4 循環型社会の構築 4 循環型社会の構築 (1)循環資源物流システムの構築 ①海上輸送を活用した循環資源物流ネットワークの形成 2003年の「循環型社会形成推進基本計画」における「港湾を核とした総合的な静脈物流シス テムの構築」に基づき、循環型社会の構築に向けて循環資源の「環」を形成するために、港湾に おいては広域的なリサイクル施設の立地に対応した循環資源物流の拠点港(リサイクルポート) 造りが推進されており、2011年1月までに全国で22港が指定されています。これに併せて、 循環資源を専門的に取り扱う岸壁の確保、排水溝や防護柵等の機能強化などの循環資源物流支援 施設の整備、リサイクルポート推進協議会を通じての官民連携の促進、円滑な循環物流のための 「港湾における循環資源取扱に関するガイドライン」 (2004年)や効率的な港湾の運営と循環資 源の取扱に関する「港湾における循環資源の取扱に関する指針」(2010年)の策定などが行な われ、海上輸送を活用した国内循環資源物流ネットワークの形成が推進されています。 ●リサイクルポート配置図とリサイクルポートのイメージ 出典:国土交通省 55 Ⅲ.運輸部門における主要な環境問題への対策 ②廃棄物海面処分場の計画的な確保 深刻化する廃棄物処理問題に対応するため、港湾の適正な開発、利用及び保全との十分な整合 性の確保を図りつつ、全国の港湾において海面処分場を整備し、適正な減量化・リサイクルを行 った上でもなお埋立て処分が必要な一般廃棄物等の最終処分が行われています。特に大阪湾では、 広域処分場の整備計画(大阪湾フェニックス計画)に基づき大阪湾圏域の広域処理対象区域の市 町村を対象とした一般廃棄物の受け入れ処分が行なわれています。 また、処分に苦慮している首都圏からの建設発生土を全国の港湾等の建設資材として広域的に 有効活用するスーパーフェニックス事業が推進されています。 ●大阪湾フェニックス計画 出典:大阪湾広域臨海環境整備センター (2)自動車リサイクル制度の構築 使用済自動車は年間400 ~ 500万台発生しています。埋立処分場が逼迫している状況で、 80%程度のリサイクル率をさらに向上させなければなら ●自動車リサイクル法の仕組み ないことは喫緊の課題となっていました。また、2004年 の時点で、道路等における年間19万5千台以上の不適正 保管や2万数千台に及ぶ大量の自動車の不法投棄の発生 は、生活環境の悪化を招き、処理の社会的コストも膨大と なるためその対策が急がれていました。 このため、自動車製造業者を中心とした関係者に適切な 役割分担を義務づける「使用済自動車の再資源化等に関す る法律(自動車リサイクル法) 」が2005年1月に施行さ れました。同時に廃棄車両が自動車リサイクル法に従って 解体されたことを確認した上で抹消登録等を行う改正道路 運送車両法及び、使用済自動車に係る自動車重量税の還付 制度が施行され、これらにより使用済自動車の適正処理の 56 出典:国土交通省 4 循環型社会の構築 推進及び不法投棄の防止が図られています。 その結果、 全国で2010年度末には不適正保管車は6,742台(2004年度比で96.6%の減少)、 不法投棄車は2,893台(2004年度比で87.1%の減少)となり、大幅な削減効果が得られてい ます。 (3)FRP船リサイクル FRP(繊維強化プラスチック)船は、全国に広く薄く分布し、高強度で製品寿命が30年以上 にも及ぶことから処理が困難であり、また適正な処理ルートが無かったことが不法投棄の要因の 一つとなっていました。 このFRP船の適正な処理手段を確保し、循環型社会の形成等の推進のため、国土交通省主導 の下、舟艇メーカーなどが協働して、適正かつ効率的なリサイクル技術等を確立しました。これ に基づき一般社団法人日本マリン事業協会FRP船リサイクルセンターが主体となり、「廃棄物の 処理及び清掃に関する法律」の再生利用事業者広域認定制度(メーカーが使用済み製品などを回 収・リサイクルする場合に廃棄物処理業の許可を不要とする特例制度)を活用して、2005年度 から一部地域において、2007年度からは全国でFRP船のリサイクルが進められています。 ●FRP船リサイクルシステム 出典:一般社団法人日本マリン事業協会 FRP船リサイクルセンター 出典:国土交通省中国運輸局 57
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