見直し、共通理解、教材化の視点)
・中学校区研修会、校内研修会、人権教育参観日
・隣保館・文化センターとの連携 ゲストティーチャーとしての協力
6.今日的課
6.今日的課題への対応
今日的課題への対応
近年の情報化や国際化、経済の低迷による厳しい雇用状況など今日の社会情勢の変化は、一人
ひとりの価値観やライフスタイル、人と人とのつながりの希薄化などの影響を招き、子どもたち
の学習環境、生活習慣などにも様々な課題が生じています。
学校と家庭・地域がしっかりと連携しながらこれらの課題に対応し、困難なことにも耐え、前
向きに努力し、新たなことに挑戦していく、たくましい「やずっ子」の育成を進めます。
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◇ポイント
①いじめ、不登校、問題行動への対応
②児童生徒の安全確保
③学校・家庭・地域の連携推進
◆主な事業
・スクールカウンセラーの配置による相談活動・支援の充実
・地域のボランティアによる安全パトロール・見守り隊、青色パトロール巡回
・町報やホームページ、ケーブルテレビ等のメディアを活用した、学校の積極的な情報発信
・「地域で育む学校支援ボランティア事業」の推進
・ALT、韓国横城郡からの行政研修生など町内在住の外国人の協力を得た国際交流
・小・中学校PTA連絡協議会と連携しての講座、講演会等の実施
※「地域で育む学校支援ボランティア事業」:地域住民がボランティアとして学校の実態に
応じた支援活動を行うことで、学校と地域が連携しての子どもの育成に取り組む仕組み
づくりを進める事業。平成23年度より鳥取県教育委員会が推進している。
「ALT(エー・エル・ティー)」:Assistant Language Teacher の略。外国語指導助手。
主に英語を母国語とする外国人で、日本人の外国語教師が行う授業の補助を行う。
≪家庭・地域・社会教育≫
1.主体的な学習を支援する環境の整備
1.主体的な学習を支援する環境の整備
町民一人ひとりがそれぞれに興味関心を持つことについて主体的に学習し活動することは、
その人の生きがいや心の豊かさを養い、また自己実現を図ることにつながります。
ついては多種多様な学習ニーズに対応した学習情報の収集と提供、大学や教育関係団体など
とのネットワーク構築、学習成果や社会教育施設の活用方法など各方面にわたって社会教育環
境の整備を進めます。
◇ポイント
①町民の主体的な学習や活動の支援
②学習や活動の成果を活かす仕組みづくり
③公民館、図書館・図書室等社会教育施設の効果的な活用
◆主な事業
・現在実施している事業の評価・検討・再構築
・学習ニーズに対応した生涯学習講座の開催
・生涯学習への認識や意欲を向上するための啓発活動
2.文化財の保存・継承と活用
2.文化財の保存・継承と活用
国指定史跡土師百井廃寺跡、青龍寺所蔵重要文化財持国天・多聞天立像、重要文化財矢部家
住宅をはじめ、国登録有形文化財若桜鉄道関連施設や各分野の県及び町指定文化財、数多くの
埋蔵文化財など、町内にある豊富な文化財と歴史ある文化の保存と継承を進めるとともに、学
習素材などとしての活用を進めます。
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また、文化財の活用や新たな文化財の掘り起しを通して地域の魅力を再認識するとともに、
「ふるさと
やず」への誇りと愛着を持った情操豊かな人づくりを進めます。
◇ポイント
①地域の文化財を活用した教育の推進
②文化財を保存・継承する団体の支援
③文化財の保存・整備計画
④文化財を活用した町づくり
◆主な事業
・学校や公民館講座等における出前講座の実施
・文化財ガイドの養成
・文化財保存団体、伝統文化保存団体等の活動支援
・文化財保存調査・整備、伝統文化の記録保存
・文化財マップ、紹介看板等の整備
3.生涯スポーツの推進
3.生涯スポーツの推進
スポーツには単に「する」だけではなく、「観る」、「挑む」、「鍛える」などの楽しみ方
もあります。
これらの楽しみ方を体感することによって、日頃の健康・体力の向上だけでなく、メリハリ
のある生活や一緒に活動する仲間とのコミュニケーションを通して、社会性の向上や明るく活
気に満ちたまちづくりへとつながります。
スポーツの持つ多くの魅力に町民一人ひとりが身近に触れることのできる環境整備を進め、
健全な心身と調和のとれた人づくりに努めます。
◇ポイント
①だれもが・いつでも・どこでもスポーツと触れあえる環境づくり
②健康の維持増進を図る体力づくり
③競技レベルの向上
◆主な事業
・スポーツ推進委員によるスポーツ教室の開催
・体育協会による町民大会の開催
・競技者やスポーツ団体の育成と支援
・町内体育施設の適切な維持管理及び整備の推進
4.学校・
4.学校・家庭・地域等の協働による教育の推進
学校・家庭・地域等の協働による教育の推進
子どもへの教育は単に学校だけが行うものでなく、家庭や保護者もその自覚と責任を持って
取り組むことが大切です。しかし、家族構成の多様化など社会状況の変化によって、個々の家
庭だけで家庭教育に取り組むことが難しくなっている状況といえます。
子どもたちの健全で健やかな成長のために、学校・家庭・地域の大人が連携を密にし、一丸
となって「地域の子どもは地域で見守り育てる」体制を確立し、将来を担う「やずっ子」を育
てていくことが必要です。
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◇ポイント
①家庭教育の推進
②心豊かな青少年の健全な育成の推進
③PTCA(家庭・学校・地域)の協働
◆主な事業
・家庭教育支援チーム事業
・学校支援ボランティア事業
・青少年健全育成八頭町民会議との連携
※「家庭教育支援チーム」:主に保育所・小中学校の保護者を対象に、子育てに関する相談
を受けたり、親子で参加する様々な取り組みや学習機会、地域の情報を提供するなどの
活動を通じて家庭教育を応援するチーム。
5.人権教育の推進
5.人権教育の推進
一人ひとりの人権が尊重される誰にとっても住みよい町づくりにつながるよう、人権問題を知識
として学ぶだけでなく、町民一人ひとりの日常生活における態度や行動に結びつく人権感覚を育て
ることが重要です。
このため、家庭、地域、職場など様々な場において、あらゆる人権問題に関する学習機会の充実と
関係諸機関・諸団体等との連携を図りながら人権尊重の理念の普及に取り組みます。
◇ポイント
①日常生活につながる人権感覚の育成
②人権に関わる学習機会の提供
◆主な事業
・町及び町同和教育推進協議会との連携
・公民館等における人権学習講座の開催
・社会教育団体が行う人権意識を高める取り組みの支援
6.今日的課題への対応
今日的課題への対応
急速な社会環境の変化により、住民の学習や活動に対するニーズは高度化し多様化していま
す。それに伴って、従来の行政主導のやり方では解決が難しい問題も生じており、これをどう
解決するかが今日的な課題となっています。
ついては、幅広い学習機会の提供や地域活動の活発化の支援を通じて家庭や地域の教育力の
向上を図り、行政と住民が力をあわせてこれらの課題に対応する必要があります。
また、町内の自然、歴史、文化など地域の資源を学習や活動に積極的に活用するため、人材
の発掘・育成を推進するなど地域のコーディネート力を高める取り組みを進めます。
◇ポイント
①地域課題の解決に向けた町民の力の活用
②自然・歴史・文化・人材等の地域資源の活用
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◆主な事業
・町民の意識など実態の把握
・地域の課題とその課題を解決できる地域資源とを結びつけるコーディネーターの養成
・今日的課題に対応した公民館、図書館機能の充実
・文化協会の設立
≪教育⾏政≫
1.推進体制の整備
教育行政の推進にあたっては、教職員など教育に関わる人、学校や公民館などの施設・設備、
教育予算、家庭・地域との連携といった様々な要素が関わってくるため、これらの要素を充分
に検討・活用していくことが必要となります。
教育の提供者としての論理だけではなく、学習者の視点も踏まえたうえでの推進体制の整備
を行います。
◇ポイント
①教育情報の収集・発信機能の充実
②学習教材・設備の充実
③就学の支援
④学校及び関係機関、地域との一体的な教育行政推進体制の構築
◆主な事業
・ホームページ、ケーブルテレビの活用
・文部科学省「学校図書館図書標準」に基づく学校図書の整備
・適応指導教室「みどりケ丘教室」の運営
・町長部局、県教育委員会、PTA、地域、関係団体等との相互連携強化
※「適応指導教室」:長期欠席をしている不登校の小中学生を対象に、学校以外の場で学習
援助を行いながら学校へ復帰できるよう支援を行う教室。
2.学校教育環境の整備
学校など学びの施設は地域の中心となりうるものであり、身近に存在するのが理想です。
しかしながら、少子化が急速に進展し子どもたちが年々減少している現状においては、数多く
の学校を運営することに対して多くの困難が生じています。
子どもたちは、多くの仲間が集う学校という集団生活の中で自己を主張したり、他人の意見
に耳を貸すことなどを通じて切磋琢磨し、思考や判断力を磨きながら知徳体のバランスのとれ
た人間として成長していきますが、少人数の学級では、この本来人間関係の中で学ぶべき生き
る力、いわば人間力を充分育むことができない可能性があり、知徳体の能力をしっかりと引き
出せないことが心配されます。
このため、標準的な児童・生徒数の学級を有することができる学校数(小学校4校、中学校
1校)に小・中学校を再編します。
再編にあたっては中学校を先行し、引き続いて小学校を行うものとします。
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◇ポイント
①子どもたちの知徳体をしっかりと育むことできる学校づくり
②投資の集中による学校教育環境設備の充実
③学校教職員の資質向上及び指導力の向上
◆主な事業
・校舎や設備の改修
・図書やコンピューター、楽器等教材・備品の充実
・ALTや図書司書の専任
3.社会教育環境の整備
八頭町における公民館の体制は、郡家・船岡・八東の地域ごとに基幹公民館、地域内に地区
公民館が配置されています。
基本的には合併前の状態をそのまま引き継いだ体制となっているためそれぞれの地域の実態
が色濃く反映されており、開館時間等運営方法が地域によって異なっているのが現状です。
このため地域単位での事業実施や運営が主となり、結果として、合併後の住民にとって一体感の
ある公民館事業が生まれておらず、また均等な住民サービスの提供を図る視点からも問題が生じて
います。
公民館は、実際の生活に即した教育・学術・文化に関する各種事業を行う社会教育・生涯学
習にとって重要な場であり、この現状を解消するため、町全体の公民館を統括する施設として生涯
学習センターを、小学校区ごとに地区公民館を設置して相互に連携を図っていくよう公民館体制の
見直しを行います。
◇ポイント
①町における社会教育・生涯学習推進拠点の整備
②公民館の職員・組織体制及び事業の見直し
◆主な事業
・町として一体感のある事業の企画・運営
・各地区公民館共通の運営体制の整備
・地区公民館職員の資質向上
4.今日的課題への対応
現行の教育委員会制度は、昭和31年制定の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に
よって規定されていますが、制定から50年以上経過する中で「会議が形骸化している」「実質
的な意思決定ができていない」など様々な問題点が指摘されています。
また、近年加速している地方分権の流れを受け、「地方の自己責任」が問われる場面も増え
ています。
今後、これら教育行政に対する問題提起や住民や保護者からの意見・要望等に的確に対応で
きるよう取り組んでいきます。
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◇ポイント
①教育委員会の活性化
②事務局の取組み強化
③町民の意向や学校現場の実態把握
◆主な事業
・教育委員による学校評議員やPTA、地域住民との意見交換
・教育施策立案機能の強化
第4章
推進に向けて
教育は単に学力・知識を身につけるためではなく、八頭町の「いま」と「これから」を担う
人を育て、まちづくりを支えるという重要な役割も担っています。
つまり、教育委員会及び学校だけではなく、家庭・地域をはじめ関係機関・団体等との幅広
い連携と協働により教育ビジョンを推進していく必要があります。
1.町民の参画と協働
学校だけではなく、毎日何気なく過ごしている日常の生活、集落単位で行われている地域活
動も教育の場となります。他の人に何か教わることによって、また教える側も教えることを通
して得ること・感じることによって人が共に育っていく、「共育」の場ということもできるの
ではないでしょうか。
このような場に町民一人ひとりが参画していくことがビジョンの推進にとって重要です。
そのためには子ども、保護者、教職員、地域住民、行政機関等が連携を図り、幅広い町民の
参画と協働を得なければなりません。
2.町民への積極的なアピール
前述のとおりこのビジョンは、多くの町民の参画と協働によりはじめて実現することが可能
となります。
内容に関して町民への周知を図るため、町報やホームページなどを通じて積極的に町民へア
ピールしていきます。
3.総合的な連携体制
ビジョンの推進にあたっては、教育委員会のみならず町の関係部署と密接な連携を図り全庁
的な取り組みを進めていきます。
またビジョンに基づく施策の推進には、国や県との連携が必要な場面も想定されます。つい
ては、制度の整備・充実に向けた協力を国・県に対し要請していきます。
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